著者
杉崎 健太郎 中林 巌 小島 糾 冨安 朋宏 明石 真和 伊保谷 憲子 吉田 雅治
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.969-975, 2011-09-28 (Released:2011-10-26)
参考文献数
21

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は重度の視神経炎と脊髄炎を特徴とする炎症性脱髄性疾患である.抗アクアポリン4(AQP4)抗体は2004年にLennonらによって報告され,NMOの診断に有用な抗体として知られている.今回経験した2例はともに抗AQP4抗体陽性であり,NMOに特徴的とされている3椎体以上の病変を伴うが,視神経炎の所見は乏しく,NMO関連疾患であった.急性期にはステロイドパルス療法が有効とされているが,無効な場合は血漿交換療法が有効であるとの報告もあり,今回経験した2例ともステロイドパルス療法に抵抗性であったため,血漿交換療法を行った.血漿交換療法としては,単純血漿交換(PE)に比べて血漿補充を必要としない免疫吸着療法(IAPP)を選択した.IAPP開始後より,2例とも速やかに症状の改善を認め,ステロイドを含めた免疫抑制剤の減量が可能であった.IAPPはステロイド治療抵抗性のNMOに有効な治療法の一つであると考えられた.
著者
沼田 淳紀 吉田 雅穂 濱田 政則
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.305-315, 2009-09-25 (Released:2009-09-28)
参考文献数
74
被引用文献数
2 3

温室効果ガス削減の一方策として,木材利用を拡大するとともに木材を長期利用することが考えられる。このために建築の分野では,耐久性の長い住宅建設の取り組みなどが既に行われている。一方,土木の分野では,本体工事に木材を使うことはほぼ皆無となってしまった。著者らは,地盤の液状化対策として木材を地中に打設することを考えている。本論文では,この内,木材を利用する上で大きな誤解が持たれている木材の耐久性について検討を行った。まず,代表的な設計書に示される木杭基礎の変遷を示し,現在ではこれらの設計書から木杭の記載が姿を消したことを示す。次に,木材の腐朽に関する文献調査結果から,地中における木材の耐久性について示す。さらに,1964年新潟地震の事例より,木杭が液状化対策として用いられた事例を示し,最後にそれによる炭素貯蔵効果を示す。
著者
吉田 雅夫
出版者
農業技術協會
雑誌
農業技術 (ISSN:03888479)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.p32-35, 1981-01
著者
吉田 雅子
出版者
JSL漢字学習研究会
雑誌
JSL漢字学習研究会誌 (ISSN:18837964)
巻号頁・発行日
no.1, pp.13-14, 2009-03-07

早稲田大学日本語センターで行われた(2007年度秋学期)漢字クラスの7B・7Fクラスの読みテストの結果と誤答の傾向を紹介する。課題作文を紹介し、彼らの文章力を読みのテスト結果と比較する。漢字圏の学習者は必ずしも高得点を取らない。漢字テストの結果と文章力は比例しない。授業の成功は、学習者の意欲による。などの結論をみた。
著者
土屋 篤志 大藪 直子 後藤 英之 堀内 統 吉田 雅人 西森 康浩 大塚 隆信 武長 徹也 杉本 勝正
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.567-569, 2011

We investigated the shoulder function of the frozen shoulder after an average of thirty months (12 to 108 months) of the conservative treatment. In this study, 17 shoulders of 16 patients (13 males and 3 females) of non-traumatic frozen shoulder without rotator cuff tear were investigated. The mean age of all cases was 66 years old, ranging from 47 to 76 years old. At an average of 30 months follow-up, the clinical results and shoulder function including subjective and objective evaluation, range of motion and shoulder strength using micro FET, were investigated. The mean JOA score was 63.7 points at the initial treatment and 82.5 points at the end of the treatment. After thirty months of the treatment, JOA score was improved to 93.4 points. About 88% of the patients were satisfied with their daily living, although 16.7% of the patients changed sports activity level or their work. Seven of 17 patients who were satisfied with their ADL, restricted some concrete action related to shoulder function such as scratching their back. The range of motion of flexion, abduction and external rotation of the affected side tended to be lower compared with the normal side, but not significantly. The strength of the shoulder of the affected side was improved without a significant difference from normal side. The prognosis of the frozen shoulder was relatively good with a little discomfort for living and a limitation of sports activity.
著者
田中 信治 樫田 博史 斎藤 豊 矢作 直久 山野 泰穂 斎藤 彰一 久部 高司 八尾 隆史 渡邊 昌彦 吉田 雅博 斉藤 裕輔 鶴田 修 五十嵐 正広 豊永 高史 味岡 洋一 杉原 建一 楠 正人 小池 和彦 藤本 一眞 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1321-1344, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
203
被引用文献数
2

大腸腫瘍の内視鏡治療の適応病変としては,早期大腸癌のみでなく前癌病変としての腺腫性病変も多く存在し,大腸EMRとESDの棲み分け,そのための術前診断,実際の内視鏡治療の有効性と安全性を第一線の臨床現場で確保するための指針が重要である.そこで,日本消化器内視鏡学会では,大腸癌研究会,日本大腸肛門病学会,日本消化器病学会の協力を得て,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として「大腸ESD/EMRガイドライン」を2014年に作成した.本ガイドラインでは,手技の具体的な手順や機器,デバイス,薬剤の種類や使用法など実臨床的な部分については,すでに日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会編「消化器内視鏡ハンドブック」が2012年5月に刊行(2017年5月に改訂)されているので,技術的内容に関しては可能な限り重複を避けた.大腸ESDは2012年4月に保険適用となったが,2018年4月には保険適用範囲と診療報酬点数が改訂された.「大腸ESD/EMRガイドライン」発刊後,SSA/Pの病態解明やESD症例のさらなる集積もなされており,ガイドライン初版発刊から5年目の2019年に最新情報を盛り込んだ改訂版を発刊するに至った.
著者
吉田 雅巳
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-8, 2009-03

本稿では日本におけるネット上いじめ問題を海外のサイバーブリング(CB)研究を参考にしながら考察した。CBは決して校内だけで起こる問題ではなく,そのため学校の認識や対応の準備が生まれにくい。また,「発見」「対応」はともに,方法的,技術的,組織的に困難な問題である。そこで本稿では,海外知見を参考に,学校の対応としての「対策」「介入」を紹介し,学校における議論の焦点化をはかるための資料を提供した。
著者
柏倉 さゆり 本間 重紀 柴崎 晋 吉田 雅 川村 秀樹 武冨 紹信
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.89-93, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
16

背景:今回われわれは全周性狭窄をきたした直腸癌に梅種子が嵌頓したことによりイレウスを発症した1例を経験したので報告する.症例:63歳男性.便秘を主訴に前医受診.下部消化管内視鏡検査にて直腸Rsに全周性の2型病変(tub1)を認め,直腸癌の診断で手術目的に当科紹介となった.入院後3日目より嘔吐が出現し,CT検査にて病変部に種子様構造物を認め口側腸管の拡張も認めたため,植物種子による嵌頓イレウスと診断した.経肛門的イレウス管を挿入し減圧を図り,挿入7日目に待機的腹腔鏡下低位前方切除術,D3郭清を施行した.切除標本では腫瘍狭窄部位に直径2cm大の梅種子が嵌頓していた.術後は合併症なく経過し,術後10日目に退院した.なお,本人は梅種子を丸呑みする習慣や,近日中に飲み込んだ記憶はなかった.結語:狭窄高度な直腸癌の場合には植物種子がイレウスの誘因となることがあり,注意が必要と考えられた.
著者
吉田 雅巳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, no.suppl, pp.29-32, 1999-08-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8

グループ指導を, 教室で行う場合と教師が離れて遠隔で行う場合の, 生起する学習環境の比較実験を行った.実験では大学生を, 5名ごとのチームに編成し, 1名の教師役の学生が4名の生徒役学生に対してグループで協調して取り組む課題を与え, それぞれの環境で各4回のセッションを行った.そして, 記録VTRより相互作用分析と介入分析を実施し, コミュニケーションの違いを分析した.その結果, 「対面でのグループ協調学習では教師からの働きかけが多く見られた」, 「遠隔でのグループ協調学習では, 学習者が教師との個人的コミュニケーションを助長することなく, 学習者間の議論に集中した」という知見を得た.
著者
吉田 雅文 相良 哲哉 長野 美貴 是永 克実 牧嶋 和見
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.195-200, 1992-02-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The discrimination of mono-syllable words (67S word-list) pronounced by a male and a female speaker was investigated in noise in 39 normal hearing subjects. The subjects listened to the test words at a constant level of 62 dB together with white or weighted noise in four S/N conditions. By processing the data with logit transformation, S/N-discrimination curves were presumed for each combination of a speech material and a noise. Regardless of the type of noise, the discrimination scores for the female voice started to decrease gradually at a S/N ratio of +10dB, and reached 10 to 20% at-10dB. For the male voice in white noise, the discrimination curve was similar to those for the female voice. On the contrary, the discrimination score for the male voice in weighted noise declined rapidly from a S/N ratio of +5dB, and went below 10% at -5dB. The discrimination curves seem to be shaped by the interrelations between the spectrum of the speech material and that of the noise.
著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
/ 岩本 真承 青木 俊二 田中 直美 田嶋 清子 山原 條二 高石 喜久 吉田 雅昭 富松 利明 玉井 洋進 Yoshin TAMAI
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.397-399, 1991-02-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
9
被引用文献数
40 73

It has been reported that an acetone extract of ginger and its fractions have anti-5-HT (5-hydroxytryptamine; serotonin) effects. In the present study, guinea pig ileum, rat stomach fundus and rabbit aortic strips are used in order to determined the constituents of fraction 2 which are responsible for anti-5-HT effect and to examine their pharmacological properties.The analysis of fraction 2-3 indicated that galanolactone, a diterpenoid, is one of the active constituents. In guinea pig ileum, galanolactone inhibited contractile responses to 5-HT with a pIC50 value 4.93. pIC50 value of galanolactone against the response to 2-methyl-5-HT, a selective 5-HT3 agonist, in the presence of methysergide at 1×10-5M was 5.10. pIC50 values of ICS 205-930, a selective 5-HT3 antagonist, were 5.30 and 7.49, respectively. The concentration-response curve of 5-HT was shown as a biphasic curve and galanolactone caused a selective shift to the right of the second phase.In the same preparations, the pIC50 value of galanolactone and ICS 205-930 against the response to carbamylcholine (CCh) was 4.45 and 4.46.The inhibitory effect of galanolactone on the 5-HT response in the stomach fundus and aortic strips was less than that in the ileum.In addition, in the thoracic aorta precontracted with 50 mM K+, the relaxing effect of galanolactone was about 1/10 of that of papaverine.These results suggest that the anti-5-HT effect of galanolactone, a diterpenoid isolated from ginger, is related to antagonism of 5-HT3 receptors.
著者
島田 武彦 白鳥 利治 羽山 裕子 西村 幸一 山口 正己 吉田 雅夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.984-986, 1999-09-15
被引用文献数
1

RAPD (Random amplified polymorphic DNA)法により, 56品種・系統のオウトウ・サクラの類縁関係を検討した.クラスター分析の結果, 供試材料は大きくオウトウ品種群, サクラ品種群に分かれ, 両者は遺伝的に類似性が低いことが確かめられた.中国オウトウ, Lithocerasus植物は日本在来のサクラと比較的類似性が低いことが確かめられた.
著者
小野寺 力 吉田 雅昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.212-215, 2011
参考文献数
18

LEDのIV特性を測定した結果から発光エネルギーEが増加するとしきい値電圧V_<th>が増加することを示した。LEDの順方向電流が20mAのときの順方向電圧V_fを発光エネルギーEこ対してプロットした結果から,順方向電圧V_fと発光エネルギーEの関係は直線V_f=E/eの傾向に従っている。しかし,GaNを基礎としたと考えられるLEDでは直線と測定値のずれが大きく,V_f>E/eの関係になっている。IV特性の理論式から考察した結果,この原因としては理想因子n_<ideal>が大きいことと寄生抵抗として直列抵抗成分が存在することが考えられる。これらのことから「LEDを用いたプランク定数の測定実験」では,LEDのIV特性が理想特性からずれていることを考慮に入れて実験する条件を設定する必要があることを示した。
著者
吉田 雅子
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.102, pp.1-22, 2012

16~17世紀に日本に舶載された欧州輸出用の中国製の染織品のうち, 以下に記す刺繍ビロードの6作品を, 考察対象に取り上げる。(1)鍍阿寺伝来の慢幕(2)知恩寺伝来の打敷(3)徳川美術館収蔵の唐人相撲装束羽織(4)仙台市博物館収蔵の慶長遣欧使節請来祭服(5)堺市博物館収蔵のマント(6)名古屋市秀吉清正記念館収蔵の陣羽織。(1)(2)(3)の作品は, どこで制作されたのか, 何のために制作されたのか長らく不明であり, (4)(5)(6)は, 欧州で製作されて日本に舶載されたものと従来考えられてきた。私はこれらの作品を個別に検討し, 欧州向けの輸出を意識して作られた中国製品である可能性が高いことを指摘してきた。本稿は, 今まで個別に検討してきたこれら6作例を突き合わせ, これらの作例に共通する特徴を明らかにするものである。6作品の特徴として, 以下の点を指摘することができる。これらの作品の意匠は, 欧州へ輸出するために中国やインドで制作された作品との類似性が最も高い。大半の意匠は欧州装飾を下敷きにしている。しかし欧州の表現としては不自然で, 中国の表現に類似した特徴が細部に含まれている場合がしばしばある。欧州刺繍と関連する特徴として, 強撚の極太糸を用いることや, 桂撚糸で渦巻状の曲線を表すことがあげられる。また中国刺繍との共通点として, 花弁に繧綱の刺し繍を用いること, 岩を表す際に配色の切り替えを行うこと, 鳥の羽根の質感を杢糸で表現すること, 胎が紙の撚金糸を用いることがあげられる。このような6作品の特徴は, 今まで欧州製と目されてきたこれらの刺繍ビロードが, 欧州のオリジナル作品ではなく, 中国人が制作したコピーであることを示唆している。The aim of this paper is to discuss several different textiles that were produced in China for the European market, and were subsequently introduced to Japan in the 16th and 17th century. I will be analyzing six specific pieces of embroidered velvet, with attention to technical and stylistic considerations. These pieces share many similarities in composition and motif to Chinese and Indian textiles that were made for European consumers. However, these textiles deviate slightly from European prototypes in terms certain stylistic details, and tend to have uniquely Chinese characteristics. The six pieces in question share several common features with European embroidery of the same period ; tightly twisted silk cord was used for couching, and silk threads, which were made by wrapping a thread around a core thread, were used to create decorative curlicues. However, these pieces also share characteristics with traditional Chinese embroidery, such as areas of satin stitching that graduate in colour to denote flower petals, images of rocks with brightly colored and clearly defined striations, and the use of two-coloured plied threads to illustrate feathers. There is also the use of metallic threads with a paper base, which was a technique used widely across China. These details, among others, suggest that these six pieces originate from China rather than from Europe, and that they traveled a complex route before reaching their final destinations of Japan.
著者
中田 久美子 小野 千紘 吉田 薫 吉田 雅人 吉田 学 山下 直樹
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第108回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.OR1-11, 2015 (Released:2015-09-15)

【目的】現在,テオフィリン等の薬剤がヒト不動精子の運動性回復に使用されているが,顕微授精の際に刺入精子とともに卵子細胞内への薬剤が混入することが危惧されている。一方,水素分子は細胞毒性の高い活性酸素種を選択的に還元する作用を有し,副作用が極めて少ないことが知られている。本研究は,解糖系と電子伝達系によるATP産生の阻害剤を用いて,ヒト精子の運動性に対する水素分子の作用機序を明らかにすることを目的とした。 【方法】インフォームドコンセントの得られた,治療後廃棄予定の精子(n=26)を用いた。本実験では85%以上の運動性を有する正常精子を材料とした。その精子をTYB(Test-Yolk-Buffer,JX日鉱日石エネルギー)にて凍結,融解を2回繰り返し,2回目の融解後の洗浄にはグルコース非添加のTYH(G-N区)を使用し,100μlに調整した後,室温に静置した。24時間後,再度遠心処置を行い,ペレットを3等分にし,50μlのグルコース添加のTYH(G+N区),水素分子含有のグルコース非添加のTYH(G-H区)とG-N区にそれぞれ混和した。また,一部のG-N区およびG-H区に40μMのアンチマイシンAを添加した(G-N-A区,G-H-A区)。各過程で,マクラーチャンバーおよびSCAにて運動率および運動性を測定した。 【結果】G-N,G+N,G-H区の運動率はそれぞれ,2.2%,9.7%,8.3%であり,G+N,G-H区はG-N区よりも有意に高かった(P<0.01)。G-N-A区の運動率は0.07%であるのに対し,G-H-A区は1.8%であり,有意に高かった(P<0.05)。 【考察】グルコース非添加かつ電子伝達系阻害剤の存在下で水素分子は,ヒト精子の運動性を有意に改善させた。これらの結果は,水素分子は精子ミトコンドリアの電子伝達系のATP産生を促進する効果があることが示唆している。