著者
福喜多 輝 高橋 正樹 吉田 和夫
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.1, 2008 (Released:2009-04-14)

本研究では,システムの応答を積極的に評価し,制御入力を決める「応答評価器」を提案し,減衰係数可変型のオイルダンパを有するセミアクティブ免震建物に適用した.システムの応答である建物最上階の絶対加速度と免震層変位を入力とし,オイルダンパの減衰係数を決める応答評価器を階層型ニューラルネットワークを用いて構成した.応答評価器の性能を決めるニューラルネットワークのパラメータ調整には,遺伝的アルゴリズムを使用した.種々の地震動入力に対してシミュレーションを行い,減衰係数をhardまたはsoftで一定とした場合に比べて,トレードオフの関係にある絶対加速度と免震層変位をhardとsoftの時の応答の中間値に抑えることができ,応答評価器の有効性が検証された.
著者
吉田 陽亮
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.06-11, 2019 (Released:2022-09-03)
参考文献数
27

サルコペニアは,身体的な障害や生活の質の低下,および死などの有害な転帰のリスクを伴うものであり,進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群である.また直接的な原因が神経学的問題に起因するものではなく,老嚥,低栄養,侵襲といった要素が加わる事で摂食嚥下関連筋の減弱が生じることをサルコペニアの摂食嚥下障害としている.神経筋電気刺激(NMES)は生体に電流を流すことで伴う生理学的な反応を応用した物理療法の一つであり,筋萎縮予防や筋力増強に有効なツールである.サルコペニアの原因を評価した上で,各症例に合わせた方法かつNMESによる生理学的作用を適切に応用し介入する必要がある.
著者
佐藤 康仁 吉田 雅博 山口 直人
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-46, 2008 (Released:2015-03-20)
参考文献数
5
被引用文献数
5

Minds(Medical Information Network Distribution Service)は,診療ガイドラインおよび関連する医療情報を提供するWeb上のデータベースシステムである.Mindsを定期的に利用している者の特徴を明らかにすることで,診療ガイドライン等の医療情報を提供するWebデータベースシステムに求められる要件を明らかにすることができると考える. 方法:対象はMindsのユーザ登録者とした.調査は2006年3月から4月にかけて実施した.アンケート調査への協力のお願いは電子メールで送信し,Webサイトにて調査を実施した.解析では,はじめに,定期的アクセスに関連する因子の探索をカイ二乗検定で行った.続いて有意差のみられた因子と定期的アクセスとの関連をロジスティック回帰モデルで分析した. 結果:コメディカルでは「患者・家族への説明のため(Odds ratio=2.05)」「Webサイトの使いやすさの満足度(OR=3.07)」に定期的アクセスと有意な関連が観察された.医師・歯科医師では「患者・家族への説明のため(OR=2.13)」「最新情報取得のため(OR=1.72)」「Mindsを診療に利用している(OR=2.88)」「Webサイトのコンテンツの満足度(OR=2.31)」に定期的アクセスと有意な関連が観察された. 結論:定期的にMindsを利用する者は,診療の現場において利用している者が多いことが明らかとなった.一方で,診療の現場ではインターネットへの接続が難しい場合が多い.今後は,インターネットに接続しない状態で情報提供を行う仕組みについても考慮する必要がある.
著者
佐藤 康仁 畠山 洋輔 奥村 晃子 清原 康介 小島原 典子 吉田 雅博 山口 直人
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.35-43, 2014 (Released:2016-04-20)
参考文献数
24
被引用文献数
3

Mindsサイトは,診療ガイドラインを中心とした医療情報を2002年より継続してインターネット上に提供している.本研究は,Mindsユーザを対象に実施したユーザ満足度に関するアンケート調査結果を分析することで,Mindsサイトの今後の課題を明らかにすることを目的として実施した.調査方法は,インターネット上の自記式アンケート調査とした.調査対象は,Mindsサイトにユーザ登録をしている者とした.アンケートへの回答者は2,940名(回答率8.2%)であった.「利用目的は達成されたか」について,達成できた割合が高かったのは,医療系学生の「学習や知識習得のため23名(53.5%)」,コメディカルの「診療のため82名(50.0%)」となっていた.利用目的を達成できた者は,利用したことがあるコンテンツの種類が多く,それぞれのコンテンツが役に立ったとする割合が高くなっていた.本研究により明らかとなったMindsサイトの課題は,システムや運用における対応を実施することで順次改善していきたい.
著者
植松 夏子 柴原 弘明 今井 絵理 吉田 厚志 西村 大作
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第60回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.343, 2011 (Released:2012-02-13)

【背景】がん患者には様々な苦痛症状が出現する。原発部位や基礎疾患により投与できる薬剤が限られ、副作用により投与中止となる場合もみられる。また各症状に対し個々に薬剤を使用することは薬剤の相互作用や内服負担増の面で患者に苦痛を与えることもある。ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)に分類されH1受容体拮抗作用、5-HT3拮抗作用を有するため、緩和医療領域では抗うつ作用以外の効果も期待されている。 【目的】がん緩和医療における苦痛症状へのミルタザピンの有用性を明らかにすること。 【対象と方法】2010年10月から2011年5月までに緩和ケア科でミルタザピンが処方された24例。自覚症状の変化を「著効(症状の消失)」「有効(症状の軽快)」「無効」「中止」の4段階に分けretrospectiveに評価した。なお当研究調査には十分な倫理的配慮を行った。 【結果】性別は男性11例 女性13例、原疾患は膵癌7例、胃癌5例、乳癌3例、胆管癌2例、大腸癌2例、肺癌1例、肝癌1例、前立腺癌1例、リンパ腫1例、GIST1例であった。ミルタザピンは不安・吐き気・食欲不振・掻痒感・疼痛・せん妄のいずれかまたは複数の症状がみられた患者に処方されていた。全24例のうち著効11例、有効6例、無効3例、中止4例で、中止理由は4例とも眠気であった。至適投与量は15mg 2例、7.5mg 9例、3.75mg 10例、1.875mg 3例であり、7.5mg以下の低用量投与が92%であった。 【考察】ミルタザピンはがん患者の苦痛症状に対し有効で、低用量で十分な効果がえられていた。本研究は少数例であり,さらなる症例を蓄積したうえでの検討が今後必要であろう。 【結語】ミルタザピンは低用量で各苦痛症状の緩和をもたらす。
著者
下田 好行 四方 義啓 吉田 武男
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ホリスティックな立場からの教材・授業開発の視点を研究した。垣内松三の形象と自証体系の理論とそれを授業で具体化した青木照明の「融合読み」の研究を行った。垣内松三は、文字の連なりの奥にある人間の相(象徴)の存在を強調した。読むとは、この象徴を直観し、それを言葉という形で記号化する行為である。ここから垣内は、直観ー自証ー証自証、という読みの理論を体系化した。この理論を授業場面で具体化したのが芦田恵之助である。また、最近では、小学校国語の文学教材の読みの授業で、青木照明が行っている。青木の授業では、児童が物語文を読んで、直観したことを自分の言葉で解釈し、自証していく様子を確認できた。
著者
松崎 隆哲 安永 昌司 吉田 朋紘 花元 克巳 笹原 泰史 藤木 哲雄 坂口 英和 安武 英剛 空閑 哲博 中尾 勉
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.23-24, 2015-03-17

近畿大学産業理工学部と筑豊ゼミ独楽研究会では、両手をあわせて一回ひねるだけで20分以上(最長19分)回る大名独楽について研究を行っている。大名独楽とは、福岡県飯塚市にある「日本の独楽資料館」の花元館長が20年の歳月を掛けて製作した誰が回しても長時間回る独楽である。大名独楽は回っている途中に回転速度が低下してふらつきだしても、回転が再度安定して独楽が起き上がる特性を持っている。本研究では、独楽の軸の動作について動画および画像による解析を行うことで、どのような原因で独楽が再度起き上がるのかについて明らかにしようとしている。
著者
橋之口 朝仁 定永 倫明 本坊 拓也 吉田 倫太郎 坂井 邦裕 松浦 弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1538-1541, 2019 (Released:2020-03-18)
参考文献数
7

症例は54歳,女性. 21年前に子宮頸癌 (Stage I B)に対して腹式単純子宮全摘術,術後放射線療法を受けた.増大傾向にある左側腹部に存在する腫瘍の精査加療目的で当院外科へ紹介となった.MRIでは左腎外側に径11cm大の嚢胞性腫瘤を認めた.外来受診時,「子宮頸癌手術時に卵巣を温存し吊り上げている」とのことであり,婦人科へコンサルトした.子宮頸癌の術後放射線療法に際して,卵巣機能温存目的に被曝を避けるため卵巣を照射野外に移動固定する術式が選択された可能性が考えられた.卵巣移動術後の左卵巣嚢腫を疑い,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査で卵巣粘液性嚢胞腺腫 (良性)と診断した.術後は順調に経過し,術後7日目に自宅退院となった.
著者
吉田 洋
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.153-157, 2013-03-31 (Released:2019-07-01)

資産除去債務の会計基準の影響により,企業が抱える潜在的な債務が明らかになった.本稿では外食産業を例にして資産除去債務の会計処理方法の問題点を明らかにする.資産除去債務は外食産業各社によって費用計上の考え方が大きく異なっている.企業間比較のため,外食産業における資産除去債務の会計処理の統一が課題として必要である.
著者
櫟 直美 尾形 由起子 小野 順子 中村 美穂子 大場 美緒 吉田 麻美 猪狩 崇 平塚 淳子 田中 美樹 吉川 未桜 山下 清香
出版者
福岡県立大学看護学部
雑誌
福岡県立大学看護学研究紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-23, 2022-03-31

「目的」本研究の目的はA県の3年間にわたる訪問看護ステーション連携強化の取組について意義と課題の整理を行い、今後の訪問看護ステーション連携について検討することを目的とした。「方法」A県の同意の得られたすべての訪問看護ステーション419か所に所属する訪問看護師3,750名を対象として無記名自記式質問紙調査を実施し、統計学的解析を行った。「結果」936名から回答を得た(有効回答率:25.0%)。交流会に参加して他のステーションと連携がしやすくなったのは37.1%だった。今後の必要性について、交流会を必要とする肯定群は936人中641人(68.5%)で、同行訪問研修を必要とする肯定群は936人中562人(60.0%)だった。しかし同行訪問研修の実際の参加率は16.8%にとどまり、参加の困難さがあった。医療介護福祉の連携意識は、年代と職位に有意な差があった。また交流会および同行訪問研修の必要性と連携意識に有意な差があった。在宅医との連携では、最も必要であると感じているが、連携の取りやすさでは困難さを感じていた。「考察」本研究結果では訪問看護ステーション間での連携の深まりを明らかにすることはできなかった。しかし交流会や同行訪問研修の必要性を感じている割合が高かったことから継続する意義はあると考えた。その意義として具体的には、連携上の課題が共有でき、医療的ケアの知識や技術が学べることや運営方法を知る機会となることである。また在宅医療推進のために在宅医との調整の積み重ねの必要性があり、コミュニケーションスキルを磨き、連携力を獲得していくための場への積極的参加の啓発と参加しやすい仕組みづくりが必要である。
著者
吉田 令子
出版者
目白大学
雑誌
目白大学健康科学研究 = Mejiro Journal of Health Care Sciences (ISSN:18827047)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-40, 2022-03-31

《目的》本研究の目的は、文献を通して訪問看護ステーションにおける災害の備えについて概観し、現状を記述することである。《方法》医学中央雑誌web版で文献検索を行い、「災害看護」のすべての文献6683件について、1991年より5年ごとの件数の推移を概観した。「災害看護and訪問看護and原著」の検索式から29件のうち、目的に沿って22件を選定し、その概要を表にまとめた。在宅看護の研究者が文献を精読し、訪問看護ステーションにおける災害の備えについての記述を質的に分類した。《結果》22の文献より、訪問看護ステーション事業所における災害の備えについて【防災対応マニュアルの整備】、【災害に特化した地域の情報】、【停電や緊急時を見越した個別情報の管理】、【緊急時の関連機関との連携】、【緊急時の備品や備蓄】、【職員の災害の対処能力を高める】の6つのカテゴリが得られた。また、利用者や家族への減災のための教育として、【住環境の安全対策】【災害直後の数日分の備蓄】【停電、断水などの対策】【通信や情報収集方法の確保】【避難場所や方法の検討】がなされていることが示された。《結論》訪問看護ステーションでは、平時から事業所内の防災対応マニュアルの整備と要援護者・家族の情報を管理し、災害の種類に応じた避難場所、連携のための連絡先、避難に必要な器具や物品等の備えやスタッフの教育を行っていた。また、利用者と家族には、生活に即した環境整備の勧めと療養者や家族への減災の教育を行い、自助を促すかかわりは少ないことが示唆された。訪問看護ステーションの単独のかかわりには限界があり、地域の多職種、他機関との連携による防災訓練の実施など、シミュレーションを通して要援護者と家族の自助の力を高めることが課題である。
著者
宇津野 伸二 山路 徹 与那嶺 一秀 審良 善和 小林 浩之 渡部 要一 吉田 倫夫 前薗 優一 川瀬 義行 松本 茂
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.220-238, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本報では,海水中から海底土中部に設置された港湾鋼構造物の流入電流および電位を連続測定し,海底土中部の電気防食特性について検討を行った.海底土中部では海底面からの深度が深くなるにつれ防食管理電位に達するまでの期間が延びるものの,電気防食によって十分な防食効果が得られることが確認された.さらに,海底土中部の電気防食メカニズムを検証した結果,微弱でも防食電流を供給することにより,現在の設計で想定されている防食電流以下であっても防食効果は得られると考えられた.また,海底土中部の土壌抵抗が防食電流の供給に影響を及ぼすことを確認し,有限要素法を用いた電位・電流密度分布解析により,土壌抵抗率を考慮した電気防食設計手法を検討した.