著者
平田 雄一 宮本 直樹 清水 森人 吉田 光宏 平本 和夫 市川 芳明 金子 周史 篠川 毅 平岡 真寛 白土 博樹
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.238-246, 2014 (Released:2015-03-14)
参考文献数
14

がんの放射線治療においては患者の呼吸等にともなって放射線の照射中に患部の位置が変化する可能性がある。放射線の患部への照射効果を向上させるとともに、周辺の正常部位へのダメージを最小化するために、患部の3次元的な位置の時間的な変化を考慮した4次元放射線治療が最近日本で開発され治療効果を上げている。この時間軸を付加した4次元放射線治療を実現するシステムの安全性に関する技術的要件を盛り込んだ規格を日本から国際電気標準会議(IEC)に提案した。理由は、IECの国際標準は、各国の規制当局によって引用されると、強制力を有するようになるため、IECにおける国際標準化活動は、4次元放射線治療システムの確固とした安全性担保のために非常に効果的であるためである。この論文は、今後さらに需要が増す4次元放射線治療システムに関する国際標準化の戦略について分析した内容をまとめたものである。戦略の要は、4次元放射線治療システムの安全性に関する技術的要件の国際標準化に焦点を絞り、臨床的視点を盛り込む形で、幅広い分野の専門家の意見を結集して国際的な合意形成を図ることである。今後4次元放射線治療を一層普及させるために、このような戦略にもとづいて、4次元放射線治療システムを構成する個別装置に関する既存規格の改訂に加えて、4次元放射線治療システム全体についてシステムとしての安全性評価を行ったうえで、新しい規格の作成を推進する。
著者
吉田 重方
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-28, 1988-05-31
被引用文献数
2
著者
吉田 美穗子
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.101-106, 2012-03-31

写真から喚起される時間印象が,境界拡張の生起に及ぼす影響を検討した。実験1では,写真から喚起される時間印象を調査するために,30枚の写真について 20個の形容語による評定が行われた。この結果,無時間・持続・変化の3種類の時間印象が写真によって喚起されることが示唆された。実験2では,実験1の結果に基づいて統制された刺激を 15枚用いて,3つの時間印象を喚起させる写真における境界拡張の程度を評定課題により測定した。その結果,時間印象が境界拡張関連することが示され,無時間の時間印象を喚起させる写真では,持続・変化の時間印象を喚起させる写真よりも境界拡張の程度が少ないという関係性が示唆された。これは,時間的な拡がりの豊富さと大きな空間的拡がりが相関すると解釈された。これらの結果から,写真の喚起する空間的拡がりと時間的拡がりの関係性の一端が実験的に明らかにされた。
著者
吉田 美穗子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.73-78, 2008-01-31
被引用文献数
1

古い時代、人間が創造した建築物に文様を刻むとき、何らかのメッセージを込めたはずである。それは、建築物に住む側の人間にとって、子々孫々に至るまで生命が永遠に続き、さらにその繁栄を約束するような、そのような祈願を反映した呪術的なものを制作したであろうとの確信から、古建築における植物文様の意匠をCADにより対数螺旋を用いて合成し、再現した。古建築の植物文様において、対数螺旋は植物そのものを表現したり、または単純化されたパターンとなって繰り返したり、渦を巻いたり、植物文様の余白を埋めたりと、リズミカルに見え隠れし、永遠の生命を演出していた。それは見るものに華やかさを与え、植物文様を神聖視させ、永遠に見守られているという信念を抱かせるのに効果的なデザイン要素として、現代に至るまで引継がれ使用されているものであった。
著者
吉田 美穗子
出版者
梅花女子大学
雑誌
梅花女子大学現代人間学部紀要 (ISSN:13499769)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.75-88, 2007
被引用文献数
1

古い時代,人間が創造した建築物に文様を刻むとき,何らかのメッセージを込めたはずである。それは,建築物に住む側の人間にとっては幸せな毎日が送れるような,そんな祈願を反映した呪術的なものを制作したであろうとの確信から,古建築における文様の意匠をCADにより対数螺旋を用いて合成し,再現することにより読み解こうと試みた。古建築の植物文様において,対数螺旋は植物そのものを表現したり,または単純化されたパターンとなって繰り返したり,渦を巻いたり,植物文様の余白を埋めたりと,リズミカルに見え隠れし,永遠の生命を演出していた。それは見るものに華やかさを与え,植物文様を神聖視させ,永遠に見守られているという信念を抱かせるのに効果的なデザイン要素として,現代に至るまで引継がれ使用されているものであった。一方,動物文様に関して,動物が文様として用いられる時,それは植物以上に何か意味があったのではないかと考え,植物文様と同じ方法で動物文様を検討。その結果,動物文様における対数螺旋は自ら発する力により見るものを元気付け,生きていることの喜びを共感させながら毎日の生活に息吹を吹き込むのに効果的なデザイン要素として,現代まで引き継がれ使用されているものであった。対数螺旋がその使用目的に応じて使い分けられ,デザイン要素として今日に至るまで使用されていることを明らかにした。
著者
岡本 洋子 吉田 惠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本のだしを中心とした薄味の和食には,健康維持とおいしさが両立できる世界でも希な食事体系である。さらに,和風だしを用いた食事を実践することは,生活習慣病のリスクを低減する一要因となると考えられている。そこで,本研究では和風だしの代表的素材である,かつお節とコンブを用いただしについて好ましく受容できることが重要と考え,それらの天然素材だしならびに風味調味料だしを用いた調理食品を調製し,識別ならびに嗜好性を調べることを目的とした。【方法】天然だしおよび風味だしを用いた調理食品の識別と嗜好性については,官能評価法(3点識別試験法,2点嗜好試験法,3点嗜好試験法)によって行った。評価者は年齢18~20歳の健康な女子学生27~32名である。試料として,だしを用いた調理食品7種(主食:醤油味飯,汁かけうどん,主菜・副菜:高野豆腐煮物,だし巻卵,サトイモの煮物,ゴボウの煮物,汁物:味噌汁)を調製した。データは,有意差の検定(2項検定)により解析した。【結果】① 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の「おいしさ」が異なることを有意に識別できた(p<0.01, p<0.05 )。 ② 7種のだしを用いた調理食品では,天然だし食品と風味だし食品の嗜好性に有意差はみられなかった。しかしながら,7種のうち6種において,天然だし食品と比べ,風味だし食品を好む傾向がみられた。③ おいしさを評価する際の背景要因として食体験があげられるが,今回は食経験と官能評価の関係については明らかにできなかった。本研究の評価者は,これまでに,天然素材のだしではなく,日常的に風味調味料だしを調理のときに使用していたのかもしれない。
著者
吉田 昭仁 久郷 信俊 石田 憲治 佐藤 圭司 黒田 真生
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
マリンエンジニアリング (ISSN:13461427)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.696-702, 2003-10-01 (Released:2010-05-31)
参考文献数
6

Most of industrial plants such petrochemical plant, LNG plant, and power plant, usually use water for the process cooling. Especially, in a large industrial plant, a large amount of seawater is used as the cooling media, and finally discharged to sea area through a seawater discharge basin.The seawater discharge basin has a weir to keep the sufficient backpressure of the seawater cooling system. In the seawater discharge basin, the seawater overflows the weir and falls down into the seawater flow at the downstream of weir. Then, the air is entrained into the seawater at the downstream of weir due to the waterfall flow and air bubbles with various sizes and shapes are generated in seawater.From the viewpoint of an environmental conservation, it is often required to eliminate air bubbles contained in cooling seawater discharged from industrial plants to sea area. There is a de-aeration chamber as a technology to separate these bubbles from the discharged seawater.To perform the optimum design of the de-aeration chamber, it is important to grasp the volume and size distribution of air bubbles generated in the seawater by the waterfall flow at the weir, and a terminal velocity of air bubbles rising in seawater.Therefore, in this study, the terminal velocities of any bubble in swarm of air bubbles rising in stagnant seawater, were measured in the region of low void fraction.
著者
正垣 幸男 吉田 幸雄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.38-42, 1956
被引用文献数
1 2

1)京都市北郊八瀬附近に於て, 8月〜9月の候, 人畜に来襲し, はげしく刺咬する種はニッポンヤマブユSimulium(Gnus)nacojapiであり, その他アオキツメトゲブユ, ヒメアシマダラブユ, キアシツメトゲブユ, オウアシマダラブユ等が来襲した.2)ニッポンヤマブユの動物嗜好性に関し, 人体, 牛, 山羊を同時に露出せしめた所, 人体及び牛に比し山羊は隔段少なかつたが, 人体と牛には共にはげしく来襲しこの両者間の差は本実験では判然としなかつた.3)ニッポンヤマブユの夏期における吸血活動の日間消長を観察した結果, 照度の変化によつて最も鋭敏に活動が左右される事を認めた.即ち気温, 風力等が制限因子として働かない場合は最も大きく影響するものは照度と考えられる.又朝夕におけるブユの活動の習慣性も見逃せない問題と考える.4)ニッポンヤマブユの吸血活動に好適な照度は1, 000〜20, 000luxと考えられるが, 真夏の太陽の直射の下, 10万lux以上の条件下に於ても, 活動は減少するも停止はせず, なお相当の吸血が行われる.5)当地区のあらゆる河川について, 幼虫, 蛹の採集を行つた所, ニッポンヤマブユ, キアシツメトゲブユが多く, 次でアオキツメトゲブユ, ヒメアシマダラブユ, クジツノマユブユ, オウアシマダラブユ, クロアシマダラブユ, オウアシマダラブユ, クロアシマダラブユ, ウチダツノマユブユ等が見出された.
著者
宮地 直道 中川 光弘 吉田 真理夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.75-85, 2000-05-10
被引用文献数
8

Recent eruptive episodes since the last 2200 years of Rausudake volcano, east Hokkaido, are revealed by tephrochronology, geological survey of volcanic edifice and petrology of eruptive products. Eruptive ages of these episodes are estimated by ^<14>C age dating, presence of wide spread tephras, Ma-b from Mashu volcano (about 1 ka) and Ta-a from Tarumai volcano (AD 1739), and thickness of soil between tephra. We identify three major eruption episodes occurring in ca. 2200, ca. 1400 and 500-700 y. B. P. In each episode, plinian eruption associated with generation of pyroclastic flows and possibly with effusion of lava flows and domes had occurred from the summit area. Volcanic explosive index (VEI) of each eruption is 2-4. Tephra identified as the deposits of ca. 1400 y. B. P, eruption had spread widely and has been found in Kunashiri Island which locates about 60 km east of Rausudake volcano. In Shiretoko Peninsula, east Hokkaido, Mt. Shiretoko-Iouzan has been recognized to be an active volcano. We should note that Mt. Rausudake is also active volcano that repeated its magmatic eruptions at intervals of ca. 800 years.
著者
倉山 太一 渡部 杏奈 高本 みなみ 重田 奈実 長谷川 裕貴 山口 智史 小宮 全 吉田 奈津子 清水 栄司 影原 彰人 須賀 晴彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.929-933, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
23

〔目的〕通所リハにおける在宅脳卒中患者を対象としたCI療法の効果について検討した。〔対象〕当院通所リハを利用の片側上肢機能不全を有する脳卒中患者で適応基準を満たした6名であった。〔方法〕非麻痺側上肢の運動制限を行いながら,麻痺側上肢の集中的な課題遂行型介入を1日5時間,2週連続(平日の10日間)で実施した。評価項目は,Wolf motor function test(WMFT),Motor activity log(MAL),Fugl-Meyer assessment scale(FM)とし,CI療法の実施前後,3ヶ月,6ヶ月後に実施した。〔結果〕WFMTのtimeおよびMALにおいて,介入前後で,有意な改善を認めた。また,評価が可能であったすべての症例で,3ヶ月後,6ヶ月後においても介入効果が持続していた。〔結語〕通所リハにおいて,一般的な手法に従ったCI療法実施は可能であり,上肢の機能改善および実用性が向上することが示唆された。