著者
吉田 聡
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

アルゴフロートのモニタリング情報と水温塩分プロファイルから鉛直流成分を抽出するアルゴリズム開発に取り組んだ。数値シミュレーションの結果から大きな鉛直流が期待される爆弾低気圧の通過を経験したアルゴフロートの観測結果を重点的に解析した。2015年から2017年の冬季に得られた1148プロファイルのうち、爆弾低気圧の通過を経験したものは73プロファイルあった。このうち、最も急発達した2016年3月1日の事例では、水温塩分プロファイルは低気圧通過に伴って、混合層の深さが100m程度深くなっていた。この事例について鉛直流の推定を試みた。しかしながら、計測ノイズの処理と段階的なピストン変動の処理が難しく、鉛直流速の推定には至っていない。
著者
萩野 直人 吉田 博夫 今田 晴彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.15-00596, (Released:2016-04-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

The self-circulating thermosyphon (SCTS) operates without external pumping power. It is a closed loop of pipe and consists of heater, condenser, heat exchanger and recuperator. In this paper the basic performance of SCTS was examined experimentally under various back ground pressures and power inputs to the heater. Experimental results showed that the stable operation of SCTS was limited by the minimum input power overcoming the total losses of the system and the maximum power within the ability of the condenser. At fixed back ground pressure, mass flow rate and quality of water vapor in heater were confirmed to increase with the power input. As back ground pressure increased, mass flow rate was prone to decline. Those suggest that the main driving force of SCTS is buoyancy force of the vapor. Thermal transport efficiency ranged from 0.4 to 0.9 as far as the present conditions are concerned.
著者
須貝 俊彦 水野 清秀 八戸 昭一 中里 裕臣 石山 達也 杉山 雄一 細矢 卓志 松島 紘子 吉田 英嗣 山口 正秋 大上 隆史
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.3-4, pp.394-409, 2007-08-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
26
被引用文献数
5 9

The northern Ayasegawa fault is a part of the Fukaya fault system, which is the longest active fault in the Kanto district. The paleoseismology of the northern Ayasegawa fault was revealed by a combination of arrayed boring and ground penetrating radar (GPR) survey. The northern Ayasegawa fault produced a fold scarp with the NW-SE direction running along the boundary between the Oomiya 2 (O2) surface and fluvial lowland. The O2 was formed in Marine Isotope Stage 5a, and was slightly deformed with a wide warping zone. Sixteen sediment cores arrayed across the warping zone contain a series of tephra layers such as Hk-TP (ca. 60-65 ka), KMP, AT (26-29 ka), As-BP group (20-25 ka), and As-YP (15-16.5 ka). These key beds except Hk-TP were deposited and deformed parallel to each other, suggesting that no faulting events occurred between KMP and As-VP fall. The timing of the last faulting event is after the As-YP fall, and is probably younger than 10 ka based on an interpretation of GPR profiles and 14C ages. KMP should be deposited horizontally because it intervened in the peaty silt layer, which accumulated conformably on lacustrine deposits overlapping the fold scarp. Thus, the KMP horizon roughly indicates the vertical offset produced by the events occurred after the As YP fall. The events were probably singular, and the last one formed a vertical offset of more than 4 m. The older event occurred at around 70 ka between Hk-TP fall and O2 formation. Vertical deformation of the O2 was at least 7 m, indicating the possibility that the vertical offset caused by the penultimate event is at least 3 m. The vertical slip per event might reach 5 m, and the average vertical slip rate is nearly 0.1 mm/yr because the warping zone detected by the arrayed boring above is within the flexure zone shown by the P-wave seismic profile. The northern Ayasegawa fault is considered to be a single behavioral segment because of its longer recurrence interval and lower slip rate of 0.1 mm/yr in comparison with those of the other part of the Fukaya fault system.
著者
吉田 紘行
出版者
東京大学大学院新領域創成科学研究科 基盤科学研究系 物質系専攻
巻号頁・発行日
2006-03-23

報告番号: ; 学位授与年月日: 2006-03-23 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(科学) ; 学位記番号: 修創域第1600号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科物質系専攻
著者
吉田 靖弘
出版者
岡山大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2007 (Released:2016-04-26)

高齢社会の到来に伴い,インプラント治療の需要は益々増加すると予想される。しかし現在のインプラント治療は,術後,数ヵ月の治癒期間を要することが指摘されており,今後の革新的な技術開発が切望されている。本研究では,組織再生能に優れたインプラントの開発を目指し,ポリリン酸処理したインプラントの機能と安全性について動物実験を中心に検討する。さらに,インプラント-生体界面を詳細に評価することにより,製品化に必要な知見を集積する。
著者
山岸 光 吉田 善一 坂上 榮松 守屋 俊浩 増澤 恒明 矢島 正男 池田 博通 尾坂 一 小口 京吾 若林 優治
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.955-956, 2008

超精密微細な表面構造を持つ光学部品や、マイクロ医療用デバイスなどの加工を実現するために、ミリメートルからセンチメートルサイズの面積を、ナノメートルからマイクロメートオーダーで加工できる「レーザー・集束イオンビーム複合加工機」を開発した。この加工機は、FIBと3種類のレーザー、そしてAFMを有し、工作物の着脱無しで機上計測しながら、デバイス形状の全体に亘り、超精密微細三次元構造を加工できる。
著者
無藤 賢治 中村 征義 吉田 豊
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.26-32, 1983-12-29
被引用文献数
3

ダウン症児の構音障害の特徴について、より具体的に把握するために、100の単音節を発音材料として検査を行い、その結果をもとに検討をした。対象児は小学部から高等部に至る60名であった。発音は文字の呈示による自発法と聴覚的刺激による模唱法を併用して誘導した。それをテープレコーダーに録音し、個々の発音についての評価を3名で行った。その結果次のような知見を得た。ダウン症児の単音節での構音障害の出現率は極めて高く、その要因には知能の低さに伴うものの他、構音器官の異常さや巧緻性の劣弱さ及び聴覚の障害等も考えられる。単音節別明瞭度の平均は50.8と低く全体の半分程である。範囲は13-80と幅広く、単音節間に明瞭度の差が大である。高明瞭度の単音節は直音かつ清音であり、低明瞭度のものは拗音が大半の中でザ行音も含まれている。直音かつ清音ではラ行音が特に悪い。拗音の平均明瞭度は直音に比べて明らかに低い。子音による明瞭度ではw、t、k、m、j、n、p、b等が高い。低明瞭度の子音は大半が拗音を構成するものであるがdzやrも含まれている。拗音については獲得される時期において正常児との相違が見られる。息のさえぎられ方では破擦音や弾音の明瞭度の低さが目立ち、息のさえぎられる場所では歯音が特に低い。これは正常児や精神薄弱児を対象とした先行研究とは若干異なる。
著者
吉田 倫子
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

助産師の経験知の中に、乳腺炎を起こす予兆として乳児が授乳を拒否する行動があり、その理由の1つには母乳の味の変化があると言われている。そこで本研究は、第1に、乳児が示す授乳拒否と乳房トラブルとの関係を明らかにすることを目的に母乳育児の経験を持つ母親に対してアンケート調査を行った。その結果、乳児の授乳拒否と乳房トラブルには関連があり、授乳拒否は乳房トラブル発症の予知として重要であることが明らかとなった。第2に、味覚センサによる母乳の味分析により、母乳の味の基本情報と、乳腺炎に関連した母乳の味の変化、乳児が示す授乳拒否に関連する母乳の味の変化を検討した。その結果、母乳の味の基本情報として、乳房トラブルのない正常な母乳において、左右の母乳の味は相関していること、母乳の味は初乳から成乳となる過程で、苦味が増加し、塩味と旨味は低下するが、成乳となった後は味の変化はみられないことが明らかとなった。乳腺炎時の母乳では、塩味や旨味の増加、酸味や苦味、渋味の低下があった。乳児が授乳拒否を示す母乳の味は、授乳拒否を示さない母乳に比べて、旨味が増加し、苦味や渋味が減少する傾向が認められた。本研究により乳腺炎に関連した母乳の味の変化が示唆された。今回の研究で乳腺炎群の8割の児に授乳を拒否する行動が観察され、児は鋭敏にこのような味の変化を認知していると推定される。
著者
川崎 良孝 吉田 右子 小林 卓 三浦 太郎 呑海 沙織 安里 のり子 久野 和子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は19世紀中葉から21世紀にいたる図書館の歴史的展開を、新たな視点で解明している。「サービスの提供」という基本的価値に、1960年代から「資料や情報へのアクセスの保障」と「図書館記録の秘密性の保護」という価値が加わり、これらの3つの価値は思想的、実践的に20世紀末に向けて深められていった。しかし21世紀に入り、「アクセスの保障」と「秘密性の保護」という価値は、社会や技術の変化を受けて揺らぐとともに、それらを意識した図書館の理論や実践が生まれている。本研究は広範な一次資料の発掘や実践の研究を通じて、こうした歴史的展開を実証的に解明し、一般図式を提供した。
著者
吉田 早悠里
出版者
南山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、2017年8月6日~9月5日にかけての約1ヶ月間、エチオピア・オロミア州ジンマ県ゲラ郡に位置するムスリム聖者が暮らす一集落で現地調査を実施した。具体的には、主に以下の3点について調査を実施した。(1) 集落内外の個人・集団間関係:2016年度に調査を行った対象集落の住民74世帯に加えて、近隣集落に居住するムスリムとキリスト教徒、およびオロモ、アムハラ、カファといった民族にも調査対象拡大して世帯調査を実施した。これにより、調査対象集落の住民74世帯が、集落内外でどのような個人・集団間関係を構築し、生活しているのかを具体的に明らかにすることができた。(2) 集落における研究代表者の立場:研究代表者が同集落における重要なアクターとして位置づけられるようになった要因を明らかにするべく、研究代表者の存在がどのように集落の住民にとらえられているのかについて聞き取り、観察を行った。また、集落を拓いた聖者アルファキー・アフマド・ウマルはさまざまな予言を残しており、そのなかには「外国人」に関する予言もある。集落の住民がこうした予言をどのように解釈し、「外国人」と研究代表者をどのように関連づけているのかについても検討した。(3) 集落が置かれた現代的状況:調査対象の集落は、1940年代に宗教的実践を重視する集落として形成、維持されてきたが、特に1991年以降のEPRDF政権のもとで、さまざまな変化を経験している。そのひとつとして、外国政府やNGOによる援助がある。同集落が位置する郡では、JICAが2003年から参加型森林管理計画プロジェクトを実施してきた。こうしたプロジェクトが、集落にどのような影響を与えたのかについても検討し、コラムとして発表した。
著者
吉田 尚弘 安田 琢和
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々が発見したアトピー性皮膚炎モデルマウスの表皮において疾患発症前にキチナーゼ様タンパク質Chi3l1の発現が認められる。そこでChi3l1を表皮で過剰発現したTGマウスを作製すると、尻尾の表皮構造が破壊され、魚鱗癬様の外見を呈した。アトピー性皮膚炎モデルマウスをコンベンショナル環境で飼育すると同様の魚鱗癬様外見を呈した。同皮膚ではTight Junction構成タンパクが発現低下し、この分子が表皮バリア形成に関与することが示唆された。
著者
井上 功一 入口 豊 太田 順康 吉田 雅行
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.193-210, 2001-08

本研究では,高度に発展しているアメリカ大学競技スポーツを統括する組織の1つ,アメリカ最大の組織NCAAに焦点をあてて,アメリカ大学競技スポーツ組織のメリット,デメリットを考察し,そこから得られた知見から我が国の大学競技スポーツ組織の今後の展望を図ることを目的とした。本研究において,我が国の大学競技スポーツ組織の問題点として,個別に学生連盟組織が存在していることや,大学の教職員が連盟の役員などを兼任していることなどが上げられた。また,NCAAにおいては統括組織や,専任の職員が多数いること等がメリットとして挙げられる反面,巨額の資金を抱えるなどの問題点も挙がった。今後,我が国の大学競技スポーツは組織の統一,専任の職員,女性スポーツへの援助,諸問題への対応という点においてNCAAを参考に改革を進めていかなくてはならない。The purpose of this study was to make the organization of NCAA (National Collegiate Athletic Association) in the U.S.A. and Japanese collegiate athletics' current status clear and to examine the future prospects of Japanese collegiate athletics. The finding and discussions on the following topics are presented in this paper: 1. The current status and problems of collegiate athletic organization in Japan (1) The current status of collegiate athletic organization in Japan (2) The problems of collegiate athletic organization in Japan 2. The currernt status of collegiate athletic organization in the U.S.A. (1) The NCAA in the American Collegiate athletics (2) About the NCAA (3) Purpose of the NCAA (4) Colleges and Universities of Participating to the NCAA and sports (5) History of the NCAA (6) Existence of Athletic Department (AD) (7) Example of AD (UCLA) 3. Merit of the NCAA (1) Organizations of unification (2) Full-time staffs (3) Process of unification 4. Demerit of the NCAA (1) Financial problem (2) Amateurism (3) Schoolwork of students' athlete (4) Gamble 5. The future prospect of collegiate athletic organization in Japan (1) Unification of the organizations (2) Employment of the full-time staffs (3) Support to collegiate women's sports (4) Possibilities of some problems
著者
細川 卓也 小松 秀雄 前田 幸二 中村 和洋 吉田 徹志 福元 康文
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-44, 2006 (Released:2006-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
4 6

有機質成型培地を用いたトマトの長段どり栽培での高糖度果実の多収生産を目的とし,有機質成型培地の水分保持特性を調査し,日射比例給液制御装置を試作してこれを用いた場合の給液量の違いが収量・品質に及ぼす影響を検討した.スギ樹皮やヤシガラとバーク堆肥の混合資材からなる有機質成型培地ではロックウールスラブに比べて排水性が優れ,高pFでの水分率が高い水分保持特性を示した.長段どり栽培では,長期間にわたって葉面積の変動が小さく,積算日射と蒸発散量の間には高い正の相関関係が認められた.ヤシガラ・バーク培地を用い積算日射で1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2,2.13 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまではそれぞれ1.50 MJ・m−2,1.71 MJ・m−2,1.93 MJ・m−2)ごとに100 ml・株−1を給液する3区を設けて収量・品質を比較した結果,可販果収量は給液量の多い区ほど多く,平均糖度は給液量の少ない区ほど高かった.高糖度果実(Brix 8%以上)の収量は,1.93 MJ・m−2(第2果房下の葉を除去するまで1.71 MJ・m−2)ごとに給液する区で最も多かった.
著者
後藤 哲久 長嶋 等 吉田 優子 木曽 雅昭
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.83, pp.21-28, 1996-07-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
23
被引用文献数
6 17

市販録茶試料7茶種85点の8種のカテキン類とカフェインの含有量を測定した。玉露,抹茶は煎茶,玉緑茶と比較してやや多くのカフェインを含む一方総カテキン量は少なかった。同じ茶種の中では,上級茶は一般に下級茶より多くのカフェインを含み総カテキン量は低かった。個々のカテキン類の中では,エピガロカテキンガレート(EGCg)の含有量が最も多く,総カテキン量の50~60%を占め,エピガロカテキン(EGC)と合わせた量は総量の約80%であった。遊離型カテキン(EC,EGC)の含有量は,エステル型カテキン(ECg,EGCg)の,煎茶,玉緑茶では半分以下,玉露,抹茶では1/3以下であった。玉露,抹茶では多くの試料からカテキン(C)が検出されたが,それ以外の微量カテキン類はほとんど検出されなかった。ほうじ茶のカテキン類は,加熱による変化を受けるためか量的にも少なく,その組成も他の茶種と大きく異なっていた。
著者
西田 泰民 宮尾 亨 吉田 邦夫 八田 一 ピーター マシウス
出版者
新潟県立歴史博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

これまで国内では報告例がなかったが、旧石器時代石器・縄文時代遺構埋土・縄文時代石器・縄文時代珪藻土塊・擦文時代遺構埋土・縄文土器炭化付着物いずれからもデンプン粒を検出することができた。これにより日本のような中緯度温暖湿潤地域でも長期間デンプン粒が保存されていることが明らかになった。各考古学資料からのデンプン抽出作業をおこなう一方で、堅果類、根菜類を中心に在来食用植物の対照現生サンプル作成をおこない、240件作成した。遺物からの抽出方法や取り扱い、同定方法については先駆的研究が行われたオーストラリアよりシドニー大学フラガー博士を招聘し教授を受けた。デンプンの分解過程を解明をするため国立民族学博物館および新潟県立歴史博物館で実験石器の埋没・放置実験を半年間実施した。土器からの食性分析の手がかりとなる炭化物のモデル生成実験をおこなった。30種類の異なる食材を縄文土器に見立てた素焼き土器で薪燃料により煮沸し水分がなくなるまで加熱する実験を計60回行った結果、それぞれ性状の異なる付着炭化物が生成した。一部を採取して炭素、窒素安定同位体分析を行い、炭化前後の同位体比の変動を計測した。その結果を実際の出土炭化物と比較した。縄文時代において主たる炭水化物源となっていたと考えられ、旧石器時代も利用されていた可能性がある堅果類の加工法の一端を探るため、あく抜きをしていない堅果類と他の食材の混合比率を変えた材料を用意し石蒸しによる調理実験を行い官能検査によって可食化の可能性を検討した。タンパク質が渋みの軽減に寄与することが明らかとなった。縄文時代中期の石皿類・磨石類の集成から各属性の分析を行い、中期に食物加工用具としての意識の転換が生じた可能性があることが判明した。
著者
村松 治 五十嵐 羊羽 花田 一臣 吉田 晃敏
出版者
メディカル葵出版
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.1229-1232, 2004-09-30
被引用文献数
2

雑誌掲載版角膜移植術を行い6ヵ月以上経過した97例108眼について検討した.全層角膜移植術は99眼に行い,内訳は角膜白斑45眼,水疱性角膜症29眼,角膜潰瘍9眼,円錐角膜5眼,ヘルペス後実質混濁4眼,外傷5眼,その他2眼であった.表層角膜移植術は6眼に行い,角膜輪部デルモイド4眼,周辺部角膜潰瘍2眼であった.深部表層角膜移植術は角膜脂肪変性3眼に行った.全層角膜移植術の透明治癒率は全体で85%,視力改善は69%で認められた.表層角膜移植術,深部表層角膜移植術では全例に透明治癒が得られ,視力改善は深部表層角膜移植術の全例で得られたが,表層角膜移植術例はいずれも不変であった.術後合併症は全層角膜移植術の20眼に認め,うち拒絶反応が11%を占めた
著者
吉田 友敬 武田 昌一
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.113-119, 2012

本論文では,音楽と音声言語におけるリズム的特徴の普遍性について検討する.音楽のリズムに関しては,特にグレゴリオ聖歌についての議論に注目した.グレゴリオ聖歌は後世の西洋音楽に大きな影響を与えているものである.一方,言語におけるリズムについては,音韻論の立場から検討を加える."foot",あるいは "Ictus"という概念を音楽と音声リズムの共通性を論じる上で中心的概念として導入する.その後,これらの音響的特徴について,試行的検討を行った.
著者
吉田 昌志
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.903, pp.82-104, 2016-01-01
著者
木島 彩 梅川 奈央 吉田 優 大澤 朗
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.293-302, 2010 (Released:2010-11-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1

偏性嫌気性グラム陽性桿菌であるビフィズス菌は,新生児腸内細菌叢において圧倒的多数を占める.その由来として,母親からの「垂直伝播」が示唆されているが,実際に母親由来ビフィズス菌が子の腸内に伝播しているという直接的な知見は未だ報告されていない.そこで,ビフィズス菌の母親から新生児への菌株レベルでの伝播をパルスフィールドゲル電気泳動(Pulsed-Field Gel Electrophoresis; PFGE)法によって検証した.その結果,5組の母子双方の糞便から Bifidobacterium longum subsp. longum(B. longum)が分離され,このうち3組の母親由来株と新生児由来株のPFGEパターンが組ごとに一致した.次に,これら母親由来株の好気及び微好気条件下での生残性を調べた.その結果,1)培地平板上では好気条件下で6時間,微好気条件下で18時間は初発の菌数を維持すること,2)ヒトの手のひら上では生残数が急速に減少し,3時間で全ての菌が死滅すること,3)好気環境でも乾燥状態では全ての菌が死滅するまでに24時間以上かかることが明らかとなった.これらの結果から,ビフィズス菌は母親の手指よりも産道や大気,器具,衣類等を介して垂直伝播することが示唆された.