著者
坂本 嘉弘
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.13, no.21, pp.125-138, 2006-05-20 (Released:2009-02-16)
参考文献数
23

中世大友城下町跡は戦国時代「府内」と呼ばれた瀬戸内海の西端部の別府湾に注ぐ大分川の左岸の自然堤防上に立地する中世都市である。近年この「府内」が大分駅周辺総合整備事業に伴い大規模な発掘調査が実施されている。その結果,これまで古絵図からの復元や,文献史料で知られていた「府内」について,さらに都市構造や変遷・性格などが明らかになりつつあることを報告した。発掘調査にあたっては,考古学的な時間軸を明確にするために,「府内」から出土する土師質土器の編年作業を行った。その結果,14世紀初頭から16世紀末まで約300年間にわたる大まかな編年案を提示することが出来,「府内」各所での遺構の時期の並行関係をとらえることが可能になった。また,古絵図には「府内」を南北に貫く街路が四本描かれているが,これを東から,第1南北街路・第2南北街路と順に名づけ発掘調査した。大分川沿いにある第1南北街路は上市町・下市町・工座町の名称が示すように,発掘調査でも街路に沿って短冊形の地割が確認され,商工業者が居住する地域であることが裏付けられた。第2南北街路は,大友館や萬寿寺沿いに「府内」を貫く最主要街路である。この街路の大友館東側や萬寿寺西側については,町屋の状況を示す古文書も残されている。発掘調査では,その町屋の実像だけでなく,成立までの経過も明らかにすることが出来た。第4南北街路は,「府内」の西端の街路であるが,古絵図には街路西側にダイウス堂と記載された場所があり,キリシタン施設が想定されていた。発掘調査の結果,小児墓やキリシタン墓を含む13基の墓が検出され,宣教師たちが報告した墓地の南端にあたる可能性が強いと想定している。「府内」からは,多量の貿易陶磁器が出土する。特に,第1南北街路と第2南北街路を結ぶ横小路町で検出された遺構からは,中国・朝鮮のみでなく,タイ・ミャンマー・ベトナムなど東南アジアの陶磁器が集中的に出土し,中国南部と直接関わる人物の存在が指摘されている。また,キリシタンの活動に関連する遺物としてメダイがある。ヴェロニカのメダイ以外は,「府内」の第2南北街路と名ヶ小路との交差点部で検出された礎石建物付近で,分銅と共に製作された可能性が強いと考えられる。このように,16世紀後半の「府内」は海外との結びつきの強い特異な中世都市として存在する。残された史料も,古絵図,古文書,宣教師たちの報告など多彩であるが,これに考古資料が加わり,「府内」の実像がより立体的に明らかにされようとしている。
著者
田崎 和幸 野中 信宏 山田 玄太 坂本 竜弥 油井 栄樹 山中 健生 貝田 英二 宮崎 洋一
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第30回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.125, 2008 (Released:2008-12-01)

【はじめに】 手における高圧注入損傷は、高圧で噴射される液体を誤って手内に注入して起こる外傷で、とりわけペンキのスプレーガンによることが多い。受傷創は小さなことが多く、外傷の程度は軽く見られがちであるが、手内に注入された液体により主要血管の損傷・圧迫、感染、炎症が発生するため早急な外科的処置が必要であり、それが遅れると壊死や高度の感染・炎症を起こし、手の重篤な機能障害を残してしまう。今回ホースの穴から高圧に噴射した油により受傷し、適確で早急な外科的手術の結果壊死は免れたが、術後に高度な炎症症状を呈した症例のセラピィを経験したので報告する。【症例】 49歳男性。仕事中誤って左示指MP関節掌側より油を注入して受傷し、同日異物除去・病巣廓清術が行われた。手術ではまず示指近位指節間皮線部から母指球皮線近位まで切開して展開した。母指内転筋筋膜、A1pulley等を切開したが、油は極僅かしか存在しなかった。次に示指MP関節背側から前腕遠位部まで切開して展開した。背側には多量の油が皮下、伸筋支帯間・下、骨間筋筋膜下、腱間等至る所に瀰漫性に存在しており、骨間筋筋膜、第3伸筋支帯等に切開を追加し、可及的に油の排出に努めたが、すべて除去することは不可能であった。掌側創は粗に縫合、背側は開放創としてbulky dressingを行い手術終了した。【術後セラピィ】 手術翌日は高度な炎症症状を呈しており、術後3日間は患手を徹底挙上させ、1時間に1セット、1セット10回の母指・手指自動内外転運動と露出しているIP関節の自動運動を行わせた。術後4日目にbulky dressingが除去されたため、安全肢位での静的スプリントを作製し、運動時以外装着させた。また、1日2回の間歇的空気圧迫装置、徒手的な手関節他動運動、手指MP関節屈曲・PIP関節伸展他動運動、母指外転他動運動、骨間筋の伸張運動を追加した。術後2週目に示指屈曲用の動的スプリントを作製し、1日5回、1回20分間装着させた。術後3週より徐々に炎症症状が低下してきたため、積極的な可動域訓練と筋力強化を行った。【結果】 術後2ヶ月の時点で僅かな手関節掌屈制限が残存したものの、その他の可動域は良好で握力右40kg左24kg、指腹摘み右8kg左6kg、側腹摘み右9kg左9kgであった。術後2.5ヶ月で現職復帰した。なお、掌側創は術後1ヶ月、背側創は術後2ヶ月で自然治癒した。【考察】 高圧注入損傷例の予後は、迅速な観血的治療により左右されるが、たとえそれが行われていても、術後に高度な炎症症状が必発する。そのため術後セラピィにおいては、炎症症状を助長させないよう十分に注意しながら、拘縮の予防・改善を行わなければならない。また、開放創となっているためかなりの運動時痛を伴う。本症例は手術所見より母指内転拘縮、母指・手指屈筋腱群の癒着、伸筋腱群の癒着、骨間筋の拘縮、さらに高度な腫脹による不良肢位での拘縮が予測されたため、腫脹・熱感・夜間痛をパラメーターとしてセラピィを進め、スプリント療法を併用した結果、良好な患手の機能が獲得できた。
著者
坂本 史衣
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.10-16, 2016 (Released:2016-04-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

医療関連感染(HAI)のリスクアセスメントとは,疫学的原則に基づくサーベイランスの実施を通じて,HAIのリスクを可視化し,評価することを繰り返すプロセスである.従って,リスクアセスメントは,医療の質の向上を目的とした,系統的かつ積極的なHAI予防活動である.本総説では,リスクアセスメントのプロセスについて解説するとともに,HAIリスクと改善活動の評価に使用する指標を紹介する.
著者
熊谷 雄治 田中 理英子 宋 一大 坂本 泰理
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.31-37, 2016-03-31 (Released:2016-04-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2 6

Background: Acetaminophen is widely used for pain relief, but is known to cause liver injury in cases of overdose. Previously, the maximum dose in Japan was 1500 mg/day, which was much lower than those in other countries. In 2011, the approved maximum dose was changed to 4000 mg/day in Japan, raising concerns over the safety of its use in Japanese patients. Therefore, we performed an epidemiological study to examine the safety of acetaminophen. In this study, we analyzed the data from a special drug use surveillance on elevation of liver function tests in Japanese patients, to assess drug-induced liver injury (DILI) of high-dose acetaminophen.Methods: Patients who were treated with a high dose (2400 to 4000 mg/day) of acetaminophen for 4 to 24 weeks were included. Data were collected from the hospital medical information systems of 87 hospitals, from which consecutive eligible patients between January 2011 and April 2013 were identified. An abnormal liver function test (LFT) was defined as elevated alanine transaminase (ALT) level greater than 3 times the upper limit of the normal range. The prevalence of abnormal LFT was calculated, and correlation with background factors was analyzed using logistic regression.Results: A total of 703 cases that met the inclusion criteria were analyzed. Abnormal LFT findings were observed in 22 cases (3.1%), and causality with acetaminophen could not be ruled out in 7 cases (1.0%). A logistic regression analysis showed that abnormal LFT findings correlated significantly with the presence of concomitant disease, a history of allergic disease, the duration of treatment, and on-demand use.Conclusion: The prevalence of elevated ALT level among Japanese patients treated with acetaminophen was almost identical to that reported in other countries. However, a significant relationship between abnormal LFT and some clinical factors including the duration of treatment was found. However, this study had a limitation of inadequate patient population, suggesting a need to collect data continuously in Japan.
著者
長谷川 裕 坂本 南美
出版者
The Japan Association of International Liberal Arts
雑誌
日本国際教養学会誌 (ISSN:21894183)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.32-43, 2023 (Released:2023-03-17)
参考文献数
25

In the stream of educational reforms in Japan, collaborative teaching with English-speaking Assistant Language Teachers (ALTs) will consequently play an important role in foreign language classrooms. While the quality and impact of the ALTs on their lessons tend to be argued by many, there is still a possibility existing that the manner in which ALTs enrich their lives in Japan will exert a synergistic effect on their collaborative English teaching skills. This project focused on the life stories of ALTs, utilized the narrative approach to analyze and conduct interviews, and explored how they engage and commit to Japanese foreign language education. Utilizing thematic analysis, the study conducted semi-structured interviews with six ALTs under the Japan Exchange and Teaching Programme for 2021. As the starting point of being ALTs, this study investigated their perspective before and after their arrival to Japan and revealed two major themes that emerged from their psychological states, and each theme has divided further into the following sub-concepts (1) self-awareness: sense of anticipation and expectation, and (2) cognitive dissonance: concerns and discomfort and contemplation.
著者
坂本 勇斗 白土 大成 牧迫 飛雄馬
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-52, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
32

【目的】任天堂WiiⓇ(以下,WiiⓇ)は活用の用途が拡大しリハビリテ-ション(以下,リハ)に応用されるが,脳腫瘍患者を対象にした報告は限られている.今回,脳腫瘍患者に対するWiiⓇリハの有効性を評価することを目的とした.【方法】PubMed, Cochrane Library,医学中央雑誌の各電子データベースとハンドサーチを用いたスコーピングレビューを行った.対象期間は2006年~2021年,言語は日本語と英語とした.【結果】検索された155件から3件が選択された.WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,身体活動への動機づけ,入院環境からの気晴らしについて有効であることが示唆された.【結論】WiiⓇリハは脳腫瘍患者の身体機能やADL,精神面を改善する可能性が示唆された一方,選択されたのは3件のみで,いずれも研究デザインの側面でWiiⓇリハの有効性を明示するには不十分であった.さらに厳密なデザインの介入研究により効果を検証することが望ましい.
著者
的場 輝佳 真部 真里子 原 知子 坂本 宏司
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

京都の老舗料亭の料理人、管理栄養士・医師とコラボして、高齢者が好む“おいしい”嚥下食を設計し、高齢者が好む調理法(レシピ)を提言するとともに、嚥下食のおいしさの原理を以下のように明らかにした。そのポイントは、「変化を持たせる」ことで、複数の食材を同時に調理するのでなく、個々の食材ごとにその特徴を生かして“五色、五味”のバランスにも配慮して、飽きない料理に仕上げることである。
著者
下田 和孝 青山 智哉 坂本 博幸 大久保 進一 畑山 誠 竹内 勝巳
出版者
北海道立総合研究機構水産研究本部
巻号頁・発行日
no.92, pp.65-77, 2017 (Released:2018-03-23)

北海道の10河川でブラウントラウトの年齢と尾叉長を調べ,ベルタランフィの成長曲線に当てはめた。全河川の測定データから求めた4月時点における各年齢の尾叉長は,1+で12.4cm,2+で20.8cm,3+で28.4cm,4+で35.4cm,5+で41.8cm,6+で47.6cm,7+で53.0cmであった。この成長曲線と各河川の成長曲線を比べたところ,年齢によって大小関係が変化するなど河川毎に特徴が見られた。4河川を対象に性成熟を調べたところ,雄は10月下旬以降に,雌は11月下旬以降に成熟個体が確認され,最低成熟年齢は雄1+,雌2+であったが,いずれも河川による違いが見られた。
著者
坂本 雅子
出版者
名古屋経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、日中戦争以後のアジアでの財閥商社の活動を明らかにすることであり、三井物産の活動を事例にして研究をおこなった。分析の重点は、戦時下での軍部と一体となった活動においた。たとえば、財閥商社が軍の依穎・命令によって中国で従事した農産物の収買活動や、アジア地域での物資流通一特にベトナム・タイから日本・中国への食糧輸入等-で果たした役割を明らかにした。占領地への食糧確保こそ現地軍の食糧補給と占領地の治安確保にとって最も重要であり、戦争の帰越を決するものであったが軍部は一貫して財閥商社一特に三井物産と三菱商事に全面的に依拠せざるをえなかった。また軍配組合の活動も占領地の軍票の価値を維持し、食糧などの物資収買を行うために重要なものであったが、ここでも三井物産を中心とした商社の役割は大きかった。本稿ではまた、戦時下の三井物産のアヘン取扱いについても明らかにした。日中戦争において日本軍はアヘン売却しその利益を機密費等に使用したり、戦地での物資収買にあたって 通貨がわりとして利用するなどしたが、このアヘン売買を中心となって担ったのが三井物産であった。三井物産がアヘン売買に関与したことは極東国際軍事裁判での供述によって、以前から知られていたが、本研究は三井物産の内部資料で初めてその全容を明らかにした。以上のように、アジアで、軍部と結びつき戦争遂行の重要な役割を担うとともに、戦争犯罪の最も汚れた部分をも担った戦時下の三井物産の活動を解明した。
著者
坂本 遼太 前多 裕介 宮﨑 牧人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.595-600, 2021-09-05 (Released:2021-09-05)
参考文献数
15

生命現象において,対称性とその破れは生命機能の制御に重要な役割を担う.鳥の翼は左右対称だが,ヒラメやカレイは左右非対称という特有の形態を示すことで知られる.よりミクロなレベルでは,球形の細胞は同じ大きさの二つの細胞に対称分裂を行うが,発生過程では非対称な分裂を行うことで,腹や背,頭や足などの体軸形成が行われる.このように細胞は,対称性とその破れをうまく活用している.特に,細胞内における核配置の対称性に注目すると,哺乳類の卵母細胞(卵子の基になる細胞)では,球形の細胞内で細胞核が中心または端(辺縁)のいずれかに配置されている.配置対称性の制御に関わる分子系は,力生成を担うモータータンパク質のミオシン分子と,その力を伝える網目状のアクチン線維から成る「アクトミオシン細胞骨格」である.アクトミオシンは化学エネルギーを消費して収縮力を発生する非平衡状態にあり,「アクティブ・ゲル」とよばれる.アクトミオシンという一つの分子セットを用いて,細胞核を中心もしくは端という異なる配置に選り分ける物理的メカニズムとは何であろうか?細胞内では数万種ものタンパク質がひしめき合い,分子活性が時空間的に制御された複雑なシステムである.この生きた細胞の複雑さが,細胞核配置の力学的な理解の妨げになっていた.そこで我々は,細胞から細胞核配置に必要と考えられる分子群を取り出すことで単純化した,人工細胞を開発した.人工細胞は,細胞サイズや界面の物理的性質の制御を可能にし,細胞核配置のメカニズムの理解に適している.本研究では,アクトミオシンを含む細胞抽出液を油の中に分散することで,円柱形の油中液滴(本研究の人工細胞)をつくり,この液滴の内部でのアクトミオシンの収縮現象を解析した.液滴内ではアクトミオシンが収縮力で凝集した球形のクラスター構造が形成され,大きい液滴ではクラスターが中心に位置し,小さい液滴ではクラスターが端に位置する,「配置対称性の破れ」を見出した.このクラスターを細胞核のモデルと見立て,配置現象のメカニズムを探求した.生きた細胞では,アクトミオシンは細胞膜直下では殻のような頑強な裏打ち構造をつくる一方,細胞内では網目状のネットワークを形成している.我々の人工細胞においても同様に,液滴界面におけるアクチン線維の重合と,液滴内部でのアクチン線維ネットワークが形成された.このとき,液滴界面で形成されたアクトミオシンの波が中心へ向けて収縮し,クラスターが中心へ運ばれた.他方,液滴内部ではクラスターと液滴界面を繋ぐブリッジ状のアクチン線維が形成され,クラスターが端に運ばれた.このことから,対称性を維持しようとするアクトミオシン波と,対称性を破ろうとするアクチン線維のブリッジが競合し,綱引きのようなバランスで対称性が決まると考えられる.配置現象に物理的理解を与えるため,アクトミオシンの収縮を記述するアクティブ・ゲル理論と,アクチン線維の確率的な結合を記述するパーコレーション理論を組み合わせた「綱引きモデル」を構築した.その結果,アクトミオシン波の発生周期と,アクチン線維のブリッジ形成に要する時間,これらの特徴的時間の大小関係でクラスターの配置対称性が決まることを説明でき,対称性を破る液滴の特徴サイズも定量的に予言された.以上の結果は,細胞核のような構造物を中心または端に配置するメカニズムとして,細胞内の対称性の制御原理に力学的な理解を与えるものである.
著者
河田 光博 山田 俊児 谷田 任司 時田 美和子 坂本 浩隆 松田 賢一 高浪 景子 大矢 未来 李 美花
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

神経系の発達臨界期における性差形成のメカニズムと、性分化が進んだ成熟期における行動の性差を生み出す回路、および行動入力の形態科学、ならびに性ホルモン受容体の分子イメージングを行った。行動の性差には臨界期におけるヒストンアセチル化などのエピジェネティックス機構間に階層性が存在し、また性ホルモン受容体の機能活性は臨界期ステージによって神経系の構造形成と行動相関を必ずしも一致させないことをはじめ、性行動の出力相の神経回路や性ホルモン依存的感覚(痒覚)のシナプス様相の解明、性ホルモン受容体の分子相関などを明らかにした。これらから、特定の分子を基盤に性差をもたらす行動神経内分泌機構の解明がなされた。
著者
坂本敏夫著
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
2010
著者
曽我部 功二 河田 正仁 小平 睦月 加藤 幸範 瀧上 雅雄 黑田 優 松浦 岳司 松本 晃典 平山 恭孝 足立 和正 松浦 啓 坂本 丞
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.656-660, 2018-06-15 (Released:2019-06-20)
参考文献数
8

症例は56歳男性.来院5年前に十二指腸癌で十二指腸切除を受けていた.見当識障害,両下腿浮腫,歩行障害で脳外科から紹介された.心拍数120/分で胸部X線ではうっ血と胸水を認めた.心エコー図では収縮能の低下は認めなかった.末梢神経障害を認め,脚気心を疑い,血中ビタミン濃度測定提出後,総合ビタミン剤を含んだ点滴を開始した.翌日には下腿浮腫は消失した.長谷川式簡易知能評価スケールは入院時の21点から第4病日には25点に改善した.入院時のビタミンB1は11 ng/mLと低値であった.持参MRIでは両側乳頭体と中脳水道周囲が軽度high intensityを呈した.以上より,十二指腸切除後5年で発症したWernicke-Korsakoff症候群を伴った脚気心と診断した.腸管切除後,同時期にWernicke-Korsakoff症候群と心不全を伴った脚気心の両者を発症した例は稀なため報告する.
著者
清水 祐一郎 土斐崎 龍一 鍵谷 龍樹 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.319-330, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

The present study proposes a method which generates Japanese onomatopoeia corresponding to impressions inputted by users. Japanese onomatopoeia is frequently used in comics and advertisements. Effective onomatopoeia in those fields are directly associated with sensuous experiences of readers or consumers, but it is very difficult to create such expressions. Therefore, the system which generates effective novel onomatopoeia corresponding to the impression specified by users has been expected to be as a technology which supports creators. Our system uses 43 SD scales as those expressing our intuitive impressions. These scales consist of scales expressing impressions of a haptic senses, visual senses and affective senses. Users of the system can choose the kinds of SD scales to be used to create onomatopoeia among from 1 to 43 SD scales. The system uses the genetic algorithm (GA) to create onomatopoeia corresponding to inputted impressions. We consider onomatopoeic expressions as a individuals of GA, which are expressed by an array of numerical values. Namely, each numerical value of an individual denotes each phonological symbol in Japanese. By comparing impressions inputted by user with those of each generated onomatopoeia, the system proposes onomatopoeia corresponding to impressions of users. The system evaluation showed that impressions of onomatopoeic expressions generated by our system were similar to the impressions inputted by users.