著者
山下 倫実 坂田 桐子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.57-71, 2008-03

本研究は,大学生におけるソーシャル・サポートと恋愛関係崩壊からの立ち直りとの関連について検討した。まず,性役割の観点より,恋愛関係崩壊前の情緒的サポート源が恋愛パートナーに限定される者は女性より男性に多いという予測1について検討した。恋愛関係にある大学生146名を対象に友人(同性/異性),恋人,家族(同性/異性)から提供されたサポート(情緒的/道具的)について尋ねた。その結果,予測1は概ね支持された。次に,現在,恋愛関係にない大学生132名を対象に恋愛関係崩壊時の情緒的サポート源が多い者ほど,立ち直り評価が高いという予測2について検討した。各関係からのサポート(予測1の検討と同様),恋愛関係崩壊時のショック度,恋愛関係崩壊からの立ち直り過程の経験及び立ち直り評価などの項目について回答を求めた。サポート形態は,情緒的サポート源が多様である多様型,情緒的サポート源が同性友人に限定される同性友人型,サポート低型に分類された。予測2は概ね支持され,恋愛関係崩壊前の情緒的サポート源を恋愛パートナーに限定することが,立ち直り評価の低さにつながる可能性が論じられた。
著者
豊原 潤 石渡 喜一 坂田 宗之 石井 賢二 織田 圭一
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、αシヌクレインの凝集体を選択的に画像化するPET分子プローブの開発を目的として、設計、合成、標識合成ならびに生物学的評価を行った。文献上αシヌクレインへの結合性が報告されているフェノチアジン系5化合物とポリフェノール系1化合物の合成、標識合成とインビボ評価を行ったところ、フェノチアジン系4化合物において高い放射化学的収率で標識体を得、小動物専用PETにてαシヌクレイン・イメージングに適した脳内動態を示すことが確認された。一方、フェノチアジン系1化合物とポリフェノール系1化合物は脳への集積性を示さなかった。フェノチアジン系化合物がαリード化合物として有用であることが示された。
著者
水谷 正治 坂田 完三 清水 文一 木下 朋美 水谷 正治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

調査研究には、Tocklai Tea Experimental Station(TTES)の母体であるインドTea Research Association(TRA)の全面的協力が得られることとなり、2年間の共同研究契約を締結し、調査研究を下記のように実施した。1)ダージリン高級紅茶“Second flash"の実態調査06年5月末、日本側から3名の研究者がアッサム地方トクライにあるTTBSとダージリンを訪ね実態調査を行った。インド側2人の研究者とともにダージリンの代表的茶園を順次訪ねて、虫害の状況と製茶状況を視察した。また、2カ所の茶園では“Second flash"製造時の各製造段階でのサンプルの採取を行った。ダージリンではヨコバイ(英名:jassid(green fly):Empoasca flavescens Fabr.)の他にアザミウマ(英名: thrips: Taeniothrips setiventris Bagnall)の食害が多かった。いずれの虫害がダージリン茶の香気形成に重要かを明らかにする必要がある。07年6月、日本側から3名の研究者がTTESを訪問し調査研究を行った。ヨコバイとアザミウマを実験室で飼育できるよう指導し人工飼育に成功した。人工飼育した虫を用いて実験室レベルでチャ葉に虫害を与え、それを材料にして香気分析を行なうようインド側研究者に指導した。2)虫害チャ葉から作られる“Second flash"特有香気生成機構の解明06年にダージリン茶園試料をGC-MS香気分析に供した結果、台湾の東方美人の場合と同様に、ダージリン紅茶でもhotrienolなどのモノテルペンアルコールの生成に虫害が密接に関与していることが示唆された。07年にTTESにて人工飼育したヨコバイおよびアザミウマを用いた加害試験を行った結果、“Second flash"紅茶特有の香気生成には虫害の関与が大きいことが明らかとなった。また、日本のやぶきた種茶園にて採集した農薬処理を行ったチャ葉と虫害を受けたチャ葉とで香気成分を比較し、diolの生成にはヨコバイ吸汁刺激が引き金になっていることが示唆された。3)新しい簡易紅茶製造法開発に向けた調査研究高品質な紅茶を簡便に製造するための新しい技術として、烏龍茶の製造技術を応用することをTTESの研究者に指導し、TTESにてパイロット機器を用いた製茶を行った。萎凋工程および撹拌工程の追加改良により、紅茶香気の改善が期待された。
著者
山村 高淑 岡本 健 石川 美澄 石森 秀三 松本 真治 坂田 圧巳
出版者
北海道大学観光学高等研究センター+鷲宮町商工会
巻号頁・発行日
2008-12-07

北海道大学第3回観光創造フォーラム「メディアコンテンツと次世代ツーリズム~鷲宮町の経験から考える若者の旅の動向と可能性~」. 平成20年12月7日. 埼玉県鷲宮町.
著者
鈴木 凱亜 大知 正直 榊 剛史 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B302, 2018 (Released:2018-07-30)

ソーシャルメディア上でユーザのコミュニティが形成・発展する背景には,ユーザ同士の性格的な相性が関わっていると思われるが,その影響を定量的に捉えた研究は少ない.本研究では,Twitterユーザの投稿テキストから推定された性格スコアと,会話ネットワーク上のコミュニティの分析指標との相関を分析することで,性格とコミュニティ形成の関係を考察した.また,Homophilyと呼ばれる「類は友を呼ぶ」現象が見られるような性格はないか,確認した.本研究により得られる知見は,よりユーザの効用やチームパフォーマンスを向上させるようなSNSプラットフォームの設計などへの応用が期待される.
著者
高口 央 坂田 桐子 黒川 正流
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.83-97, 2005 (Released:2006-02-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究では,企業組織において調査を実施し,職場集団内の2名のリーダーによるリーダーシップ機能の分担を吟味するとともに,リーダーが複数存在することと,所属従業員のモラール,帰属意識,およびストレスとの関連を検討した。日常業務に関わる複雑さの認知,集団サイズ,また支社の部署数を状況の複雑性として取り上げた。各集団の2人のリーダーのうち,1人は職制上の管理者(係長,もしくは班長),もう1人は各部署に一名配置されている組合委員とした。有効回答者数8,758名のうち,管理職,組合委員,および出向者を除外した788部署の5,670名(男性4,793名,女性805名,不明72名)を分析対象とした。分担の形態を吟味した結果,管理監督者のみが統合型であるよりも管理監督者と組合委員の2人がともに統合型である部署が多く存在することが確認できた。効果性について,2名がともに統合型である部署が,管理監督者のみが統合型である単独統合型と同等以上の成果を得ていることが示唆された。加えて,状況の複雑性が高い場合に,複数リーダーの有効性が示された。
著者
伊藤 彰紀 坂田 英治
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1221-1228, 1989-09-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12

Four cases of typical “Patulous Canal” are presented. Two of the patients had von Recklinghausen's disease. Patulous canal is defined as bilateral dilatation of the internal auditory canal without an accompanying acoustic neurinoma.Bilateral perceptive deafness may rarely accompany this syndrome.Etiologies of bone changes of von Recklinghausen's disease may be summarized as:1. Changes in the bone secondary to mass effect of neurofibromas.2. Intrinsic factors in the initial stage of ontogenesis.Among the latter, abnormalities of mesodermal tissues are found frequently.Ontogenitically the skull, especially the temporal bone including the internal auditory canal, are derived from the peri-otic capsule of the cartilaginous neurocranium which is of mesenchymal origin.The inner ear is derived from the otic vesicle which separates from the epidermal ectoderm.The presence of bone changes such as dilatation of the internal auditory canal in von Recklinghausen's disease and in other illnesses may suggest that bony changes are accompanied by mesenchymal abnormalities ontogenetically.The rarity of the complication of deafness may be explained by the low incidence of coincidental involvement of both mesenchymal and ectodermal tissues in congenital and intrinsic abnormalities.Attention has been focused on the occurrence of similar bony changes, such as dilatation of the internal auditory canal in von Recklinghausen's disease. The possible mechanisms causing these changes are discussed from the embryological viewpoint.
著者
島 弘 坂田 充義 山本 達哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.353-363, 2009 (Released:2009-08-20)
参考文献数
4

コンクリート構造物の景観を良くするための方策として表面のはつり仕上げや洗い出し仕上げがある.一方,構造物の耐久性も重要な要求性能である.したがって,海岸構造物など塩害が心配される場所で表面仕上げを適用するためには,はつりや洗い出しと耐久性との関係を知っておく必要がある.しかし,はつりや洗い出しが耐久性に及ぼす影響は明らかにされていない.そこで本研究では,はつりや洗い出しが塩化物イオンの浸透深さに及ぼす影響を実験的に検討した.実験結果から,はつりや洗い出しによって塩化物イオンの浸透抵抗性が小さくなることは無いことが分かった.これは,コンクリート表面近傍において塩化物イオンが浸透する媒体となるセメントペースト量が少なくなるためであると考えられる.
著者
馬塲 完仁 坂田 英治 飯田 祐起子 半田 由紀 井上 鐵三
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.396-402, 1988 (Released:2009-10-20)
参考文献数
26

Eye movements induced by the I.V. injection of ketamine hydrochloride (Group 1; n=8) and diazepam (Group 2; n=7) were axamined electro-nystagmographically in 15 healthy adults.Complete gaze nystagmus and horizontal rebound nystagmus were observed in all 8 subjects of Group 1, and rebound nystagmus in all 4 directions in 2, but none had positional nystagmus.Primary position downbeat nystagmus was observed in 5 subjects of Group 2, and horizontal gaze nystagmus in all 7, but none had rebound nystagmus, vertical gaze nystagmus or positional nystagmus.