著者
平山 雅樹 新野朝丈 児玉 公信 松澤 芳昭 太田 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-7, 2011-03-07

学生が初めてのソフトウェア開発プロジェクトを経験する中で直面した問題について報告する.対象とする開発プロジェクトは,企業が実際のシステムを外注する際に使用した仕様書を基にしており,企業のソフトウェア開発と同程度の品質を目指すものである.プロジェクトの規模は10人月程度で,アジャイル開発プロセスが試みられた.現在進捗している段階まで,生じた問題について記述して種類を整理した結果,作業の目的の理解不足とリスクの意識不足に起因する問題であることが分かった.In this paper, we report our experience that students faced in the first IS (Information Systems) development project. The project was driven by the RFP (Request For Proposal) which was used in the real situation when the project owner ordered to developers. Although the developers were not students, students tried to develop the system as the same quality as professionals do. Agile process was applied to the project, and the size of the project is approximately ten man-months. Now the project has proceeded to the middle of the goal, and problems that were happened in the project until now were described and classified. Then we have found that the problems are caused by "losing the objective of the work" and "lack of focusing the risk management".
著者
北村 太一 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田 敏澄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本研究は,コミュニケーションに着目したTwitterフォローユーザ推薦手法を提案し,その有効性を検証することを目的としている.既存研究では,フォロー情報に基づく推薦手法を用いており,各ユーザ間のコミュニケーションを考慮していない.そこで本研究では,コミュニケーションに基づくフォローユーザ推薦手法を3つ提案する.評価実験の結果,関与・フォロー型推薦の有効性を確認している.
著者
時下 進一 時下 祥子 志賀 靖弘 太田 敏博 小林 道頼 山形 秀夫
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集 日本陸水学会第69回大会 新潟大会
巻号頁・発行日
pp.145, 2005 (Released:2005-09-21)

淡水圏の食物連鎖において重要な位置を占めている枝角目甲殻類(ミジンコ類)は、低酸素に応答するヘモグロビンの顕著な増加と体色の赤化、環境悪化に応答する単為生殖から両性生殖への転換、捕食者の出す化学物質に応答する形態変化など、特異で興味深い環境応答を示す。また飼育が容易で多数の遺伝的に均一な個体が得られるなど、実験材料として優れた性質を備えている。本発表ではミジンコ類の環境応答および形態形成機構について我々が行なっている分子生物学的研究の概要を紹介するとともに、6種類見いだされたヘモグロビンサブユニット鎖の構造と分子進化、それらの遺伝子のクラスター構造と発現調節について詳しく報告する。
著者
中橋 雄 寺嶋 浩介 中川 一史 太田 泉
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.373-382, 2010
参考文献数
14

本研究は,「電子黒板を活用して学習者が考えを説明する学習活動」で生じる相互作用を調査し,学習者同士の思考と対話を促すために教師が行った指導方略をモデル化して捉えることを目的としたものである.学習場面をビデオで撮影するフィールド調査により,学習者および教師の発話と行動について分析を行った.その結果,教師の指導方略として,「対話のための場を整える」,「説明方法を指導する」,「自らモデルを示す」,学習者の説明に対して「受け答える」,「思考を促す問いかけをする」といった事象のカテゴリーが生成された.そして,それらを構成する要素の中には,<提示画像を準備する><説明を書き込むよう注意する><印の付け方を注意する><色を変えて比較させる><書き込みを保存させる><立つ位置の見本を示す><身振り手振りの見本を示す>といった電子黒板を活用することによる特徴的な所作・動作を伴う事象が確認された.
著者
吉岡 健二郎 太田 孝彦 太田 喬夫 佐々木 丞平 野口 榮子 山岡 泰造
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

美的価値と芸術的価値の問題は美学及び芸術史研究にとってその中心をなすというべき重要な問題である。研究代表者の吉岡は60年度に美術史研究が独立した学問として成立するに至る過程をたどり、それが18世紀の西欧世界においてであること、そしてまた美術史学の成立と美学の成立とは互いに支えあって初めて可能であったことを明らかにした。(京都大学文学部美学美術史学研究紀要第7号)吉岡の研究は各研究分担者の個別的で緻密な研究に支えられ、そこから大きな示唆と教示を得て執筆されたのであるが、同時に問題の難しさを一層鮮明なものにする結果ともなった。即ち美の問題と美術の問題との、近代世界における新たなる関係如何という、美学にとってのより根底的な問いが避けられなくなってきたのである。美学が美と芸術の本質を探求する学として成立したのは18世紀半ばであるが、美と芸術が一つの学の中で、まとめて扱われたのは、芸術が美的価値の実現を目標とする人間活動と見倣されたからに他ならない。ところが、人間活動の一形態としての芸術は必ずしも美的価値を目標とするものではないのではないかという疑問や、西洋以外の諸文化圏の芸術は少くとも西洋の伝統的美概念には包摂できないという明白な事実が、研究者の意識に上ってくるようになると、美的価値と芸術的価値とは分離されざるをえなくなる。東洋・日本の美術の研究者は、中国や日本の美術の目差すところが、いわゆる西洋世界で確立された美的諸範疇といったものでは充分に説明できないこと、それにも拘らず人間の表現活動としては西欧の認識の心を深く感動させるものを有していること、従って美的価値概念と芸術的それとの再検討が地球的規模で行なわれなければならないこと、そして美的価値と芸術的価値との価値論的な新しい統一の試みが必要であるという点を明らかにしてきたのである。
著者
松尾 友矩 北田 敏廣 太田 幸雄 三村 信男 楠田 哲也 村岡 浩爾 野池 達也
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

地球温暖化問題はきわめて重要かつ緊急の課題となってきており、影響評価と対策立案が急がれている。本研究では特に、都市と地球温暖化の関わりについて総合的に研究を行った。すなわち、都市活動に起因する温室効果ガス排出、都市大気中での大気反応と輸送、都市諸活動・施設への温暖化の影響を明らかにするとともに対策を検討した。本年度における各研究分担者の行った研究成果はそれぞれ次のようである。都市活動にともなう二酸化炭素の発生については、都市からの発生量の国際比較、未利用エネルギー利用可能量の推定について検討を行った(松尾)。自然水系として底泥からのメタン発生速度をバッチ実験によって測定し、底泥の性状や水質の汚濁指標との関連を検討した(野池)、汚濁を受けた都市河川における一酸化二窓素の存在量と発生ポテンシャルを現場調査と室内実験によって明らかにした(花木)。可視光領域の太陽放射量の変化とそれに伴う光解離速度の変化、雲粒による硝酸、亜硝酸、過酸化水素等の吸収を考慮した対流圏光化学モデルを検討した(太田)。前年度に開発した温室効果ガス輸送モデルを汚染大気の化学反応を含むものに拡張し、東アジアに適用した(北田)。沿岸部に集中した港湾、橋梁、護岸、防潮堤、排水排除に関する水理計算の方法を再検討し、浸水の予測が正確に出来るように計算法を改良した(楠田)。実際の都市の水収支、水循環推定の手法を大阪に引き続いて,合流式下水道を持つ沿岸都市である神戸に応用した(村岡)。さらに本年度は最終年度にあたるので、各分担者の課題について総括的なまとめを行い、総説的解説論文にとりまとめた。
著者
加藤 菜美絵 小川 祐樹 諏訪 博彦 太田 敏澄
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.19-32, 2009-09-30
被引用文献数
2

本研究は,企業内SNS導入の有効性を明らかにすることを目的とする。具体的には,有効性を問題解決に着目し,組織の意思決定モデルであるサイモン-松田モデルとゴミ箱モデルに基づき,問題解決の過程と構造の面から明らかにすることにより,企業内SNSが企業の問題解決において果たす役割を考察する。まず,企業内SNSの利用に関する文献の調査に基づき,調査仮説を設定する。そして,調査仮説の検証および企業内SNSの有効性をより明確にするために,企業への構造化インタビュー調査と質問紙調査を行う。その結果,企業内SNSが,導入以前は関与することのなかった多様な参加者の気軽な情報発信や議論を可能にすること,個々が抱える既存の問題と多様な参加者により提示される有効な情報を結びつけること,選択肢の候補を得る洞察段階や解決策を得る選択段階において効果があり素早い問題解決を可能にすることを確認している。さらに,日記機能やQ&A機能,コミュニティ機能といった気軽な情報発信をサポートする機能が,「この場で相談してみよう」と思わせる親和の整った場を構築することに役立っていることを確認している。
著者
粟生田 友子 長谷川 真澄 太田 喜久子 南川 雅子 橋爪 淳子 山田 恵子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-31, 2007-11-01
被引用文献数
5

本研究の目的は,(1)せん妄発生因子を患者へのケア実践過程にしたがって構造化し,(2)その発生因子とせん妄発症との関連を明らかにすることである.せん妄発生因子は,【背景・準備因子】【身体・治療因子】【患者因子】【周辺因子】の4領域102項目と,薬剤104種類について,せん妄発症との関連を検証した.研究の場は一般病院1施設の,産科,小児科,脳神経外科病棟を除く7病棟であり,2005年1〜3月の3か月間に,基点となる週から2週間ごとに等間隔時系列データ収集法を用いて,6クールのデータ収集を行い,75歳以上の入院患者の全数を調査した.その結果,対象はのベ461名得られ,DRS-Nによってせん妄発症の有無を判定したところ,せん妄発生群96名(DRS-N平均得点16.16点),非せん妄発生群365名(2.44点)となった(発症率20.8%,t=37.687,p=.000).【背景・準備因子】では,「年齢」「入院ルート」「認知症または認知障害」「脳血管障害」「せん妄の既往」の5項目で両群に有意差が認められ,【身体因子・治療因子】で,身体因子の「せん妄を起こしやすい薬物の投与数」「高血圧の既往」「脳血管疾患の既往」「消化器疾患の既往」「感染症徴候(CRP,発熱)」「低血糖/高血糖」「肝機能障害(LDH)」の7項目,治療因子の「緊急手術」「緊急入院」の2項目に有意な差があった.【患者因子】では,日常生活変化の「陸眠障害(夜間不眠,昼夜逆転)」「排尿トラブル(尿失禁,おむつ使用)」「排便トラブル(下痢)」「脱水徴候」「低酸素血症(O_2 sat)」「ライン本数」「可動制限(生活自由度)」「視覚障害(眼鏡使用)」の8項目,【周辺因子】では,物理的環境の「部屋移動」,物理的環境への認識/反応の「日にちの確認(カレンダーで確認)」「時間の確認(時計で確認)」「点滴瓶やルートが気になる」の4項目に有意差を認めた.今回抽出できた因子は,せん妄の発症リスクの判断指標となりうるもの,あるいは看護介入によって発症を予防できる可能性をもつものであり,看護職が日々のケアの中で介入可能なものに対して介入方法とその効果を明確にしていくことが今後必要であると考えられた.
著者
太田 光雄 三谷 康夫 中迫 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.163, pp.75-82, 1996-07-19

本報告では, D. Middletonの確率的評価理論との具体的関連性に着目し, 自乗平均操作をもつReceiverにより観測されたパワー状態変量に対する確率表現を多次元信号空間内におけるN次元ランダムウォークモデルのもとに, 高次ハンケル変換型特性関数を導入して考察する。本理論の正当性は, スペシャルケースとしてD. Middletonの基礎理論との一致性を示すことにより証明される。更に, 波動環境の確率評価の問題として, 電磁環境や音環境の実測データにも本理論を適用し, その有効性を実験的にも検証する。
著者
太田 宏明
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.13, no.22, pp.127-145, 2006-11-01 (Released:2009-02-16)
参考文献数
73

本稿は,物資や情報が分配される状況を分析することで,古墳時代後期における畿内政権と地域社会の関係を明らかにすることを目的としている。このために,古墳時代後期の畿内政権が管理と流通を掌握していた可能性が指摘されている金銅装馬具と畿内型石室構築技術を採り上げ,分析を行なった。資料を分析する際には,まず物資と情報の送り手である政権を構成した支配者層の墳墓を採り上げた。そして,支配者層の墳墓で採用された金銅装馬具や畿内型石室が一定の期間をおいて新しい意匠や構造に変化している点に注目した。意匠と構造の変化を把握することで,各時期において支配者層が標準的に採用している金銅装馬具と畿内型石室を抽出した。その後,物資や情報の受け手である地域首長層や群集墳被葬者層の墳墓から出土した金銅装馬具と埋葬施設の変化を整理して,支配者層でみられた状況と相互比較した。比較の結果,支配者層で標準的に採用されているものと同時期に,同意匠・同構造の金銅装馬具と埋葬施設を保有できた古墳の被葬者は,中央の物資や情報を円滑な流通のもと入手できる立場にいた人物と評価した。そして,このような古墳が,地理的・階層的にどのような勾配をもって分布しているのか検討を行なった。そして,このような古墳が密に分布する地域は,畿内政権と強く紐帯していた地域として評価した。