著者
水守 康暢 大久保 賢祐 岸原 充佳 山北 次郎 太田 勲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.62, pp.29-33, 2009-05-21

最近,主導波管にSIW(Substrate Integrated Waveguide)を用い,装荷素子として上部導体に設けたスリットと浮遊導体によって直列容量を構成したCRLH-TLが提案され,10GHz程度以上およびミリ波帯におけるCRLH-TLの基本構造のひとつとして期待されている.しかしながら,浮遊導体からの放射が無視できない.本稿ではこの放射を積極的に利用して,SIW型CRLH線路を用いた漏れ波アンテナを提案し,数値シミュレーションおよび試作実験によって放射特性の周波数依存性を明らかにしている.遷移周波数16GHzとして設計したSIW型CRLH線路の試作実験結果は理論値および数値シミュレーション結果と良く一致している.
著者
太田 和司 内山 茂久 稲葉 洋平 中込 秀樹 欅田 尚樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.791-797, 2011 (Released:2011-11-28)
参考文献数
11
被引用文献数
24 49

電子タバコから発生する煙の成分をハイドロキノン(HQ)と2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いた二連カートリッジ法(HQ-DNPH法)で分析し,発生する化学物質,生成メカニズム等の検討を行った.市販されている電子タバコの煙を分析した結果,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アクロレイン,グリオキサール,メチルグリオキサール等,多くの有害なカルボニル化合物が高濃度で検出された.電子タバコ専用カートリッジに含まれる液体を分析した結果,主成分はグリセロールやグリコール類であった.そこで,様々なグリコール類をコイル状のニクロム線に塗布した模擬電子タバコを作製し,一定の電圧を印加し,そこから発生する気体を分析した.その結果,3 V以上の電圧を印加すると,エチレングリコールからグリオキサールが,プロピレングリコールからメチルグリオキサールが,グリセロールからアクロレインが発生することが明らかになった.
著者
藤井 輝也 太田 喜元 中島 潤一 宮島 春弥 徳永 光芳 杉田 洋祐 表 英毅 林 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.37, pp.19-24, 2013-05-09

災害などで通信障害が発生している携帯電話サービスエリアを迅速に復旧させる様々な取組みが行われている。その取組みの一つとして、係留気球に非再生無線中継装置(リピータ)を搭載した係留気球無線中継システムを開発し、実証実験を実施した。本稿では開発した係留気球無線中継システムの概要について述べる。
著者
岡田 勇 太田 敏澄
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
no.10, pp.98-112, 1998-09-30
被引用文献数
4

人間や社会といった観点を含んだ社会情報システムの構築や運用にとって、組織硬直に関する諸問題の発生や解決を問うことは、避けて通れぬ必要不可欠な課題である。本研究は、パーソナリティという局所的要素から、組織硬直化という大域的現象が、如何にして創発しているのかに関して、マルチエージェントシステムに基づく計算機シミュレーションを用いて解明しようとするものである。計算機シミュレーションは、操作的オーガニゼーションを可能にし、直観的には妥当性が見通せない現象についても、そのダイナミクスを議論する基礎を与えてくれる。本研究は、複雑系に関するフレームワークとしてのマルチエージェントシステムと、研究ツールとしての計算機シミュレーションの有効性を示すものであるといえる。硬直化モデルを定式化するにあたり、人間の心理的特性を持つパーソナリスティックェージェントを定義した。パーソナリティは、タスク執着、対人好悪感情、保守性とする。組織硬直化とは、組織業績の低下、環境変動への非適応性、情報への不信頼性として観察されるものとする。計算機シミュレーションの結果、現実の組織硬直化のメカニズムに関する興味深い数多くの知見を得ることが出来た。それらは、例えば、対人好悪感情によって組織内に派閥が形成される過程についてや、タスク選択過程において妥協が生じるメカニズム、または、タスク執着と保守性の組織業績に関する相殺作用などがある。これらは隆盛しつつある社会情報システムの構築や運用に対して意義深い示唆を与えている。
著者
三浦 渉尊 嶋田 敏 緒方 大樹 太田 順 新井 民夫 原 辰徳
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.819, pp.DSM0336-DSM0336, 2014 (Released:2014-11-25)
参考文献数
18

Since service is an artifact as well as physical product, we can observe both function design and activity design of service in a conceptual design phase. Activity design requires designers to deploy all designed functions into activities in service delivery process. However, it is difficult for non-experienced designers to model complicated service delivery processes such as conditional branches and exception handlings while assuring the relationship to functions. To solve this problem, the authors propose a design support of constructing service delivery processes using a collection of structure patterns of processes called Workflow Patterns. In this paper, we make the Workflow Patterns hierarchized by the ISM method so that designers can easily choose a pattern among them according to purpose. The proposed method was implemented on a CAD system for service, and its effectiveness was verified through an evaluation experiment. As a result, it was revealed that the proposed method is especially effective in the case of constructing processes including conditional branches.
著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。
著者
太田 尚子
出版者
日本大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

魚肉水溶性タンパク質(WSPC)のゲル化特性の解明とその高機能化を図ることを目的として,WSPCのカプリン酸ナトリウム誘導ゲル形成能をオボアルブミン(OVA)の存在下並びに非存在下で調べた.まずゲル形成に先立ち,無添加魚肉水溶性タンパク質(WSP)の動的粘弾性挙動をオレイン酸ナトリウムの存在下及び非存在下で調べたところ,無添加WSPの場合に比べ、このタンパク質-脂質混合系において水素結合が混合系サスペンジョンの弾性率の増加を促していることが示唆された.次に、WSPCを用いたレオロジー測定により、WSPC単独ではゲル形成に至らないが、OVAとの混合タンパク質では常温下でゲルを形成することが判った.この混合ゲルの微細構造を走査型電子顕微鏡観察したところ、カプリン酸ナトリウム誘導OVAゲルのそれに匹敵するくらいの微細な網目構造を持っている事が判った.更に,フーリエ変換赤外分光分析により、カプリン酸ナトリウム誘導OVAゲルの場合には、そのゲル形成過程に分子間β-シートに基づくアグリゲーションバンドが現れることが明らかになった.しかしながら,WSPCとOVAから成る混合タンパク質の場合には顕著なアグリゲーションバンドが見出されず,混合タンパク質でのゲル化に伴う二次構造変化の挙動は明らかにはできなかった.今後更に,WSPCの混合ゲル中での物性発現がどのような機構に基づいているものかを解明する事が必要である.
著者
太田 好紀 松田 直之 西山 慶 大鶴 繁 小林 勝哉 瀬川 一 小池 薫
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.836-842, 2009-10-15 (Released:2009-12-28)
参考文献数
10

症例は63歳の男性。ニセクロハツを摂取し,1時間後に嘔吐,4時間後に下痢,18時間後に全身筋肉痛,21時間後に呼吸困難感が出現し,救急外来を独歩で受診した。血行動態に変化は認めなかったが,身体所見と血液検査所見などからニセクロハツ中毒による近位筋の横紋筋融解症と診断した。急性腎不全などの臓器不全を予防するため下大静脈(IVC)径が20mm以上もしくは中心静脈圧(CVP)が8mmHgになるように初期輸液を開始した。第3病日まで晶質液を7~7.5L必要とし,その間CVPは8mmHg以上が維持され,尿量は1~2ml/kg/時以上を得た。第3病日に血清CKは46,876IU/lを最高値としたが,輸液療法により腎機能が保たれていたため血液浄化療法の適応としなかった。ニセクロハツ中毒に対してIVC 20mm以上もしくはCVP 8mmHg以上を目安として初期輸液をすることで横紋筋融解症の増悪や急性腎不全の合併を回避できた可能性がある。
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
辻 富彦 山口 展正 八代 利伸 関 哲郎 島田 千恵子 太田 史一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.341-347, 1994-06-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
23

後部副鼻腔嚢胞は鼻症状の乏しいことが多く, その症状の大半は眼症状, 頭痛のように隣接組織に起因するものである。今回我々は30歳男性で持続する三叉神経痛を訴えた原発性蝶形骨洞嚢胞の1症例を報告した。本症例は脳神経外科を受診, MRIにて嚢胞が指摘され当科を紹介された。嚢胞は右蝶形骨洞から右翼口蓋窩および眼窩外側部に進展していた。内視鏡下鼻内手術にて嚢胞を開放すると三叉神経痛は消失した。三叉神経第2枝の刺激症状は嚢胞が翼口蓋窩へ浸潤していたためと推定された。後部副鼻腔, 翼口蓋窩のような深部組織の診断にはMRIが有用であると考えられた。とくに副鼻腔ではT2強調像を用いれば炎症性病変と腫瘍性病変の鑑別が可能である。
著者
太田 至 島田 周平 池野 旬 松田 素二 重田 眞義 栗本 英世 高橋 基樹 峯 陽一 遠藤 貢 荒木 美奈子 野元美佐 山越 言 西崎 伸子 大山 修一 阿部 利洋 佐川 徹 伊藤 義将 海野 るみ 武内 進一 武内 進一 海野 るみ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代のアフリカ諸社会は、紛争によって疲弊した社会秩序をいかに再生させるのかという課題に直面している。本研究では、アフリカ社会には人々が紛争の予防や解決のために自ら創造・蓄積し運用してきた知識・制度・実践・価値観(=アフリカ潜在力)が存在すること、それは西欧やイスラーム世界などの外部社会との折衝・交渉のなかで不断に更新されていることを、現地調査をとおして実証的に明らかにした。本研究ではまた、「紛争解決や共生の実現のためには民主主義や人権思想の浸透がもっとも重要である」といった西欧中心的な考え方を脱却し、アフリカ潜在力は、人々の和解や社会修復の実現のために広く活用できることを解明した。
著者
小田川 大典 太田 義器 安武 真隆 犬塚 元 石川 敬史 遠藤 泰弘
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究成果の概要(和文):オットー・フォン・ギールケ、ジョン・スチュアート・ミル、ジョン・アダムズ、デイヴィッド・ヒューム、フーゴー・グロティウスの著作の解読を中心に、近代政治思想史における制度論の諸相について思想史的、理論的な研究を行い、社会思想史学会(2012、2013、2014)、日本政治学会(2013、2014)で関連するセッションを開催した。また関連する研究報告を政治思想学会(2013)で行った。
著者
山本 仁志 石田 和成 太田 敏澄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.9-16, 2005-03-15
被引用文献数
6

インターネットを介したオンライン市場の発展により、従来は購買者でしかなかった一般の個人が、売り手や買い手として市場に参加することが可能となった。一方で、オンライン市場の発展は、消費者間取引におけるリスクの増大という社会的問題を引き起こしている。例えば、代金不払い、商品不渡し等の不正行為が一例である。オンライン市場では、取引参加者相互の評判情報を流通する評判管理システムを用いることで、市場参加者の協調行動を促進している。本研究の目的は、オンライン市場において売り手・買い手の取引行動や取引相手を選択する際の情報行動を分析することで、評判管理システムの有効性を検証することである。我々は、個人の利得行列が囚人のジレンマ状況である仮想的な取引市場を構築し、被験者をもちいた実験をおこなった。実験参加者の行動を分析することで、実際に個人が評判に基づいて取引相手を選択する際、評判を形成するどのような情報を参考に判断し、どの情報を重要だと考えているのかを議論する。実験の結果、評判管理システムが協調行動を促進することがわかった。また、協調的な参加者は、取引相手を選択する際、非協調行動の回数およびID継続期間を重視して選択していることがわかった。Reputation management system is effective for promotion of cooperative behaviors in online transaction. In most reputation management systems, the reputation of participants in transaction are calculated as an accumulation or an average of the his/her evaluations. We explore the information that the participants emphasize in the reputation management system. To analyze effect of the reputation management system, we develop a C2C market platform and experiment on virtual transactions. We find that the reputation management system can promote cooperative behavior in online C2C markets.
著者
垣花 シゲ 眞榮城 千夏子 太田 光紀
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

前回の研究課題(基盤(C) 2006-2008)で開発した「途上国を対象とした感染看護教育プログラム」を実践に応用して効果を見た。プログラムの内容は、感染源別院内感染調査と標準予防策の実践である。まず、院内感染調査結果の共有を目的にラオスの協力3施設でセミナーを開催した。今研究の重点教育は、滅菌物品の清潔な保管、手術創の清潔、カテーテル挿入の際の滅菌操作等であった。プログラム評価として実施した質問紙調査および感染兆候を示す患者の減少から感染看護教育プログラムの効果が示唆された。
著者
村方 多鶴子 大石 時子 太田 知子 山崎 鯉子 新屋 明美
出版者
宮崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

夫/恋人から暴力を受けた女性被害者6名に面接を行ったデータを分析し、暴力に繋がる加害者の価値観・信条に影響を与えていえると考えられる加害者の家族関係を、被害者がどのように意味づけているのかを明らかにした。その結果、加害者の家族関係では、「父が暴力的環境で成長」「父から母への暴力」「父から加害者への一方的押し付け」「父親の影響力大」「母の身体的虐待」「母との信頼関係不十分」「離婚」「甘やかしすぎ」「安心感がない家庭」の9のカテゴリが抽出された。被害者は、加害者の「父が暴力的環境で成長」したことが、「父から母への暴力」「父から加害者への一方的押し付け」に繋がっていると捉えていた。他に「父親の影響力大」「母の身体的虐待」から、加害者は男女・親子関係における力関係を学習し、相手の視点で物事を見ることができず、弱者への支配を身につけた。つまり、夫婦/恋人関係は対等ではなく自分が優位、妻や物事を自分の思い通りにしてもよいと感じた。そして、妻/恋人・子どもに対する共感性欠如のために、自分中心の考えや行動をとり、暴力を軽んじるようになった。また、「父から母への暴力」を見て男性優位の意識が強まり、「母との信頼関係が不十分」だったため、母から得られなかったものを妻/恋人から得ようと、女性に対する期待が高くなった。加害者はこのような生育家庭を「安心感がない」と感じ、被害者意識が強くなったと被害者は意味づけしていると考えられる。看護の世界では、患者とのやり取りを振り返ることを通じて、患者との望ましい対人関係について学ぶために「プロセスレコード」を用いる。自分の信念や価値観を明らかにし自分の傾向に気付きやすいために、特に看護学生が用いることが多い。そこで、暴力を止めたいと思っている加害者がプロセスレコードを用いることで、自分の価値観や、思考や行動パターンに気付く一助になると考える。
著者
熊澤 茂則 杉山 靖正 太田 敏郎 中村 純
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ミツバチの生産物であるプロポリスは、健康食品素材として広く利用されている。本研究では、プロポリスの機能性について化学的および生物学的アプローチから解明することを目的とした。特に、韓国済州島産およびソロモン諸島産のプロポリスの成分研究を行い、済州島産プロポリスについては現地における調査も行うことで、起源植物(プロポリスの原料植物)が明日葉であることを明らかにした。ソロモン諸島産プロポリスからは、いくつかの新規プレニルフラボノイドを見出した。さらに、沖縄産プロポリスおよびその構成成分に関するin vitroおよびin vivoにおけるガン血管新生抑制活性についても評価した。
著者
竹本 泰一郎 千住 秀明 和泉 喬 門司 和彦 太田 保之 中根 允文
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

火山噴火災害の健康影響を把握し,継続的な健康管理にサーベイランスシステムを構築することを目的とした。長崎県雲仙普賢岳噴火の被災地である島原市と深江町で継続的に現地調査を行い、下記所見を得た。1)被災地の小中学生では噴火後「外で遊ぶことが減った」「テレビをみる・ゲームをする」など屋内の生活行動が増え、「夜中に起きる」「寝る時間が遅くなった」「朝起きるのがつらい」といった生活時間の変化も高頻度であった。「風邪を引きやすい」「咳・痰が出やすい」「喉が痛い」といった火山噴出物に由来する自覚症状も高頻度であった。また、これらの生活行動の変化・自覚症状が学校や家庭の避難で増強されていたことも特徴的であった。2)地域住民についてのアンケート調査では「眼の症状」が最も高頻度で、次いで「咳・痰の症状」であった。これらの有訴率は壮年期の女性、被害が大きい地区、避難住民で高かった。噴火活動の鎮静化とともに皮膚粘膜の刺激症状が低下したが、「咳・痰」「喘息」「呼吸困難」など呼吸器に関する症状は遷延化する傾向が認められた。3)スパイログラムによる呼吸機能検査では県内の非被災地に比べ閉塞性障害の頻度が高かった。4)避難住民に関する全般的健康調査(GHQ)では、壮年期の男女にストレスが強いこと、精神的健康度に頻回の避難、通院、自営業従事などが関わっていることが示唆された。以上の結果は、火山噴火の健康影響が火山噴出物による直接影響とともに避難・移住による生活環境や生業活動の変化をも包含していることを物語っている。
著者
坂本 薫 岩城 啓子 岸田 恵津 池田 ひろ 入江 一恵 平田 由美子 三崎 勝 太田 初子 岡本 佳子 安藤 孝雄 口羽 章子 金谷 昭子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.399-406, 2001-11-20
被引用文献数
1

今後の炊飯方法や炊飯意義を探る研究の一環として,無菌包装米飯に焦点を当て,無菌包装米の利用状況や意識などに関するアンケート調査と代表的な3社の製品に対する食味評価を行なった。アンケート調査では,持ち帰り米飯に対する回答と比較し、以下の結果を得た。1.無菌包装米飯を知っている者は77.2%,そのうち,使用したことがある者は50.8%であった。中高年男性群に無菌包装米飯を知らない者が多い傾向が見られ,若年女性群との間に有意差(p<0.05)が認められた。2.無菌包装米飯と持ち帰り米飯を利用する理由は,両者とも「すぐ食べられるから」を挙げていたのに加え,無菌包装米飯には「保存できるから」が特徴的な理由として挙げられていた。無菌包装米飯の利用後の感想は,「満足」と「まあまあ」をあわせると84.4%となり,8割以上の者がほぼ満足していると考えられた。3.無菌包装米飯を今後利用したいか否かに対しては,「積極的に利用したい」あるいは「ときに利用したい」とした者は40.1%,「できれば利用したくない」は53.9%であった。利用したくない理由としては,「ご飯は家で炊くべきだから」,「おいしくないから」が多かった。4.3社の製品の食味評価は,普段食べている米飯とほとんど差がないと評価された製品もあったが,製品により評価に著しい差が見られた。また,香りに対する評価が,総合評価に影響を及ぼしている可能性が示された。5.テクスチャーについては,B,C社製品はコシヒカリに比較的近いかたさと付着性を示す結果となった。以上,白飯の無菌包装米飯は,製品によりテクスチャーや食味評価に差があり,香りが総合評価に影響を及ぼす要因であると示唆された。よい評価を得た製品は,普段食べている米飯と食味上遜色はなく,常温保存できるという特徴から,今後さらに需要が伸びる可能性があるものと思われる。