著者
牛山 素行 岩舘 晋 太田 好乃
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.113-124, 2009-08-31
被引用文献数
1 3

Community based workshop for disaster prevention has been held actively in recent Japan. However, there are not few uniformity workshops. We have applied a trial-and-error method about the workshop based on knowledge of natural disaster science. In this study, I would like to explain the method of workshop. First of all, a preliminary survey about primary cause of natural disaster is important. Various sources of disaster information are already released. For example, hazard map, landform classification map, estimation of damage, local plan for disaster prevention. A facilitator gives participant concrete explanation about the disaster of that area based on this preliminary survey. Next, participants read landform (altitude) of the area by detailed map. Moreover, participants discuss about problems of the area with engineer or public official. A result of discussion summarized in a problems list and a location map. There is an example to which residents started solution of the problems after a workshop. However, the effect of workshop has not been shown clearly yet. Effect verification of workshop is future subject.
著者
石川 幸一郎 谷口 治人 鈴木 宏和 太田 豊 水野 陽二郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.134, no.7, pp.568-578, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
29
被引用文献数
6

Because of global warming, the attention to the photovoltaic generation has increased, and a lot of photovoltaic generations will be installed in the power system. In Japan, most photovoltaic generations will be connected to the distribution system. This will make the power flow in the power system changed. That is to say that the forward power flow (flow from higher voltage system to lower voltage system) reduces, or, moreover, that the reverse power flow occurs. Because of the change in power flow, the voltage characteristics will be also changed. Consequently, it is expected that the penetration of photovoltaic generation has some impacts on voltage stability. In previous study, the voltage characteristics in simple power system model which consists of one infinite bus, one load, and one photovoltaic generation is made clear. It is indicated from the results that there is not only forward power flow limit but also reverse power flow limit (left nose in PV curve), and that, when the output power from photovoltaic generation is very large, left nose sometimes has some impacts on voltage stability. In this paper, the voltage stability in the simple power system model considering the dynamics of an induction motor is discussed.
著者
石川 幸一郎 谷口 治人 鈴木 宏和 太田 豊 水野 陽二郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.134, no.1, pp.2-8, 2014-01-01 (Released:2014-01-01)
参考文献数
14
被引用文献数
2 9

Because of global warming, the attention to the photovoltaic generation has increased, and a lot of photovoltaic generations will be installed to the power system in future. In Japan, most photovoltaic generations will be connected to the distribution system. This will make the power flow in the power system changed. That is to say that the forward power flow (flow from higher voltage system to lower voltage system) reduces, or, moreover, that the reverse power flow occurs. Because of the change in power flow, the voltage characteristics will be also changed. Consequently, it is expected that the penetration of photovoltaic generation has some impacts on voltage stability. In this paper, simple power system model which consists of one infinite bus, one load, and one photovoltaic generation is considered, and the fundamental voltage characteristics are discussed by PV curves and phasor diagram. The voltage characteristics considering the current limit by PCS (Power Conditioning System) in the photovoltaic generation are also discussed.
著者
丸地 康平 今井 健男 太田 暁率 片岡 欣夫
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2009-SE-166, no.18, pp.1-8, 2009-10-29

派生開発では,既存のテスト資産を活用しテストケースを作成する.ゆえに,テスト工程の質を保証するには,テスト資産のテストケースの不足や冗長を見つけるテストケース評価技術が重要となる.ミューテーションテストはテスト評価技術であり,テスト削減に有効であることが知られる.しかし,時間コストを要する技術であり,システムテストへの適用は困難である.本稿では,派生開発のシステムテストに対し,ミューテーションテストの適用方法を提案する.適用実験により,提案方法がミューテーションテスト自体に要する時間の削減や,テストケース不足の発見に有用であることを示す.
著者
太田 秀樹 桑野 二郎 竹村 治朗 日下部 治 小林 一三 飯塚 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度はジオシンセティックスで補強された土構造物の力学的挙動を合理的に説明することを目的とし,ジオシンセティックスと締固め土の力学的相互作用と補強効果の関連に着目し,締固め土のせん断特性を考慮したモデル化を行った.すなわち締固め土と等価と考えられるような過圧密粘土を想定し,締固め試験に対する一連の等体積一面せん断試験結果に基づき,計算に必要なパラメータの決定方法を提案し,2つの実物大現場試験を有限要素解析によりシミュレートした.その結果,・ジオシンセティックスの敷設が,せん断による土の体積膨張を拘束すると,その補強効果は土の違い(締固め度合いの違い)によってどのように現れるかを解析的に調べ,関口・太田モデルを用いた場合には,強く締め固めすぎるとジオシンセティックスの拘束効果をかえって減ずる場合があることを示した.・締固め土を対象として,解析に必要な入力パラメータの決定法を提案した.締固め管理図を描くことにより,締固め土を過圧密粘土の概念を用いて置き換え,締固め度合いを過圧密比で表すことができた.・実物大現場試験を有限要素解析にてシミュレートし,実測された変形挙動,特にせん断ひずみの集中を説明を説明することができた.
著者
佐藤 由利子 野水 勉 近藤 佐知彦 堀田 泰司 太田 浩 鈴木 雅久 恒松 直美 高浜 愛 水戸 考道
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

非英語圏として英語による授業という弱みを有する日本の短期留学を強化するには、縦横2つの軸からの拡充を検討する必要がある。縦とは、留学前、留学中、留学後の3つの時間軸にそった拡充策で、 特に「留学前」の海外における日本語・日本文化普及活動、「留学後」のキャリア形成支援活動との連携が必要である。横とは、企業、自治体、他大学、研究助成機関、国際協力機関、国際機関等との連携で、日本留学の魅力を高めることが可能になると 考えられる。
著者
杉原 数美 太田 茂 北村 繁幸 西嶋 渉
出版者
広島国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、先ず近年環境汚染が懸念されはじめた医薬品の日本の河川における汚染実態を調査し、生活雑排水や簡易浄化槽処理水が流入する二級河川で一級河川より高濃度で検出されることを明らかとした。さらに、医薬品は環境中での動態が調査されておらず、環境中における代謝分解などの受けやすさ、代謝分解物の毒性変動などは不明である。本研究では、化学物質の分解代謝にかかわる環境因子として紫外線による医薬品分解とその生物毒性変動を調査し、毒性が発現する医薬品があることを明らかにした。
著者
大和 浩 太田 雅規 中村 正和
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.130-135, 2014

<b>目的</b> 飲食店の全客席の禁煙化が営業収入に与える影響を,全国で営業されている単一ブランドのチェーンレストランの 5 年間の営業収入の分析から明らかにする。<br/><b>方法</b> 1970年代より全国で259店舗を展開するファミリーレストランでは,老朽化による改装を行う際に,全客席の禁煙化(喫煙専用室あり),もしくは,喫煙席を壁と自動ドアで隔離する分煙化による受動喫煙対策を行った。2009年 2~12月度に全客席を禁煙化した59店舗と,分煙化した17店舗の営業収入の相対変化を,改装の24~13か月前,12~1 か月前,改装 1~12か月後の各12か月間で比較し,客席での喫煙の可否による影響が存在するかどうかを検討した。改装が行われておらず,従来通り,喫煙区域と禁煙区域の設定のみを行っている82店舗を比較対照とした。解析は Two-way repeated measures ANOVA を行い,多重比較検定は Scheffe 法を用いた。<br/><b>結果</b> 全客席を禁煙化した52店舗,喫煙席を壁とドアで隔離する分煙化を行った17店舗,および,未改装の82店舗の 3 群の営業収入の相対変化(2007年 1 月度比)は,12か月単位の 3 時点の推移に有意差が認められた(<i>P</i><0.0001)。改装によりすべての客席を禁煙とした店舗群の営業収入はその前後で増加したが(<i>P</i><0.001),喫煙席を残して壁と自動ドアで隔離する分煙化を行った店舗群の営業収入は有意な改善を認めなかった。<br/><b>結論</b> ファミリーレストランでは,客席を全面禁煙とすることにより営業収入が有意に増加するが,分煙化では有意な増加は認めらなかった。
著者
太田 貴子 田川 晋一 武岡 一成
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.364-373, 2006-12-15
被引用文献数
1

製品を発注する方式として,従来は定期発注方式や定量発注方式が用いられている.しかし,これらの発注方式は,劣化が早い弁当,野菜,ケーキ等の生鮮食品や,新聞といった製品には適さない.つまり,発注方式を決めるには製品特性を考慮しなければならない.本研究では,製品の特性として廃棄時間を取り上げている.廃棄時間は劣化の遅速により決まる.劣化の遅い製品は製品価値が変わらないので,ストック型コントロールを取ることができる.劣化の速い製品は製品価値が急速に変わるので,一般にスルー型コントロールをとる.このような製品は,売れ残ると廃棄処分されるため,時間と数量によって値引きが発生する.従来の発注方式の研究では,主にストック型コントロールが用いられている.そこで,本研究は製品劣化が速く,廃棄時間が短い製品を取り上げて,利益に基づいて最適発注量を算出する場合の基本式を,定価販売と値引き販売を含めて一般式として導出した.その結果,値引き販売の最適発注量を算出する基本式は,定価販売の基本式に修正項を加えるだけで構築できることが分かった.
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト<SUP>®</SUP>静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
著者
太田 英将
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.317, pp.82-86, 2002-12-13

土木技術者にとって,地下水は最も難しい問題だろう。なんといっても見えないからやっかいだ。地下水の供給源は降雨だ。その降雨が循環していることから考えていくと,地下水の量は予想できる。周囲の地形と川の水の量を調べると,かなりの問題は解決できる。単純化したモデルを基に考えるよりも,「経験的な手法を使ってアプローチするのが正しい」と太田氏は指摘する。
著者
小早川 光郎 山本 隆司 太田 匡彦 山本 隆司 太田 匡彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、2004年に行われた行政事件訴訟制度改革に対して、理論的側面及び実際的側面から検証を加えた。理論的側面からの検証の主たる成果として、原告適格、義務付け訴訟、差止訴訟を中心に、その理論的基礎及び法的問題点等を明らかにした。かかる理論的側面からの検証の成果を前提として、主として2004年改正後に出された裁判例の分析を行い、処分性、原告適格、義務付け訴訟を中心に、制度改革による実際的影響を明らかにした。
著者
岡田 玲子 太田 優子 宮西 邦夫 豊嶋 英明
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、青年期女子を対象に保健行動の変容をめざして、指導型・学習参加型を含む健康教育システムを設定し,その有用性を1年間の介入効果によって検証したものである。本システムは、健康教育セミナー(受講後に感想・自己評価記録の提出)(6回)、健康・生活習慣・食事の診断(3回)、診断成績の個人別記録;「Health Paassport」の懇切な説明による還付(4回)等によって構成された。その成績は以下のように要約される。1)BMI、肥満度、体脂肪率への影響は殆どなく、歩数、消費エネルギー、運動量は僅かながら低下した。2)TC、LDL-C、TCが介入前に比べて高かったものの、同時にHDL-Cも有意に上昇し、その程度は寧ろ前3項目の変化に比べて大きいことが認められ、特にHDL-Cの改善には効果的であった。また、Lp(a)はHDL-Cの増加に伴って高くなる可能性が示唆された。なお、HDL-C値の改善にはカロリーカウンターによる運動量の影響は認められなかった。3)自覚症状訴え数が有意に減少した。このことは本セミナー出席率の高い群において特に顕著に観察された。自覚症状改善度上位者からは、健康教育による食行動の改善とその維持を窺わせる応答が得られた。4)食事の評価においては、(1)緑黄色野菜の摂取頻度・充足率の有意な増加、(2)本セミナー出席率の高い群ならびにHDL-C改善度の高い群において、食事診断得点の改善度が有意に大きかった。(3)介入後に穀類エネルギー比の有意な増加、動物牲脂質比、Na/K比、食塩摂取量(g/l,000kcal)、飽和、一価・多価不飽和脂肪酸摂取量の有意な減少がみられたが、これらの変化量との血清脂質値の変化量との相関性を見いだせなかった。(4)LDL-C低下の大きかった群ほど近代型食事(豊川の食物消費の二次元空間図による)の傾向が弱まる方向への変化が有意に認められた。5)エゴグラムにおいては、保健行動の変容に自我状態の関与を示唆する所見が得られた。以上より、本健康教育システムは健康意識の啓発の動機づけやその維持に効果的であったと考えられる。今回は多様な要因の中で、より望ましい方法を模索した研究デザインであったが、健康教育セミナーへの継続的参加を促すためには、対象者の生活時間の変化を配慮した開催日時の調整、保健行動の変容にマイナスの自我状態を有する対象者への対応等についてさらに詳細な検討を重ねる必要がある。本研究により得られた知見と反省を活かして、より実践可能な健康教育システムの開発に今後とも努力したい。
著者
池森 豊 太田 正史 梅田 浩二 ペラルタ ロバート 黒木 雅彦 横山 英明 児玉 義勝
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.365-367, 1996-04-25

2種類の鶏卵黄抗体を用いて消化管における動態試験を行った. ヒドロキシメチルセルロースフタレート(HPMCP)抗体粉末(HAP)とコントロール抗体粉末(CAP)を子牛に経口的に投与し, ELISA法により抗体活性を測定したところ, 投与後2時間目には, CAPおよびHAP投与牛の第4胃における抗体価はそれぞれ128倍と256倍であったが, 4時間目には, 2倍および64倍に低下した. これらの結果から, HPMCPを含む抗体粉末は胃液に対してより抵抗性があり, 小腸でより確実に作用する可能性が示唆された.
著者
黒木 祥光 太田 諦二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.672-679, 1995-11-25
被引用文献数
8

21世紀をにらんだシステムとして考えられている超高精細画像は約4,000本もの走査線を有し,極めて高品質な画像となっている.本論文は超高精細画像の静止画符号化を行うものである.超高精細画像を,その高画質性を損なうことなく符号化するには,予測符号化が有効と思われる.そこで,予測方式としてHDTVの高能率符号化法として提案され,フレーム内符号化に用いられている外挿内挿予測[1]を採用する.外挿予測誤差は1次元ハフマン符号で符号化する.一方,内挿予測は外挿予測に比べ予測効率が高い[2].更に,本論文で使用する画像は画素間の相関が極めて高いため[9],量子化代表レベルが0になる確率が高くなる.従って,本論文では内挿予測符号化において,予測誤差を2値化した後,その2値情報をJPEGで採用されている算術符号の一種であるQM-Coder[4]で符号化する手法を提案する.2値情報を符号化する際,参照画素の条件付きエントロピーの均一性に着目し,情報量を増加させることなく状態数の低減を行った.画像符号化シミュレーションを行った結果,外挿内挿ともに1次元ハフマン符号で符号化した場合に比べ,本手法はビットレートが0.350〜0.458bits/pel低減され,1.653bits/pel以下でSN比50dB以上の高品質な画像を得ることができた.
著者
太田 尚宏
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-33, 2014-03

本稿では、国文学研究資料館所蔵の真田家文書のうち、「家老日記」として分類される日記類(特に松代に関する日記)を分析対象として、そこに含まれる日記の種類と性格について論じた。まず、日記の外見的考察により、文政期までの日記の表紙に記されている「松代」「御国」といった記載の多くが後筆であることを確認し、これらの追記や朱字の番号で示されている管理の痕跡が、松代藩や真田家ではなく、家老の望月氏によるものであると推定した。さらに、これらの日記の中には、家老日記とは性格が異なる「御国日記」の原本(あるいは全体の転写本)が混入していること、望月氏自身が御国日記の転写を進めていたことなどを明らかにした。続いて、望月行広という人物の動向に着目し、家老日記の性格について検討した。その結果、①松代藩における公式の家老日記は、「置附日記」という家老御用部屋に設置された日記であり、真田家文書に残る家老日記は、御用番を担当した家老が「置附日記」の下日記として記したもので、「置附日記」への転記にあたり記事の取捨選択が行われていたこと、②18世紀半ばには、家老の執務内容のうち定例化・慣習化された事項について日記には記述しないと規定されていたこと、③望月行広が「勝手懸り」を担当してからは、職務上の需要に応じて、自らが御用番のとき以外の日記も詳細に転写するようになり、勝手懸り関係の記述も加わって、1年間を通じた記事を御用番・勝手懸りの2本立てで記す「御在所日記」の形式を完成させたこと、などの点を明らかにした。This paper discusses the descriptions and characteristics of "KaroNikki"(Diary of chief retainer), the Sanada family's documents of National Institute of Japanese literature. From the contents written on the cover of this diary until Bunsei era, it was confirmed that some descriptions such as "Matsushiro"and "Okuni" were written later. It is presumed that postscripts and running number were written by Mochizuki chief retainer. It was also confirmed that "Okuni Nikki" (Okuni Diary), which was different with "Karo Nikki'', was included and Mochizuki chief retainer was carrying out the transcription of "OkuniNikki". .Subsequently, we focused on the activity of Mochizuki Yukihiro and studied the characteristics of "KaroNikki''. As a result of this study, it was clarified that an official diary of the Matsushiro domain was "Okitsuke Diary" and a diary preserved by Mochizuki family had a function of a rough draft. Originally, "Karo Nikki" was created based on a work shift on monthly bases, but it was also clarified that a file type of diary (Gozaisho Diary) had been begun to create throughout the year in stated of a monthly work shift diary since the middle of 18th century due to the volume of work was increased, the contents were written in more details and the descriptions regarding the financial affairs were added.