著者
今井 繁 小倉 信彦 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.1-8, 2000-03-13
被引用文献数
5

人間は言語を用いて互いにコミュニケーションを行う.しかし, 言語はその複雑さゆえに, 脳がどのように生成・獲得しているかは大きな謎となっている.一方, ある種の生物にみられるような単純な信号によるコミュニケーションを計算機により人工的に生成することが可能である.本研究では, 通信する2人のハンターによる獲物捕獲問題を分類子システムにより学習させる.次に, 分類子集合から決定木を生成することにより本質的なルールを抽出し, ハンター間のコミュニケーションについての分析を行う.実験の結果抽出されたルールは, 人間による理解が比較的容易であり, 元の分類子集合に対してわずか6%程度のルール数でほぼ同程度の獲物捕獲性能を獲得できた.
著者
仲田 栄子 有賀 久哲 半田 康延 小倉 隆英 関 和則 高井 良尋
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

今日のがん治療において、腫瘍内低酸素領域の克服が重要な課題となっている。そこで我々は電気刺激を用いることで腫瘍内低酸素領域を改善できるのではないかと考えた。C3H マウスの右大腿部に Squamous Cell Carcinoma-VII腫瘍(SCC-VII)を移植し、仙骨部後仙骨孔直上の皮膚表面に電気刺激を行った結果、刺激中に腫瘍表面の血流値で 22%の増加、電気刺激終了から約 50分後に腫瘍内部の酸素分圧で 28%の増加が確認された。低酸素マーカーであるピモニダゾールを使用した結果、電気刺激終了後 40 分で低酸素領域は 20%有意に減少した。X 線を腫瘍移植部に局所照射したところ、一回照射(総線量 5Gy)・分割照射(総線量 7.5Gy)のいずれにおいても放射線単独群より放射線+電気刺激併用群で腫瘍の成長に遅延が認められた。
著者
石川航平 小倉加奈代 杉山公造
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.32, pp.91-96, 2007-03-22
被引用文献数
1

学際的な領域を学ぶためには多くの書籍を読むことのいわゆる「多読」が必要とされている。多読とは「多くの本をかなりの早さをもって読むこと」である。また多読を単独の学習者が継続することは容易ではない。多読を集団で行うことによって、多読を単独で負担を軽減することができる。多読を集団で行う上でのコミュニケーションを通じて、多読者のコミュニティを活性化させ、多読を支援することによる学習の方法を提供することを研究の目的とする。コミュニティ・サイトにおいては、書籍を効果的に認知する機能を複数設け、膨大なデータベースを体系的に把握することを支援する。To study interdisciplinary fields, we have to read a large number and many kinds of books. Because we can't know all kind of books we have read, it is difficult for a learner to manage vast numbers of books at once. The purpose of this research is to propose a method of studying interdisciplinary fields using communities of extensive reading in which all members can communicate with the other members to support extensive reading. In this research, it is found that: 1. Support for extensive readers' continuous usage is accomplished. According to the result of the questionnaire, the system promotes communication and encourages the user to continue using the system. In addition, it is suggested that the book map function raises the interest towards the other users in the community.
著者
小倉 康嗣
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, 2001-06-30
被引用文献数
1 1

本稿は, 高齢化社会の内実への歴史的再認識を出発点として, 「高齢化」ないし「老い」の問題を, 全体社会の根本的変革や新たな社会構想の問題へとつなげていく研究枠組を開拓していく試みである.つまり「高齢化」ないし「老い」の社会学的研究に関する「生成的理論」の構築を目指して, 探索的な経験的研究を行っていくうえでの理論的インプリケーションを明確化し, その概念枠組の構築を図ることが本稿の目的である.<BR>理論的インプリケーションを明確化する際の主張は2つある.第1に, 高齢化社会の内実を「再帰化する後期近代」という歴史的ダイナミズムにおいて認識すること (1節), 第2に, その認識を取り入れてthe agedからaging へと照準を合わせ直し人間形成観の問題圏へ入ること (2節), である.これら 2つの主張は, パースペクティブとしての〈ラディカル・エイジング〉として統括される (3節).<BR>つづく概念枠組の構築作業においては, いかなる事象にどのような概念的参入を図ればよいのかを検討することによって, さきの理論的インプリケーションを具象化する.まず, 現代日本における「中年の転機」を〈ラディカル・エイジング〉の理論的インプリケーションの集約事象として位置づけ (4節), その作業を媒介に〈再帰的社会化〉という概念構成を導出し, 同時に〈再帰的社会化〉の基盤をめぐる探索課題を提起することによって概念的参入の足場を築く (5節).
著者
小倉 剛 佐々木 健志 当山 昌直 嵩原 建二 仲地 学 石橋 治 川島 由次 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.53-62, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
4

沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
著者
和田 守 小倉 い ずみ 加藤 普章 千葉 眞 大西 直樹 佐々木 弘通 五味 俊樹
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

5年間にわたる共同研究の取りまとめとして『日米における政教分離と「良心の自由」』を公刊した(ミネルヴァ書房、全328頁、2014年3月)。第I部「宗教と政治のあいだ」、第II部「政教分離の展開」、第III部「宗教と政治の現在」の三部構成で、10本の論考を収録している。同書では、政教分離と信教の自由という観点から、日本とアメリカにおける宗教と政治をめぐる諸問題の錯綜した広がりと深みについて、多面的かつ歴史的・構造的に論究しており、現代民主主義の活性化に関する提言としての意義を有している。個々人の尊厳と人格および多様な価値の共生を目指す市民的公共性と國際連帯の方向性を示しえたと思われる。
著者
小倉 勝男 杉谷 光司
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、マウナケア天文台の世界一のシーイングの良さと新たに開発されたグリズム分光器WFGS2の広い写野の強みを活かして、至近距離の分子雲において若い星の候補としてのHα輝線星の探査をほぼ極限の暗さ・弱さまで行うことである。その観測対象としては、申請調書の段階ではL1457をあげたが、その直後にこれは従来考えられてきたほど近距離にはないとする結果が相次いで出されたので、交付申請書の段階で探査対象をL1642に変更した。この分子雲は星形成が確実に起こっているものとしてはL1457に次いで2番目の近さとされてきたものである。観測はハワイ大学2.2m望遠鏡を使用して2005年1月になって行われた。WFGS2の完成の遅れのためである。天候と観測時間の制限により予定していたL1642の天域の約50%しか探査観測ができなかった。残った天域は急きょアルメニアのMagakian博士に依頼して同国の2.6m望遠鏡と同様なグリズム分光器により観測してもらった。どちらの観測においても既知もの以外にはHα輝線星は検出されなかった。したがって残念ながらこの研究課題の主要な目的は達成できなかった。この他に共同研究として、大質量星形成領域とされる2つの領域(W3 MainとNGC 7538)において深い限界等級の近赤外の測光的研究を行ったが、このような領域でもTタウリ型星と思われる低質量星が非常に多数形成されつつある、という興味深い結果が得られ、2編の論文として発表された。この結果をふまえて大質量星形成領域においてTタウリ型等のHα輝線星を検出する探査観測をインドの2m望遠鏡とグリズム分光器を使用して開始し、成果が得られ始めた。別な共同研究として、星形成時の情報を残しているような若い散開星団(NGC654とNGC663)の光学域の測光学的研究にも参加した。
著者
高橋 勇 宮川 勝年 小高 知宏 白井 治彦 黒岩 丈介 小倉 久和
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.11, pp.2989-2999, 2007-11-01

従来,不正な剽窃行為は学習者間で行われていた.しかし,近年ではWebページの一部をコピー&ペーストして不正なレポートを作成する学習者が増えている.このような不正なレポートへの対策には,剽窃元のWebページの探索から剽窃箇所の学習者への提示までを含めたトータルな支援システムが必要である.本研究では,Web検索機能,剽窃評価機能,剽窃箇所特定機能の三つの機能からなる支援システムの枠組み,及び,n-gramを用いた類似度評価手法を応用したシステムを提案し,実装した.更に,これを用いてWebから擬似的に作成した剽窃レポートと,実際の授業で回収されたレポートを用いた評価実験を行った.その結果,前者の実験ではすべての剽窃元Webページが検出され,後者の実験では,本システムで剽窃の可能性が高いと判断されたレポートは,手作業・主観的評価による評価でも剽窃と判断されることが示された.
著者
山家 浩樹 林 譲 久留島 典子 鴨川 達夫 高橋 則英 高田 智和 馬場 基 大内 英範 耒代 誠仁 高橋 敏子 遠藤 基郎 山田 太造 渡辺 晃宏 小倉 慈司 高橋 典幸 井上 聰 谷 昭佳 川本 慎自 高山 さやか
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「ボーンデジタル進捗状況管理システム」を構築して、無秩序に生成されがちなデジタル撮影画像(ボーンデジタル)を、組織として一貫して管理・運用するシステムを確立し、歴史史料のデジタル画像を共有する基盤を整えた。さらに、標準化された仕様に適合しないデジタル画像を、メタデータとともに管理する一例として、ガラス乾板など古写真を取り上げ、「ガラス乾板情報管理ツール」を開発して、ガラス乾板の研究資源化および保存にむけた研究を行なった。あわせて、具体例をもとに、デジタル画像を主たるレコードとするデータベースの構造転換に向けた研究を推進した。