著者
中澤 正博 森 宏樹 半田 潤 佐藤 輝重 小島 武文 大木 志朗 浜 洋平 戸原 玄
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.63-69, 2018-09-30 (Released:2018-10-27)
参考文献数
26

目的:本研究は,健常な後期高齢者を対象に,咀嚼能力の維持・向上を期待した簡便なトレーニング方法を検討することを目的とした。 方法:千葉県八千代市とその周辺地域在住の健常な後期高齢者30名(男性:9名,75~89歳,女性:21名,75~89歳)を対象とした。簡便なトレーニング方法としてガム嚙みトレーニングを1日3回30日間実施した。咀嚼能力は,グミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムで,嚥下能力は,反復唾液嚥下テスト(Repetitive saliva swallowing test:RSST)で,身体機能は,開眼片足上げで評価した。 結果:咀嚼能力はグミ嚥下閾(ストローク),グミ嚥下閾(時間),咀嚼チェックガムともに有意に向上した。嚥下能力に変化はなかった。身体機能は有意に向上した。 結論:ガム嚙みトレーニングを30日間実施することによって咀嚼能力や身体機能が向上したことは,ガム嚙みトレーニングが優れた機能訓練方法であることを示した。
著者
小島 嘉津江 森田 純恵 若本 雅晶 宗像 一樹 鷲崎 弘宜
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2017-SE-195, no.30, pp.1-8, 2017-03-05

ソフトウェア品質の向上に関しては,古くから様々な技術が提案・実用化されてきており,ソフトウェア開発方法の進歩に伴う新たな技術の開発も進んでいる.一方,ソフトウェア品質を客観的に評価するための尺度についても研究が進んでおり,ソフトウェア品質モデルおよび品質特性が国際規格として規定されている (ISO / IEC 25000 シリーズ).これら個々の品質技術と,ISO / IEC 25000 シリーズで規定された各品質特性の間には,たとえば,この技術はこの特性の向上に特に効果があるといった関係性が当然存在し,これはソフトウェア開発において重要な情報となり得る.しかし,これまで,このような関係性を網羅的に明確化する試みは行われておらず,品質要求に基づく効率的な品質技術の選択の難しさ,品質技術の研究開発が必要な方向 ・ 領域の不透明さなどの課題があった.本稿では,個々の品質技術が品質特性に与える効果を網羅的に見える化することを目的として,品質技術と品質特性のマッピングを試みた.マッピングに当たっては,品質技術の網羅 ・ 体系化が必要となるが,世界で初めてこれを実現した日本発のガイドである 「ソフトウェア品質知識体系ガイド (SQuBOK ガイド)」 を参照することとした.SQuBOK ガイドと ISO / IEC 25000 シリーズをベースにしたマッピングの結果,品質向上に寄与する技術を品質特性ごとに効率的に選択できるようになり,ツールとしても有効であることがわかった.また,マッピング結果の分析を通して,品質特性による品質技術の偏りからわかる拡充すべき技術領域,データ品質に関する技術の体系化不足,OSS 活用の技法など最新技術の追加 ・ 体系化の必要性など,今後の課題も明確になった.
著者
平賀 良彦 大石 直樹 小島 敬史 和佐野 浩一郎 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.125-130, 2017 (Released:2019-02-13)
参考文献数
20

側頭骨の放射線骨壊死(ORN)は放射線照射後に生じる晩発性障害の一つで、しばしば治療に難渋する。今回我々は放射線照射後の難治性中耳炎に対し、中耳根本術に側頭筋弁での充填と外耳道閉鎖術を併用した手術(充填型中耳根本術)を施行することで耳漏を停止することができた症例を経験した。症例は74歳、女性。X-17年に頭蓋内軟骨性骨肉腫に対し手術および放射線治療後に難治性の左慢性中耳炎を発症し左難聴は徐々に進行し聾となった。持続する耳漏に対してX年に乳突削開術および鼓室形成術wo型を施行したが耳漏の改善は認めなかった。そこで、X+2年に充填型中耳根本術を施行したところ耳漏を停止することができ、患者のQOLを大きく改善することができた。本術式はORNに伴う難治性中耳炎に有効な術式である可能性が示唆された。
著者
宮岡 裕樹 市川 貴之 小島 由継
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.552-558, 2013 (Released:2013-12-01)
参考文献数
26

Hydrogen is chemically absorbed into graphite by mechanical ball-milling process under H2, and its hydrogen capacity reaches to about 3.6 mass%. Noteworthy, when iron (Fe) mingles with graphite from steel balls during the milling process, the hydrogen capacity is drastically enhanced. In this work, the hydrogen absorption and desorption properties of the hydrogenated graphite with and without Fe were investigated. The hydrogen capacity of graphite including Fe was about 6 mass% (H/C), suggesting that the excess hydrogen of 2.4 mass% would originate in the Fe related phase. It is clarified by spectroscopic studies that the mingled iron formed a non-stoichiometric iron-carbon (Fe-C) phase as hydrogen absorption site. Assuming that the Fe/C ratio is 1, its hydrogen capacity is estimated to be H/(Fe-C-H)>10 mass%, which is a larger value than that of the conventional hydrogen storage materials. The hydrogen absorbed in the C-Fe phase is released at 450℃ with the transformation of the C-Fe phase to well-ordered carbides such as Fe3C. Therefore, if the C-Fe phase could be synthesized independently, it should be recognized as a promising hydrogen storage material.
著者
小島 晶二 苣木 浅彦
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.491-496, 1983-12-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
13

From the Senzai vein of the Oe mine situated in southwestern Hokkaido, some kinds of rhodochrosite stalagmites are sometimes found out at the bottom of druse within the vein. The stalagmites show the shape of column, 2 to 30mm in diameter and 1 to 12cm in length. They consist of irregular fan-shaped crystals superficially and show the solution growth textures such as concentric bandings. These stalagmites have the chemical compositions of 53 to 89 mole % MnCO3, 2 to 20 mole % CaCO3. 7 to 26 mole % FeCO3 and 1 to 9 mole % MgCO3, which are mostly within the compositional region of drusy rhodochrosite of the vein. Chemical compositions of the rhodochrosite stalagmites change markedly with the concentric bands as shown in Fig. 7, which shows considerable increase of MnCO3 content from core to rim. This feature is considered as being due to chemical changes of the ore solution or ground water producing the rhodochrosite stalagmite.
著者
小島 道生
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

発達障害者を対象として、自尊感情と主観的幸福感(well-being)に関して、アンケート調査を実施した。その結果、自閉スペクトラム症者27名と同年代の対照群60名との比較を行ったが、自尊感情と主観的幸福感について違いはなかった。ただし、自閉スペクトラム症の学生の主観的幸福感は、社会人に比べて低いことが示唆された。そして、自閉スペクトラム症者と同年代の対照群に共通して自尊感情が高いと主観的幸福感も高くなることが明らかとなった。したがって,自尊感情を高めることが主観的幸福感をも高める可能性があり,自閉スペクトラム症の学生について,特に心理的支援を行っていく必要性があると考えられた。また、青年期ASD者を対象として、自尊感情と主観的幸福感にかかわる影響要因を明らかにするために、面接調査を実施した。その結果、主観的幸福感の測定とともに、幸せに感じている事柄について尋ねた。その結果、回答理由に関して家族関係や友人関係などの対人関係にかかわる言及は少なく、源泉においても定型発達者よりも偏っている可能性が示唆された。また、中学生や高校生においては、友人とのかかわっている時や良い成績をとった時などに主観的幸福感は高まることが示唆された。逆に、他者よりもうまくできないという経験や友達がいないといった孤独感が主観的幸福感を低下させている可能性も明らかとなった。したがって、青年期ASD者も成功・失敗経験と他者との比較、さらには孤独感が主観的幸福感の高低に影響をしていると考えられる。学校教育現場などでは、孤独感を抱かないように他者とつながる支援が求められると言えよう。これら研究成果の一部については、国内や国際学会において発表を行うとともに、学術雑誌に投稿中及び投稿準備中である。
著者
竹中 光大 高取 宏至 小島 康明 静間 清
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.419-427, 2008 (Released:2008-07-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,各地の地下水や湧水は環境保全や食の安全と関連して人気が高まっている。また健康へのリスクの評価や鉱泉基準(地下水中のラドン濃度が74Bq/L以上)を満たすかどうかという点で,地下水中のラドン濃度の測定は重要である。本研究ではγ線スペクトロメトリを用いて西条酒仕込み水8か所のラドン濃度を測定した。ラドン濃度は月1回の頻度で2年間にわたり測定し,季節変動の有無,井戸の違い,ラドン濃度とpH,水温,気温との相関を調べた。その結果,西条酒仕込み水のラドン濃度の平均値は160Bq/Lであり,多くの仕込み水が鉱泉基準を満たしていることがわかった。また,ラドン濃度は特定の季節に変動する現象はなかった。水温,気温,pHとラドン濃度の間に明確な相関は見られなかったが,井戸の種類では打ち抜き井戸に比べてボーリング井戸のラドン濃度が高いことがわかった。
著者
藤枝 繁 小島 あずさ 大倉 よし子
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

太平洋を漂流する海洋ごみの流出地を明らかにするため,2010 年 4月から黒潮流域の伊豆諸島,小笠原諸島,北太平洋海流流域のミッドウェー環礁,ハワイ諸島,米国西海岸,黒潮上流域の台湾ののべ 307 海岸等において,14,647 本のディスポーザブルライターを採取した。ライターに記載された店舗名等から流出地を判別した結果,伊豆・小笠原諸島,ミッドウェー環礁,ハワイ諸島では,日本の太平洋沿岸を含む東アジアを流出地したものがほとんどを占めたが,台湾では日本からの漂着は見られなかった。
著者
小島 肇夫
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.151, no.2, pp.52-55, 2018 (Released:2018-02-07)
参考文献数
25
被引用文献数
1

動物実験を用いない代替法については,遺伝毒性・内分泌かく乱・局所毒性試験のin vitro試験法の開発が一段落し,化学物質,農薬,医薬品および化粧品の安全性評価において行政的な利用が進んでいる.日本も経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)等における試験法開発で貢献してきた.世界の潮流は全身毒性(反復投与毒性,発がん性,免疫毒性,生殖毒性等)代替法の開発に向かっている.特に生理学的薬物動態PBPK(physiologically based pharmacokinetic)モデル,トキシコキネティクスの開発が盛んである.日本においても全身毒性試験のin vitro試験法,in silicoの利用検討が始まった.
著者
湯原 悦子 小島 佳子 高柳 雅仁 Etsuko Yuhara Keiko Kojima Masahito Takayanagi
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.133, pp.29-45, 2015-09

本研究の目的は,法人後見を行う団体の受任事例の分析を行い,地域における権利擁護支援ニーズの内容と支援の効果について確認することである.分析の結果,権利擁護支援が必要となる背景には金銭管理をはじめとする生活管理能力の不足があり,そこに近隣からの不安や苦情,深刻なネグレクト,あるいは親族やそれ以外の人からの経済的搾取や虐待の被害に遭うことで,それまでの生活の継続が困難になっていく状況が確認できた.支援の効果については,成年後見人らが地域の人々と被後見人らの間に入り,関係を調整することで近隣住民の理解が進み,「地域の困り者」だった被後見人らが地域で受け入れられ,見守られる存在へと変わっていく姿が確認できた.また,被後見人らが自分への自信を深め,思いを口にし,自分なりの人生を生きようと動き出し始める状況が見出された.
著者
小島 唯 赤松 利恵
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.213-220, 2015
被引用文献数
1

【目的】学校給食における赤黄緑の3色食品群の群別の食品の出現割合を調査し,3色食品群に掲載する食品の内容を検討すること。<br>【方法】2012年5~7月,東京都の公立小学校19校を対象に,2011年度の学校給食献立予定表を各校12日分ずつ収集した。主食と季節を分け,4区分の季節ごとに,献立の主食が米飯の日の献立,主食がパンの日の献立,主食が麺の日の献立各1日分を,各校の学校栄養職員・栄養教諭の任意で選択させた。献立表より,すべての食品を抽出し,文部科学省の3色食品群に沿って食品を3色または未分類に分類した。各群の食品の出現割合(%)を主食別に算出した(食品の出現回数/解析した主食別の献立の日数×100)。<br>【結果】計16校(回収率84.2%)から主食が米飯の日,パンの日,麺の日各64日分,計192日分の献立を回収した。対象の食品は,210食品,延べ4,813食品となった。赤群の出現割合は,いずれの主食でも牛乳(63回,98.4%)が最も高かった。米飯の日では,次いで,みそ,肉類,大豆製品,魚,わかめ等が上位であり,パンの日では,上位10品目の中に,肉類,乳製品が多く含まれた。麺の日では,肉類,みそ,わかめ,チーズ等が上位に含まれた。<br>【結論】赤黄緑の各群において,出現割合の高い食品が示された。また,出現割合上位の食品の中には,既存の食品群の教材に含まれない食品もみられた。
著者
泰山 裕 小島 亜華里 黒上 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.375-386, 2014

近年,小学校の教育課程において,体系的な情報教育が求められている.しかし,小学校の教育課程には情報教育を扱う専門教科は設定されておらず,情報教育に関わる目標は各教科の中に分散されており、明確に記述されていない.本研究では,体系的な情報教育のために教科横断的な思考スキルの指導が重要であると考える.先行研究において教科別に抽出された思考スキルを,個別に検討することで教科共通の19種類の思考スキルを得た.また,思考スキル同士の関係について,質的解釈と量的検討の2つの視点から分析を行うことで整理し,思考スキルの関係図としてまとめた.
著者
岸本 寛史 小島 一晃 原武 麻里 藤原 和子 岩井 真里絵 石丸 正吾 金村 誠哲
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.911-915, 2014 (Released:2014-09-02)
参考文献数
2

アブストラル®舌下錠は, フェンタニルの速放製剤と位置づけられるが, その用法・用量の調整は, 従来のオピオイド製剤と異なる点が多い. 留意点として, 本剤の増量がレスキュー・アップであることを意識した用量調整, ベース量に見合った1回投与量の上限の目安の設定, レスキュー投与と追加投与の区別, その間隔や回数についての制限の周知, コストなどが挙げられる. これらを鑑みて, 当院では, 原則として経口摂取が難しくなってきた患者で持続注射が導入されていない入院患者を適応とした. 緩和ケアチーム・薬剤部・看護部が協力して上記留意点の周知を図った. 医師向けの講習会を診療科ごとに開催し, 講習を受けた医師のみが処方できるライセンス制を導入し, 医師から看護師への指示を標準化した. また, 看護師をはじめとする医療スタッフ向けに10回の勉強会を開催した. 処方後は, 薬剤部と緩和ケアチームによるモニタリングも行う体制を整えた.
著者
福田 隆文 深澤 秀司 杉原 英和 渡辺 幸夫 小山 富士雄 稲垣 健二 甲斐 雅行 加藤 洋 松岡 俊介 小島 直樹
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.146-154, 2005

化学工場は外部に影響を及ぼす事故の可能性があるので,住民に不安感があることは事実である.したがって,安全・安心な工業社会の確立に向け,工場のリスクに関するコミュニケーションが重要であり,そこでは住民が望んでいる情報の提供が必要である.本研究では,工場と住民の間のリスクコミュニケーションを円滑に進めるため,住民が望んでいる情報,提供の方法などを,化学産業が比較的多く立地している都府県の1,500人を対象としたweb方式アンケート調査によりまとめた.その結果,住民は化学的・技術的情報より,事故防止策や発災時の行動に関する情報を求めていること,被害としては後遺症となるものを懸念していることがわかった.また,情報は工場から直接入手したいと考えていることもわかった.
著者
小島 真志
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.61-64, 2008-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
2