著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学東アジア経済文化研究所
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.40, pp.79-98, 2012-07

日本列島の中では、文献史資料を駆使して確認を取ることが可能な古代以降の時期に限定してみても、幾多の自然災害―気象災害、地震災害や津波、火山噴火、そして伝染病の蔓延等―に見舞われ、その度に住民等はそれらへの対処を迫られた。北陸、新潟県域に於いても、当該地域特有の気象条件より齎されるものを始めとして、大風、大雨、雪害、洪水、旱魃、地震、津波、そして疫病の流行といった災害が発生当時の民衆に襲い懸かっていたのである。しかし、民衆はそれらの災害を乗り越えながら、現在へと続く地域社会を形成して来た。筆者は従前より、当時の人々がこうした自然災害を如何にして乗り越えて来たのかという、「災害対処の文化史」を構築するのに際し、近年、自然災害が頻発している北陸、新潟県域を具体的な研究対象地域として取り上げながら、その検証作業を行なっているところである。本稿では、室町時代の後半期、戦国期に於ける事例の検出と、人々に依る災害対処の手法とに就いて、更に検証作業を進めた内容をここに明らかにするものである。
著者
橋本 光宏 小林 健一 岡本 弦 西垣 浩光 吉永 勝訓
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.912-919, 2001-11-18
被引用文献数
5

手術を行った頸髄症56例に対し簡易上肢機能検査(STEF)を行い, 術前後の上肢運動機能を評価した.STEFは術前後で有意に改善し, 手術およびリハビリテーションの効果を評価するのに有用であると思われた.10項目の検査のうち特に検査8〜10において, 術前は低値を示したが, 術後の改善が著しかった.これらの検査は母指と示指による細かいもののピンチ動作を要求され, 手指の巧緻運動性を定量的に評価するのに有用であると思われた.STEFとJOA scoreの上肢運動機能項目は術前はSpearmanの相関係数0.70(p<0.01)にて, 術後は0.55(p<0.01)にて相関を示した.頸髄症の上肢運動機能評価において, STEFは客観的であり, 左右の上肢機能を別々に評価できるという長所がある.
著者
堤 康一朗 岩武 博也 桑原 大輔 俵道 淳 小林 健彦 肥塚 泉 加藤 功
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.727-733, 2000-06-20 (Released:2008-03-19)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

ヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子の転写は感染した上皮細胞の分化と密接に関連している.カルシウムを含む様々な因子が培養上皮細胞の分化を制御し,13番サイトケラチン(CK13)の発現は培養喉頭上皮細胞(HLEC細胞)の分化マーカーであることが報告されている.本研究の目的は,カルシウム濃度増加のHLEC細胞におけるCK13発現とHPV16遺伝子転写に及ぼす影響を調べることである.われわれはHPV16遺伝子を含む2種類のHLEC細胞を解析した.HPVl6によって不死化したHLEC細胞(HLEC16細胞)とHPV16陽性(HPV16が感染した)の培養喉頭乳頭腫細胞(HLP16細胞)である.HLEC16細胞ではウイルス遺伝子が細胞染色体に組み込まれていた.対照的にHLP16細胞は細胞染色体外にウイルス遺伝子は存在していた.われわれは免疫細胞染色を用いてカルシウム濃度増加のCK13発現に対する影響を評価した.HLP16細胞とHLEC16細胞は共にCK13発現誘導を伴って増加したカルシウムに反応した.HLP16細胞とHLEC16細胞におけるCK13発現は低カルシウム条件下(0.1mM)では検出不能であったが高カルシウム条件下(1.0mM)では検出された.一方,ウイルスRNAのレベルはHLP16細胞ではカルシウムを加える(1.0mM)ことによって上昇したが,HLEC16細胞では低カルシウム(0.lmM)および高カルシウム(1.0mM)条件下で同等であった.これらの結果はカルシウムが誘導する分化がHLP16細胞におけるウイルス遺伝子転写を正に制御したことを示唆する.また,ウイルス遺伝子の宿主細胞染色体への組み込みが分化に依存しないHPV16遺伝子転写の重要な決定要因なのかもしれない.
著者
小澤 弘幸 渡邊 愛記 石井 杏樹 川上 祥 小林 健太郎
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.663-669, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
12

視空間認知障害を呈した左片麻痺症例に対し,単一事例実験研究による応用行動分析学に基づいた上衣の着衣練習の有効性を検証した.着衣動作を6つの工程に分割し,それぞれに対して介助量によって点数付けをし,その得点と着衣動作の遂行時間を計測した.ベースライン期では試行錯誤による着衣練習,介入期では時間遅延法と視覚的プロンプト・フェイディング法による着衣練習を行った.その結果,介入期ではベースライン期に比べて着衣の遂行時間と得点が有意に改善し,その後も着衣動作が継続的に可能となった.これらより,応用行動分析学に基づいた着衣練習は,視空間認知障害を呈した片麻痺患者に対する有効な訓練方法であると示唆された.
著者
林 基哉 小林 健一 金 勲 開原 典子
出版者
National Institute of Public Health
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.63-72, 2020-02-01 (Released:2020-03-12)
参考文献数
6

建築物衛生法(LEHB)の制定から50年を経て,建物の衛生が再び注目されている. 1970年代には,LEHBによってシックビルディングシンドロームを予防できると考えられていたが,LEHBの基準に対する空気環境の不適合率は,この20年間増加している.最近の研究では,オフィスでのシックビルディング症候群の発生率は低くないことが示された.この不適合率の要因の 1 つは,1990年代以降の建物の省エネルギー対策のためであり,この傾向は,2017年に建物のエネルギー効率化が義務付けられたため,今後も続くと考えられている.建物衛生を考慮しつつ環境負荷を軽減するには,建築衛生の実態把握と課題の抽出が必要である.本稿では,LEHBと,日本の建物における環境衛生管理,室内空気環境,保健所による監視指導,建物衛生向上のための課題に関する最近の研究の結果を紹介する.
著者
林 基哉 金 勲 開原 典子 小林 健一 鍵 直樹 柳 宇 東 賢一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.84, no.765, pp.1011-1018, 2019 (Released:2019-11-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

The state of the increase in the nonconformity rates of air environment in specific buildings was investigated using local government survey reports. The factors in the increase of carbon dioxide concentration were analyzed in consideration of the increase of ambient concentration, the characteristics of indoor concentrations and the characteristics of the government reports. The results were as follows. 1 The nonconformity rates of humidity, temperature and carbon dioxide concentration have increased with the number of specific buildings since 1999. And reports made by the owners of specific buildings are substituted for inspections by government officials in most prefectures. 2 One of the factors in the increase of nonconformity rates of temperature, humidity and carbon dioxide concentration is the increase of reports using measurement data by building maintenance suppliers. The nonconformity rates of humidity and carbon dioxide concentration were higher in northern prefectures. 3 The frequency of indoor carbon dioxide concentration in specific buildings in Tokyo was similar to that in Osaka. The frequency distribution of the differences between indoor concentration and outdoor concentration in Tokyo follows Weibull frequency distribution. 4 The ambient concentration of carbon dioxide has increased especially in urban areas. The increase of ambient concentration is thought to increase the indoor concentrations in specific buildings. 5 The nonconformity rates of carbon dioxide concentration depend on not only ambient concentration but also the rates of ventilation reduction and survey methods by governments. The nonconformity rates were calculated using an equation composed on the basis of Weibull frequency. The coefficients of these factors were calculated using the equation and the survey data on all Japan. 6 The increase of ambient concentration made the nonconformity rate of indoor concentration 3.1% higher and ventilation reduction made it 7.2% higher and the change of survey method made it 11.6% higher in these nineteen years. These results showed that the increase of nonconformity rates depends on several factors. Therefore it is necessary to design integrated countermeasures in order to decrease these nonconformity rates.
著者
金 勲 小林 健一 開原 典子 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 中野 淳太 李 時桓 林 基哉
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和2年度大会(オンライン)学術講演論文集 第8巻 性能検証・実態調査 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.293-296, 2020 (Released:2021-10-28)

特定建築物及び中小規模建築24件を対象に、2019年度の冷暖房期に行った温度・湿度・CO2の2週間の連続測定からCO2濃度に関する結果を報告する。平均値としては1000ppmを超える建物は2割程度であったが、1回でも1000ppmを超える割合はほぼ7割あった。また、昨年度とは異なり期間中ずっと1000ppmを下回らない、3000ppmを超える高濃度を示すなど、著しく悪い環境にある物件はなかった。
著者
佐川 元保 桜田 晃 芦澤 和人 前田 寿美子 中山 富雄 負門 克典 玄馬 顕一 小林 健 鳥居 陽子 竹中 大祐 丸山 雄一郎 三友 英紀 室田 真希子 梁川 雅弘 澁谷 潔 祖父江 友孝 原田 眞雄 三浦 弘之
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.351-354, 2022-10-20 (Released:2022-10-28)

日本肺癌学会肺がん検診委員会は,2022年に「肺がん検診ガイドライン」の改訂を行った.本稿では改訂に至った経過とその概要について解説する.「現行検診」に対する「推奨」は2010年ガイドラインから変化はなかった.全国的な精度管理の徹底や,国全体の死亡率減少効果への寄与度や感度・特異度の測定などに関する評価が必要である.「重喫煙者に対する低線量CT検診」は,欧米において肺癌死亡率減少効果のエビデンスが得られたが,過剰診断,偽陽性,放射線被ばくなどの不利益は無視できない.安易な導入を行って混乱する事態を避けるためには,まずは適切な「実装研究」を行うことにより,日本の社会にどのように導入することが望ましいのかを検討することが重要である.一方,「非/軽喫煙者に対する低線量CT検診」は,現在のところ有効性のエビデンスは十分でないため,それを集積することが第一に重要である.
著者
松尾 葦江 石川 透 小林 健二 伊海 孝充 小助川 元太 岩城 賢太郎 坂井 孝一 高橋 典幸 吉田 永弘 原田 敦史 辻本 恭子 平藤 幸 伊藤 慎吾 山本 岳史 秋田 陽哉 SELINGER Vyjayanthi
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

非公開のものも含め軍記物語関連の史料・伝本・絵画資料などの調査を、4年間に36回行った。これまで個別に調査されていた資料相互の比較対照によって判明したことも多い。それらの成果は公開研究会・シンポジウム・講演会での議論を加えて、HPや冊子体の報告書などで発信してきた。また情報量の多いテキストである源平盛衰記の内容を、把握しやすい年表の形式に再編成し、平成26年度中に公刊する予定で作業を進めている。
著者
大川 佳寛 小林 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2G4GS2f03, 2021 (Released:2021-06-14)

学習済み機械学習モデルを用いたAIシステムの運用において,コンセプトドリフトとも呼ばれる時間経過に伴うデータ分布の変化は,システムの性能低下を引き起こす主な原因の一つである.しかしながら,システム運用前に,運用中のデータ(運用データ)の分布変化を事前に予期することは困難であることに加え,取得した運用データに正解ラベルを手動で付与することは高コストな作業である.従って,AIシステムが運用中においても長期間に渡ってモデル学習時と同等の性能を維持するためには,ラベルなし運用データに対しても,コンセプトドリフトを含む分布変化をリアルアイムで検知し,その変化に対してシステムを適応させる必要がある.そこで本稿では,上記のコンセプトドリフトの検知および適応手法に関して,これまで発表された代表的な手法から最新の手法までの調査結果について述べる.特に,検知・適応時において,運用データの正解ラベルを用いない(または少数の正解ラベルのみ限定的に用いる)各手法について,その特徴に基づいて整理し,紹介する.
著者
小林 健太 土屋 卓也
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-25, 2018-03-23 (Released:2018-06-30)
参考文献数
14

We describe recent development of finite element error analysis. In finite element error analysis, estimating errors of Lagrange interpolation on triangles is very important. To obtain error estimations of Lagrange interpolation, it is believed that triangles or triangulations must satisfy a certain geometric conditions such as minimum or maximum angle conditions. The authors have found that the circumradius condition of triangles or triangulations is more essential than the minimum and maximum angle conditions. To show our claim, the authors extended techniques presented by Babuška-Aziz and Liu-Kikuchi. Our method can be applied to the case of Lagrange interpolation on tetrahedrons and Crouzeix-Raviart interpolation on triangles.
著者
中川 靖夫 大久保 和明 堀内 元美 戸沢 均 小林 健二 堀江 和泉 千田 直道
出版者
社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8A, pp.588-593, 1998

An intercomparison of relative spectral responsivity measurements of illuminance meters was carried out among five companies-TOPCON, HIOKI, Minolta Co., Ltd., Yokogawa M&C Corp.and Matushita Electric Industrial Co., Ltd. The spectral responsivity of the illuminance meters were measured by each company's spectral responsivity measurement system calibrated to each company's standard. As a result, the measured values of f_s(f_s is error definition of relative spectral responsivity recommended by Japanese Industrial Standard JIS-C-1609)were different within 1.7. The f_s is identical with f_1' recommended by CIE.
著者
鈴木 俊 小林 健太
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

南部フォッサマグナは,フィリピン海・ユーラシア・北アメリカプレートの会合部にあたり,日本でも屈指の変動帯である.また,フィリピン海プレート上の伊豆-小笠原弧の本州弧への多重衝突・付加の場としても注目を集めている.本研究地域に広く分布する富士川層群浜石岳層(上部中新統~鮮新統)は,衝突現象に伴って形成されたトラフを充填した堆積物で,礫岩や火山砕屑物を主体とした地層である.これらの分布東限には活断層である富士川河口断層帯入山断層・芝川断層(総延長26km以上)がほぼNSトレンドで延び,さらに東側の庵原層群(更新統)とを境する.これらの断層群の南方延長はそのまま駿河トラフに接続するとされる(杉山・下川,1982など).よって,直近のトラフ充填堆積物中には,プレート境界部における複雑な構造運動の痕跡が記録されていることが期待される.さらに近年,浜石岳層中の礫岩層において外形が流動を伴いつつ脆性変形を受けた面状カタクレーサイトの露頭が報告された(丸山,2008).これまで浜石岳層からの面状カタクレーサイトの産出は知られていないことから,連続性や成因に関しても不明なままである.そこで本研究では,衝突帯におけるテクトニクスの解明を目的として,先述した面状カタクレーサイト露頭の基本的な記載およびそれらを軸とした各種解析を行った.面状カタクレーサイト(富士川剪断帯)は,静岡県富士宮市南西部の富士川にかかる新内房橋付近の河床に,東西30m・南北300mにわたって広く露出する.変形は一様ではなく何条かの変形集中帯が観察される.地層の走向と剪断帯のトレンドはほぼ平行である.それらの基本トレンドはN45°~60°Wであるが,一部EWトレンドも認められる.礫の変形様式は,非変形の礫から剪断変形が卓越する礫・外形が流動するような礫(Cataclastic flow)まで多種多様であり,これらが共存して産する.礫のファブリックから求められる剪断センスは左横ずれを示すものが多い.剪断帯の連続性については今回の調査では認められず.周辺地質ではNS系の褶曲構造や断層ガウジを伴うような脆性変形が卓越的であることが明らかになった.また,各所にて断層面の構造測定を行い,多重逆解法(山路,2000)を用いて古応力の復元を試みた.その結果,剪断帯においてはNNE-SSWσ1の横ずれ応力場,周辺の断層ガウジからはEWσ1の逆断層応力場,入山断層直近の破砕帯からはWNW-ESEσ1の左横ずれ応力場が卓越的に検出された.以上のような記載・解析の結果,剪断帯は周辺地質のNS系の基本構造とは明らかに斜交するNW-SE方向の基本構造を持って,局所的な分布で産出することが明らかになった.また,断層岩の形成レジューム深度の観点から考えると,剪断帯とその周辺地質の変形様式には明らかなギャップが存在する.仮に剪断帯が断層ガウジ形成レジューム深度よりもより深部で形成されたものと考えるならば,剪断帯のNW-SE方向の構造は周辺のNS系の褶曲構造を切断しているため,褶曲形成後に局所的な地質体の上昇イベントがあったことが考えられる.応力解析結果より,本研究地域にはまず剪断帯を形成するようなNNE-SSW圧縮の横ずれ応力場が働いていた.地質体の上昇と共にそれらはNS系の褶曲構造形成に寄与したEW圧縮に転化し, NS系の断層群は逆断層として活動した.その後,WNW-ESE圧縮の横ずれ応力場で入山断層は左横ずれ運動を開始し,トレース付近において幅広い破砕帯を形成したと考えられる.本発表では,このような記載・解析結果からプレート境界部における地質構造発達史について議論する.
著者
鍛治 恭介 鵜浦 雅志 小林 健一 中沼 安二 西村 浩一 坂本 徹 竹内 正勇 寺崎 修一 下田 敦 卜部 健 松下 栄紀 金子 周一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.872-876, 1992
被引用文献数
4

症例は53歳女性で1991年3月検診時にGOT 329, GPT 306とトランスアミナーゼの上昇を指摘され精査加療目的にて当科入院.検査成績では血沈65mm/hrと亢進,γ-glb 3.5g/dl,IgG 5.5g/dlと上昇,抗核抗体が160倍と陽性,また抗C100-3抗体,PCR法にてHCV RNAが陽性であり,自己免疫型の病型を示すC型慢性肝炎と診断した.プレドニゾロン(PSL) 40mgより加療するも改善は認めず,PSL漸減後α-インターフェロン(α-IFN)投与を開始した.α-IFN投与後GPT値は速やかに正常化し,また,γ-glb値は2.1g/dlまで減少した.一方,抗核抗体は持続陽性であったが,抗体価の上昇は認めなかった.なおIFN投与後22日目の時点で測定したHCV抗体,HCV RNAはいずれも陽性であった.C型慢性肝炎の一部に自己免疫型の病型を示す症例が存在し,また,IFNが有効な症例が存在することを示す貴重な症例と思われ報告した.
著者
横井 孝 大高 洋司 大橋 直義 小林 健二 大友 一雄 恋田 知子 小山 順子 宮間 純一 木越 俊介
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.49, pp.1-16, 2017-10-16

●メッセージ本文研究の近未来と集積の意味と●研究ノート「近世職人尽絵詞」影印・注釈の出版道成寺文書概観――特に「縁起」をめぐる資料について――ホノルル美術館リチャード レイン コレクションの「鉢かづき」●トピックス〈日本バチカン国交樹立75周年〉研究集会「バチカン図書館所蔵切支丹関係文書の魅力を探る」特別展示「伊勢物語のかがやき――鉄心斎文庫の世界――」関連のお知らせ日本文学資源の発掘・活用プロジェクト始動子ども霞が関見学デー津軽デジタル風土記、はじめの一歩――調印式・記念講演レポート――第41回国際日本文学研究集会プログラム総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況●表紙絵資料紹介山崎龍女筆「業平涅槃図」
著者
大場 秀悟 小林 健一
出版者
社団法人 日本伝熱学会
雑誌
日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.341-341, 2011

自動車の車内空間は建築空間と異なり日射熱制御や断熱材等による断熱化が困難であるため,過酷な状況になりやすい.そこで本研究では,熱線反射フィルムを自動車のガラス部分に貼ることによる車内の温熱環境の制御を試みた.熱線反射フィルムは,通常のガラスと比べ侵入する日射量を抑制し,室内の温度上昇を抑えられる事が分かった.また,自動車のリアガラスによく使用される遮光フィルムと比べ,ガラス温度が上昇しにくくなることが分かった.このフィルムを実車に使用した場合も同様に,車内温度の上昇を抑制する効果が確認された.