著者
坂本 信道 西村 慎太郎 三ツ松 誠 鈴木 喬 柏原 康人 小山 順子 中川 博夫 小林 健二 三野 行徳 有澤 知世 恋田 知子 荒木 優也 太田 尚宏
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.50, pp.1-16, 2018-01-24

●メッセージ平安時代人の散歩――国際化と辞書――●研究ノート明治27年の長塚村大字渋川の人びと――原発事故帰還困難区域の歴史資料を読む――平田国学と和歌●書評ブックレット〈書物をひらく〉2入口敦志著『漢字・カタカナ・ひらがな 表記の思想』ブックレット〈書物をひらく〉5恋田知子著『異界へいざなう女 絵巻・奈良絵本をひもとく』●トピックス「ないじぇる芸術共創ラボ NIJL Arts Initiative」について第10回日本古典文学学術賞受賞者発表第10回日本古典文学学術賞選考講評バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書群の調査と活用 ローマでのくずし字講座と講演会の開催について大学共同利用機関シンポジウム2017 「研究者に会いに行こう!――大学共同利用機関博覧会――」平成29年度「古典の日」講演会第41回国際日本文学研究集会総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況●表紙絵資料紹介武蔵国多摩郡連光寺村富沢家文書「諸用扣(留)」
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要
巻号頁・発行日
no.49, pp.49-89, 2017-07

日本に於いては、同じ様な場所に於いて繰り返されて来た、殆んど周期的な地震の発生に依り、人的、物的にも多大な被害を被って来たのである。人々(当該地震に関わる被災者達)は、そうした大規模な震災の記憶を、文字情報としては勿論のこと、それ以外の非文字認知的手法―説話・伝承・地名・宗教施設・石造物・信仰等、としても残し、子孫への警鐘・警告、又、日常生活上の戒めとして来たのである。それは、日本社会で大多数の人々(為政者層、被支配者層の人々)に依って、或る事柄の記録が、文語資料として残される様になるのは、近世に入って以降のことであったからである。これは、寺子屋・郷学・私塾・藩校・藩学等に見られる教育機関の普及や、社会の安定、貨幣経済の成熟、農業振興等の理由に依る。それ以前の段階に於いては、文字を使用した形式での情報共有は困難であったのである。本稿では、そうした視角に立脚し、地震鎮めの効果を期待して実施されていた、「要石(かなめいし)信仰」に焦点を当てつつ、その太平洋沿岸諸地域と、日本海沿岸諸地域間での残存状況を比較、検討しながら、その差異の検証、分析や、その背景、経緯等に就いて考察を加えたものである。
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = BULLETIN OF NIIGATA SANGYO UNIVERSITY FACULTY OF ECONOMICS (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.59, pp.43-80, 2021-10

日本では、古来、様々な自然災害―大雨、泥雨、洪水、浸水、土石流、地滑り(陸上・水底)、地震、津波、火山噴火、大雪、雪崩、紅雪、雹、台風(大風)、暴風雨、竜巻(辻風)、落雷、高波、高潮、旱害、低温、高温、蝗害、黄砂、飛砂、塩害、山火事等、そして、人為的災害―疫病流行、戦乱、火災(失火)、盗賊・海賊、略奪行為の発生等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、人々はその都度、復旧、復興させながら、現在へと至る地域社会を形成、維持、発展させて来た。日本は湾曲した本州部分を主体とした島嶼国家であり、その周囲は水(海水)で囲まれ、高山地帯より海岸線迄の距離が短い。自然地形は狭小な国土の割には起伏に富む。その形状も南北方向に湾曲して細長く、本州部分の幅も狭い。日本では、所謂、「水災害」が多く発生していたが、それは比較的高い山岳地帯が多くて平坦部が少なく、土地の傾斜が急であるというこうした地理的条件に依る処も大きい。つまり、日本では古来、日常生活に適した安全な土地は少なく、折角営んでいた集落も被災し、消滅する可能性が大きかったと言うことができ得る。古代宮都の設定条件の1つとして盆地地形が選択されていたのも、中国由来の都城設計思想上に依る理由以外にも、そこへ流れ込む大河川が少なく、かつての日本でも頻発していたであろう「水災害」に対しては、比較的安全であったという現実的な事情も大きく関係していたことが想定されるのである。ただ、こうした地理的要因に依る自然的な災害も、人の活動に伴なう形での人為的な災害等も、発災当時の日本居住者≠日本人に無常観・厭世観を形成させるには十分な要素として存在したのである。文字認知、識字率が必ずしも高くはなかった近世以前の段階でも、文字情報を自由に操ることのできる限られた人々に依った記録、就中(なかんづく)、災害記録は作成されていた。特に古い時代に在って、それは宗教者(僧侶、神官)や官人等に負う処が大きかったのである。正史として編纂された官撰国史の中にも、古代王権が或(あ)る種の意図を以って、多くの災害記録を記述していた。ここで言う処の「或る種の意図」とは、それらの自然的、人為的事象の発生を、或る場合には自らの都合の良い様に解釈をし、加工し、更に、政治的、外交的に利用し、喧伝することであった。その目的は、正確な記録を取ること以上に、それらを独占し、災害対処能力を持ち得る唯一無二で、広域的版図を持った王権として、自らの「支配の正当性、超越性」を合理的に人民へ主張することであったものと考えられる。それは又、自らの政権が国を代表する王権であるとした意思表示でもあり、自負でもあったものと類推されるのである。日本に於ける「公儀」意識成立の瞬間であった。時期が新しくなり、取り分け、カナ文字(特にひらがな)が一般化する様になると、その文体とは関わり無く、私的記録としての個人日記(私日記)や、読者の存在を想定した日記、物語、紀行、説話集等、文学作品の中でも、各種の災害情報が直接、間接に記述される様になって行った。前者では、自らの住居が在る都や、自らの所領が存在する等、所縁(ゆかり)や権益関係のある場所に関わる発災、被災状況の記録が主体であるが、後者では、そうした関係性は殆(ほとん)どの場合には見られない。ただ、文学作品中に描写された災害情報が全て事実であったとは言い難い。しかしながら、それも最初から嘘八百を並べたものではなく、素材となる何らかの事象(実際に発生していた災害)を元にして描かれていたことは十分に考えられるのである。自らが被災したか、否か、現認情報であるか、伝聞情報かを問わず、そうでなければ、読者、受け手の共感を得、興味を引くことは困難であったものと考えられる。従って、文学作品中には、却って真実としての、当時の人々に依る対災害観や、ものの見方が反映され、包含されていたことが想定されるのである。筆者がかつて、『災害対処の文化論シリーズ Ⅰ ~古代日本語に記録された自然災害と疾病~』〔DLMarket Inc(データ版)、シーズネット株式会社・製本直送.comの本屋さん(電子書籍製本版)、2015年7月1日、初版発行〕に於いても指摘をした如く、都が平安京(京都市)に移行する以前の段階に於いては、国政運営に際して「咎徴(きゅうちょう)」の語が示す中国由来の儒教的災異思想の反映が大きく見られた。しかしながら、本書で触れる平安時代以降の段階に在って、表面上、それは影も形も無くなるのである。その理由に就いては、はっきりとはしていない。それを補うかの如く、人々に依る正直な形での対自然観、対災害観、対社会観の表出が、古記録や文学作品等を中心として見られる様になって来るのである。本稿では、以上の観点、課題意識より、日本に於ける対災害観や、災害対処の様相を、意図して作られ、又、読者の存在が意識された「文学作品」―「今昔物語集」をその素材としながら、「災害対処の文化論」として窺おうとしたものである。作品としての文学、説話の中に如何なる災異観の反映が見られるのか、或いは、見られないのかに関して、追究を試みることとする。これに加えて、それらの記載内容と、作品ではない(古)記録類に記載されていた内容に見られる対災害観との対比、対照研究をも視野に入れる。ここでは、既刊である『災害対処の文化論シリーズ Ⅷ 日本の古典に見る災害対処の文化論 ~日本的無常観の形成~』(販売:シーズネット株式会社、2021年6月30日初版発行)とも合わせて、日本の古典中に出現していた災異の様相を垣間見たものである。
著者
藤井 公一 宮武 諭 石山 正也 大木 基通 冨岡 秀人 加瀬 建一 小林 健二
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.478-480, 2014-06-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
10

2011年1月から2013年1月の2年間に,肺塞栓症と診断され失神を伴った5例について,その特徴を診療録より後方視的に検討した。平均年齢73.6歳。2例は随伴症状を認めなかった。来院時のvital signsは,収縮期血圧低値1例,頻脈2例,SpO2低値1例であった。D-dimer 値は全例で上昇していた。心電図異常4例,心エコー検査による右心負荷所見は全例で認めた。治療は全例で抗凝固療法が施行され,うち1例に血栓溶解療法が施行された。失神を伴わなかった肺塞栓症患者12例との比較では,平均年齢が高く(p=0.045),右心負荷所見を認める割合が高かった(p=0.049)。心エコー検査とCTを施行するまでの時間は,失神を伴っていた患者で長くなる傾向がみられた。失神を伴う肺塞栓症患者は典型的症状に乏しく,心エコー検査やD-dimer測定は失神患者の原因検索としても有用である。
著者
小菅 瑠香 小林 健一 筧 淳夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.686, pp.765-773, 2013-04-30 (Released:2013-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

This study describes the effect of all single-room wards on hospital-bed management and how it differs from mixed multi-bed-room wards from a case of redesigned hospital building. Surveys were conducted for 32 days by nurses in these two types of wards with a recordkeeping of each patient's bed location, patient's nursing need degrees, and the reasons of each patient-bed transfer. It showed that both types of wards have a tendency to place patients who need high level of nursing care, around the staff station. The study concludes that the all single-room wards reduce the number of patient-bed transfers especially based on patient's request for favorable therapeutic environment.
著者
太田 健太郎 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.137-142, 2011-01-13

太陽エネルギーの取得を行う無線センサネットワークにおけるノード稼働率の向上を目指している.ネットワーク全体の消費エネルギーを低減できる方法として,データ送信時にノードがデータの中継を行う協力伝送方式がある.しかし,取得エネルギーの変動を考慮しない場合,夜間にノード稼働率が低下する問題が生じる.本稿では,電池切れにより停止したノードの再稼働条件を導入することで昼夜のノード稼働率の平滑化を行い,要求される高いノード稼働率を達成する.
著者
梅本 通孝 熊谷 良雄 小林 健介 石神 努 渡辺 実 室崎 益輝 大西 一嘉
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.7, pp.228-233, 1997-11
被引用文献数
1

The Great Hanshin-Awaji Earthquake Disaster caused an LPG leak incident at a plant in Higashinada ward, Kobe city. Kobe municipal authorities announced evacuation recommendation to 72,000 inhabitants. A questionnaire was conducted to know when, where and how the inhabitants received the information of evacuation recommendation. Results of the questionnaire are as follows : ・In the day the evacuation order was announced, 9.9% of inhabitants in the recommendation area concerned did not receive the information of the recommendation. ・The farther from the plant where the incident happened, the more lately inhabitants received the information of the recommendation. ・Though about 80% of people who received the information of the recommendation become aware of the cause of it, many of them didn't know the further information.
著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 三宅 晶子 天野 文雄 石井 倫子 稲田 秀雄 表 きよし 樹下 文隆 西村 聡 松岡 心平 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

番外曲を中心に、カ行までの170番1020本ほどを翻刻した。また代表者・分担者・連携研究者はそれぞれ別記の論考を発表した。研究成果として発表した謡本以外にも、全国の謡本資料を博捜して、『国書総目録』未収の謡本を多数発見、デジタル化した。それらはハードディスクに複写して連携研究者以上の研究参加者がそれぞれ保管し、今後の作業のために役立てる。また竹本が監修し、分担者等の内、三宅晶子・山中玲子が中心となり、落合博志・大谷節子が補佐して編集実務に当たる形で、『現代謡曲集成』全6巻を企画し、勉誠出版より刊行の予定である。これについてはすでに第1巻が本年度中に刊行の予定で、数年以内に全巻刊行の後、別途全謡曲本文を網羅した『謡曲大成』を刊行の予定である。また分担者の内、大谷節子が、別記の著書『世阿弥の中世』により、2008年度角川源義賞を受賞したことも申し添えたい。
著者
小林 健一 筧 淳夫 伊藤 昭 糸山 剛 河口 豊 郡 明宏 辻 吉隆 森本 正一 柳 宇
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.16, no.34, pp.1099-1104, 2010-10-20 (Released:2010-10-20)
参考文献数
8

In the current laws and ordinances, the matter to accommodate the tuberculosis patient who is an airborne infectious disease is not exhibited. In this study, we discussed the building standard of the medical institution which accommodate tuberculosis patient, for the purpose of showing recommendations. The medical institution to accommodate tuberculosis patients needs to keep building facilities corresponding to the airborne infection, and it is necessary to perform use based on the latest scientific evidences.
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.54, pp.91-121, 2019-10

日本(列島)は南北に湾曲して細長く、又、列島部分の幅も狭い。そこに横たわる自然地形も狭小な国土の割には起伏に富む。又、島嶼部も夥しく存在する。従って、日本に於いては歴史的にも、地震や火山噴火と言った地盤に関わる自然災害だけではなく、津波や高潮、高波、大雨、洪水、土石流等と言った「水災害」の影響をも大きく受けて来たという特質がある。日本の古代王権は、或る種の意図を以って、そうした自然災害を文字情報としての記録に残すことを行なって来た。ここで言う処の「或る種の意図」とは、それらの自然的な事象の発生を、或る場合には自らの都合の良い様に解釈をし、加工し、政治的に利用、喧伝することであった。その目的は、災害対処能力を持ちうる唯一の王権として、自らの「支配の正当性」を合理的に主張することであったものと考えられる。それでは、韓半島の場合にはどうであろうか。筆者が『災害対処の文化論シリーズ Ⅰ ~古代日本語に記録された自然災害と疾病~』〔DLMarket Inc(データ版)、シーズネット株式会社・製本直送.comの本屋さん(電子書籍製本版)、2015年7月1日、初版発行〕に於いても指摘をした如く、「咎徴(きゅうちょう)」の語が示す中国由来の儒教的災異思想の反映はその一例である。ところで、本稿に先立って刊行した『災害対処の文化論シリーズ Ⅵ 韓半島における災害情報の言語文化 ~倭国に於ける災害対処の文化論との対比~』〔単著書、販売:シーズネット株式会社(2019/2/1)〕で主たる素材として扱った「三国史記」は、韓半島で現存する最古の記録書とされており、新羅国(新羅本紀12巻)、高句麗国(高句麗本紀10巻)、百済国(百済本紀6巻)3ヶ国の事績を体系的、時系列的に記したものである。3か国の本紀の他にも、年表3巻(上、中、下)、志9巻、列伝10巻、合計50巻よりなる。西暦1145年、高麗国の仁宗(第17代国王)の命に依り、金富軾等19名の史官等が編纂、担当し、進上したとされている。李王朝の中宗代(1506~1544年)に慶州で刊行された木版本が刊本としては現存最古のもので、その影印本が流布している。「三国史記」は、中国大陸で行なわれていた正史編纂事業を大いに意識して作成されたらしく、その意味に於いては、日本に於ける六国史、取り分け、「日本書紀」的存在であったのかもしれない。それ故に、その編纂に際しては、東アジア世界に特有の、特定の歴史観、国家観、対外観、宇宙観、そして、対自然(災害)観等が色濃く反映されていた可能性もあり、史料としての取り扱いには慎重であるべきであって、慎重な史料批判も必要とされた。つまり、正史である以上、そこに記された事象に曲筆、虚偽、隠蔽、粉飾、宣伝等の作業が存在していることも十分考慮されたのである。又、記録の特性上、編纂者の故意ではないものの、結果としてその事象が偽であったり、偏見や誤解が包含されている可能性に就いても、排除をすることは出来ないとした。それでは、「三国遺事」の場合に在っては、どうであろうか。「三国遺事」は、新羅国、高句麗国、百済国に関わる古記録、伝承、神話等を収集、編集し、そこに就いての遺聞逸事を記した書物である。高麗王朝期に、一然(いちねん。普覚国師。1206~1289年)に依り撰述され、一部分はその弟子であった無極が補筆したとされる。全5巻より成る。本稿では、そうして成立した「三国遺事」に記された、自然災害、人為的災害関係記事の内容、編纂意図や位置付けを、言語文化、文化論の視角より探ってみることとする。「三国遺事」に於いては、如何なる対自然災害観や、災害対処の様相が記録されていたのか、いなかったのかを追究することが本稿の目的とする処の1つである。更には、こうした素材を使いながら、韓半島に於ける災害対処の様相を文化論として構築をすることが出来得るのか、否かを検証することも2つ目の目的として掲げて置く。本稿では、そうした観点、課題意識より、韓半島に於ける対災害観や、災害対処の様相を文化論として窺おうとしたものである。シリーズ後半部分に当たる本稿では、気象、その他の事象に関わる記事を中心として、検証作業を進めて行くこととする。尚、本稿に於いて使用する「三国遺事」は、昭和3年(1928)9月に朝鮮史学会が編集、発行した刊本であり、昭和46年(1971)7月に国書刊行会より復刻、発行された『三國遺事(全)』である。更に、史料引用文中の読み方や現代語訳等に関しては、金思燁氏訳『完約 三国遺事』の記載に依った部分が存在することを明示しておく。
著者
中村 裕子 橋本 研 小此木 雄 牛込 瑛子 橋島 弓子 高橋 哲哉 小林 健二 小谷 依子 鈴木 玲爾 坂上 宏 申 基哲
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.331-340, 2011-10-31 (Released:2018-03-23)
参考文献数
27

本研究の目的は,次亜塩素酸電解機能水(Hypochlorous-acid Electrolyzed Water: HEW)による宿主細胞への傷害性と,アルカリホスファターゼ(ALP)活性に与える影響を検討することである.HEWは,炭酸と塩化ナトリウム(NaCl)溶液を電気分解することによって生成される中性(pH7.2)で有効塩素濃度650ppmを有する電解水である.その殺菌効果は,陰イオンの活性酸素とHClOによるものと考えられている.HEWとNaOCl溶液のヒト歯髄線維芽細胞(HPC),ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL),ヒト末梢血好中球(PMN)およびヒト皮膚線維芽細胞三次元培養モデルに対する傷害性について,MTT assayを用いて検討した.HPC, HPDLおよびPMNを細胞培養用シャーレにて培養し,各濃度に調整したHEW, NaOCl溶液で処理した.HEWとNaOCl溶液は,濃度と作用時間に依存して細胞傷害性を示した.HEWの細胞傷害性はNaOCl溶液よりも低かった.次にHEWおよびNaOCl溶液のHPCのALP活性へ与える影響を,ALP assay kitを用いて検討した.HEWおよびNaOCl処理は,いずれも,HPC細胞のALP活性を低下したが,HEWのほうがはるかに軽微であった.三次元培養モデルにおいては,HEWの細胞傷害性はほとんど観察されず,NaOCl溶液のみが傷害性を示した.本研究は,HEWによる細胞傷害性は,NaOClよりも低く,根管洗浄剤として使用できる可能性を示唆する.
著者
金折 裕司 小林 健治 安野 泰伸 割ヶ谷 隆志 山本 哲朗
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.220-230, 1999-10-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

1997年6月25日に発生した山口県北部地震 (M6.1) の震央付近の阿武川河床で確認された断層露頭の性状を記載するとともに, 地震動による家屋被害のデータを再検討し, 震源断層と断層露頭や被害域との関係を議論した. 断層露頭は地質境界として指摘されていた迫田-生雲断層の北東端付近に位置し, NE-SW方向で幅5m以上のカタクレーサイト化したゾーンが発達している. このゾーン内部には最大幅50cmの断層ガウジ帯が “杉” 型に雁行配列して発達し, 右横ずれの運動センスを示唆する. この運動センスは山口県北部地震の発震機構と一致した. さらに, この地震の余震は迫田-生雲断層北東部に集中する.家屋被害率を被害家屋総数/世帯数と定義し, 山口県阿武郡阿東町とむつみ村の地区 (字) ごとに被害率を計算した. 被害率の最も高かった生雲西分地区は震央の南西約5kmに位置し, 迫田-生雲断層上にあった. また, 被害域は生雲西分を中心とし, 迫田-生雲断層を軸とする半径10kmの円内に収まっている. これらのことから, 山口県北部地震は迫田-生雲断層北東部の活動で発生したことが裏付けられた.
著者
金折 裕司 小林 健治 安野 泰伸 割ヶ谷 隆志 山本 哲朗
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.220-230, 1999-10-10
参考文献数
27
被引用文献数
5 3

1997年6月25日に発生した山口県北部地震(M6.1)の震央付近の阿武川河床で確認された断層露頭の性状を記載するとともに, 地震動による家屋被害のデータを再検討し, 震源断層と断層露頭や被害域との関係を議論した.断層露頭は地質境界として指摘されていた迫田-生雲断層の北東端付近に位置し, NE-SW方向で幅5m以上のカタクレーサイト化したゾーンが発達している.このゾーン内部には最大幅50cmの断層ガウジ帯が"杉"型に雁行配列して発達し, 右横ずれの運動センスを示唆する.この運動センスは山口県北部地震の発震機構と一致した.さらに, この地震の余震は迫田-生雲断層北東部に集中する.家屋被害率を被害家屋総数/世帯数と定義し, 山口県阿武郡阿東町とむつみ村の地区(字)ごとに被害率を計算した.被害額の最も高かった生雲西分地区は震央の南西約5kmに位置し, 迫田-生雲断層上にあった.また, 被害域は生雲西分を中心とし, 迫田-生雲断層を軸とする半径10kmの円内に収まっている.これらのことから, 山口県北部地震は迫田-生雲断層北東部の活動で発生したことが裏付けられた.
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.37, pp.59-92, 2011-03-18

能《源氏供養》は『源氏供養草子』を典拠としていることが指摘されていたが、《源氏供養》は石山寺を供養の舞台とし、また供養の依頼者である紫式部が実は石山の観音であったという大きな相違を有する。本稿では、石山寺という紫式部伝承の磁場に注目し、紫式部が観音の化身であったとする言説や、源氏の間という特殊な宗教空間、崇拝の対象となったであろう紫式部画像、そして歌人達の紫式部を尊崇する文芸行為を通して、石山寺において源氏供養がなされていた可能性を追究し、《源氏供養》が制作された背景の一斑について考察した。Though it has been regarded that the Noh “Genji-kuyo” has its narrative source in “Genji-kuyo-soshi”, it also should be noted that the Noh differs from “Genji-kuyo-soshi” in two significant ways; one is that the site of Genji kuyo service is set at the Ishiyama-dera temple,and the second is that Murasaki Shikibu who requests the service is eventually found out to be Bodhisattva of Ishiyama. Focusing on Ishiyama-dera temple functioned as a sacred site of Murasaki Shikibu legend, this paper will point out, as a background of the Noh “Genji-kuyo production, the possibility that the Genji-kuyo service had actually been performed at Ishiyama-dera temple. I will examine the possibility by taking up the following points: the discourse which recognizes Murasaki Shikibu as an incarnation of Bodhisattva, the existence of Room of Genji in Ishiyama-dera temple as a particular ritual space, the pictorial imagery of Murasaki Shikibu which would have functioned as an object of worship, and the literary practices done by poetsthose who honor Murasaki Shikibu.
著者
江川 香奈 内田 聡 野田 五十樹 依田 育士 堀内 義仁 小林 健一 筧 淳夫 長澤 泰
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.669, pp.2057-2064, 2011
被引用文献数
2

The study aims at finding out potential capacity for admitting casualties suffering from devastating disasters occurred in the vicinity of hospitals within a limited time frame during ordinary day to day hospital services. Three stages of analysis on admitting casualties were carried out. As the results, quite significant implications were obtained, inter alia, number of CTs / X-rays as well as the treatment space are found to be critical factors in order to complete the treatment of casualties in limited period of time.
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.58, pp.55-83, 2021-06

日本では、古来、様々な自然災害―大雨、洪水、土石流、地滑り、地震、津波、火山噴火、雪害、雹、暴風雨、高波、高潮、旱害、冷害、蝗害等、そして、人為的災害―疫病流行、戦乱、盗賊・海賊、略奪行為の発生等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、彼らは忍耐を伴ないながらも、その都度、復旧、復興しながら、現在へと至る国家や、その基盤となって来た地域社会を形成、維持、発展させて来た。世界史的に見ても、日本はあらゆる災害の多発地であったし、その様相は現在でも変わりは無いのである。ここに住む限りに於いては、そうした災異は誰にでも降り懸かって来ていたのである。それ故の、独特で、固有の感性=対災異観を、ここに住み続けて来た人々は伝統的に醸成して来たと言うことができる。本稿では、今回、同時に発表している別稿(本誌掲載「「土左日記」に見る災異観 ~祈りのかたち~」)と共に、日本に於ける対災異観や、災害対処の様相、及び、思想を、意図して作られ、又、読者の存在が想定された「文学作品」を素材としながら、「災害対処の文化論」として窺おうとしたものである。作品としての文学に、どの様な災異観の反映が見られるのか、否かに関して、追究を試みた。今回、具体的な素材としては、紀貫之の筆に依るものと見られる「土佐日記」を取り上げ、そこに見られる「年中行事と習俗」を元にしながら、対災異観を明らかにしたものである。