著者
宮本 学 岡部 公樹 吉川 知伸 金子 恵美 緒方 美佳 吉田 幸一 本村 知華子 小林 茂俊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.213-223, 2023-08-20 (Released:2023-08-21)
参考文献数
26

我々は,災害医療従事者を対象に,災害時のアレルギー患者対応に関するパンフレットや相談窓口など既存のツールの評価,災害医療従事者のアンメットニーズを調査するためアンケート調査を行い,266名から回答を得た.アレルギーに関する情報を得る手段は,平時では電子媒体や講演会が,災害時にはスマートフォンアプリや紙媒体の要望が多かった.アレルギー関連webサイトなど既存ツールの認知度は約10~30%と高くなかった.COVID-19が災害時のアレルギー疾患対応に悪影響があると回答したのは66%であった.73%の災害医療従事者が,災害時アレルギー対応窓口の一本化を望んでいた.また,自助の啓発,患者情報を把握するためのツールを要望する意見も多数みられた.これらの結果から,災害医療従事者に向けたアレルギー疾患マニュアルの拡充を積極的に行う必要があると考えられた.
著者
玉井 昌紀 英 肇 古田 浩人 坂本 浩一 濱西 徹 木村 りつ子 巽 邦浩 下村 裕子 小林 正人 若崎 久生 松本 英作 西 理宏 中尾 大成 佐々木 秀行 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.755-758, 2004-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
2

症例は63歳, 女性, 2型糖尿病, 妄想性障害にて加療中, 自殺企図にてインスリン1200単位を皮下注射し入院となった, 約4日間低血糖が持続し, 治療のために投与したブドウ糖の総量は1.050gであった. 経過中特に重篤な合併症や後遺症を認めなかった. 本症例を含む10症例の検討では, 低血糖消失までの時間は14時間から6日で, 数百単位以上のインスリン投与例のほとんどは2日間以上低血糖が持続していた. また, 治療に要したブドウ糖総量は170-3, 100gで, 単位時間当たり平均約18gが投与されていた. 報告例は全例糖尿病患者で, 1型と2型糖尿病患者がほぼ同頻度に認められた, 基礎疾患としてうつ病などの精神疾患が多く, 再発例も2例認められたことから, 再発予防のための十分な精神的ケアも必要であると思われる.
著者
小林 慧人 久本 洋子 福島 慶太郎 鈴木 重雄 河合 洋人 小林 剛
出版者
The Japanese Forest Society
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
pp.461, 2023-05-30 (Released:2023-05-30)

タケ類(イネ科タケ亜科)の生活史において有性繁殖は極めて稀なイベントであり、開花周期や開花習性や更新様式に関する知見は未だ限られる。一方、2010年代から現在にかけて、およそ120年周期とみなされるマダケ属ハチクの大規模開花が生じており、その実態解明の好機を迎えている。予測困難なタケ類の有性繁殖の機会を広域に把握するためには、研究者のみならず多くの市民の協力を得た記録や情報共有が有効な手段の一つになると考えられる。ハチクだけでなくさまざまなタケ種にかかわる有用な情報を蓄積するため、発表者らは Google MapやGoogle Formなどを活用し、市民参加による情報の収集・共有システムを試行した。研究者による現地観察、メディアの報道、SNSや各種アプリに挙げられた記載などに基づいて開花にかかわる情報を2019年から収集した。その結果、現段階で西日本を主とする日本各地から1400件に及ぶ情報を得た。情報の約9割はハチク類の開花であり、タケ類の有性繁殖の理解の基礎をなす情報も含まれた。本発表では、成果の報告にとどまらず、市民の協力によって得られる情報の学術的な活用のあり方や、今後の展望についても議論する。
著者
新熊 悟 小林 信彦 前田 真紀 森戸 啓統 北村 華奈 浅田 秀夫 宮川 幸子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.169-174, 2007 (Released:2010-12-06)
参考文献数
20

57歳,女性。解離性障害による昏迷状態のため経口摂取が不可能となり,当院精神科に入院中,顔面にびまん性の紅斑・浮腫が出現した。その後,口囲に鱗屑が付着するようになり,びらん・膜様鱗屑を伴う紅斑が急速に全身に拡大した。Nikolsky 現象陽性。迅速凍結切片により表皮浅層での裂隙形成を確認し,staphylococcal scalded skin syndrome(SSSS)と診断した。起炎菌はMRSAであった。アルベカシンの点滴静注により皮疹は速やかに治癒した。成人SSSSの鑑別診断として最も重要な疾患は中毒性表皮壊死剥離症型薬疹であり,両疾患を病理組織学的に鑑別する迅速診断法に習熟する必要がある。
著者
佐藤 れえ子 御領 政信 小林 沙織
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

猫多発性嚢胞腎の嚢胞形成機序を明らかにするために、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子変異によるツーヒット変異を証明し、嚢胞細胞増殖シグナル伝達経路をブロックする分子標的薬を決定して、猫における至適投与量を模索した。その結果、嚢胞ネットワークを通じて全国より血液検体と死亡症例の腎臓を収集でき、PKD1遺伝子のPCR-RFLP法とダイレクトシークエンスによる遺伝子検査の結果、腎嚢胞細胞PKD1遺伝子にホモ型変異を検出し(エクソン29、c.9891)ツーヒット変異が生じていることを明らかにした。治療薬にはcAMP pathwayを抑制するトルバプタンを選択し、短期投与と長期投与を実施して投与量を決定した。
著者
椎貝 達夫 前田 益孝 小林 隆彦 棚瀬 健仁 小林 君枝
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.928-932, 2003-03-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

慢性腎疾患 (CKD) の進行抑制に低たんぱく食 (LPD) は不要という説がある。しかしCKDのうちの非糖尿病性腎症 (NDN) を対象としたLPDのランダム化比較試, 験 (RCT) についてのメタアナリシス (MA) 3篇では, いずれのMAでもLPDは「進行抑制に有用」と結論されている。他領域でも行われているような, RCT一つ一つの質を評価し, 質の高いものだけのMAを行えば, LPDの有用性はさらに高まると思われる。一歩退いて進行抑制にLPDが無効の場合を考えてみよう。WHO/FAOが疾病予防の観点から30年前に発表した一般人の食事についての勧告では, 推奨される1日たんぱく摂取量 (DPI) はたんぱく0.8g/kg/dayであった。しかし先進国では国民のDPIはどの国でも1.1~1.3g/kg/dayである。CKDに対し食生活に何の規制も加えなければ, この一般人のたんぱく摂取量になってしまうだろう。一般人より心血管系リスクがはるかに高いNDN・CKD例がたんぱく制限なしで良いとは到底考えられない。つまりどのような立場であってもDPIのモニタリングをキチンと行い, DPIO.89/kg/day, あるいはDPI0.6g/kg/dayになるような指導を行い, その条件下に降圧療法, レニン・アンジオテンシン系抑制, アシドーシス補正, 腎性貧血の治療などの総合的な進行抑制療法を行うべきだろう。
著者
吉川 和男 小林 航 島崎 康信 下村 博之
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.258-261, 2021 (Released:2022-11-01)
参考文献数
4

The 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake brought about great numbers of landslides in the broad area of the eastern Iburi region, Hokkaido, especially Atsuma town. As emergency disaster response to the earthquake, PASCO Corporation carried out 1) taking oblique aerial photographs, 2) automatic extraction of landslides using optical satellite imagery (SPOT6), 3) detection of surface deformation with DInSAR analysis and 4) field surveys based on DInSAR analysis. This paper introduces the analysis of extraction utilizing optical satellite images with deep learning, which has been actively studied in recent years.
著者
許 懷哲 絵野沢 伸 小林 英司
出版者
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
雑誌
Organ Biology (ISSN:13405152)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.35-41, 2019 (Released:2019-03-29)
参考文献数
26

近年,再生医療や医療機器開発の分野で,ブタを用いた研究報告の数が増している.背景として,臨床を再現できるサイズメリット,実験向けに育種されたミニブタ,マイクロミニブタといった小型ブタが比較的容易に入手できるようになったこと,そして遺伝子改変ブタの開発がある.また,愛玩動物として古い歴史のあるイヌを実験にあまり用いなくなったことも大きい.研究報告が増すことによって,基盤的な情報やプロトコールが蓄積され,今後,ますます大型実験動物としてのブタの使用が増えることが予想される.本稿では,これまでの報告から,ブタを用いた臓器・組織移植実験における免疫抑制法を紹介する.基本的には,cyclosporine あるいはtacrolimsと,mycophenolate mofetilの2剤併用が多く,一部ではさらにステロイドも投与している.また,胸腺摘出の有効性も報告されている.これらの方法により,同種移植だけでなく,ヒト組織・細胞を含む,異種移植実験も続々と報告されるようになった.
著者
齋藤 岳人 樋口 大樹 井上 和哉 小林 哲生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.139-149, 2022 (Released:2022-06-25)
参考文献数
24

Perimetric complexity, which is a simple metric of character (letter) complexity defined by an image’s area and peripheral length, has been widely used, especially in alphabetic orthographies. We examined whether perimetric complexity is also a valid index for Japanese kana characters (hiragana and katakana) by comparing it with subjective complexity. We obtained evaluations of subjective complexities from Japanese and English speakers and calculated the mean of each character for each type of speaker for character-based analyses. The analyses revealed three main findings: (a) Perimetric complexity was highly correlated with subjective complexity (rs > .85), and its correlation was higher than that between the subjective complexity and other measures for character complexity (i.e., stroke count). (b) The perimetric complexities were highly correlated across different typefaces, except for significantly different typefaces. (c) Subjective complexity was highly correlated between Japanese and English speakers. These findings suggest that perimetric complexity can also be used as an index for Japanese kana character complexity.
著者
小林 利行
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.2-25, 2023-05-01 (Released:2023-05-19)

NHK放送文化研究所が行った新型コロナに関する3回目の世論調査の結果について報告する。本稿では、感染が長期化する中で人々の意識や生活にどのような変化があったかを考察し、特に去年からの行動制限の緩和などの「ウィズコロナ」に向けた政策が、これまでコロナ禍のしわ寄せを受けていた女性や自営業者などにどのような影響を及ぼしたかに注目する。主な結果は以下の通りである。 感染拡大が『不安だ』という人は84%と多いが、時系列では年々減少している。外出回数は過去に比べて増え、特に「散歩や運動」「買い物」の回復が目立つ。一方で、ストレスを感じる人は少しずつ増加している。過去と同じように女性のほうがストレスを感じる人が多く、「ウィズコロナ」に向けた制限緩和による減少はほとんどみられない。ストレスの原因として「収入が減っていること」を挙げた人は、全体では19%だが自営業者では50%となっている。これは過去と同様の数字で、現時点では回復の兆しはうかがえない。 感染収束後でも、マスクを「前よりは多く着ける」と「できるだけ着ける」が合わせて約75%に上った。その理由の90%は「衛生上の理由」だが、「素顔をさらしたくないから」という人も7%いて、18~39歳では男女とも16%いた。コロナの法律上の扱いを引き下げることに『賛成』は約6割で、『反対』を上回った。賛成の理由は「重症化しづらくなっている」などで、反対の理由は「感染しやすくなるから」などだった。
著者
高柳 明夫 小林 皇 橋本 浩平 加藤 隆一 舛森 直哉 伊藤 直樹 塚本 泰司
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.729-732, 2008-11-20 (Released:2011-01-04)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は32歳, 男性. 両側精巣萎縮と性欲減退を主訴に2006年2月9日に当科を初診した. 問診より1999年からのアナボリックステロイド (AAS) の濫用が判明した. 身体所見では両側精巣容積が13mlと萎縮していた. 内分泌的検査では黄体化ホルモン, 卵胞刺激ホルモン, 総テストステロンは低値であり, 遊離型テストステロン (Free T) は高値だった. また, 後日判明した sex hornomne binding globulin (SHBG) も低値であり, 算出された calculated Bioavailable testosterone (cBAT) も低値だった. 以上の所見からからAASの濫用による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と診断した. AASの中止のみで経過観察を行ったが改善を認めなかったため, 5月18日より週1回のヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 3,000単位筋肉注射を開始した. その後6月22日に内分泌学的検査を施行したが自覚症状, 内分泌検査所見ともに改善は認めていない. AASの濫用により低ゴナドトロピン性性腺機能低下症となることが知られており, 一部の患者ではAAS中止後も性腺機能低下症が改善しないことが報告されている. 本症例においてはhCG注射を早期に開始したことが早期に精巣機能を改善するかどうかについて今後の注意深い観察が必要である. また, 本症例の病状を把握する上では free T よりもcBATを用いることが有用だったと考えられた. AASには多くの重篤な副作用があり安易な使用は控えるべきである. またAASの副作用に関しての広い啓発により濫用を防ぐことが必要と考えられた.
著者
那須 識徳 山根 伸吾 小林 隆司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.532-540, 2022-05-18 (Released:2022-07-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的:高齢になり運転などの移動手段を変更する必要がある場合に,個人の感情面や態度の準備状況を把握するための自記式質問紙としてAssessment of Readiness for Mobility Transition(ARMT)がある.本研究ではARMT日本語版(ARMT-J)の言語的妥当性を検証することを目的とした.方法:「尺度翻訳に関する基本指針」を参考にして「順翻訳,調整,逆翻訳,逆翻訳のレビュー,認知的デブリーフィング,認知的デブリーフィングのレビュー,校正,最終報告」を実施した.順翻訳と調整は国内の作業療法士3名が行い,逆翻訳は翻訳会社に依頼した.逆翻訳のレビューと認知的デブリーフィングのレビューは開発責任者に依頼し,認知的デブリーフィングは地域在住高齢者5名を対象に行った.結果:順翻訳では5項目,逆翻訳のレビューでは3項目で意見の相違が確認された.特に項目11の原文である「Moving to a retirement community is too restrictive for my desired mobility.」の中の「retirement community」は日本では普及しておらず,翻訳者間で日本語訳に相違を認めた.海外では「retirement community」は高齢者のための居住地域または建物と定義されており,翻訳にかかわった作業療法士3名と開発責任者にて協議のうえ,日本語訳は「高齢者のための住宅」とした.さらに,開発責任者に確認を行い,加齢のため移動手段を変更せざるを得ない場合,居住地域を変更する必要があるという意味が含まれているという補足文書をつけ,ARMT-Jを完成させた.結論:本研究ではARMT-Jの言語的妥当性を検討し,妥当と思われる日本語訳を作成した.
著者
野崎 正行 小林 克己 中村 厚志 吉川 郁子 深澤 雄一郎
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.543-544, 1998-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
3

We report a case of retinoblastoma in an adult male without any family history. A 23-year-old man came to our hospital complaining of myiodesopsia in his right eye.Funduscopic examination demonstrated a tumor on the periphery of the right fundus in the optic area.Fine needle aspiration cytology revealed many clusters of small round cells and necrotic debris. Rosette-like formation was also present.Immunocytochemical study of the smear showed that the tumor cells were positive for neuron-specific enolase (NSE) and synaptophysin. Extraction of the eyeball was performed and histological examination confirmed the presence of retinoblastoma.
著者
小林 弘 中野 和枝 中村 守純
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.31-37, 1977-01-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
8
被引用文献数
20 24

The ginbunas (Carassius auratus langsdorfii) captured in the Kanto district were exclusively females, and the majority of them showed the triploid chromosome number of 156. A few individuals, however, contained 206 instead of 156 chromosomes in the same district. In this connection, we re-examined the chromosomes of ginbunas collected from Chiba prefecture, using scale epithelial cell cultures and have been able to demonstrate a consistent karyotype in ginbunas with 206 chromosomes; they consisted of 22 pairs of metacentrics, 41 pairs of submetacentrics and 40 pairs of acrocentrics. Consequently, these female ginbunas appeared to represent the 4n lineage. In order to find out th productive system of the 4n ginbuna, a cross breeding between a female ginbuna (4n) and a male kinbuna (2n) collected from Kasumigaura was made in a series of this study. The development of the cross-bred eggs was normal, and the larvae grew up normaly. All the grown up offsprings were females and similar to the maternal ginbun in their body shape. Chromosome preparations in the offsprings were made from short term lymphocyte cultures obtained from renal tissues. The results of chromosome counts in 6 offsprings examined revealed the modal chromosome number of 206. Comparing the karyotypes of the offsprings with that of the maternal 4n ginbuna, we could not find out any difference among their chromosome constitutions, so far as the morphological analysis is concerned. Based on the present findings, the most likely explanation would be that the production of the 4n offsprings by a hybrid cross, 4n ginbuna×2n kinbuna, might have arisen by gynogenesis, as has already been pointed out for the production of 3n ginbunas by the authors.
著者
上平 雄基 川村 英之 小林 卓也 内山 雄介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_451-I_456, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

日本原子力研究開発機構で開発された海洋拡散予測システムの沿岸海域での高精度化を図るため,気象研MOVEと多段ネストROMSを用いたダウンスケーリングに基づく高解像度海洋モデルを導入した.新システムを福島第一原発事故に適用することで,現行システムでは再現することが困難であったサブメソスケール渦の消長に伴う137Csの3次元的な混合と海洋中移行過程の解析精度検証を行った.高解像度モデルによる流速場・乱流強度等の再現性は良好であり,低解像度モデルと比較して137Cs濃度分布の再現性の向上が確認された.事故直後の福島県沖海域では,季節的な海面冷却などによって強いサブメソスケール渦が発達し,それに伴う強い鉛直流によって137Csが中深層へ活発に輸送されていた.
著者
小林 快斗 川端 祐一郎 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00061, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
18

近年,地元に根付いた生活を重んじる「サムウェアズ」と,地域や国境を越えた自由な生き方を重んじる「エニウェアズ」の間の価値観対立が先鋭化しているとする理論が,土木計画に関わる議論を含めた総合的な社会評論に活用されている.しかしこれらの価値観の定量分析は不十分であり,その規定要因や他の心理的傾向との関連性の実証的分析も行われていない.本研究ではサムウェア性/エニウェア性を計測する尺度を使用し,それらに影響を与える個人属性や,「大衆性」「利他性」といった道徳心に関わる心理尺度との関連性を分析した.その結果,現居住地に長く住んでいるほどサムウェア的になる一方で,所得,学歴,職業,居住地域等の影響は小さいことが明らかになった.また,サムウェアズはエニウェアズと比べて道徳的である可能性が示唆された.