- 著者
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増田 秀樹
深尾 奈央
小林 里穂
蜂須賀 祥子
森 紀之
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.4, pp.200-210, 2017-04-15 (Released:2017-04-29)
- 参考文献数
- 46
- 被引用文献数
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官能評価(試験1,2)により,刺激的な香味が軽減された液状ウィンターセイボリーエキス(WSL)の用量(0.25g ; カルバクロール(CAR)含有量 : 0.075mg,チモール(THY)含有量 : 0.015mg)とWSLの濃度(0.25% ; CAR濃度 : 0.75ppm,THY濃度 : 0.15ppm)を決定した.次いで,試験1,2で定めた用量と濃度のWSL含有飲料(DK1) 100mLの摂取試験を行なった(試験3).その結果,上肢(手首,手指),下肢(足首,足指)の体表温低下が有意に抑制され,首の体表温が有意に上昇した.さらに,口腔·咽頭内での刺激が体温変化に関与しているかどうか明らかにするため,ウィンターセイボリーエキス粉末(WSP)(80mg ; CAR含有量 : 0.075mg,THY含有量 : 0.015mg)のカプセル(CP)摂取試験を行なった結果,上肢のみに有意な体表温低下抑制効果がみられた(試験4).次いで,口腔内刺激の強弱を決定する因子となるCAR,THY濃度が重要であるのか明らかにするため,試験3と同用量のWSLを含有し,希釈媒体量を100mLから20mLに低減することでCAR,THY濃度をDK1の5倍に高めたWSL含有飲料(DK2)の摂取試験を行った(試験5).その結果,DK2摂取群(上肢,下肢に有意な体表温低下抑制 ; 額,首に有意な体表温上昇 ; 鼓膜温(深部温)の有意な上昇)は,DK1摂取群(上肢,下肢に有意な体表温低下抑制 ; 首に有意な体表温上昇)に比べ体温に影響がみられる部位が増加した.DK1摂取群とCP摂取群の比較,DK1摂取群とDK2摂取群の比較から,体温変化に,CAR,THYによる口腔·咽頭内の神経刺激が関与していることが示唆された.本結果から,ウィンターセイボリーが手軽に飲用し得る冷え抑制効果素材として有用なことが分かった.さらに,体温変化をもたらす同様な成分についても,口腔·咽頭内刺激を利用することにより,効果が増強される可能性があると考えられる.