著者
小野寺 力 吉田 雅昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.212-215, 2011
参考文献数
18

LEDのIV特性を測定した結果から発光エネルギーEが増加するとしきい値電圧V_<th>が増加することを示した。LEDの順方向電流が20mAのときの順方向電圧V_fを発光エネルギーEこ対してプロットした結果から,順方向電圧V_fと発光エネルギーEの関係は直線V_f=E/eの傾向に従っている。しかし,GaNを基礎としたと考えられるLEDでは直線と測定値のずれが大きく,V_f>E/eの関係になっている。IV特性の理論式から考察した結果,この原因としては理想因子n_<ideal>が大きいことと寄生抵抗として直列抵抗成分が存在することが考えられる。これらのことから「LEDを用いたプランク定数の測定実験」では,LEDのIV特性が理想特性からずれていることを考慮に入れて実験する条件を設定する必要があることを示した。
著者
林 誠 岩間 圭祐 小野 誠司 木塚 朝博
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.225_3, 2017 (Released:2018-02-15)

野球の投手における練習方法に、自分自身のピッチングフォームを巻き戻すように行う逆再生シャドーピッチングがある。本研究では、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者と低い者との間で投球能力に違いがあるのか、さらに、動作をイメージする能力が逆再生シャドーピッチングや投球能力に影響しているか否かを明らかにすることを目的とした。大学野球投手16名(平均球速;128±5.6km)を対象者とし、逆再生シャドーピッチングテストとコントロール及び球速を測るピッチングテスト、動作のイメージの鮮明さを測るイメージテストの3つを実施した。その結果、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者と低い者はそれぞれ8名ずつであった。また、高い者は低い者と比べ球速に有意な差はないがコントロールにおいて有意に優れ、イメージテストにおいても有意に得点が高いことが認められた。これらのことから、逆再生シャドーピッチングの達成度が高い者はコントロールと動作を鮮明にイメージする能力に優れていることが明らかとなった。したがって、自分自身が投げるピッチング動作を鮮明にイメージできることが、コントロールの向上につながっている可能性がある。
著者
長岡 芳 鍵小野 美和 藤田 紀乃 和田 昭彦 松井 寛 大橋 儒郁 飯田 忠行
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.539-546, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
37

目的:メタボリックシンドローム(以下,MSとする)の診断基準について,腹部CTにおける内臓脂肪面積を至適基準として腹囲判定および腹囲判定後の診断基準の妥当性を検討した.対象と方法:男性194名を対象とした.検査項目は,年齢(歳),身長(cm),体重(kg),BMI,腹囲(cm),最高血圧(mmHg),最低血圧(mmHg),HDLコレステロール(mg/dL),トリグリセリド(mg/dL),空腹時血糖(mg/dL),内臓脂肪面積(cm2),皮下脂肪面積(cm2)とした.内臓脂肪面積を至適基準として腹囲判定の感度・特異度・陽性尤度比を計算し,妥当性を検討した.また,腹囲が異常でかつMS診断基準のうち2つ以上の異常値について,内臓脂肪面積を至適基準としてMS診断基準の感度・特異度・陽性尤度比を計算し,妥当性を検討した.結果:腹囲判定は見落とし率が低く,感度は高値であった.MS診断基準と内臓脂肪面積との関連は見出されなかった.結論:内臓脂肪面積とMS診断基準の関連において,腹囲判定は見落とし率が低く,感度からも有用と考えられる.腹囲判定後の診断基準については検討の必要性が示唆された.
著者
高梨 祐明 豊島 真吾 小野 浩司 田村 博明 太田 智彦 金光 幹雄
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.274-276, 2009

ナミハダニは落葉果樹の樹上と下草を季節的に異動することが知られている。樹冠下にナミハダニの増殖に好適な草種が繁茂している環境では、除草によって生息場所を失ったナミハダニの移動分散を助長し、樹上密度を上昇させたり、殺ダニ活性のある除草剤を使用することにより、樹上のナミハダニ密度を低減できるという報告もある。ナミハダニは現在、広範囲な薬剤に対する感受性低下が問題となっており、効果が不十分な殺ダニ剤の残効期間を少しでも長く保つため、再増殖の原因となる移入を遮断することが重要である。そのため、主な移入源となる株元雑草をハダニとともに除去できる技術があれば、殺ダニ剤散布の削減に繋がり、IPMの推進に貢献するものと期待される。そこで、雑草とハダニを同時に防除する方法として、株元雑草のバーナー処理を行い、その後のナミハダニ樹上密度に及ぼす影響を評価した。なお本研究は(独)農研機構交付金プロジェクト研究「東北地域における農薬50%削減リンゴ栽培技術体系の確立」の一環として遂行されたものである。
著者
中嶋 ゆう子 岩尾 憲明 宮崎 かおる 塚原 達幸 市川 太一 平岡 秀子 小宮山 佐恵子 小野 美代子 浅川 澄江 中村 弘
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.42-48, 2012
被引用文献数
3

山梨県では平成18年から山梨県合同輸血療法委員会I&A委員会による輸血医療の点検視察が開始された.施設の自発的受審ではなく県が視察病院を指定して,10施設の中小規模病院に対して点検視察が実施された.点検視察の結果「改善すべき」と指摘された事項は輸血検査や輸血用血液製剤の管理に関する項目が多く,「改善が望ましい」と指摘された事項は輸血管理体制や製剤の保管管理に関する項目が多かった.点検視察の指摘事項に関する改善状況のアンケート調査の結果では病院間で改善状況に差があることが示され,改善が進まない背景には輸血責任医師が兼任で実質的に不在であることや検査技師の人員不足等の問題があると考えられた.I&A活動の目的は輸血実施手順や輸血管理体制の標準化により病院の規模に関係なく安全で適正な輸血が実施されることである.山梨県I&A委員会の継続的な取り組みによって県内の中小規模病院の問題点の改善と輸血医療の向上を目指し,将来的には中小規模病院の学会I&A受審につなげたいと考える.<br>
著者
小野 哲雄 馬 雷
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.1G1OS21a1, 2017 (Released:2018-07-30)

「プロジェクション・サイエンス」とは,人間の認知機構を解明するためのまったく新しい方法論であるとともに,そのモデル論的理解をとおして工学的応用までも射程に収めた野心的な構想である.本稿では,特に「サードマン現象」に注目し,VRおよびエージェント技術を用いた身体投射システムを提案する.さらに,本研究をとおして「虚投射」および一人称と三人称の視点変換のメカニズムの解明が重要であることを示す.
著者
斗ケ沢 宣久 勝又 悌三 川尻 秀雄 小野寺 紀雅
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.461-465, 1966
被引用文献数
4

オニユリの花粉30gから色素I, IIを結晶状に分離した.収量はそれぞれ17mg (0.056%), 11mg (0.036%)であった.色素Iはm.p. 191~193&deg;の淡黄色針状結晶,色素IIはm.p. 179~182&deg;(分解)の黄色針状結晶で,融点, PPCによるR<sub>F</sub>値,呈色反応,紫外線および赤外線吸収スペクトルなどは,それぞれルチンおよびナルシシンと一致する.さらに両色素を加水分解し,得たアグリコンはいずれもm.p. 300&deg;以上の黄色針状結晶で,紫外線吸収スペクトルは,それぞれクエルセチンおよびイソラムネチンと一致し,構成糖は両色素ともグルコース,ラムノースよりなることを認めた.以上から分離した色素Iをルチン,色素IIをナルシシンと同定した.
著者
塚本 俊介 下村 彰男 小野 良平 熊谷 洋一
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.709-712, 2000-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12
被引用文献数
5

自己形成期に体験した心象風景 (現在でも印象深く思い出す風景) と, 居住空間の景観評価との関連性を探った。東京近郊在住者を対象としたアンケート調査によって, 自己形成期における心象風景を抽出した。被験者の風景想起当時の居住地によって心象風景を都市・郊外 (都市寄り)・郊外 (農村寄り)・農村の4タイプに分類し, 風景の記述を分析することでそれぞれの心象風景タイプの特徴を把握した。心象風景タイプごとに写真群を用いた景観評価実験を行った結果.1) 自己形成期の心象風景タイプに該当する居住景観の評価は, 郊外 (農村寄り) を除いて高い傾向にある, 2) 農村景観は心象風景タイプに関わりなく高い評価を得る, 等が明らかとなった。
著者
丸子 一夫 小野 常夫 石下 恭子 高谷 雄三 八島 祐子
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.709-715, 1975-07-15

I.はじめに 誘発てんかんには複雑な精神神経活動がその発作誘発に関与しているものがあり,読書てんかんや音楽てんかんなどが有名である。その他,きわめて稀な例としてチェスやトランプあるいは将棋などの遊戯によって発作が誘発されるてんかんも報告されている1〜4)。われわれは麻雀をすることで発作の誘発されるてんかん症例について,その誘発機構や他の誘発てんかんとの関係などを検討する機会を得たので報告する。
著者
鈴木 航太 鈴木 達也 小野 弓絵
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.137, 2017

<p>中側頭回は視聴覚情報の統合を担っていると考えられており、音楽に合わせて指示されたステップを行う視聴覚統合運動タスク(ダンスゲーム)遂行時におけるステップの時間的正確性(スコア)と中側頭回活動の持続性には正の相関がみられる。本研究は中側頭回の易活動性がダンスゲームの上達過程に与える影響を調べるために、左中側頭回の活動を経頭蓋直流刺激(tDCS)により亢進、抑制したときの運動の時間的正確性の変化を計測した。18人の若年成人に対し、anode、cathode、shamの電気刺激をランダムな順番で異なる3実験日において適用し、tDCS刺激前1回と刺激後3回の繰り返し施行におけるスコアを比較した。被験者全体では、測定回数による主効果のみ有意であり、電気刺激の種類との交互作用はみられなかった。楽器あるいはタスクと同様のリズムゲームの経験により分類すると、経験者はanode刺激、未経験者はcathode刺激において繰り返し施行後のスコアが刺激前に比べて有意に増加した。電気刺激の効果が視聴覚と運動の統合を必要とする訓練の経験量の違いによって異なって現れたことから、ダンスゲーム課題遂行における中側頭回の役割は訓練によって可塑的に変化していることが示唆された。</p>
著者
加藤 逸郎 小野 公二 大前 政利 神田 哲聡 藤田 祐生 大林 茂樹 中澤 光博 丸橋 晃 今堀 良夫 切畑 光統 由良 義明
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.581-586, 2005
被引用文献数
3

ホウ素中性子捕捉療法(Boron neutron capture therapy: BNCT)は,<SUP>10</SUP>Bを予め腫瘍に集積させ,中性子線照射で発生する粒子線を利用して腫瘍選択的に破壊する治療法である。我々はこの治療法を再発頭頸部悪性腫瘍患者に対し,2001年より世界に先駆けて開始した。対象は扁平上皮癌6例,唾液腺癌3例,肉腫2例の計11例であった。その結果,腫瘍縮小率は,CR:2例,90%以上:5例,73%,54%,PD:1例,NE:1例で,奏功率82%。QOL改善は,潰瘍消失と皮膚再生,PSの改善による仕事復帰,疼痛・開口障害・呼吸苦の改善,生存期間延長などであった。11例中7例(4例:遠隔)に転移を認めた進展例だったが,治療後の生存期間は,1-38ヶ月で平均8.5ヶ月,生存率は36%(4例生存中)であった。副作用は,口内炎,全身倦怠感,脱毛などで軽度だった。進展再発頭頸部悪性腫瘍に対しBNCTを実施し,その有効性を確認した。
著者
齋藤 政彦 山田 泰彦 太田 泰広 望月 拓郎 吉岡 康太 野海 正俊 野呂 正行 小池 達也 稲場 道明 森 重文 向井 茂 岩崎 克則 金子 昌信 原岡 喜重 並河 良典 石井 亮 藤野 修 細野 忍 松下 大介 阿部 健 入谷 寛 戸田 幸伸 中島 啓 中村 郁 谷口 隆 小野 薫 ラスマン ウェイン 三井 健太郎 佐野 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

不分岐な不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成,リーマン・ヒルベルト対応の研究により,対応するモノドロミー保存変形の幾何学を確立した.また,混合ツイスターD加群の理論の整備,可積分系の幾何学的研究において種々の成果を得た.高次元代数幾何学においては,端末的3次元射影多様体のある種の端収縮射の分類や, コンパクトケーラー多様体の標準環の有限生成性などの基本的結果のほか,モジュライ理論,シンプレクテック多様体に関する種々の成果を得た.量子コホモロジーの数学的定式化や,ミラー対称性の数学的理解についても大きな成果を得た.また,代数多様体の層の導来圏に関する研究においても種々の成果を得た.
著者
田村 了以 小野 武年
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.532-542, 1997-08-10

OldsとMilnerが脳内自己刺激(ICSS)行動を発見して以来45年近く経過したが,これまでの研究により,脳内には動物が電気刺激を好んで求める(快情動を誘起する)報酬系と,電気刺激を回避しようとする(不快情動を誘起する)嫌悪または罰系のあることが実証された。 解剖学的に,報酬系は内側前脳束を中心とした領域に,嫌悪系はSchützの背側縦束を中心とした間脳や中脳の内側部を占める室周囲系にある。ICSS行動発現の脳内機構に関する代表的な仮説として,ICSSは脳内の動因と強化の両機構を同時に賦活するという恒常説と,ICSSは強化機構だけを直接賦活するという快楽説がある。ICSS行動発現と摂食,飲水,性行動などの動機づけ行動との間には密接な関係があり,ある動機づけ行動の動因が高まると,その動機づけ行動に関与する脳領域でのICSSの効果が増強する。また,ICSS行動発現には様々な脳内物質が関与し,とくに,ノルアドレナリン(NA),ドーパミン(DA),およびオピオイドは報酬系での報酬刺激関連物質,また,アセチルコリン(ACh)は嫌悪系での嫌悪刺激関連物質である可能性が示唆されている。