著者
牧野 耕次 比嘉 勇人 山本 佳代子 甘佐 京子 山下 真裕子 松本 行弘
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
no.10, pp.101-108, 2012-03

背景 看護におけるinvolvement (かかわり) は患者との関係を構築し患者のニーズに沿った看護を行う上で重要な概念である。他方、involvementの他の訳語である「巻き込まれ」は、患者との関係においてストレスになることが示唆され、問題として警告されてきた。involvementは我が国においてなじみのない概念であり一つの概念としてほとんど認識されてはおらず、両価的な評価をそれぞれ反映し、かかわりと「巻き込まれ」として認識されていると言える。 看護におけるinvolvementを概念として理解せず、かかわりの技術 (skill) を修得しないまま臨床で働く看護師は、巻き込まれすぎて精神的に落ち込んだり、患者に近づけず、深くかかわることができなかったりするなどの問題に直面した時に、振り返って解決する糸口を見つけにくいと考えられる。 目的 看護におけるかかわり (involvement) を意識化し、適度な距離を持って患者とかかわることができるようになることを目指した「看護におけるかかわり研修」を看護師に実施し、その効果を検討する。 方法 関西圏の700床以上の総合病院に勤務する看護師23名を対象に、看護におけるかかわり研修を実施し、その前後のOver-involvement尺度 (OIS) およびUnder-involvement尺度 (UIS) を測定し、前後の因子および尺度得点を比較した。 結果 研修終了約1ヵ月後に、OIS高群の得点合計が49点 (P=0.027) 、因子「被影響性」の得点合計が20点 (P=0.027) 、さらに因子「気がかり」の得点合計が20点 (P=.020) と有意に低下した。同様に、UIS高群の因子「不関与」が13点 (P=0.047) 低下し、さらにUIS低群の因子「不関与」が11点 (P=0.026) 、有意に増加した。 結論 本研修がover-involvementの傾向をより強く示す対象者に対して、選択的にその傾向を緩和する可能性が示唆された。また、患者との心理的距離を近づけることがより難しい対象者に関して、患者の内的世界にかかわろうとしない傾向が緩和されたことが示唆された。さらに、患者との心理的距離を近づけることに、より困難を覚えていない対象者について、患者の内的世界にかかわり過ぎる傾向が緩和されたと推察できる。
著者
洞井 裕介 領木 慎一 山下 真弘 長坂 雄一 仙田 航基 坂本 洋介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.8, pp.582-593, 2023-08-01

ローカル5Gは,携帯電話事業者による全国向けの5Gとは別に,5Gを企業等が自らの建物,敷地内で整備できる制度である.鉄道事業者においてローカル5Gを導入するためには,車両走行中の伝送品質等の動的変化や,敷地外へ漏れる電波の影響について,鉄道固有環境での検証が必要である.今回,新幹線回送線沿いにローカル5Gシステムを構築し,指令からの監視等,走行中の回送車両上から地上への映像伝送や,車両センターにおける保守作業にローカル5Gを活用することを念頭に試験を実施し,ローカル5Gにおける伝送品質等の動的変化,映像伝送特性,車両センター着発収容庫車両内の電波特性,敷地外電波強度に関するデータを収集・解析し,鉄道固有環境が及ぼす影響を検証した.その結果,回送車両上と地上との間で,システム仕様上の最大スループットを達成し,地上への4Kカメラ映像伝送に成功した.また,車両センター着発収容庫内の電波環境を明らかにした.更に,自己土地から最大約1 km離れた地点で,制度上調整対象区域とされる強度の電波を観測した.そして,使用環境が屋外か屋内かにかかわらず,自己土地外での電波強度確認が必要であることを明らかにした.
著者
山下 真知子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6+, pp.25-28, 2017-11-01 (Released:2018-02-20)
参考文献数
4

色彩空間における味覚,嗅覚,広・狭感,時間的体感,記憶等,空間の色彩がヒトに及ぼす影響を探る.同時にこれまでの定説ともなっている色彩心理効果の内容を吟味検討し,今後,新たに空間色における色彩心理効果を体系的に提示する計画で,まず本報ではVRによる色彩空間での味覚,嗅覚,快・不快感の評価実験を通して,色彩空間が味覚・嗅覚に及ぼす影響の手がかりを報告する.
著者
山下 真知子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3+, pp.25, 2020-07-01 (Released:2021-09-06)
参考文献数
8

本研究は視覚から色彩を捉えることで想起される人間の感情に及ぼす影響に関する実証を経て,五感(味覚・嗅覚)や空間の広・狭感,記憶,時間的体感など色彩空間がヒトに及ぼす認知的な問題に迫る.本研究成果により,まだ十分に解明されていない色彩心理効果の定説の裏付けと吟味検討を含めて,抜本的に新しい知見を見出すことが目的の一つである.本論はこれらのうち,「時間的体感」の評価結果について報告するものである.方法は立体可視化装置で投影した部屋空間内(高さ3m×奥行3m×横幅7.8mの投影スタジオに間口3.75m の2つの部屋モデル投影)で被験者に時間経過感覚を評価させた.結果,既知の通説である「赤空間は実際の時間経過よりも長く体感し,青空間は実際の時間経過より短く体感する」とは合致しない結果となり,「赤空間は実際の時間よりその経過を短く感じ,青空間は実際の時間よりその経過を長く感じる」とする経緯を報告する.
著者
山下 真裕子 山田 逸成 安田 昌司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.599-607, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
22
被引用文献数
2

点滅周期を変化させた色データにおける生理的・心理的影響を検討することを目的に,学生16名を対象に実験を行った.その結果,点滅周期の違いによる脳波のa3分布率および主観評価に有意差を認めた.つまり長周期の点滅周期の点滅光に快適性やリラックス感が高まる傾向を認めた.今回得られた結果により,ストレスに起因する心身の不定愁訴を抱える人々に対し,病院や企業,教育現場,地域社会において癒し効果の高い快適空間に提供することが可能と考えている.
著者
山下 真
出版者
日本倫理学会
雑誌
倫理学年報 (ISSN:24344699)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.171-185, 2019 (Released:2021-05-17)

Im letzten Teil des Atombombenbuchs von K. Jaspers(1958)erscheint plötzlich der Begriff »Unsterblichkeit«. Jaspers sagt: nur aus der Unsterblichkeit »kann eine Folge sein, daß der Selbstmord der Menschheit abgewehrt wird«. In welchem Sinne überwindet dieser veraltete Begriff die Krise des Atomkriegs, um die Zukunft des Menschen fortzusetzen? In dieser Abhandlung werden die Struktur und die Bedeutung der »Unsterblichkeit« im Zusammenhang mit der Konzeption der Erweiterung des Begriffs »Gemeinschaft« erläutert. Die Grenzsituation des »Todes« in „Philosophie“(1932)wurde nur vom Einzelnen erhellt und auf sich genommen. Dagegen wird die »Vernichtung« der Menschheit durch die Nuklearwaffen für »die neue Grenzsituation« gehalten. Denn sie ist das gemeinsame Problem, für das alle seiende Menschen verantwortlich sind. Es ist die metaphysische Frage »nach Sein oder Nichtsein«. Daher ist die eigentliche Weise der Menschen angesichts der Vernichtung »die Gemeinschaft der Vernünftigen«, zu der alle Existenzen potentiell gehören. Nach der Bestimmung in „Philosophie“ heißt nun die Unsterblichkeit als Gegensatz zum Tod die Weise der Existenz in ihrer Geschichtlichkeit. Die Existenz ist mehr als das bloß sterbliche Dasein, indem sie einen Aufschwung des Seins im »Augenblick« als Einmaligkeit erreicht. Dazu noch sind die Anderen als die Existenzen auch unsterblich. Der Nächste kann trotz seines Todes in der dauernden existentiellen Kommunikation gegenwärtig bleiben. Jaspers weist hiermit auf die Gemeinschaft mit den Nicht-mehr-Seienden hin. Im Atombombenbuch wird die »Unsterblichkeit« aber wieder auf Grund des existentiellen Augenblicks bestimmt. Denn es kommt im Hinblick auf die Vernichtung eben darauf an, daß das Dasein der Menschheit fortbestehen. Also wird die vernünftige universelle Gemeinschaft im doppelten Sinne »unsterblich«. Nur wenn die Existenzen jeweils in der Gegenwart die Kommunikation vollziehen, dann vermag die Menschheit zugleich ihr Dasein in die offene Zukunft d.h. in den Spielraum alles Seinkönnens zu bringen. Der Begriff »Unsterblichkeit « von Jaspers ist hierdurch als ein Ansatz zur existentiellen Zukunftsethik zu verstehen. Die grenzenlose Erweiterung der Kommunikation ist die Realisierung der Gemeinschaft mit den Noch-nicht-Seienden.
著者
山下 真理子 田中 伸一郎 大瀧 純一 古賀 良彦
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-25, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
41

本研究は,外来受診中のうつ病患者を「職場関連群」と「非職場関連群」に分類し,精神状態と性格要因・環境要因との関連を検討することを目的とした。A大学病院精神科外来を受診したうつ病患者にHAM-D評価面接とY-G性格検査,診療録より背景調査を実施した。結果,HAM-D得点は,「職場関連群」1点から28点(mean±SD 13.5±6.6点),「非職場関連群」3点から29点(mean±SD 15.4±9.8点)。Y-G性格検査は,「職場関連群」でA型5名(38.5%),E型4名(30.8%),D型2名(15.4%),B型1名(7.7%),C型1名(7.7%)。またHAM-D得点とD抑うつ性,I劣等感に正の相関が見られた。 「職場関連性」のうつ病ではA型とE型が多く見られ,それぞれの環境への適応性を考慮すると,A 型は従来の休息と薬物療法を主とした介入で改善することが見込まれるが,元々不適応を起こしやすいE型は,劣等感を和らげるようなアプローチを含む認知行動療法等を積極的に行う必要性が高いと考えられた。
著者
出口 大輔 村瀬 洋 梅田 一彰 斎藤 正孝 藤 賢一朗 山下 真吾 末次 祐樹 高井 翔太 佐藤 竜太 丸山 拓馬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.347-358, 2011-03-03
参考文献数
4

電子情報通信学会情報・システムソサイエティパターン認識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会が今年度実施したアルゴリズムコンテスト「ターゲットをロックオンせよ!〜移動物体の追跡〜」の実施内容について報告すると共に,受賞者によるアルゴリズム紹介を掲載する.今回の課題は「動画中の物体追跡」をテーマとし,高速かつ精度良い物体追跡の実現を課題とした.また,応募総数は歴代2位の73件であり,そのうち7件が入賞した. This paper reports a summary of the 14th algorithm contest entitled "Lock on targets! - object tracking -". This contest is supported by PRMU (Pattern Recognition and Media Understanding) technical group of IEICE-ISS. In this paper, brief overviews of prize-winning algorithms are presented by the winners. The contest in this year asks fast and accurate algorithms to track objects from videos. 73 algorithms were submitted to this contest (2nd largest submissions among the past contests), and 7 algorithms had won the prizes.
著者
山下 真一 藤本 宏涼 林 銘章 室屋 裕佐 何 輝 ラドスロウ ワーフ 勝村 庸介 村上 健
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.503, 2004

近年、国内では高エネルギーイオンビームのRBE特性を活用した癌治療が行われるようになった。高エネルギーイオンビームによる放射線分解の理解は放射線治療の基礎の観点から重要であるが、これに関する報告はほとんどない。本研究ではGeV級重イオンビームによる水の放射線分解G値の測定と、イオンの飛跡に形成されるトラック構造について、低エネルギーイオンビームの場合と比較検討した。
著者
北村 明彦 木山 昌彦 野藤 悠 山岸 良匡 横山 友里 谷口 優 清野 諭 新開 省二 西 真理子 村木 功 阿部 巧 山下 真里 陣内 裕成
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

地域住民の疫学研究により、生活因子(身体活動、食事、喫煙、飲酒、精神的ストレス等)、医学的因子(脳卒中、心疾患、動脈硬化、メタボリックシンドローム等の生活習慣病、及び低栄養、サルコペニア、認知機能低下、うつ等の老年症候群)、社会的因子(社会参加、近隣・地域との交流、ソーシャルサポート等)がフレイルの発症に及ぼす影響を中年後期、前期高齢期、後期高齢期の年齢層別に明らかにする。
著者
廣瀬 綾 山下 真人 欅 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-149_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【症例紹介】 今回、妊娠後期に両大腿骨萎縮症を疑われる骨密度低下を呈し、転倒により両側大腿骨頸部骨折を受傷した症例に対し理学療法を行った。症例は30歳代女性で2か月ほど前より両股関節痛あり、X日転倒され両側大腿骨頸部骨折を受傷し、妊娠30週目だったが胎児に問題はなかった。X+4日胎児心拍数陣痛図(以下CTG)にて定期的な持続的張りを認めリトドリン内服開始。X+5日張りが治まらず、持続点滴開始。X+6日腰椎麻酔にて観血的骨接合術施行。X+7日理学療法開始。X+35日張りは落ち着いており頸管長短縮も認めなかったため、持続点滴終了し内服へ変更。X+45日選択的帝王切開術施行。X+48日3分の1荷重開始。X+54日全荷重開始。X+60日回復期病院へ転院となった。【評価とリーズニング】 理学療法開始時の安静度は整形外科としては両下肢免荷、産婦人科としては制限無いが切迫症状に注意する必要があった。初回介入時端座位まで行ったが、下肢下垂にて大腿前面の伸張痛が強く、それに伴い息こらえが出現し腹部の張りにつながる様子が見られた。関節可動域は股関節屈曲40/60°、外転15/20°、膝関節屈曲30/60°、伸展0/0°。伸張痛の原因は両大腿部の腫脹に加え、安静時より両大腿四頭筋・大腿筋膜張筋の過緊張を認めていたことが影響していると推測した。 強い疼痛が持続すると切迫症状増悪につながる可能性もあるため、リスク管理として毎日助産師にて測定されるCTGの結果を確認後に理学療法介入し、介入中も張りの自覚症状のみでなく、触診にて張りの有無を確認しながら運動療法を実施した。 また、ベッド臥床期間が長くなっていることや今後への不安から精神的に不安定になっており、全身状態は安定していたため医師・助産師と相談の上、まずは離床機会を確保し活動範囲を広げることで全身調整および抑鬱状態の予防を図っていくことを目標とした。【介入と結果】 初回介入後、両大腿四頭筋・大腿筋膜張筋の過緊張緩和目的に、ベッド臥床時のポジショニングを検討し助産師とも共有した。X+9日より並行移動にてリクライング車椅子乗車開始し、同時に関節可動域運動や筋力増強運動を開始。初めは下肢完全伸展位、リクライング30°程度で乗車していたが、日を重ねるごとに疼痛軽減したため、徐々に車椅子のリクライング角度を上げ、下肢下垂していき、X+20日垂直座位で30分以上経過しても疼痛増強や腹部の張りを認めなくなり、翌日より普通型車椅子乗車開始。X+23日スライディングボードを用いて1人介助にて車椅子移乗可能となり、理学療法実施時以外も助産師や家族と離床機会を確保できるよう指導した。 帝王切開後は翌日より車椅子乗車再開し、3分の1荷重許可後よりティルトテーブル40°設定にて荷重開始し、疼痛出現なく可能。全荷重開始後も起立・歩行練習時に両股関節痛は無いものの、歩行距離延長に伴い両膝関節痛・足関節痛を認めたため、疼痛増悪のないよう慎重に評価しながら行った。また、並行して育児参加できるような環境設定や動作確認・指導、産後ケアとして腹式呼吸や骨盤底筋運動、骨盤ベルトの装着方法などの指導も行った。病棟内は車椅子移動にて概ねADL自立、松葉杖歩行見守りで30ⅿ程度可能な状態で回復期病院へ転院となった。 出産前よりベッド上や車椅子でできることは増えADL向上につながっていたが、歩行獲得に向けての不安や出産・育児への不安により、精神的に不安定になる場面も認めた。そのため、助産師とともに傾聴する時間は確保するようにし、聴取した内容はカルテまたはカンファレンスの中で共有することで不安軽減に努めていった。【結論】 本症例では入院後定期的な子宮収縮を認めるようになり、術前より切迫早産として治療が開始されていた。しかし、助産師と協力してリスク管理を行いながら介入したことで、切迫症状増悪なく手術翌日よりスムーズに離床を進めることができたと考える。また、妊娠中や出産後は抑鬱状態になるリスクが高いという報告もあり、本症例ではその時期に骨折や手術といったストレス因子が加わったことでさらにリスクが高い状態になっていたと考える。そのため精神面も考慮しながら術後早期より安静度に応じて離床を進め活動範囲の拡大を図り、出産後は助産師と協力しながら可能な限り育児参加できるよう関わった。そのことで荷重・歩行練習などに対するモチベーション維持にもつながったのではないかと考える。【倫理的配慮,説明と同意】本症例報告においては対象者に向けて、ヘルシンキ条約に基づいて口頭での説明と同意を得た。
著者
山下 真史
出版者
中央大学国文学会
雑誌
中央大学国文 (ISSN:03898598)
巻号頁・発行日
no.61, pp.9-19, 2018-03

芥川龍之介の「羅生門」は三好行雄が深刻な小説として読んで以来、そのように読まれてきた。しかし、作家自身の言うとおりこの小説は〈愉快な小説〉として読む方が妥当であることを論じた。
著者
甘佐 京子 長江 美代子 土田 幸子 山下 真裕子
出版者
滋賀県立大学人間看護学部
雑誌
人間看護学研究 (ISSN:13492721)
巻号頁・発行日
no.9, pp.99-105, 2011-03

背景 精神疾患,なかでも統合失調症については,精神病未治療期間(以後DUP : duration of untreatedpsychosis)が長いほど回復までに時間を要し,再発率も高いといわれている。そこで, DUPを少しでも短縮し,早期に医療に繋げていくこと(早期介入)が重要である。統合失調症の前駆症状(暴力・攻撃性・強迫症状・抑うつ等)は,好発年齢とされる10代後半から20代前半より,さらに2~4年前に出現すると言われており,日本では中学生の時期にあたる。中学校おいて,こうした前駆症状はしばしば問題行動ととらえられるが,早期の医療的介入が必要である。 目的 精神疾患が疑われる生徒に対し,学校現場ではどのような対応がなされているのか。その現状と,早期介入に向けての課題について検討する。 方法 1)研究参加者 : A県内において中学校養護教諭の経験のある女性4名。 2) 方法 : 面接は半構成面接とし「生徒に見られる問題行動」,「問題行動を呈する生徒に対する対応」,「養護教諭の役割」および,「対応する上で障害となるもの」などについてインタビューを実施。 3 )分析方法 : 質的記述的分析。 結果 養護教諭の語りから抽出された問題行動には,統合失調症の前駆症状と共通する,「攻撃的な態度・暴言」「過度の自己アピール」「集中力の無さ」「落ち着きの無さ」や,より病的な「強迫的行動」や「目つきの変化」「不可解な行動」が見られた。養護教諭は,それが病的なものか,発達上の問題なのか,正常な域での反抗なのかの判断に迷っていた。また,独自で対応する場合と,担任をはじめとする学校内で組織的に対応・判断する場合があった。対応する上で問題になることとしては「保護者との関係」があり,「保護者の思い・考え」を優先しなければならなかった。また,家族以外の要因としては,教員間の連携,中でも「担任教員との関係」「教員の理解(知識)の無さ」や,組織内で「養護教諭に対する理解の不足」があった。 結論 学校現場において問題行動は増加しており,その対応には養護教諭のみならず全教員が苦慮していることが伺える。精神疾患に対する偏見は根深いものがあり,保護者・教員ともに正しい知識を持つことが必要である。早期介入を行うためには,養護教諭を中心として,問題行動を呈する生徒に対応するシステムを構築する必要がある。
著者
小倉 亜紗美 隈元 美穂子 東 大作 片柳 真理 宇田川 悟 山下 真理
出版者
広島大学平和科学研究センター
雑誌
IPSHU研究報告シリーズ (ISSN:13425935)
巻号頁・発行日
no.54, 2017-03

要旨... 2開会の挨拶...5巻頭言 ...6第Ⅰ部:アジアにおける平和構築の経験 能力強化を通じての平和構築...隈元 美穂子... 10 平和構築における正統性樹立の課題~アジアの経験から~...東 大作 ... 16 カンボジアの経験、そしてミンダナオの明日...片柳 真理 ... 26基調講演 フランスの外交と社交...宇田川 悟 ... 33第Ⅱ部 アジアにおける平和構築の課題と展望 平和創造のためのハードワークの実行...Lt. Gen. Daniel Leaf ... 44 無秩序への対処:アジアの平和と安定に関する国家的、地域的、および超国家的な課題の管理...Anthony Bubalo ... 48 アジアにおける平和構築の課題:グローバルな視点から...山下 真理 ... 53巻末言 ...60資料1:シンポジウム・ポスター 61資料2:アンケート 632016年度第1回広島大学平和科学研究センター主催国際シンポジウム
著者
山下 真裕子 伊関 敏男 藪田 歩
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.2_163-2_170, 2017-06-20 (Released:2017-08-30)
参考文献数
23

本研究は,地域で暮らす精神障がい者の服薬の現状と困難感およびその要因について検討するため,地域で暮らす149名の精神障がい者に調査を行った。対象者らの9割が服薬の必要性を認識しており,関連することは,服薬による「ポジティブな体験」,服薬を中断したことによる「ネガティブな体験」,「個々の目標」があること,周囲の指示による「コンプライアンス」であった。一方,6割が何らかの服薬への困難を体験し,飲み忘れが最も多かった。対象者は1日に4回の処方,昼食後薬が処方されている場合に負担感を抱く傾向が認められた。今後は服薬に関する個々の体験を意味づけするプロセスを支援すること,人生の目標の明確化を支援することで服薬の意思を支えること,加えて対象者の生活パターンや服薬への認識を考慮し,服薬回数やタイミングを十分なSDMのうえで決定されることが,主体的なセルフケアの向上,精神障がい者の地域定着の促進につながると考える。