著者
中野 由章 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 佐久間 拓也 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.11-17, 2014-08-17

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013 年と2014 年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した。2014 年に試行した試験は,920 人が受験し,その内容について分析した。その結果,全体としてみれば,得点分布,解答時間,問題数などは極めて良好であり,出題範囲や難易度についても問題はなかった。ただ,「情報の科学」領域,とりわけプログラミングについては,問題点が明らかになった。これはすなわち,大学側が求める内容と,高校側で行なわれている内容の乖離を意味する可能性がある。入試問題という狭い範囲ではなく,教育内容まで含めて,今後,総合的に検討を要する内容である。
著者
山崎 理
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.615-619, 2014-12

2009(平成21)年の新型インフルエンザA/H1N1対応の経験を踏まえ, 2012(平成24年)に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が制定され, 政府行動計画, ガイドラインが策定された. これを受け, 新潟県においても新たに行動計画を策定し, 対応を行うこととなった. 新たな政府行動計画では, 「新型インフルエンザ等対策の強化を図り, 国民の生命及び健康を保護し, 国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小限になるようにする」ことが目的として掲げられ, 対策に伴う外出自粛要請や物資収用等の私権制限も盛り込んだ体系となっている. 県行動計画では, 県知事による県内の対策の総合調整, 特措法に定める緊急事態措置(外出自粛要請等)の実施, 病原性・感染力の程度に応じた対策の選択・切替がポイントとして挙げられる. 今後の総合的な対応及びその準備に向け, 関係各位の一層の御協力をお願いしたい.
著者
吉田 真二 山崎 喜比古
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.241-254, 2021-04-15 (Released:2021-04-23)
参考文献数
57

目的 高齢者のQOL支援のため,健康かつ前向きに生きる力概念を包含した動態的なライフを生命・生活・人生の3つの次元で捉える主観的QOLを測定する尺度の開発を試み,その信頼性と妥当性を検討することである.方法 文献調査,慢性疾患患者へのインタビューを行い項目を作成し,3つの次元各々が1項目ずつの計3項目から成る主観的QOL尺度を完成させた.本尺度は,質問項目に参照期間を設け,誰にでもある生活や人生の浮き沈み双方の日数比をVisual Analogue Scale(VAS)による7件法で自己評価を行うものである.本調査では,病院の外来患者や,地域包括支援センターなどの紹介によりリクルートした70~84歳の在宅高齢者100人を対象に,他記式質問紙調査を行った.信頼性の検討は,Cronbach α(以下α),Item-Total(以下I-T)相関分析,項目削除時のα係数の算出により行った.内容妥当性の検討は,自由回答の内容分析に依った.構成概念妥当性の検討は,階層的重回帰分析を行い,抽出された主観的QOLの関連要因の意味内容を検討し,また先行研究との一致も確認した.結果 信頼性の分析では,α係数は0.898であり,I-T相関と項目削除時のα係数のいずれも基準値をクリアできており,一定の信頼性が確認できた.内容妥当性の検討では,3つの次元各々で抽出したカテゴリは共通性と固有性からなることがみてとれ,ともにQOLの各次元の概念の特徴を示しており,内容妥当性が概ね確認できた.構成概念妥当性の検討では,就労している者,役割や経済的にゆとりが有る者,利用中の介護サービスが1つの者よりも2つ以上の者,主観的健康管理能力やソーシャルネットワーク,Sense of Coherence(以下SOC)が高群の者は主観的QOLが有意に高かった.また,主観的QOLは,SOCの有意味感と経済的にゆとりが有ることとに有意な関連性がみられ,これらの結果は先行研究と一致しており,構成概念妥当性が確認できた.結論 本尺度の信頼性と妥当性が概ね確認でき,使用可能性が示された.
著者
渡辺 誠 村上 雅彦 小沢 慶彰 五藤 哲 山崎 公靖 藤森 聡 大塚 耕司 青木 武士
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.647-651, 2015 (Released:2016-09-10)
参考文献数
18

炭水化物含有飲料水 (CD) の胃内容排出時間を超音波検査にて検討する.健康成人被験者4例 (男女各2例,平均年齢52歳) に対して,水,6.2% CD (ポカリスエット®),12.5% CD (100mlあたり6.3gのブドウ糖末を付加したポカリスエット®) を,中7日隔日で各々400ml全量摂取し,腹部超音波検査にて胃幽門部面積 (PA) を経時的に測定した.全例,各飲料水の摂取は可能であった.水では,45分で摂取前のPAと同等になった.6.2% CDでは60分で全例,摂取前のPAと同等になった.12.5% CDでは,4例中2例において摂取後60分で,また90分で残り2例も摂取前のPAと同等になった.健康成人被験者において,400mlの12.5% CDは,摂取後90分以内に胃から排泄された.全身麻酔導入2時間前までの12.5% CD摂取は可能であることが示唆された.
著者
山崎 しおり 稲谷 ふみ枝 野中 雅代 Masayo Nonaka
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.9, pp.57-61, 2010

近年,高齢者に対する心理的援助の技法として回想法が注目されており,国内でも福祉,介護場面で広く実践されている。本研究では,この回想がライフサイクルにおける老年期の特徴的な現象であるのか,1)日常的な回想頻度やその質的内容について,2)中年者と高齢者を比較し,さらに3)心理的ウェルビーイングと回想の質との関係について明らかにすることを目的とした。方法:65歳以上の高齢者34名(平均72.6歳)と,50歳代の中年者44 名(平均51.4歳)を対象とし,測定尺度は,①肯定的回想尺度,②否定的回想尺度,③再評価傾向尺度,④回想の頻度,⑤心理的ウェルビーイング尺度の5つを用いて,質問紙調査を2008年7月から8 月に実施した。その結果,「回想の頻度」で高齢者と中年者との間に有意差が認められ,内容としては「ひまなとき」,「何かで悩んでいるとき」,「寝るときや眠れないとき」の3場面で高齢群が中年群より有意に高いことが示された。さらに心理的ウェルビーイングが高い高齢者は良質の回想をする傾向が高く,回想の頻度も高いことが示された。これらの分析から,成人後期以降の回想の特徴と心理的ウェルビーイングとの関係が明らかとなり,高齢者に対して回想法を適用することの妥当性が示唆された。
著者
岩月 啓氏 大野 貴司 山崎 修
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.Suppl.7, pp.B29-B32, 2006 (Released:2011-03-11)
参考文献数
16

アトピー性皮膚炎の増悪因子の一つとして黄色ブドウ球菌は重要である。黄色ブドウ球菌表面のタイコ酸はTh2型免疫応答へシフトさせ,protein Aは表皮角化細胞からIL-18を持続的に産生させる。Enterotoxin A(SEA)とB(SEB)は,正常表皮角化細胞にICAM-1 やHLA-DRを発現させる。また,アトピー性皮膚炎患者の半数以上はSEAまたはSEBの両方あるいはいずれか一方に対するIgE型抗体を有する。SEBの経表皮的感作によって真皮に好酸球や単核球細胞浸潤を誘導でき,Th2型サイトカインであるIL-4 mRNA発現を起こすが,Th1型サイトカインのIFN-γは発現しない。最近,スーパー抗原によって制御T細胞(Treg)の機能である抑制効果が失われることが示された。黄色ブドウ球菌はその菌体成分や外毒素によってアトピー性皮膚炎を増悪させる。しかし,皮膚に定着している黄色ブドウ球菌を完全に除菌し,無菌状態に保つことはできない。角層内でバイオフィルムに包まれて静止期にあるような定着(colonization)した黄色ブドウ球菌に対しては,抗菌療法も消毒も十分な効果発現は期待できない。皮膚を清潔に保ち,適切なアトピー性皮膚炎治療を実施することにより,黄色ブドウ球菌を増えすぎないようにコントロールして,正常細菌叢と仲良くするストラテジーが理想的と思われる。
著者
三平 まゆみ 深沢 紀代美 高野 和美 山岸 春江 山崎 洋子
出版者
山梨大学看護学会
雑誌
山梨大学看護学会誌 (ISSN:13477714)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.21-24, 2003

医療福祉相談室(以下,相談室)における看護師の役割を明らかにするために,相談室の看護師が関わった相談者150人の初回相談時の主な相談内容を調査した。相談者で一番多かったのは看護師70人(46.7%)で,内容としては医療器具に関する事38件(25.3%),在宅療養27件(18.0%),退院に向けて25件(16.7%)の相談であった。相談解決のために,当院の医療スタッフ,市町村役場,保健所,訪問看護ステーション等の関係職種に協力を求めた。相談室における看護師の役割として,医療用消耗品の選定・情報提供を行う事,病状や家庭事情に合わせた社会福祉資源を検討する事,病院内外を問わず関係職種との連絡調整を行う等の役割があることが示唆された。
著者
山崎 元 遙 洋子 内藤 忍
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.329, pp.44-47, 2010-04

──実は皆さん3人とも、アラフィフ(50歳前後)です。同世代に名前をつけるとしたら?山崎 「年金割り負け世代」。今の50歳前後は自己負担比2倍程度の年金をもらえることになっています。でも、会社負担分を加味すると、受取額は1倍スレスレ。年金財政を考えると、これはもっと悪化するでしょう。つまり、払った分より少ない年金額しか受け取れない世代ということです。
著者
大塚 泰介 山崎 真嗣 西村 洋子
出版者
日本生態学会暫定事務局
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.167-177, 2012 (Released:2013-10-08)

水田の多面的機能は、そこに生息する生物間の相互作用に負うところが大きい。水田にキーストーン捕食者である魚を放流して魚を放流しない水田と比較すれば、対照区つきの隔離水界実験(メソコスム実験)になり、水田の生物間相互作用を解明する上で有効である。水田にカダヤシを放流しても、カに対する抑制効果が見られないことがある。カダヤシはカの幼虫・蛹のほかに、その捕食者や競争者も食べるので、捕食による効果の総和が必ずしもカを減らす方向に働かないためである。メコン川デルタの水田に3種の魚を放し、魚を放さない水田と生物群集を比較した実験では、ミジンコ目が減少し、原生動物とワムシが増加し、水中のクロロフィルa濃度が増加するという結果が得られている。水田にニゴロブナの孵化仔魚を放流した私たちの実験でも、これと類似の結果が得られた。ニゴロブナの後期仔魚および前期稚魚はミジンコ目を選択的に捕食し、ほぼ全滅させた。すると放流区では対照区よりも繊毛虫、ミドリムシなどが多くなった。また放流区では、ミジンコ目の餌サイズに対応する植物プランクトン、細菌、従属栄養性ナノ鞭毛虫などの数も増加した。メコン川デルタと私たちの結果は、ともに典型的なトップダウン栄養カスケードとして説明できる。また、魚の採食活動が、底泥からの栄養塩のくみ上げや底生性藻類の水中への懸濁を引き起こしたことも示唆される。これとは逆に、コイの採食活動によって生じた濁りが、水田の植物プランクトンの生産を抑制したと考えられる事例もある。こうした実験の前提となるのは、魚が強い捕食圧を受けていないことである。魚に対する捕食圧が大きい条件下での水田生物群集の動態は、今後研究すべき課題である。
著者
山崎 優子 Yuko Yamasaki
出版者
同志社大学教職課程年報編集委員会
雑誌
同志社大学教職課程年報 (ISSN:21867607)
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-16, 2016

小中高におけるいじめは深刻な問題である。いじめ被害は数年経過した後でもネガティブな影響を及ぼし続けることが先行研究で明らかにされている(水谷・雨谷,2015)。本研究では、将来教員になったときのいじめ被害者・加害者への対応についての認識が、自身のいじめ被害・加害等の経験とどのように関連するかを明らかにすることを目的とした。教職課程の受講生を対象にした調査の結果、中学校でいじめ被害を経験したと回答した参加者は、51%にのぼった。そして、中学校における被害生徒への対応については、いじめ被害経験のある者ほど「他の教員/機関との連携」の必要性の認識が高まる傾向にあった。その一方で、いじめ加害経験のある者ほど「被害生徒に対する具体的ケア」の必要性の認識が低下する傾向にあった。いじめ経験の有無にかかわらず、教員になった時にいじめ問題に対処するために、大学の教職課程で学ぶ必要があると考える事象は、対策、実態/ケーススタディ、原因など多岐にわたることが明らかとなった。論文(Original Research Article)
著者
山崎 利夫
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, 2009-10-01

"この論文は「鹿屋体育大学学術研究紀要」(38号,2009年3月,p1-13)に掲載された論文を査読し、『研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-』Vol.3 No.1(2009.10)に採択されたものである。"
著者
加納 寛子 光原 弘幸 山崎 雄介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-22, 2010

インターネット上のコンテンツは急速に増加し,レポート剽窃の続出が,昨今の高等教育における課題の一つとなっている.レポート作成方法の指導と機械的チェックの双方がそろって,レポート剽窃防止につながるのではないかと考え,レポート剽窃防止の枠組みを提案した.そして,レポート作成方法の指導のみ行い提出させたレポートと,機械的チェックの連絡も行って提出させたレポートを比較した.機械的チェックの事前連絡を行わなかったケースでは,50%を越す剽窃が見られるレポートが34件中1件検出された.だが,機械的チェックよりも,本質的な指導の重要性が示唆された.
著者
山崎 義弘 鈴木 滉哉 松田 和浩 坂田 弘安
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.27, no.65, pp.202-206, 2021-02-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Seismic performance of timber shear walls is generally confirmed through experiment which is provided in the standard. However, the strength and deformation capacities are clearly related to the loading protocol, and such a fatigue behavior is not well-understood so far. In this paper, plywood sheathing wall having 12mm thickness of plywood is tested, and the fatigue behaviors coming up on force-deformation relation and equivalent damping ratio are evaluated.
著者
湧上 聖 末永 英文 江頭 有朋 平 敏裕 渡嘉敷 崇 山崎 富浩 前原 愛和 上地 和美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.304-308, 2000
被引用文献数
5

長期経腸栄養患者に銅欠乏が出現することが時々報告され, 貧血及び好中球減少症を伴うことがある. ある種の経腸栄養剤の銅含量が少ないことが原因で, 治療は硫酸銅や銅含量が多い経腸栄養剤で行われている. 今回, 食品である銅含量の多いココアを用いて銅欠乏の治療を行い, 銅の必要量を検討してみた. 当院に平成10年に入院していた経腸栄養患者86人を対象とした. 男性40人, 女性46人, 平均年齢69歳であった. 基礎疾患は脳卒中71人, 神経疾患5人, その他10人であった. CBC, 電解質, 腎・肝機能, 総蛋白, コレステロール, 血清銅 (正常値78~136μg/d<i>l</i>) を全症例に検査した. まず, 血清銅が20μg/d<i>l</i>以下の8症例に対して, ココアを一日30~45g (銅1.14~1.71mg), 血清銅が77μg/d<i>l</i>以下の31症例に対してはココアを一日10g (銅0.38mg) 経腸栄養剤に混注して1~2カ月間投与した. ココアの量が30~459の8症例の内, 2例が嘔吐と下痢で中断した. 残り6症例は血清銅が平均8.7±6.2から99.0±25.4μg/d<i>l</i>と有意に改善した. ココアの量が10gの31症例は血清銅が平均50.5±19.3から89.0±12.9μg/d<i>l</i>と有意に改善した. 銅欠乏に伴う貧血及び好中球減少も改善傾向がみられた. その後ココア10gで改善した23例についてココアを5g (銅0.19mg) に減量したところ, 平均98±36日で血清銅は90.7±10.4から100.6±17.1μg/d<i>l</i>へ有意に上昇した. これまで成人の一日銅必要量は1.28~2.5mgとされていたが, 今回の結果から銅欠乏の治療に関してはココア一日10g, 銅として0.6mg (ココアの銅含量0.38mgと栄養剤の平均銅含量0.22mg), 維持についてはココア5g, 銅として0.37mg (ココアの銅含量0.19mgと栄養剤の平均銅含量0.18mg) で十分だと示唆され, 経腸栄養剤開発における銅含量の参考になると思われる.
著者
浅井 玲央 辰村 正紀 小川 健 万本 健生 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
19

腰椎分離症症例の男女における相違点を見出すことを目的とし,当院で腰椎分離症と診断された高校生以下の症例60例104ヵ所について解析した.性別の内訳は男性44例,女性16例で,罹患高位は男性でL5分離が多く(p=0.060),治療自己中断率は男性で高かった(p=0.095).保存療法が完遂できない男性症例を減らすための対策を検討する必要がある.平均受診年齢や骨年齢,SBO保有率,第5腰椎前弯角,初診時罹患部の末期例割合,骨癒合率,治療期間などは男女で相違がなかった.今後,調査項目を追加し前向き研究を行なうなどして,より詳細に男女の相違点やその原因を明らかにしていく必要がある.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.