著者
山崎 榮三郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.233-241, 2003

コンピュータシステムの進展はインターネットの出現と相まって,われわれの価値観なり行動に大きな変化をもたらしてきた。さらに進むコンピュータ技術,通信技術,コンテンツ技術が重なり合いながらユビキタス時代が幕を開けようとしている。ユビキタスネットワークの中で一翼を担う無線ICチップ(タグ)はさまざまな分野での応用が想定されるため,現在,標準化の動きも活発化してきている。コンピュータ技術の発達は小型化を促し,安価となる事により,世の中の全ての製品に組み込まれていく事まで想定されている。コンピュータが「道具であった時代から環境へと変わっていく」時代の中にわれわれは存在する。新しい時代の価値観なり行動形態にどのような影響を与えていくのだろうか。
著者
山崎 一生 飯島 泰蔵
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, 1971-03-15
著者
青木 詩子 山崎 裕司 青木 治人
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.77-81, 1998-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
1
被引用文献数
1

階段を前向きに降りること(前方アプローチ)が困難な片麻痺患者に対し,後ろ向きに降りる方法(後方アプローチ)を試み,その有用性について検討した。対象は片麻痺患者13例(年齢58.8 ± 15.8歳)で,前方アプローチによる階段の降りは,13例中5例が不可能であった。これらの症例に対し,前方アプローチと後方アプローチを施行し,それぞれの可否,不安感,所要時間,動作パターンを調査した。後方アプローチは全例が階段の降りが可能となり,階段の降りにおける不安感の比較でも,前方アプローチに比べ後方アプローチにおいて有意に不安感は小さかった。階段降りの所要時間は,後方アプローチと前方アプローチの間に有意な差を認めなかった。以上のことから,階段の降りが困難な片麻痺患者に対しては,後方アプローチを指導することが有効と考えられた。
著者
鈴木 久美子 采 輝昭 山崎 幹夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.221-225, 1988
被引用文献数
7

A fraction causing diarrhea to mice with a hemolytic activity was previously isolated from the aqueous extract of a poisonous mushroom Rhodophyllus rhodopolius. In order to clarify the relationship between the enterotoxicity and hemolytic activity, the hemolysin was purified. The hemolysin which was partially purified by DEAE-cellulose column chromatography, ammonium sulfate precipitation, and Sephacryl S-300 column chromatography, caused diarrhea and intestinal hemorrhage to suckling mice. The molecular weight of the hemolysin was estimated to be about 40000 by SDS-slab polyacrylamide gel electrophoresis and gel filtration. The hemolytic activity of the hemolysin was observed to be relatively heat-stable in the crude extract and dependent on the temperature and concentration of erythrocytes.

1 0 0 0 積雪モデル

著者
山崎 剛 杉浦 幸之助
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.607-612, 2006-11-15
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

吹雪モデルを含む積雪モデルの現状と課題について概観した.積雪モデルは大きく分けて,少ない入力から積雪を評価する簡便なモデルと,可能な限り複雑な物理過程を考慮して積雪の層構造をも再現する多層モデルに分類される.また,吹雪モデルは個々の雪粒子の運動力学に基づくモデル,吹雪を空間濃度で表現し乱流拡散理論に基づくモデルが構築されている.それぞれに関して日本で開発されたモデルを中心に,代表的なモデルを紹介した.また,積雪モデルの国際相互比較Snow MIPについても紹介した.今後の課題として,雪の移動・再配分を含めた積雪分布モデル,森林地帯の扱い,気候予測に使える凍土を含めた長期積分可能なモデル,組織的な取り組みの必要性を指摘した.
著者
飯田 悟 一ノ瀬 昇 五味 哲夫 染矢 慶太 平野 幸治 小倉 実治 山崎 定彦 櫻井 和俊
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-201, 2003
被引用文献数
5

人々の清潔志向を背景に, 腋臭を中心とした体臭のデオドラントニーズは年々高まっている。われわれは, 官能評価および機器分析を用いてヒトの腋臭について研究した結果, 新たな臭気原因成分としてビニルケトン類 (1-octen-3-one, <i>cis</i>-1,5-octadien-3-one) を発見した。これらビニルケトン類のにおい閾値は非常に低く強烈な金属臭を有し, 腋臭に大きく寄与していることが示唆された。これら臭気は, 人体代謝物中の不飽和脂肪酸と鉄が接触して生成する酸化物であることをモデル実験によりつきとめ, におい発生のメカニズムを解明した。また, 植物抽出エキスの抗酸化作用により, ビニルケトン類の生成を抑制する方法を<i>in vitro</i>系にて検討し, 『クワエキス』に優れた生成抑制効果を見出した。
著者
山崎 貴史
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.85-100, 2013

1990年代以降、わが国における日雇労働市場の縮小は、多くの失業者を生み出し、都市の公共空間で居住する野宿者が急増した。駅舎・公園・道路などに起居した野宿者は、90年代から絶えずクリアランスの対象となってきた。そして、そのいくつかにはスポーツが大きく関連している。たとえば、2010年の宮下公園、2012年の竪川河川敷公園では、スポーツ施設の設置によって、野宿者の強制撤去が行われた。では、なぜ野宿者の排除にスポーツが用いられるのだろうか。そして、公園におけるスポーツ施設の設置はそこで暮らす野宿者にとって、どのような問題を孕んでいるのだろうか。<br> 事例としたのは、1997年と2004年に〈ホームレス〉対策としてスポーツ施設が設置された若宮大通公園である。この公園では、〈ホームレス〉対策として、スポーツ施設が設置されていった一方で、公園内で野宿者は居住を続け、ゲートボール場では炊き出しが行われている。本稿の事例からあきらかになったのは、第一に、スポーツ施設は公園内のオープンスペースを「スポーツする場所」に利用を限定することで、野宿者にとって、居住地を制限するものとして立ち現れる点である。 第二に、野宿者と支援者はスポーツ施設による居住や活動の制限を受けながらも、スポーツ施設を利用して居住し、スポーツ施設を居住地や「野宿者支援の場所」として意味づけしなおしていた点である。<br> このことから、最後に公園といった公共空間にスポーツ施設が設置されることの是非は、そこをどのように管理するかではなく、どのように利用されているかという視点から捉える必要性を指摘した。
著者
沢崎 達夫 小林 正幸 新井 肇 藤生 英行 平木 典子 岩壁 茂 小澤 康司 山崎 久美子
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.108-122, 2016 (Released:2018-06-03)
参考文献数
39

日本カウンセリング学会資格検討委員会は,その任期中に新たなカウンセラーの資格について検討を進めることになった。そして,公認心理師資格が実現した中,現在のわが国におけるカウンセリングの位置づけをより明確にし,また日本カウンセリング学会の発展に向けて何をすべきかを,さまざまな観点から議論してきた。認定カウンセラーに続く新たな資格は,将来的には「カウンセリング心理士」として実現される手はずであるが,そこに至る道筋の一端をここに示す。全体の構成は,「カウンセリング,カウンセラーとは(概念,定義,活動内容,領域など)」,「カウンセリング心理学と臨床心理学」,「学校におけるカウンセリングの将来展望」,「カウンセラー資格の現状と課題」,「国際資格について」,「カウンセラーとして学ぶべきこと」となっている。これらを踏まえて,日本カウンセリング学会として,カウンセリングをどのように捉え,どのようなカウンセラーを養成すべきかを明確にし,それを実現するための具体的なカリキュラムと養成方法を検討していくことが今後の課題となっている。
著者
松浦 和文 山崎 文夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.175-180, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

〔目的〕腹式呼吸が気分と脳血流に及ぼす影響を検討した.〔対象と方法〕健常成人10名を対象とし腹式呼吸あるいは通常呼吸を行った後ストループ課題を行った.実験中,前頭部の酸素化ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb)を測定し,呼吸前後とストループ課題後の気分を評価した.〔結果〕腹式呼吸後は混乱-当惑,緊張-不安,総合的気分状態得点が低下しストループ課題後も緊張-不安の低下が持続した.Oxy-Hbは腹式呼吸後に低下したが通常呼吸後は増加した.両呼吸条件でストループ課題後にOxy-Hbは増加した.〔結語〕1)腹式呼吸は気分を改善して前頭葉の血流抑制作用をもたらすこと,2)腹式呼吸後に精神性ストレスを受けた際,緊張-不安の低下が持続することで気分も改善傾向が続き前頭葉の血流量も低い傾向があることが示唆された.
著者
内田 香奈子 山崎 勝之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.378-387, 2008
被引用文献数
1

本研究の目的は,情動焦点型コーピングの1つである感情表出と抑うつとの因果関係を,予測的研究方法を用いて検討することである。参加者は341名で,質問紙には,怒りと落胆感情に対する2タイプの感情表出(独立的/他者依存的)を測定する感情コーピング尺度 (ECQ) の状況版,問題焦点型コーピングの測定にはGeneral Coping Questionnaire (GCQ) の状況版,抑うつの測定にthe Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D) を用い,5週間をあけ (T1とT2),2度回答した。階層的重回帰分析の結果,女性においてT1の独立的感情表出がT2の抑うつと正に関連していた。また,女性において抑うつが高いほど問題解決を行わないことが示された。独立的感情表出を低め,同時に問題解決を高める介入の可能性について論議された。
著者
山崎 泰央
出版者
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
雑誌
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター ワーキングペーパーシリーズ = Working paper series
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-26, 2006-11-10

パーソナルコンピュータの歴史は、1971(昭和 46)年インテルによって世界初のマクロプロセッサ(MPU)「4004」が発表されたときから始まる。電卓用に開発された4ビット処理の「4004」は数字しか扱えなかったが、翌年、アルファベットも扱える端末機用 8ビット MPU「8008」が発表された。1974年、インテルは処理速度を格段に早めた汎用の 8ビット MPU「8080」を発売、75 年にはこれを組み込んだ世界初のマイコンキット「アルテア 8800」が米 MITS 社から発売され、全米にマイコンホビーブームが生じた。このアルテアに対してプログラミング言語「BASIC」を移植し、ソフトウェア・ビジネスを立ち上げたのが、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツとポール・アレンだった。1977年、アップル・コンピュータの「ApplⅡ」の他、コモドールやタンディ、日本のソードがほぼ同時期に、個人による机上利用が可能なデザインのマイコン=パーソナルコンピュータを発表した。パソコン時代の幕開けである。そして 1983 年、IBM は 16 ビットパソコン「IBM The PC」でパソコン市場に参入する。パソコンでは後発であった IBM は、開発期間を短縮するため、オープンアーキテクチャ構造を採用した。そのため、IBM のシェア拡大と同時に互換機市場も拡大していった。このとき、IBM-PC にインテルの MPU とマイクロソフトの OS(基本ソフト)が採用されていたことから、いわゆる「ウィンテル」がデファクトスタンダート(事実上の標準)の地位を獲得していったのである。 現在では「ウィンテル」の商業的成功ばかりが喧伝されているが、パソコン黎明期には実に多くの有名・無名の人々がパソコンの発展に貢献してきた。もちろん日本人の活躍も例外ではない。8ビットパソコンを第一世代、16 ビットパソコンを第二世代、そして現在の主流である 32 ビットパソコンを第三世代とすると、日本人はパソコン第0世代の MPU 開発から第二世代まで大きな足跡を残している。MPU「4004」のアイデアは日本の小さな電卓会社ビジコンが生みだし、その開発には日本人技術者の嶋正利が関わっている。アルテアを開発したエド・ロバーツよりも早く MPU を使って商用マイコンを作ったのは椎名堯慶が率いていたソードであった。また 16 ビットパソコン OS のデファクトスタンダートである MS-DOS はアスキーの西和彦がビル・ゲイツに決断を促したことによって開発が始まっている。その他、日米を含めて多くの人々やベンチャー・ビジネスの活躍が、パソコンを含む現在のIT(情報技術)産業の発展を支えてきたのである。 ここでは、パソコン黎明期に日本のパソコン産業をリードしながら、経営の失敗によって歴史に埋もれていったソードの椎名堯慶(しいな たかよし)と、同じく黎明期にパソコンの「天才」と呼ばれ、表舞台で活躍したアスキーの西和彦(にし かずひこ)を取り上げる。以下、彼らがパソコンの将来像をどのように描き、それを実現するためにどのような主体的活動を行ったのか検討していく。
著者
山崎 澄江
出版者
土地制度史学会(現 政治経済学・経済史学会)
雑誌
土地制度史学 (ISSN:04933567)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.17-32, 1999-04-20 (Released:2017-12-30)

As the days of high economic growth started, the locations of heavy and chemical industries concentrated on developed industrial zones in coastal areas which had been equipped with industrial infrastructures. As a result, serious problems were caused. One is the regional disparity like income gap, over-urbanization, depopulation of rural areas, and so forth. Other is the shortage of industrial site, water, labor in developed industrial areas. To solve these problems, the government introduced "New Industrialize Area Project" as the first regional development policy based on the synthetic national land planning in Japan. New Industrialize Area Project, to narrow the regional disparity, aimed to invite the growing industries to "Industrialize Area" strategically, through providing large-scale infrastructures as inexpensive as possible. The Project was realized in the context of various interests among the central government, the local governments, the enterprises. This paper discusses how the parties concerned -paying special attention to the local governments-adjust their interests, and what position they took in the process of the Project. Since the regional disparity had been very serious problem, most of the local governments especially in backward regions would take part in New Industrialize Area Project actively. Though the local government's plan was restricted by the national land planning and the private investment plan, the local governments negotiated with the central government about increase of the Industrialize Areas, the subsidies, the strategic industries, and they tried to get the most advantages they could. Their positive attitude led to keen competition for designation as the Industrialize Areas, invitation of the heavy and chemical industries, and it was just the power to push forward with the Project. The petroleum-based industries and the steel industry which most of the areas had desired to invite, located in only a few favorable areas, but, the other areas also succeeded in attracting various industries which was the labor-intensive industries like the machine industry, the light industries, and the regional disparity was getting narrow gradually. Thus, the regional development policy which have provided large-scale and inexpensive infrastructure making use of the regional gap, was appropriate policy in the middle of the high economic growth.
著者
木下 信博 崔 正烈 荒木 滋朗 志堂寺 和則 松木 裕二 日高 滋紀 戸田 佳孝 松永 勝也 小野 直洋 酒向 俊治 塚本 裕二 山崎 伸一 平川 和生
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0761, 2005

【目的】 <BR> 整形外科病院におけるリハビリ診療の中で、中高年齢者において変形性膝関節症(以下膝OAと略す)は頻繁に見られる疾患である。膝関節の主な働きとして、歩行時に支持性と可動性で重要な役割があり、現在、理学療法士の行う関節可動域訓練や四頭筋訓練及び装具療法などが治療として行われており、予防的視点からのアプローチが行なわれているとは言い難い。<BR> 膝OAは老化を基礎とした関節軟骨の変性が原因で、軟骨に対するshear stressは軟骨破壊に大きく作用すると考えられている。<BR> 新潟大学大森教授らによると、より早期に起こると考えられる、3次元的なscrew home 運動の異常が膝関節内側の関節軟骨に対する大きなshear stressになっている可能性が大きいとの報告がある。<BR> そこで我々は膝OA予防の視点から、歩行立脚時のscrew home 運動を正常化出来る靴を、久留米市の(株)アサヒコーポレーションと共同で作成し、九州大学大学院の松永教授らとの共同研究で、膝OAの予防の可能性を検証したので報告する。<BR>【方法】 <BR> 歩行時の踵接地より立脚中期に、大腿部から見た下腿部の外旋であるscrew home 運動を確保する為に、靴の足底部に下腿外旋を強制するトルクヒールを付けた靴を作成し、患者さんに使用してもらった。<BR> 方法として、(1)約7ヶ月間に亘りO脚傾向のある患者さんに日常生活で、はいてもらい靴底の検証。<BR>(2)九州大学大学院システム情報科学研究所製作の位置測定システムで、下肢の荷重時での下腿外旋運動出現の検証。<BR>(3)トレッドミルにおいて、骨の突出部にマークして、高速度撮影での歩行分析。などを実施した。 <BR>【結果及び考察】 <BR> 大森教授らによると、膝OAの進行に伴い、screw home運動の消失もしくは、逆screw home 運動(膝最終伸展時の脛骨内旋)の出現との報告がある。<BR> そこで、(株)アサヒコーポレーションとの共同開発による、トルクヒールを靴底に装着した靴を作成し検証した。<BR>(1)での検証結果は、通常靴の踵は外側が磨り減り、今回の靴では内側が磨り減り、膝が楽になったとの報告があった。<BR>(2)では、歩行時の踵接地より立脚中期に大腿部から見た下腿部の外旋をとらえる事が出来た。<BR>(3)では、歩行時の立脚期に、前方からの撮影でlateral thrust が3度抑制された結果となった。<BR> 膝OAは、高齢化社会の中でも大きな問題となっている、もともと内反膝の傾向にある人にとっての歩行訓練は、かえって有害であることもあり、今回の靴は、歩行時の立脚時において、下腿部に外旋の力を伝えることで膝OAの発症予防に有用であると考えられた。
著者
武田 尊徳 山崎 弘嗣 田代 英之 中村 高仁 星 文彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.62-67, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
13

本研究は歩行中の重心移動のパターンを評価するための基礎的な指標を得ることを目的とし,jerk最小モデルから予測される運動軌道との差を検討した。対象は健常成人女性8名とし,3次元動作解析装置を用いて歩行時の重心移動を計測した。jerk最小モデルを用いて計算される1歩行周期の重心移動の最適軌道を基準とし,軌道波形のピークの位置から定性的な一致度を調べ,前後,左右,上下の3方向で実測値との差の実効値を算出した。前後,左右方向の実測軌道と最適軌道は波形が類似しており,上下方向においては軌道のパターンの差が顕著であった。重心変位の最大値で正規化した実効値は左右方向15.7%,前後方向2.4%,上下方向70.1%であった。左右,前後の2方向において健常成人における実測軌道は予測した最適軌道に近似し,本研究で示した数値を用いて歩行動作の機能的制限を定量化することが可能である。本研究は歩行動作における重心移動解析の基礎的資料となり得る。