著者
山本 章加 大蔵 雅夫 重本 津多子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.85-91, 2012-09

In Japan, a lot of people used to be prejudiced against gay men, lesbians or bisexuals despite the fact that "homosexuality" as a category was eliminated from diagnostic criteria. Still, there is little investigation into the relations between individual's personality, his/her images and the attitudes toward homosexuals. A total of 164 heterosexual students of health and welfare (94 men and 70 women) with a mean age of 20.0 (SD=2.3) years participated in the questionnaire survey. They were asked to complete the Index of Attitudes toward Homosexuals (IAH), a 24-item questionnaire on the image of homosexuals using semantic differential method and a short form of Five Factor Personality Questionnaire as well as an inquiry about their history of encounters with homosexuals. Factor analysis of IAH resulted in three-factor solutions with factors identified as "avoidance of homosexual neighbors", "avoidance of contacts with homosexuals" and "avoidance of approach from homosexuals". Similarly, image questionnaire included two factors identified as "external image" and "internal image". Logistic regression analysis showed that "attachment" (OR=.93, 95%CI= .87-.99) was a predictor of positive "internal image", and that "encounters with homosexuals" (=yes, OR=.04, 95%CI: .01-.21) and personality traits such as "extroversion" (OR=1.15, 95%CI: 1.07-1.23), "emotionality" (OR=1.16, 95%CI: 1.09-1.25) and "playfulness" (OR=.87, 95%CI: .80-.95) were predictors of "avoidance of homosexual neighbors". Similarly, "avoidance of contacts withhomosexuals" was associated with "external image" (OR=2.00, 95%CI: 1.31-3.06) and "playfulness" (OR=.94, 95%CI: .88-.99), and "avoidance of approach from homosexuals" was associated with sex (=male, OR=9.54, 95%CI: 3.83-23.79) and "internal image" (OR=1.80, 95%CI: 1.04-3.14). These results indicate that personality traits weakly but significantly influence the development of image and attitude toward homosexuals among Japanese adolescents.
著者
山本 哲朗 林 光緒
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.249-256, 2006-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
30
被引用文献数
2 3

午後の眠気の抑制には短時間仮眠が有効であることが報告されている。しかし, 短時間仮眠が運動パフォーマンスを向上させるかどうかについては検討されていない。そこで本研究は, 短時間仮眠が運動パフォーマンスに及ぼす効果を検討した。運動部に所属する男子大学生10名が実験に参加した。彼らは14 : 00に仮眠をとるか (仮眠条件), 15分間新聞を読んだ (仮眠なし条件) 。仮眠条件では, 睡眠段階2が3分間出現した時点で起こした。15 : 00より自転車エルゴメータで, 参加者の限界に至るまで運動を続けた。その結果, 運動継続時間は仮眠条件の方が27秒長かった (p<.05) 。運動中の心拍数に差はみられなかったが, 仮眠条件の方が, 主観的運動強度, 眠気が有意に低く, 活気も有意に高かった (ps<.05) 。これらの結果は, 短時間仮眠が午後の運動パフォーマンスを改善させる効果があることを示唆している。
著者
水田 拓道 植屋 清見 日丸 哲也 永田 晟 山本 高司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.100-107, 1975-09-01
被引用文献数
1

目的に応じたサウナ入浴をするための一つの条件として,サウナ入浴時間が生体におよぼす影響というかたちで,主に運動機能的な面からサウナ入浴前後,および入浴中の変化について比較検討した。本実験の結果からサウナの効果的利用法について次のような示唆が得られた。1. アンケート調査の結果,サウナ入浴時間においては5分単位の入浴を繰返している者が最とも多く60%余りをしめていた。また,95%の者がなんらかの形で冷水浴を併用していた。2. 全身反応時問,膝蓋腱反射閾値,垂直跳ぴにおけるジャンプパワー等,筋神経系の関係する機能においては,5分入浴,1分冷水浴で3回繰返し入浴法が,入浴前に比べてよい成緒を示し効果的であることがわかった。このことから,経験的に得た5分単位の入浴法が,疲労回復,気分転換等に効果的であることが裏付けられた。3. 血圧,心拍数,皮膚温の変化には設定パターンによる著明な差異は認められなかった。しかし,いずれのパターンにおいても循環機能への有効な刺激として考察され,長期にわたる利用によって環境温の変化に対する適応能を高める効果が期待される。4. サウナ入浴中の酸素摂取量は安静時に比して,パターン(1)が23.2%,パターン(2)が31.6%それぞれ増加した。エネルギー代謝促進の面からは少し長い入浴時間が必要と考えられる。
著者
山本 安里 木下 光
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1077-1083, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
19

大阪市臨海部には今なお8ヶ所の渡船が運航している。その内の7ヶ所が大正区と他地区を渡しているものであり、住民の生活に欠かせない交通手段のひとつとして日々利用されている。本研究は、現地でのアンケート調査を実施し、大正区の渡船がどのような要因で住民の生活道路として成り立っているのか明らかにした上で、今後の都市における新たな水上交通の可能性を見出すことを目的とする。得られた結果は以下の3点である。1)人々の利用実態は7つのカテゴリーに分類され、90%の利用者が自転車に乗って渡船を使っていた。また、大正区を中心として平坦な臨海部3キロがその行動範囲であった。2)他方、10%の利用者は渡船を二つ以上、あるいは他の公共交通を乗り継いで、長距離移動していた。3)大阪の渡船は、市民の生活を支える公共交通であるとともに、地域アイデンティティとして捉えられていることがアンケート調査を通して明らかになった。
著者
山本 健太
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.203-220, 2011-09-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
1

本研究は,静岡のプラモデル製造企業を取り上げ,各社資料および聞き取り調査の結果から,技術獲得の経緯および協力企業との分業構造の特性を示すことで,静岡市を中心とする当該産業企業の集積メカニズムを明らかにしたものである.プラモデル製造企業は,設立年や進出時期,技術獲得の経緯の違いから,転換企業,進出企業,新興企業に分類できる.また,これら企業の分業構造は,センター型(転換企業,新興企業)とネットワーク型(進出企業)に分類できる.センター型の分業構造のもとでは,金型や品質の管理が容易である.ネットワーク型の分業構造のもとでは,短時間での多種多量の製品の製造が可能である.また,自社と取引先のみならず,取引先企業間の近接性も求められる.いずれの分業構造の企業であっても,物流を伴う取引の多さから,近接性が求められている.さらに,プラモデル製造企業は,地元の取引先の多くと,企業設立以前から顔馴染みであったり,設立時から取引を継続していたりする.プラモデル製造企業の分業構造を支えているものは,顔の見える相手との信頼関係である.このような静岡に埋め込まれた取引関係もまた,静岡におけるプラモデル製造企業の集積を促している.
著者
山本 啓二
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.135-147, 2001 (Released:2010-03-12)

Historical astrology is the branch of astrology that deals with political and religious history by using the conjunctions of the superior planets. This kind of astrology had been developed in Sasanian Persia on the basis of the Indian system of yuga.The Book of Religions and Dynasties attributed to Abu Ma'šar (787-886 A. D.) is the most complete surviving work that gives us a systematic account of the full range and methodology of historical astrology. The most significant difference between The Book of Religions and Dynasties and other surviving texts concerning historical astrology attributed to Sasanian and early 'Abbasid astrologers, such as Zoroaster, Gamasb, Maša'allah, and al-Kindi, is that only the former attempts to explain philosophical and technical principles.According to The Book of Religions and Dynasties, astrological interpretation is mainly based on four kinds of conjunction and four horoscopes. Out of the four conjunctions, three are those of Saturn and Jupiter, occurring every 20 years in each sign, every 240 years within the same triplicity, and every 960 years returning to the first sign, and one is that of Saturn and Mars every 30 years in the sign of Cancer. The basic horoscopes are set up for the vernal equinoxes in 571 A. D., i. e. the year of conjunction indicating the Religion, in 622 A. D., i. e. the year of Hegira, in 749 A. D., i. e. the year in which the shift of rulership to as-Sawad (the 'Abbasids), and in 809 A. D., the year in which the sign of conjunction moved from a watery triplicity to a fiery one.Historical astrology was introduced from the Sasanian tradition by al-Mansur (ca. 713-775) as one of the policies by which he could lay the solid foundation of the newborn dynasty, and it was used most effectively among the early 'Abbasids. The Book of Religions and Dynasties will cast a new light on the future studies of Sasanian and early 'Abbasid dynasties.
著者
山本 隆一
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-93, 2016-04-30 (Released:2016-05-13)
参考文献数
7

我が国は医療の情報化自体は先進的であったし,現在でも情報システムの導入率という観点では世界の最高水準にある。しかし,情報化の目的は,事務処理の合理化が主体であり,情報を公益目的に利用する二次利用の面においては遅れていたと言わざるを得ない。しかし最近になって,我が国にも大規模な医療情報データベースが構築されるようになったが,それに伴い,公益利用とプライバシー保護の対立的な問題が顕在化してきた。例えば高齢者の医療確保に関する法律に基づいて作成されたレセプトおよび特定健診・保健指導のデータベースは一般的な公益利用に関して根拠法には記載がないために,利用に際して厳格な匿名化が求められ,安全管理に関する要求も厳しく,公益研究にとって使いやすいデータベースとは言えない。一般に,公益目的の研究を行う研究者がプライバシーの侵害を意図的に行う可能性はないと考えられるが,法的な要求自体が曖昧であるために,研究が促進されない可能性もある。医学は診療情報の公益利用なしには発展はあり得ないので,明確で研究者にとっても患者にとってもわかりやすい法制度の整備が強く望まれる。改正個人情報保護法が2015年9月に成立したが,政令や指針の整備は2017年と思われる法の実施までに議論される。医療に関するデータベース研究者はこれの議論を注視すべきであるし,必要な場合は適切な提言を行うべきと考えられる。
著者
浦田 龍之介 鈴木 満里乃 山本 真生 伊藤 将円 鈴木 皓大 伊藤 梨也花 伊藤 晃洋 飯島 進乃 屋嘉比 章紘 鈴木 彬文 井川 達也
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.188-192, 2023 (Released:2023-06-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

〔目的〕本邦理学療法分野の症例報告における情報の欠落の実態について調査することとした.〔対象と方法〕2019年に日本国内の学術雑誌に掲載された理学療法に関する症例報告を対象とした.医中誌Webを含む4つの電子検索データベースを用いて文献を網羅的に収集した.症例報告における情報の欠落について,CAse REport guidelinesを用いて評価した.〔結果〕253件の症例報告が選択された.患者の個人情報の項目では遵守率が100%であった.アブストラクトと本文に関する計12項目では,遵守率は50%未満であった.〔結語〕本邦理学療法に関する症例報告のなかには,必要情報の欠落により読者の誤解を招く表現が用いられている可能性が示唆された.
著者
山本 晶友 樋口 匡貴
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.242-258, 2020 (Released:2022-02-05)
参考文献数
104
被引用文献数
1

This article reviews the functions and negative consequences of two emotions that support reciprocal help in humans: compassion and gratitude. Compassion arises when an individual witnesses another individual’s suffering and can be distinguished from the experience-sharing of distress with that person. This emotion has a significant role in the caregiving response to vulnerable offspring and cooperative relations with non-kin. However, compassion may sacrifice the welfare of people who are not the target of this emotion or may hinder the target’s growth. Gratitude is generated when one benefits from someone else’s good intentions, and can be distinguished from a mere positive emotion or indebtedness. This emotion contributes to increasing the morality of the beneficiary and the benefactor and contributes to a high-quality relationship between them. However, gratitude may cause unnecessary harm to the beneficiary’s welfare. In an intimate relationship, unbalanced gratitude may decrease relationship satisfaction. Social emotions largely support reciprocal help in humans; however, these emotions evidently are not the sole requirement.
著者
山本 周美
出版者
武庫川女子大学短期大学部
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

トランス脂肪酸(TFA)は、不飽和脂肪酸のうち二重結合の立体配置がトランス型になっているものの総称である。工業由来TFAは、子宮内胎児発育遅延や発達障害のリスクとなることが欧州の研究で示唆されている。そこで、本研究では日本人妊婦を対象に、胎児の発育に及ぼすTFAの影響について検討した。胎盤組織から脂質抽出を行い、GC-MSにて脂肪酸分析を行い、児の発育指標との関連を検討した。結果、早産児の場合、胎盤中のTFAの存在比率と出生体重SDスコアが負に相関した。この結果から、TFAが児の発育を抑制する可能性が示唆された。
著者
山本 俊夫 島津 智浩 遠藤 善宏 白石 廣行 影山 努
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.515-521, 2005-08-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

The concentrations of norovirus (NV) genes in water samples from rivers A, B and C flowing into oyster farms in Miyagi Prefecture, Japan were determined from October 2002 to March 2004. Norovirus genes in 35 specimens collected over 17 months were measured using genogroup 1 (G1) and genogroup 2 (G2) specific real-time quantitative reverse transcription PCR techniques. The respective positive rates of NV genes in rivers A, B and C were 51% (18 of 35), 97% (34 of 35) and 26% (9 of 35). The respective concentrations of the NV G1 gene ranged from 85 - 5.3 × 103 copies, 80 - 9.6 × 104 copies and 85 - 1.7 × 103 copies in 100 ml of water samples from rivers A, B and C. The respective concentrations of the NV G2 gene ranged from 93 - 2.0 × 103 copies, 65 - 1.5 × 105 copies and 72 - 1.2 × 103 copies in 100 ml of the same water sample. These values were high during winter, and low but detectable during summer.