著者
山田 文雄 大井 徹 竹ノ下 祐二 河村 正二
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.55, 2013 (Released:2014-02-14)

福島原発事故で放出された放射性物質による野生動物への蓄積と影響についての調査研究が開始されつつあるが,野生動物の管理については人間活動の制限もあり不十分な点が多い.今回の集会では,野生哺乳類のモニタリングや管理問題について,特にニホンザルや大型狩猟動物を対象に,研究成果や社会的問題を紹介し,今後のあり方を議論する.今後,行政機関にどのような働きかけが必要か,要望書の提出も見据えながら議論を行う.本集会は,2012年5月に開催した4学会合同シンポジウムを受けて,日本哺乳類学会保護管理専門委員会と日本霊長類学会保全・福祉委員会の共同開催とした.1.「福井県におけるニホンザルの生息状況と餌食物の歩車占領の実態、及び今後の保護管理の問題点」  大槻晃太(福島ニホンザルの会) サルの主要な餌を分析し,放射能汚染による餌への影響や放射能汚染に伴う耕作状況の変化によるサルの行動変化を明らかにした.人間活動の再開に向けたニホンザルの保護管理の問題点などについても話題提供したい.2.「福島市の野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況と健康影響」  羽山伸一(日本獣医生命科学大学) 世界で初めて原発事故により野生霊長類が被ばくしたことから,演者らの研究チームは,福島市に生息するニホンザルを対象に低線量長期被ばくによる健康影響に関する研究を 2011年 4月から開始した.サルの筋肉中セシウム濃度の経時的推移と濃度に依存した健康影響に関する知見の一部を報告する.3.「大型狩猟動物管理の現状と人間活動への影響  仲谷 淳(中央農業総合研セ)・堀野眞一(森林総研東北) イノシシやシカなどの大型狩猟獣で食品基準値を超える放射性セシウムが検出され,福島県を中心に獣肉の出荷規制が継続されている.狩猟登録者数が減少し捕獲数にも影響する一方,農業等の被害増加が懸念されている.最新の放射性セシウム動向と,震災地域における狩猟者の意識変化について紹介し,今後の大型狩猟獣対策の方向を考える.4.「福島件における野生動物の被爆問題と被害管理の現状と課題」  今野文治(新ふくしま農業協同組合) 東日本震災から 2年が経過したが,山林等の除染は困難を極めており,年間の積算線量が 100mSv/hを越える地域も存在する.多くの野生動物への放射能の影響が懸念されており,基礎的なデータの収集と保全に向けた対応が急務である.一方,避難指示区域の再編が進められており,帰宅が進むにつれて被害管理が必要となっている.新たな問題が発生する地域での野生動物と人間の共生に向けた情報の共有と整理が重要となっている.5.総合討論「今後の対応と研究について」  山田文雄・大井 徹(森林総合研究所),竹ノ下祐二(中部学院大学),河村正二(東京大学)企画責任者 山田文雄(森林総合研究所)・大井 徹(森林総合研究所・東京大学大学院農学生命科学研究科)・仲谷 淳(中央農業総合研究センター)・竹ノ下祐二(中部学院大学)・河村正二(東京大学)
著者
山田 文雄 友澤 森彦 中下 留美子 島田 卓哉 川田 伸一郎 菊池 文一 小泉 透
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.90, 2013 (Released:2014-02-14)

福島第一原発事故(2011年 3月)による放射性物質の生態系での動態や野生動物の影響を把握するため,地表や土壌中を生活空間とし短寿命のアカネズミなど小型哺乳類を対象に,1)原発から30kmの福島県川内村の国有林(高線量地,空間線量は平均 3.6 μSv/hr,2011年 10月測定)と,2)70kmの茨城県北茨城市の国有林(低線量地,空間線量 0.2 μSv/hr,2011年 12月測定)で継続調査を行った.放射性セシウム濃度(半減期約2年の Cs-134と約 30年のCs-137)は,1年目のアカネズミは高線量地(平均 4,415Bq/ kg生重,最大 18,034-最小 920Bq/kg, n=26)で低線量地(平均 1,124 Bq/kg,5,007-17Bq/kg,n=40)より 4倍,2年目は高線量地(平均 5,950Bq/ kg,最大 19,498-最小567Bq/kg, n=10)で低線量地(平均 370 Bq/kg,882-11Bq/kg,n=30)より 16倍高かった.ヒメネズミは高線量地(平均 5,360Bq/ kg,最大 26,218-最小 91Bq/kg, n=20)で低線量地(平均 221 Bq/kg,7,078-71Bq/kg,n=32)より約 24倍高かった.ヒミズは高線量地(平均10,664Bq/ kg,最大 29,061-最小 41Bq/kg, n=4)で低線量地(平均 650 Bq/kg,2,600-137Bq/kg,n=4)より 16倍高かった.高線量地のヤチネズミ(平均27,290Bq/kg,54,892-12,094, n=4)は高くアズマモグラ(1,017Bq/kg, n=1)は低かった.年変化(事故1年目と2年目)ではアカネズミは高線量地で変化は少ないが低線量地で70%減少し,アカネズミとヒメネズミの濃度は両地で類似し,アカネズミ,ヒメネズミ,ヤチネズミ及びヒミズが高濃度蓄積を示した.
著者
山木田 和哉 山田 浩史 河野 健二
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-11, 2011-07-20

可用性の高いサービスを実現するために,オペレーティングシステム (OS) には高い信頼性が求められる.しかし,現在の OS 内部には多くのバグが含まれており,カーネルクラッシュの原因となっている.古くからカーネルクラッシュに対し広く用いられているリカバリ手法として,OS の再起動が挙げられる.OS 再起動はシンプルかつ強力なリカバリ手法であり,カーネルクラッシュの原因を特定せずとも,システムを復旧することができる.しかし,OS の再起動には時間を要するという問題点も存在する.これは,OS 再起動がハードウェアやカーネルの初期化など,多くの煩雑な手順を踏まなければならないためである.そこで本研究では,システム起動フェーズの再現性に着目した OS の再起動高速化手法 Phase-based Reboot を提案する.Phase-based Reboot では,OS 起動時の動作を実行フェーズ毎に分割して,システムの状態を保存する.そして,OS 再起動時に,過去の OS 起動時と同じ動作をする場合は,過去の実行フェーズを再利用することで,迅速に再起動と同等の効果を得る.また,Phase-based Reboot を Xen 3.4.1 上で稼働する Linux 2.6.18 内に実装し,評価実験を行った.実験では,既存の OS 再起動に要する時間を約 34% から 94% 削減できることを確認した.Although operating systems (OSes) are crucial to achieving high availability of computer systems, modern OSes are far from bug-free. Rebooting the OS is simple, powerful, and sometimes the only remedy for kernel failures. Once we accept reboot-based recovery as a fact of life, we should try to ensure that the downtime caused by reboots is as short as possible. Unfortunately, OS reboots involve significant downtime, which is unacceptable in commercial services. This paper presents "phase-based" reboots that shorten the downtime caused by reboot-based recovery. The key idea is to divide a boot sequence into phases. The phase-based reboot reuses a system state in the previous boot if the next boot reproduces the same state. A prototype of the phase-based reboot was implemented on Xen 3.4.1 running para-virtualized Linux 2.6.18. Experiments with the prototype show that it successfully recovered from kernel transient failures inserted by a fault injector, and its downtime was 34.3 to 93.6% shorter than that of the normal reboot-based recovery.
著者
山田 磯夫
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2012

制度:新 ; 報告番号:乙2373号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2012/12/19 ; 早大学位記番号:新6129
著者
小山 智幸 松藤 泰典 小山田 英弘 山口 謙太郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.71, no.600, pp.17-21, 2006
参考文献数
17
被引用文献数
3 5

In this paper, the tendency of labor accident affected by hot weather ambience were analyzed and discussed. At first, severity of construction works was evaluated in relative metabolic rate (RMR), and temperature limit of works was shown as some index, such as the wet bulb glove temperature (WBGT). The frequency of heat attack occurrence correlated with the number of the days when the maximum temperature became higher than 30℃. Because many processes were executed over the temperature limit, labor accident tended to occur in hot season, and particularly the fall accident from 10 a.m. to 3 p.m. due to high temperature.
著者
吉川 俊夫 山田 英介 中原 崇文
出版者
愛知工業大学
雑誌
総合技術研究所研究報告 (ISSN:13449672)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-23, 2003-07-20

Epoxy resin composites containing steel grinding chips as a conducting filler was subjected to heat cycling tests in order to evaluate the thermal stability of electrical resistance. The effect of the content of grinding chips, magnetization and precure temperature in the curing process was examined and this resulted in finding the thermal stability to depend mainly on the precure temperature: the higher the precure temperature, the higher was the thermal stability. There was also shown to be a minimum value hi the electrical resistance of the composites at the temperature between 50 and 1OO℃.The ratio to the minimum resistance was found to depend mainly on the precure temperature. It has therefore been clarified that the thermal coefficient of the electrical resistance in the epoxy composites can be controlled by adjusting the precure temperature in the during process.
著者
山田 毅
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究目的本研究の目的は、視覚障害教育に携わっていない教員や保護者が視機能評価を行い、適切な教材を開発して、視覚障害が学習を進めにくい要因にならないようにすることにある。2.研究方法(1)視機能評価検査器具を用い通常学習している教室で、児童の視機能及び教室環境に関するアセスメントを実施した。また、担任教師からも教材の見え方や視覚活用に関する配慮などについて意見を聞いた。(2)測定した結果に基づいて、教材の適切な大きさを割り出し教科書や地図帳などをインストールした。視覚に障害のない児童と同じように、教科書や地図帳などが活用できるような仕組みを構築した。(3)筑波大学心理・発達教育相談室東京グループと連携し、心理検査の内容などを支援に役立てた。3.研究成果(1)視機能評価は、視力表とマルチタッチスクリーンを用いた方法で実施して結果を比較した。マルチタッチスクリーンを用いるとカードを持ち変える必要がないことや、任意の位置からでも視力を測定できるため簡便に評価することができた。今後、通常学級担任等が活用できる可能性が広がった。(但し、この場合の視力は、医学的な視力とは区別し、教育上の参考視力として扱う。)(2)視力の測定結果から、教材を作成しマルチタッチスクリーンにインストールし活用した。視力は、照度の低い環境では低い値になるが、マルチタッチスクリーンは、画面輝度が一定であるため教室照度の違いに左右されない安定した表示ができた。拡大読書器を使用する場合よりも検索時間を短縮でき、一斉指導についていけるようになった。また、難しい漢字や細かい地図などが出現したときの心理的要因による視力低下が起きた場合も、画面を任意に拡大することができるため意欲の低下を抑制することができた。(3)筑波大学心理・発達教育相談室東京地区グループと連携をとり、心理検査の結果やパソコンなどの機器を活用する可能性について示唆をいただき支援を続けている。
著者
瀬川 至朗 中村 理 山田 耕 桶田 敦 千葉 涼 于 海春
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

東日本大震災に伴う福島第一原発事故の初期段階について「事故の実態」「日本政府記者会見(東京電力を含む)」「全国紙の報道」という三者の関係性を分析した。「炉心溶融」に絞り、量的かつ質的に分析したところ、全体として、炉心溶融の実態を政府記者会見が過小に評価し、その記者会見を踏襲した形で報道される傾向がみられた。また、隣国である中国の新聞は当時、記事の情報源として日本のメディア報道を採用していた。本研究では日本政府記者会見をテキスト化しFUKUSHIMA STUDYのサイトで公開した。この会見テキストを用い、記者会見における記者の積極性や記者会見と新聞報道の連動性について、より詳細な分析を実施した。
著者
藤島 寛 山田 尚子 辻 平治郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.231-241, 2005-03-31
被引用文献数
3 11

本研究では5因子性格検査(FFPQ; FFPQ研究会, 2002)の短縮版を構成し, その信頼性と妥当性の検討を行った.FFPQは外向性, 愛着性, 統制性, 情動性, 遊戯性という5つの超特性, その各超特性の下位因子として5つの要素特性という階層構造を持ち, 包括的に性格を記述することができる.しかし, 項目数が150項目と多いため, 回答者の負担が少ない短縮版の作成が待たれていた.FFPQから, 階層構造を維持するような50項目を選んでFFPQ短縮版(FFPQ-50)とし, 900名の大学生に実施して因子分析を行った.その結果, 項目レベルでも要素特性レベルでも単純な5因子構造が示された.またエゴグラム(TEG)との関係から併存的妥当性が確認され, 芸術大学の音楽専攻大学生の性格特徴をFFPQと同様に記述できることが示された.これらの結果から, FFPQ-50は階層構造を維持し, 記述の多様性をもった性格テストであると考えられる.
著者
山本 茂弘 山田 晋也 袴田 哲司
出版者
静岡県農林技術研究所
雑誌
静岡県農林技術研究所研究報告 森林・林業編 (ISSN:18828264)
巻号頁・発行日
no.4, pp.87-94, 2011-03

絶滅危惧種であるナガボナツハゼの個体消失に備え,保護・保全に資するため,腋芽を用いた組織培養による個体増殖条件を調べた.伸長に適した培地のpH,植物ホルモンの種類,各個体の継代培養の可能性・シュート増加数の違いを調べた.発根については,培地に添加する糖の種類と濃度,植物ホルモンの添加効果,培地支持体の種類及び個体による発根率の違いを調べた.また,幼植物体の野外への順化条件を調べた.その結果次のことがうかがわれた. 1 腋芽からのシュー卜伸長には培地酸度としてpH5.3が適する可能性がうかがわれた. 2 シュート伸長にはゼアチン0.5又は1.0mg/Lの添加が適する可能性がうかがわれた. 3 ゼアチン0.5mg/Lを添加した培地で多くの個体の継代培養が可能であった. シュートの増加数には個体による違いが見られた. 4 シュー卜の発根期間を早めるには卜レハロースが,発根率を高めるにはショ糖が適する可能性がうかがわれた. また,トレハロースの濃度により発根率が異なることが示唆された.5 IBA O.5mg/LとNAA O.02mg/Lの添加により発根率が高まり、植物ホルモンを含まない発根培地では、発根期間が早まる可能性がうかがわれた. 6 発根培地の支持体としてはバーミキュライト又は鹿沼土が適すると思われた. 鹿沼土では発根期間が短縮されるものの,基部にカルスが形成され,順化効率の低下に繋がる傾向がうかがわれた. 7 幼植物体の順化は,湿度の調整などにより2週間で容易に行えた. 8 本試験で供試した16個体のうち,14個体で継代培養が可能で, 12個体で幼植物体が再生でき,組織培養による個体の確保・保存に役立つことが示された.
著者
奥野 拓 高橋 正輝 山田 亜美 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-7, 2014-03-22

本研究は様々な形式でデジタル化され散在する地域の歴史資料を LOD 化し,関連付けることにより統合利用を可能とすることを目的とする.本報告では,函館地域の例として,絵葉書の画像アーカイブ,地域史年表,歴史上の人物紹介をそれぞれ RDF データセット化した事例を取り上げる.また,それらを関連付けた統合利用例として,「エピソードでつながる函館歴史写真」 と 「函館ゆかりの人物スポット」 を示す.Regional of historical records are digitized and on public via the Internet. This study aims at enabling integrated application of them by making LOD of them and link with each other. This report focuses on an activity in Hakodate, making RDF datasets of the archives of picture postcards, the chronology of city history, and the biography of famous historical persons. As examples of integrated applications, "The Historical Photographs of Hakodate Linked by Episodes" and "The Spots Associated with Persons of Hakodate" are shown.
著者
深谷 昭宏 浦 正広 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也 安田 孝美
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.12, pp.1-2, 2011-05-06

位置情報が付加されたつぶやきをマイニングして生成したお出かけ情報と地図から,お出かけマップを生成する手法をこれまでに提案している.本研究では,お出かけ情報の体系化,画像や動画などのテキスト以外の情報の抽出,情報のレイアウトを行うことにより,生成された情報をお出かけガイドとして提供する手法を提案する.We have proposed a generation method of Going Out Map from Going Out Information and Maps generated by mining tweets. In this study, we propose a generation method of Going Out Guide by extracting information other than text like images and movies, systematizing Going Out Information, and designing information layouts.
著者
山田 徹雄
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.89-102, 2004-03-15

産業革命期のバイエルンが「農業的・小経営的」経済像として描かれている一方, 現在のミュンヘンを中心とする地域はハイテク産業の発展によって特徴付けられている。この対立するバイエルン経済像を生んだ要因を検証するための一作業として現代のバイエルン, ミュンヘンを統計資料に依拠して把握した。その結果, バイエルンは現在のEUにおいて, 一国規模の経済力を有し, オーバーバイエルンの中心都市ミュンヘンは, ドイツの他の都市より抜きん出て経済が堅調であること, また, ミュンヘン地域の発展にとって周辺地域の雇用創出効果がその重要性を増していることが明らかになった。
著者
山田 英之 武田 知起 古賀 貴之 石井 祐次
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.4, pp.529-535, 2014 (Released:2014-04-01)
参考文献数
28
被引用文献数
3

The sexual differentiation of animal fetuses and infants needs stimuli by sex steroids, which are produced in their own gonads, during a short window (‘critical period’) of pre- and post-natal periods. Our laboratory has conducted a series of studies focusing on the damage to next generations by dioxins. When pregnant rats are exposed to a prototype of dioxin, 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD; 1 μg/kg), sexual immaturity such as defects in copulation behavior as well as growth retardation emerges in their pups. We have provided evidence that such disorders are evoked, if not all, from a transient reduction in the gonadal synthesis of sex steroids in fetuses/infants during the critical period. Our studies also revealed that TCDD initially reduces the pituitary expression of luteinizing hormone (LH) to exert the effect on steroidogenesis. Several mechanisms seem to be involved in a TCDD-induced reduction in LH expression. For example, a change in epigenetic regulation in the pituitary and impaired energy production in the hypothalamus are suggested to contribute to the above reduction. Current our study has demonstrated that a transient reduction in the pituitary-gonad axis fixes the lowered expression of hypothalamic gonadotropin-releasing hormone, resulting in defects in sexual behavior. Through these topics, we discuss the role of the critical period in differentiation and development.
著者
久留島 典子 林 譲 本郷 恵子 柴山 守 有川 正俊 山口 英男 遠藤 基郎 木村 直樹 山家 浩樹 馬場 基 山田 太造 近藤 成一 小宮 木代良 古瀬 蔵
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

前年度に引き続き東大史料編纂所歴史情報システム(以下、SHIPSと略記)が擁するDB群から、各DBに格納された人物情報を抽出し、人物情報レポジトリへとデータ移行を推進した。レポジトリへ移行を可能とするDB数もさらに2つ増加し、計19種へと拡大することで、総登録データ数は約42万件に達した。前近代における人物情報を総覧する環境が整いつつあり、これを軸として、地理情報・史料典拠情報・史料目録情報といった情報との連接を視野に入れたところである。SHIPS-DBから人物情報レポジトリを参照・応答するAPIについては、前年度に構築したシステムを基盤として、より詳細な応答を実現するモジュールを「新花押データベース」内に実装した。花押を記した人物を比定するために、随意にレポジトリ参照が可能となったことは、より正確な情報蓄積を進めるうえで極めて有効と言ってよい。また人物レポジトリを直接検索するためのインターフェイス(「人名典拠サービスモジュール」)が安定的に運用されるに至り、多様な検索に応答しうる環境が整備されつつある。蓄積データのシームレスな運用という観点からは、前年度に引き続き、人物情報レポジトリ総体のRDFストア化を推進し、検索結果をRDF形式で出力するためのAPIの安定運用を実践することで、オープンデータ環境への移行を目指した。地理情報レポジトリについては、外部参照用APIの運用を開始し、国立歴史民俗博物館の「荘園データベース」との連携を実現した。
著者
山田 彩加 長谷部 礼 西本 一志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2014-HCI-157, no.20, pp.1-7, 2014-03-06

イラストを依頼するクライアントの多くはコンセプトを言葉によって表現する.その言葉からイラストレータが想像した画風のイメージをその場ですぐにクライアントと共有・調整することができれば,清書して提案する工程を省くことができる.しかし,イラストレータが言葉やスケッチで簡易的に表現しでも,クライアントに同じ画風の完成形を想像させることは困難である.そこで,本研究ではイラストレータの潜在的なセンスとクライアントの言葉との噛み合わせを可能とするために,イラストが依頼された場において,画風の創造・共有までを協同で行うことを支援する手法を提案する.