著者
綾部 早穂 山田 一夫 青木 佐奈枝 一谷 幸男 松井 豊
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

3つのアプローチからにおいのトラウマ記憶を探求した。臨床心理士への面接調査から、五感に示されるPTSD症状で、嗅覚に関する症状は当事者・治療者ともに認識が低いこと、味嗅覚は特定の被害とは結びつかないが、フラッシュバックで体験されることが示された。人間のにおい嫌悪条件づけ実験では、条件づけられたにおいへの主観的不快感には変化はなかったが、連続提示した場合に強度減衰が生じにくいことが示され、不快臭に対して注意が継続的に向けられることが示唆された。また、PTSDモデル動物に関しては、無臭の装置にラットを入れ、その後においと電撃を対提示した場合でのみ、においに対する恐怖反応がみられ、方法を確立した。
著者
山田 剛 中西 健 鵜山 治 飯田 竜也 杉田 實
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.581-586, 1991 (Released:2010-07-05)
参考文献数
19

We described a patient with the milk-alkali syndrome induced by the ingestion of small amount of milk (200 ml/day) and ice cream (145 g/day) and the administration of small dose of absorbable alkali (magnesium oxide 2.0 g/day) for the treatment of chronic constipation. The present case shows not only triads, i, e., hypercalcemia (s-Ca 14.3 mg/dl), metabolic alkalosis (s-HCO3- 37.4 mEq/L), and renal insufficiency (s-Cre 2.3 mg/dl) but also hypernatremia (s-Na 161 mEq/L) and hypertonic dehydration after the frequent episodes of elevated body temperature. The milk-alkali syndrome has been defined as the hypercalcemia with a metabolic alkalosis from a high amount of calcium intake and long term administration of absorbable alkali in any form, usually as calcium carbonate for the treatment of peptic ulcer. As the present case could be distinguished from any other cases previously reported with regard to the amount of calcium (0.4 g/day) and alkali (36 mEq/day) intake and the clinical situations that induced the syndrome, we compared the present case with the previous reports, calculating the amount of calcium and alkali intake from milk and absorbable alkali. After the introduction of the H2 blockers for peptic ulceration, the most cases with milk-alkali syndrome had provoked by the smaller amount of calcium than previously reported, which were associated with the treatment of relatively large amount of alkali (50-150 mEq/day), suggesting the role of sustained metabolic alkalosis for the development. In the present case the metabolic alkalosis induced by hypertonic dehydration and enhanced by absorbable alkali intake also could cause an increase of renal tubular reabsorption of calcium and a decrease of ionized calcium which might produce increased secretion of parathyroid hormone followed by vitamin D3 activation and increased Ca absorption from the gut. The metabolic alkalosis might be essential to the development of the milk-alkali syndrome without a high calcium and absorbable alkali intake.
著者
山田 優基 今井 壱彦
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.1-4, 2019-03-16 (Released:2019-03-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では『AI vs.教科書が読めない子どもたち』にて扱われている,リーディングスキルテストによって判定する基礎的読解力の1分野である「イメージ同定」に焦点を当てている.筆者らは「文章や図形やグラフを比べて,内容が一致しているかどうかを認識する能力」という「イメージ同定」の定義と,例題を基に,「イメージ同定」を測定する問題に必要な4つの要素を挙げている.本稿では,全国学力・学習状況調査とTIMSS調査の問題を参考にして,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」の提案をおこなう.参考にした全国学力・学習状況調査とTIMSS調査の問題の趣旨を述べた後,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」のリーディングスキルテストとして出題する趣旨,「イメージ同定」を測定する問題に必要な4つの要素を満たしていること,および選択肢を確認する.また,「リサイクル問題」と「ぬりつぶし問題」において想定される誤答を記述する.
著者
山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.9, pp.965-969, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2

In order to provide safe and effective pharmaceutical care to patients and their family members in clinical practice, pharmacists should receive appropriate clinical training after obtaining their license, as is standard in other medical professions. At present, there is no national framework in Japan for the early clinical training of pharmacists after licensure. However, pharmacy residency programs have been autonomously developed and implemented at some university hospitals and other medical institutions. This article describes the current status of clinical training of pharmacists after licensure in Japan. Furthermore, the standards for pharmacy residency programs, the outline of a core program for clinical training, and the career paths of hospital pharmacists after training are discussed.
著者
三浦 真弘 内野 哲哉 山田 茂樹
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.110-124, 2022 (Released:2022-04-23)
参考文献数
50

最近,産生機序が混在する髄液・間質液はまとめてneurofluidと呼ばれている.Neurofluidの循環動態を理解することは臨床上重要である.中枢神経ではリンパ管が欠如する.脳領域では微小血管,glymphaticシステムとintramural peri–arterial drainage pathwayを介して髄膜リンパ管からneurofluidや代謝物が排出され.一方,脊髄領域では,epidural lymphatic vesselsを介する吸収システムが髄液圧調節に働いており,リンパ管吸収には篩状斑が不可欠である.通常,各神経根において髄液が自然浸潤することから,同部は広義のくも膜下腔であると共に髄液の生理的貯留槽と考えられる.中枢神経系の水収支バランスは,prelymphatic channelの構造特徴と連関するepidural lymphatic networksの生後発達・加齢退縮に影響される.
著者
細川 蓮 山田 優生 小川 祐樹 上田 健太郎 諏訪 博彦 梅原 英一 山下 達雄 坪内 孝太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B3GS201, 2023 (Released:2023-07-10)

近年,個人で資産を形成するために,株式投資による人々の投資行動の需要が高まっている.株式投資において,将来の市場の動向を予測することは,投資家の投資リスクの低減や収益のために重要である.金融指標の一つに,ボラティリティ・インデックス(以下,VI )があり,これは投資家の市場に対する心理状態を表している.一方で,新聞メディアやソーシャルメディアの投稿には,社会情勢や人々の心理状態などを表しており,これらは,VI 指数に影響していると考えられる.本研究では,新聞記事とソーシャルメディアの投稿文書を用いて,日本における VI である日経平均VIの上昇を予測する.さらに,本研究の有用性を検証するために,予測した日経平均VIを用いてオプション取引の売買シミュレーションによる検証を行う.結果として,両メディアを用いることで日経平均VI上昇の予測精度の向上が確認され,売買シミュレーションにおいても収益に対する有用性が確認された.
著者
山田 信行
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.158-171, 1995-09-30 (Released:2009-10-13)
参考文献数
35

本稿は, マルクス派の視点から歴史社会学の方法論を整備しようとする一つの試みである。本稿は三部から構成される。第一に, アメリカ合州国における歴史社会学の方法論論争を概観することによって, 求められている方法が演繹的な方法と「総体性」への志向であることを確認する。そのうえで, そのような要件をみたす方法が, 弁証法的なそれにほかならないことを提唱する。第二に, 史的唯物論の再構成の試みに見られる難点を確認したうえで, それを克服する試みとして, 多元的資本主義発展論としての弁証法的歴史社会学の構想を提示する。この際, 弁証法という論理が閉鎖的な「概念の自己展開」とは区別されるものであることが強調される。第三に, 弁証法的な論理の問題構制は「ポスト・マルクス主義」のそれと必ずしも抵触するものではなく, ギデンスも含めたポスト・マルクス主義的主張はかえって弁証法的方法の可能性を矮小化するものであることを指摘する。
著者
山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文報告集 (ISSN:03855392)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.306, pp.11-21, 1981-02-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
19
被引用文献数
4
著者
大森 慈子 山田 冨美雄 宮田 洋
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.183-189, 1997-03-31 (Released:2016-12-06)
被引用文献数
7

The purpose of the present study was to investigate the influences of speakers' eyeblink frequency on receivers' impression formation in person perception. One hundred and thirty-four subjects, 96 males and 38 females, participated in this study as the receivers. The speakers were presented on video display, and they blinked either frequently or rarely. Subjects then rated impressions of the speakers on a set of 32 items of SD-scale. A factor analysis of the ratings yielded 3 factors, interpreted as "dynamism", "intimacy", and "sincerity". The frequently blinking speakers were rated less dynamic, intimate, and sincere, than the rarely blinking speakers. The results indicate that frequent eyeblinks had negative influences on impressions.
著者
投野 由紀夫 三宅 登之 周 育佳 パルマヒル フロリンダ 川本 渚凡 根岸 雅史 西畑 香里 藤縄 康弘 秋廣 尚恵 ティプティエンポン コシット 王 ウェイトン 山田 洋平 望月 圭子 加藤 晴子 森田 耕司
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)を我が国の外国語教育に応用するため開発された CEFR-J の開発成果を応用し、多言語教育資源をコーパス言語学や自然言語処理の手法を援用して組織的に整備する手法の考案と、その資源を具体的な教育システムに結びつけるための言語共通の汎用シラバスを開発、実際のコースコンテンツを開発し東京外国語大学の28言語専攻のうち、実験的に実装をいくつかの言語で試みるものである。特に汎用のCan-Do リストと汎用シラバスを組み合わせた教材を開発し、その教授結果を測定評価する Can-Do テストをセットで考案することで、国際的に価値のある言語教育資源の開発を目指す。
著者
陣崎 雅弘 秋田 大宇 橋本 正弘 山田 稔 山田 祥岳 稲本 陽子 秋田 恵一 大竹 義人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

これまでのCTは患者さんが仰向けに寝た臥位の静止撮影で、器質的疾患の定量・定性評価を担ってきた。それにより、生命予後の改善に貢献してきたが、動態である機能の定量・定性評価はほとんどできていなかった。現在は、超高齢化社会であり、生命予後と同時に健康長寿であることもとても重要である。我々は、立位や座位での4次元画像が可能なCT(立位/座位CT)を開発した。これを用いて、健康長寿に必須である嚥下機能・排尿機能・歩行機能を健常人および患者さんにおいて3次元・4次元的に解明し、機能障害の機序と重症度分類、機能改善の指標になる所見を明らかにしていきたい。
著者
山田 正
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.28, no.312, pp.910-916, 1979-09-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
46
著者
大野 耕太郎 山田 悟史 宗本 晋作
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.798, pp.1602-1611, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
17

This study aimed to estimate human willingness to visit cityscape images via artificial intelligence (AI) using multimodal deep learning. In this study, gaze information was acquired through subject experiments using a measurement device. We added gaze information when humans felt motivated to visit the cityscape image, and confirmed whether the estimation accuracy of AI would improve. We also created an AI model that generated gaze-view images, and used it for multimodal deep learning. We used pix2pix to generate the images. Finally, we verified the accuracy of the proposed multimodal deep learning approach, when the generated pseudo-gaze image was attached.
著者
森 恵里子 井上 歩 園山 和代 宮川 大樹 後藤 希 山田 雅 國嶋 憲
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.497-504, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
5

京都市立病院では,2020年9月より臨床検査技師が救急室で業務を行っている。その主な業務は,検査業務,診療補助業務,その他業務があげられる。配置導入時には人員確保の問題などがあったが,短時間の滞在から開始し,現場の意見を取り入れながら徐々に業務や配置時間を拡大することができた。配置から約1年後に実施した医師・看護師対象のアンケートでは,臨床検査技師の救急室配置は必要だとする回答が90%以上を占めた。また臨床検査技師による救急室での静脈路確保についても必要だとする回答が85%以上を占めた。アンケートで肯定的な意見が多数であった要因としては,救急室で他職種と協働するなかで,臨床検査技師の有用性が認知されてきた点が大きい。今後も臨床検査技師として,検査に関する専門性を活かしながら,従来の枠にとらわれない幅広い業務を行い,多方面で患者に貢献できる存在を目指していきたい。
著者
倉橋 知英 法水 淳 三宅 崇之 早田 菜保子 岡本 明之 青地 一樹 平尾 元宏 山田 拓哉 平松 直樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.437-444, 2023-09-01 (Released:2023-09-11)
参考文献数
13

症例は80代男性.発熱・咳嗽を主訴に前医を受診,肺炎と診断され抗菌薬投与を開始されたが,肝酵素上昇を認め紹介となった.血液検査でMPO-ANCA陽性であった.腹部エコー検査で肝動脈内血栓を認め,肝動脈虚血による急性肝障害と診断した.第7病日に収縮期血圧70 mmHg台と急激な低下を認め,造影CTで肝周囲に血腫,多発肝動脈瘤,右肝動脈瘤周囲の高吸収域の出現から,肝動脈瘤破裂による腹腔内出血と診断した.腹部血管造影で明らかな出血源は同定できず経過観察とした.第30病日,喀血と呼吸状態の増悪があり,胸部CTで肺胞出血によるびまん性のすりガラス影を認め,ANCA関連血管炎(AAV)と診断した.ステロイドパルス療法にて症状は改善し,肝動脈瘤及び肺胞からの出血の再発なく退院となった.AAVは主に小血管を障害するが,肝動脈等の中型血管も障害をおこすことがあり,稀に肝動脈瘤の原因となりうるため注意を要すると考えられた.