著者
山田 一夫 羽原 俊祐 本間 健一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.91-99, 1998-07-17 (Released:2012-11-13)
参考文献数
11

The false setting of cement caused by the aeration was studied from the analysis of the cement characters, its hydraulic reactivity, its hydration reaction, the paste rheological properties and the relationship among them. The aeration of cement was simulated by the treatment of cement exposing under an environment of temperature, 20°C and relative humidity, 80%. With a longer treatment, cement showed larger amounts of ignition loss. Hydration products with particle sizes under 0.3 μ m were formed on cement particles and the amount was increased with the increase of treatment time. Although the treatment did not change the Blaine specific surface area, it changed the BET specific surface area as much as 1.4 times higher during seven days of treatment. The treatment significantly decreased the hydration reactivity of interstitial phases of cements. The treatment longer than certain period of time brought a false setting in cements, which was not occurred in fresh cement paste. When aerated cements was mixed with water, sulfate ion was supplied to liquid phase from alkaline sulfates or calcium sulfate hemihydrate. However, the sulfate ion was not consumed by the ettringite formation reaction because of the low reactivity of interstitial phases. As the results of poor consumption of sulfate ion, gypsum crystals deposited from liquid phase to form large automorphic plate crystals and finally cement paste was thought to show the false setting, i.e. plaster set.
著者
山田 佳子
出版者
朝鮮学会
雑誌
朝鮮学報 (ISSN:05779766)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.91-127, 2005-01

一九二九年、保母として東京へ渡った崔貞熙は、帰国後、三千里杜の記者として執筆活動を開始した。当初は階級問題や女性の階級的覚醒などを扱った記事、随筆を書き、記者としての任務を果たすことに専心していた。目標はあ-まで小説家になることであったが、記者生活は忙しく、文人たちに会って話を聞く機会は訪れなかった。さらに、ジャーナリズムは女性作家に対して随筆の注文ばかりを次々と寄せ、文章を書く余裕はなかった。思うような小説が書けずに焦る気持ちは随筆の主題となって現れた。習作期の小説は、初めは階級間題を主題としたものが多かった。東京滞在中、作家は同胞の悲惨な生活の様子を目にして衝撃を受けており、その体験が下敷きになったと見られる。しかしそれはあくまで小説の素材面に表れるにとどまった。一九三四年からは私小説が書かれるようになる。これはそれまでに書かれた随筆の発展と見られる。また、季節の移り変わりに敏感であることを作家の任務と考えていた崔貞熙は、自然を用いた表現や、「月明かり」 「秋」などの語彙を好んで用いていたが、それらは小説の中の描写において効果を発揮した。登壇作「凶家」はこうした崔貞熙独自の手法から生まれた作品である。のちに書かれる「地脈」、「人脈」、「天脈」は崔貞熙の手法と、ジャーナリズムが要求する主題とが融合した作品である。小説家を志し、ジャーナリズムに傾きがちな記者生活の弊害を憂慮していた崔貞熙は、ジャーナリズムによって小説家になったのである。

1 0 0 0 OA 松屋外集

著者
小山田与清
出版者
巻号頁・発行日
vol.初編3巻,
著者
山田 理恵
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.329_1-329_1, 2016

<p> 古戦場の舞台や合戦にまつわる伝説に因んで、綱引きが行われる県境の地域がある。また、経済的事情等により中止された県境綱引きもある。発表者は、伝統綱引きによる地域開発との比較において、地域の歴史や伝説を題材にした県境綱引きに着目し、現地調査および資料調査を行ってきた。本研究では、その一環として、鹿島(加賀市)の綱引き伝説が、県境綱引きとして現代に再生された事例について考察する。その伝説では、美しい鹿島の森をめぐり、加賀の女神と越前の男神がそれぞれ綱を作り鹿島に巻き付け引き合っていたが、なかなか勝負がつかなかったところ、男神の綱が切れ尻もちをつき鹿島は加賀の方に少し動き、男神の大きな尻もちの跡は北潟湖になったという。このような伝説に基づき、2015年10月、広域的な交流と活性化を目的として「第1回鹿島の森伝説 越前・加賀県境綱引き」が、北潟湖の湖畔、鹿島の森を望む「越前加賀県境の館」前(福井県と石川県の県境)で開催された。県境一帯を一つの地域としてとらえ、地域の伝説に登場する綱引きを現代に蘇らせたこの県境綱引きは、スポーツによる地域開発を考察するうえでの好事例と位置づけられる。</p>
著者
山田 実 高宮 三郎 金川 秀也 北川 章夫
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.51-54, 2003-03-20
被引用文献数
1 1

大学における卒業研究は,課題設定とその解決方法について少人数の単位で教員から直接の指導を受け,さらにその結果を論文としてまとめ,口頭発表をするなど,総合的な教育効果を有している.しかし,卒業研究は個別の教員や研究室単位で実施されているため,教育の内容や成果について学科や学部全体としての成果を把握するのが困難である.そこで,筆者等の学科では,学生自身と教員による卒業研究での達成度評価を平成13年度に試行した.結論としては,各学生は固有の個性を有しているが,学科等での平均をとると,その個性が消えてしまい.統計処理について慎重であるべき事が判った.平成14年度では,中間発表と最終発表で評価を実施し,達成度の進歩を評価する予定である.
著者
山田 晴通
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.545-559, 2005-08-01
参考文献数
10

コミュニティ放送は,既存放送制度に対抗する,「コミュニティ」のための放送として,各国で制度化されてきた.コミュニティ放送局が対象とする「コミュニティ」概念の実態的な有効性を,オーストラリアの地方都市アーミデールの事例で検討した.アーミデールでは,大学に基盤を持つ「ラジオ」局としてRUNEが1970年から存在し,その後の制度変更によってHPON(大出力ナローキャスティング)のTUNE! FMとなり,現在に至っている.1970年代半ばに「公共放送」(コミュニティ放送の前身)が注目されると, RUNEを母体に,新たに2ARMが組織され,放送が始まった.やがて, RUNEから独立した2ARMは,安定的に運営された時期を経て,近年では補助金の削減などから経営困難に直面している. 2ARMは,本来,地域社会と同義の「地理的コミュニティ」に根ざすラジオ局として想定されながら, RUNE~TUNE! FMとの競合関係の中で,十分な地域的存立基盤を確保できなかった.一方, RUNE~TUNE! FMは,通常は商業的に利用されるHPONを,非営利目的に活用している.アーミデールの小規模ラジオ局は,地域事情を反映し,役割の棲み分けを行っており,その実態は,「コミュニティ」をめぐるオーストラリアの放送制度の想定に忠実に沿ったかたちとはなっていない.
著者
川島 啓 ロベル アダム 山田 健智 大竹 裕之
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.207-214, 2010-05-15
参考文献数
5

既存のデータベースやWebコンテンツに対して、テキストマイニングやデータマイニングを用いて、ユーザーの知識に対するニーズを満たすようなサービスソリューションの開発を考えるときに、我々はユーザーのニーズをどこまで把握しているだろうか。本稿では科学技術振興機構社会技術研究開発センター(JST-RISTEX)が昨年度実施した「問題解決型サービス科学・工学研究開発(NEXER)事業」における深堀調査の内容を紹介し、判例等法律情報を対象とした知識の構造化に対するニーズを明らかにし、社会への実装の在り方を検討した。
著者
大野 拓恵 柳本 ひとみ 板倉 宏予 梅田 純代 グレゴリー サムソノー 加藤 隆治 山田 惠 黒澤 菜穂子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.62-70, 2017-12-10 (Released:2018-01-05)
参考文献数
8

PEP (the study group of Practical English for Pharmacists) was started by teachers from different fields at Hokkaido Pharmaceutical University, and has been offering English conversation class for local pharmacists. As with its turning point of three years, in January 2016, it conducted an online questionnaire survey for pharmacists all over Japan. The purpose was to find their needs for learning English, as well as to make sure if PEP teaching materials were proper enough for them. The questionnaires consisted of five areas: current working situation in terms of using English; self-evaluation for their attitudes towards English-speaking customers/ patients; their preference in learning English; their foresight into the English-related situation around their job; and evaluation on PEP sample materials. Participants were 220 pharmacists at work who were interested in learning English. They were divided into two groups (Yes-group and No-group) according to the answer to the question of whether they, as a pharmacist, thought it necessary to learn English or not. The groups were compared with each other within each of the five areas mentioned above. The results showed the overall illustrations of the pharmacists today and positive evaluation for a PEP material. Most importantly, however, contrastive difference between Yes-No groups for the type of English needed was revealed (p<0.01). This was interpreted as an evidence that No-group just have a naive intention to learn English, while Yes-group have already been involved in the situations where rather high English proficiency is required for their pharmacy jobs.
著者
山田 典子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.17-24, 2004-03-31

スリランカは開発途上国の中で最も早く高齢化社会を迎えようとしている。スリランカでは、コロンボに代表される大都市および22の地域の胸部疾患クリニックを拠点にDOTSを活用する結核対策が運用されている。しかし、2002年10月末現在、旧戦闘地域を含む12の地域で未だDOTSの整備がなされていない。さらに、検査設備や技術職の不足などの課題も抱えている。結核蔓延状態を改善していくためには、予防教育により治療中断を防止し、結核治療率を高めることが重要な課題である。
著者
山田 惠子 堀口 雅美 中村 眞理子 谷口 圭吾 片岡 秋子 片倉 洋子 石井 貴男 和泉 比佐子 大日向 輝美 武田 秀勝 傳野 隆一 松嶋 範男 門間 正子 安川 揚子 旗手 俊彦 今井 道夫
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌医科大学保健医療学部紀要 = Bulletin of School of Health Sciences Sapporo Medical University (ISSN:13449192)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-26, 2010-03

生命倫理の問題や情報開示などの保健医療職に求められる倫理性を理解し、保健医療職の倫理性について自己の考えを明らかにすることができる力を養うことを目標にした保健医療総論IIIが、全学科共通必須科目として3年生を対象にして行われている。平成21年度はNHKスペシャル『トリアージ 救命の優先順位』を教材として、様々な役割にたった討議型グループ学習が行われた。新しい試みとして、グループ学習に先立ち、ビデオ鑑賞の感想文、倫理的思考問題など、個人単位で参加する学習を行った。グループ学習は、司会者、被災者、被災者の家族・遺族、医師、看護師、病院職員・救急隊員・救急救命士、ボランティア・一般市民、国・地方自治体の8グループに別れて学習する役割別グループ学習(A)と、異なる役割との話し合いを行う役割混成グループ学習(B) から構成され、A→B→Aの順にグループ討議が行われた。倫理的思考問題と学生によるレポート結果の解析から、役割混成グループ学習の導入は「視野の広がり」、「相手や自分の役割の理解」を助ける上で有効な方法であることが示された。
著者
中村 俊夫 太田 友子 山田 哲也 Nakamura Toshio Ohta Tomoko Yamada Tetsuya
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.26, pp.150-155, 2015-03

It is well known that ages of ancient iron artifacts can be measured by using carbon contained in the iron artifacts. As a simple method of carbon extraction from iron artifacts, a normal quartz tube is used for metal iron combustion at the temperature of 1000℃ for about 15 hrs. We tested the quartz tube method of metal iron combustion successfully for metal iron in fine fragment forms and reported the results previously. In Japan, iron rust samples are commonly excavated from archeological sites of the Kofun period and after. We have tested to collect carbon from iron rust samples successfully by the quartz tube method of iron-rust combustion at 850℃ for 3 hr. We have experienced that quartz tubes were broken twice during combustion: at 900℃ for 8 hr and at 850℃ for 3 hr. 14C age, 524±25 BP, was obtained for an iron rust sample from a ruin of Fe manufacturing site worked at 1850s in Saga city, Saga Prefecture, Japan. The 14C age was too old compared with the estimated age of the site. 14C ages were also obtained for three rusty nail samples as 2949 -3244 BP. The results suggested a possibility of modern carbon contamination in considerable amount during rust process of metal iron that was produced by using coal as a heating fuel as well as material to reduce iron oxide ore.名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
山田 慶太 入江 寿弘 浅見 明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第29回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.216, 2013 (Released:2015-01-24)

低中層建築物ではエレベーターを設置している建物は少なく重量物や大型機材の搬入・搬出作業は人手で行われている。著者等は変形車輪を用いた階段昇降機構を考案し、軽量負荷での昇降実験に成功している。実用化するには有る程度の重量物を安定に運搬する必要が有り、階段で荷台を水平に保つ機構が必要である。しかし、荷物によって重量,重心位置の状態が多様に変化し、それに対応できる水平維持制御が必要がある。本研究では荷台部分の水平維持機構を考案し、その運動モデルをもとに制御系を検討する。制御を行うには荷台部の姿勢をセンサで検出し、状況に応じた適切な制御パラメータを設定する必要があるのでファジイ理論のメンバーシップ関数を用いた安定化が有効と考えられる。
著者
小田 寛貴 山田 哲也 塚本 敏夫 加藤 丈典
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

緑青は,青銅器に発生するさびである.これは青銅中の銅と大気中の二酸化炭素から生成されたものである.また,緑青は一旦形成されるとそれ以上新たな緑青の形成を阻止する性質をもっている.そこで,本研究では,緑青の放射性炭素年代測定の実現を目的とした基礎研究を行った.まず,緑青に含まれる炭素の抽出法を開発した.その上で,考古学的な年代の判明している青銅器に適用し,その炭素がさびの形成された当時の大気中二酸化炭素に由来するものであることを実証した.以上の成果によって,緑青の放射性炭素年代から,そのさびが形成された年代が得られ,さらに青銅器が使用された年代を求めることが可能であることを示した.