著者
金田 由美 岡本 恭明 尾迫 貴章 前田 浩 徳山 正徳 竹中 義昭 服部 益治 谷澤 隆邦
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.49-54, 2002-04-30 (Released:2008-02-29)
参考文献数
14

症例は12歳男児。ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群に対し,シクロスポリンを併用し症状の改善をみたが,白血球減少症という稀な副作用を認めたため減量を余儀なくされた。追加治療としてLDL吸着療法を試み,血中コレステロール値,LDL値が吸着療法前値に戻った約2ヵ月後,ステロイドを再開したところ著効し,完全寛解を得ることができた。LDL吸着療法の効果発現機序は明らかでないが,難治性ネフローゼ症候群において薬剤感受性の改善や吸着療法による未知の物質を吸着除去することによる臨床的改善効果の可能性が示唆されたので,若干の考察を加え報告する。
著者
有元 よしの 岡本 真 大向 一輝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.3A2OS11b9, 2011

<p>2008年7月から3ヶ月ごとに全国各地で開催しているARGカフェ&ARGフェストを題材に、業種、職種、専門といったバックグラウンドが異なる人々、特に未知の人物同士が多い人々の間のコミュニケーションを促進し、コラボレーションへの発展を促す仕組みを論じる。 特に今回はJSAI2010での発表「ライトニングトークとパブでの立食パーティーによるコラボレーション促進の試み」以降の経過をまとめる。</p>
著者
岡本 昌夫
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.23-33, 1961-09-20 (Released:2017-06-17)

It is commonly known that the New Style Poetry of the Meiji Era, called ‘ Shintaishi ’ in Japanese, started under the influence of Western Poetry. In point of style and metre, the translation poems of the Early Meiji Era seem to have given examples for the New Style Poetry. Ōwada’s Ōbeimeikashishū (Selected Poems from Famous Western Authors) published in 1894, is especially considered to be among those examples by the later Meiji poets, though there are some other previous works, such as Shintaishishō (Selections from New Style Poetry) translated by Inoue, Takayama and Yatabe. In Ōbeimeikashishū Ōwada translated more than one hundred Western poems into Japanese in seven-and-five syllable metre verse, just as Inoue and two others had done in their Shintaishishō. But his selection of seven-and-five syllable metre in his translation was the result of deliberate consideration and experiments of the translator, not because of his imitative instinct. Ōwada composed various styles of poems previous to his Ōbei- meikashishū and found seven-and-five syllable metre fittest for the New Style Poetry. Thus after many experiments by such translators, as Ōwada, the form of the New Style Poems of the Meiji Era was established, which was brought to its perfection by such poets as Shimazaki Tōson and Tsuchii. Bansui
著者
岡本 洋幸 林 麗如 筑田 眞 Hiroyuki Okamoto Rijo Hayashi Makoto Chikuda 獨協医科大学越谷病院眼科 獨協医科大学越谷病院眼科 獨協医科大学越谷病院眼科 Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.185-188, 2013-10-25

Werner 症候群は老人様顔貌,強皮症様皮膚変化,若年性白内障を特徴とする疾患である.発症は100 万人あたり3~45 人とされている.今回,われわれは白内障術後10 年以上経過したにも関わらず強膜創の閉鎖不全が感染の原因と考えられる眼内炎の症例(41 歳,男性)を経験した.Werner 症候群には白内障を合併することが多く,術後も創傷治癒は遅延しやすいため感染のリスクが高い.眼科的な長期の経過観察が必要と考えた.
著者
沖田 裕子 岡本 玲子 中山 貴美子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.30-39, 2001
参考文献数
13
被引用文献数
3

本研究は,痴呆ケア経験年数3年以上の看護・介護職が,痴呆性高齢者の活動性を引き出していると考えられるアクティビティ・プログラム(AP)の介入方法を明らかにすることを目的とする.研究方法は,痴呆ケア経験年数3年以上の看護・介護職18人に半構成質問紙によるインタビューを行い,分析は修正版グラウンデッド・セオリーを用いて行った.その結果,明らかになったことは,痴呆性高齢者の個別情報をもとに,痴呆性高齢者の個別情報がない場合とある場合の,両方の状態から活動性を引き出す介入方法であった.そして,痴呆性高齢者の個別情報を中心にAP介入方法のモデルを示すことができた.これらの結果を利用することによって,APの決定はプログラムの種類からの選択ではなく,高齢者のニーズを中心に行うことができると考えられる.
著者
脇本 景子 岡本 希 西岡 伸紀
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.319-329, 2019-11-30 (Released:2019-11-30)
参考文献数
21

目的:本研究は,学校給食の残食に関わる要因として,献立内容,栄養量,気温を取りあげ,主食及び牛乳の残食量との関連を明らかにし,これら要因を変数とした残食推計モデルを得ることを目的とした.方法:兵庫県宝塚市の市立小学校12校(喫食者数は約7,000人)の学校給食の記録(2013~2016年度の593日分)を調査対象とした(横断調査).調査内容は,学校給食の残食量,献立,栄養量,気温である.米飯,パン,牛乳の1人当たりの残食量を従属変数とし,気温,提供時期,給食の提供量及び栄養量,ダミー変数に変換した献立の種類を独立変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を行い,関連を検討した.結果:米飯の残食では,気温(.56),炊き込みご飯(-.40),カレー(-.39)等が関連し,調整済み決定係数R2=.62であった.パンの残食では,校内調理パン(-.55),セルフサンド(-.36),気温(.34),加工パン(-.33)等が関連し,R2=.53であった.牛乳の残食では,気温(-.63)が関連し,R2=.39であった.(括弧内 標準化係数β)結論:学校給食の主食の残食は,気温,主食の味付け,喫食方法の工夫と関連していた.牛乳の残食は気温と関連していた.米飯,パン,牛乳の残食量についてそれぞれ約6割,5割,4割の説明力を有する残食推計モデルが得られた.
著者
岡本 恵太
出版者
奈良学園大学人間教育学部
雑誌
人間教育 = Online Journal of Humanistic Education (ISSN:2433779X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.45-51, 2020-02

本稿の目的は、教育社会学的なものの見方・考え方を明らかにすることにある。そのための手がかりとして「置き勉」問題を取り上げる。「置き勉」とは、教科書等の学習用具を教室に置いたままにしておくことであり、身体的な負担軽減のために容認する動きが広がりつつある。この問題について以下の二つの見方・考え方を適用する。第一が、教育事象における「あたりまえ」をとらえ直す「価値自由」であり、これにより従来の「置き勉」禁止が価値判断を暗黙の前提とすることが明らかになる。第二が「モデル化」を通して事象の仕組みを探求する「理念型」である。「置き勉」問題に「規範モデル」「解釈モデル」という二つのモデルを適用し、この問題の解決に向けては、規則の強化よりも児童・生徒による「規則についての解釈」を生かすことが有効だと示される。
著者
川口 昌彦 国沢 卓之 岡本 浩嗣 野村 実
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.684-690, 2019

<p>日本心臓血管麻酔学会が目指すサブスペシャルティは,理念に掲げたとおり,「心臓血管麻酔専門医制度は,麻酔科専門医のサブスペシャルティとして,心臓血管麻酔に関する十分な専門知識と技能を有し,より安全で質の高い心臓血管麻酔の提供と教育的,指導的な役割を果たせる専門医を育成し,国民の健康・福祉の増進に貢献することを目的とする.」である.学会独自の教育と専門医制度を設立・運用してきているが,今後は,日本麻酔科学会の承認を得られた後,日本専門医機構の認定を得られることを目標として,機構の示す要件を一つずつ検討し,必要のあるものは改善を開始している.最終的に患者,メディカルスタッフ,会員の皆様に恩恵をもたらせるよう,活動を進めていく予定である.</p>
著者
岡本 亮輔
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.57-80, 2020 (Released:2020-12-30)

二一世紀以降、サンティアゴ巡礼路には様々な背景を持った世界中からの巡礼者が集まるようになったが、その多くは信仰なき巡礼者である。彼らにとって大聖堂の聖遺物は巡礼の目的にはなり得ず、巡礼過程での交流体験とそれがもたらす気づきや自己変革が重視される。本稿では、こうした状況を伝統宗教の枠組みからの離脱という意味で、信仰の背景化として捉える。そして、サンティアゴ巡礼をモデルとして展開する日本の聖地巡礼にも、信仰を過去のものとし、現在についてはスピリチュアルな語りをするパターンが見出せ、さらに、この種の言説が、伝統信仰の担い手である宗教者によっても紡がれることを確認する。
著者
鶴田 佳世 中村 潤二 小嶌 康介 中村 佑樹 岡本 昌幸 菅野 ひとみ 尾川 達也 徳久 謙太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】「市町村介護予防強化推進事業」は,平成24年度から厚生労働省のモデル事業として13の市町村で実施された。この事業は生活範囲が狭小化した高齢者を対象に,通所と訪問を組み合わせた介護予防事業を3か月程度実施し,日常生活の改善を図った後,運動や食事を楽しむことのできる通いの場に移行して,状態の維持を図るものと位置づけられている。今回このモデル事業に参加し,行政職を含む地域の専門職と協働してアプローチすることにより機能向上のみならず,参加者の生活に密着したサービスの提供や支援を検討し,社会参加へつながった事例を経験したので報告する。【方法】事例1は要支援2の70歳代女性で肺炎後廃用症候群で,既往歴は腰椎椎体偽関節であった。ニードは腰痛が軽減し,しっかり歩きたいとのことであった。身体機能は筋力,全身持久力,歩行能力の低下があり,基本動作,ADL,IADLは一部介助であった。普段はコルセットを使用し,屋内移動は伝い歩きが何とか可能なレベルであった。事例2は要支援2の80歳代男性で両変形性膝関節症であった。ニードは体力の低下とともに辞めた趣味の再開と元気になって外出したいとのことであった。身体機能は筋力,全身持久力,歩行能力の低下があり,ADLは自立,IADL一部介助で,屋内はT字杖歩行自立,屋外は一部介助で外出の機会は少なかった。事業の開催頻度は3か月間を1クールとし,通所が1回2時間,2回/週で全24回,訪問が1人あたり1から3回/3か月であった。参加者は各クール約15名程度で,地域ケア会議は3か月間で初期,中間,最終の3回開催された。通所ではマシンやゴムバンドを使用した筋力増強運動,バランス練習,療法士による個別課題練習,訪問ではIADL実施状況の評価や指導,家屋評価,住宅改修や代替案の提案,自主練習,ADL,IADL指導などを実施した。地域ケア会議では,初期から中間,中間から最終までの間の変化,目標の見直し,各専門職の役割分担などを確認し,療法士として主に運動面,自宅環境の確認と福祉用具の選定および生活環境に合わせ活動性向上のための戦略などを提案した。評価項目は,椅子長座位体前屈(体前屈),5m歩行時間,Timed Up & Go test(TUG),握力,30秒起立試験(CS30),Frenchay Activities Index(FAI),2分間ステップ(2MS)とし,初期と3か月後に評価を行った。個別の介入として,事例1では地域ケア会議において本人が習慣にしていた行動や希望を確認し,その実現可能性を多職種にて検討した。療法士は,通所での個別歩行練習と訪問での自宅内動作確認と指導を行い,体力の向上に合わせて活動範囲を広げていくために,自宅周囲の歩行練習および教室終了後に通う場所までの移動確認などを行った。事例2では,運動継続の動機づけのために疼痛のフォローが不可欠であったため,通所では疼痛,負荷管理しながらの個別運動指導を行い,訪問では自宅内動作の確認,環境面の特性を包括担当者と検討を重ね歩行練習が可能な場所や方法の検討を行った。【結果】事例1の主な身体機能面の結果は,5m歩行時間(秒)5.1から3.9,CS30(回)11から16,FAI(点)13から19点,2MS(回)測定不可から47であった。IADLは,洗濯物の取り込みが可能となり習慣化したこと,近所の神社へのお参りや友人宅への訪問を再開するなどの活動性の向上がみられた。事例2の結果は,5m歩行時間6.3から4.3,CS3014から19,FAI20から21,2MS47から59であった。IADLは,自宅の庭の手入れの再開や家事への参加,教室終了後にボランティアに参加するなど活動性向上を認めた。【考察】事例1では,本人の元の生活を取り戻したいという意欲を目標に取り込み,関連ある目標を段階的に設定し,達成していくことで機能,活動,参加での改善がみられた。事例2では疼痛管理と自主練習の指導,個別の運動負荷設定を行うことで,同様の改善がみられた。従来の介護予防教室では,ADLやIADLの変化まで追跡するのは困難であったが,今回地域ケア会議を通して個人因子を深く検討したこと,通所と訪問の併用により機能,活動,環境の面から多職種が連携して評価・介入が出来たことでADL,IADLにまで介入し改善がみられた。それに加え予防を意識した活発な生活環境を提供することができた。【理学療法学研究としての意義】今後,地域包括ケアシステムに理学療法士が参画するうえで,地域ケア会議を含む多職種と連携していく場において,参加者中心の生活を捉えた包括的介入に効果的な関わりを持てることを示すことができた。
著者
岡本 歩 武山 直治 大沼 俊和 小林 加代子 上木 美智子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.255, 2006

<b>〈緒言〉</B>検診効果を高めるためには、検診及び精検受診率の向上を図り、検診及び精検機関の精度を一定以上に維持する必要がある。そのためには地域の関係機関が連携し取り組む必要がある。旧高山市住民の胃がん検診は、H11より当検診センターで実施しているが、胃がん発見率が徐々に低下傾向にあった。そこで関係機関に胃がん検診検討会への参加を呼びかけ、共にこの地域における胃がん検診の現状を分析したので報告する。<BR><b>〈検討会開催方法〉</B>内容:(1)飛騨地域胃がん登録状況(2)検診と精度管理方法、(3)検診実績、(4)検診・精検受診勧奨の方法、(5)X線写真による症例説明を、各機関が発表し意見交換した。参加機関:飛騨地域保健所、高山市保健センター。精検医療機関(市内のT病院、開業医、当院)。<BR><b>〈結果〉</B>1.胃がん登録状況の分析:表1、2より飛騨地域の胃がん罹患率は全国とほぼ同じであるが、死亡率はやや高く近年上昇している。有効な検診に向けて取り組む必要がある。<BR>2.検診結果の分析:要精検率は年々低下し、消化器集検全国集計(H15)の10.8%と比較しても低い。また胃がん発見率はH14より低下傾向で全国集計の0.15%を下回っていた(表3)。この要因の一つに、初回受診率が低いことが考えられた。検診対象者の拡大に向けて申し込み方法の検討や啓蒙活動が必要である。<BR>3.精検精度の分析:(1)精検方法はほとんどが胃カメラであったがUGIの実施もあった(図1)。精検としてUGIを実施してよいか討論した。その結果、精検の場合は検診よりきれいな写真を撮る必要があるとの意見が出された。この意見を反映し、市で配布する「胃精密検査実施医療機関一覧」は、きちんと精検を行える機関であるか検討する方向性が出された。(2)精検機関の割合は開業医が半数、残り半数が当院とT病院であった(図2)。また胃がん発見割合は、当院が半数以上、開業医3割、T病院1割以下であった(図3)。精検実施数に比例した胃がん発見数が求められ、役割を果たすために、精度を高める努力が必要である。数値より分析することで問題が明確化し方向性を見出すことができた。今回の検討会により、関係機関が胃がん検診の現状を認識し問題点を共有することができた。この会を継続し、有効な胃がん検診の実施に向けて取り組みたい。
著者
廣重 陽介 浦辺 幸夫 榎並 彩子 三戸 憲一郎 井出 善広 岡本 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.FeOS3067, 2011

【目的】スポーツ現場で頻繁に遭遇する足関節外側靭帯損傷において、競技復帰が遅れる要因のひとつとして長期にわたる腫脹の残存があげられる。腫脹など受傷直後の炎症反応のコントロールにはRICE処置が用いられ、応急処置として浸透している。近年、組織修復促進効果があるとされている(Owoeyeら,1987、藤谷ら,2008)マイクロカレント刺激(Microcurrent electrical neuromuscular stimulation,MENS)もRICEと併用することがあり、筆者らも腫脹の軽減に有効であると考えている。しかし、MENSが腫脹軽減に効果があるというエビデンスは十分でなく、MENS単独での有効性を報告した文献は見当たらない。<BR> 本研究では、MENSが急性期に発生する腫脹を軽減するか否かを検討することを目的とした。<BR><BR>【方法】対象は足関節外側靭帯損傷と診断され、視覚的に腫脹を認め、受傷後72時間以内、初回損傷、RICE処置を施していない患者22名とした。対象をMENS施行群(MENS群)11名(男性6名、女性5名)と非施行群(安静群)11名(男性5名、女性6名)に無作為に分けた。MENS群の年齢(平均±SD)は35.3±18.9歳、身長は162.9±11.2cm、体重は58.5±7.1kg、安静群の年齢は30.2±19.7歳、身長は163.3±7.5cm、体重は60.8±14.7kgであった。<BR> 説明と同意の後、水槽排水法にて足部・足関節の体積を測定した。その後、安静背臥位にて2個のパッド(5cm×5cm)を前距腓靱帯の距骨、腓骨付着部付近に貼付し、MENS群はMENSを20分間施行し、安静群は通電せず20分間安静を保った。再び体積を測定し、最後に医師から処方された理学療法を実施した。MENSにはDynatron950plus(Dynatronic Corporation,USA)のmicrocurrent modeを使用し、周波数0.5Hz、パルス幅1sec、刺激強度50μAとした。<BR> 測定値より、各群の体積、腫脹の程度およびその変化率を求めた。腫脹の程度は、水槽排水法による健常者の足部・足関節の体積は左が1.4%大きい(廣重ら,2010)ことを考慮し、非受傷側の体積から受傷側における受傷前の体積を算出し、これを基準とした。<BR> 統計学的検定として、各群におけるMENS前後、安静前後の腫脹の程度の差には対応のあるt検定を、MENS群と安静群との腫脹の程度の差、腫脹変化率の差には対応のないt検定を用い、危険率5%未満を有意とした。<BR><BR>【説明と同意】対象には事前に研究の目的と方法に関する説明を十分に行い、紙面にて同意を得て測定を行った。本研究は当院倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号1001)。<BR><BR>【結果】MENS群で、MENS施行前の足部・足関節の体積(腫脹の程度)は977.0±111.1ml(106.2±3.9%)、施行後の体積は967.2±107.0ml(105.2±4.1%)となり9.8±6.9ml(1.0±0.7%)減少した。(p<0.05)。安静群で、安静前の体積は911.4±167.1ml(106.5±3.4%)、安静後の体積は909.2±166.6ml(106.2±3.2%)となり2.2±4.7ml(0.3±0.6%)減少したが、有意差は認められなかった(p=0.16)。<BR> 各群の腫脹の程度に有意差は認められなかった(p=0.86)。<BR> 各群の体積減少率を比較すると、MENS群の体積減少率が有意に大きかった(p<0.05)。<BR><BR>【考察】MENSについて、Gaultら(1976)が阻血性皮膚潰瘍患者に施行したところ治癒が早まったと報告して以来、様々な臨床効果が報告されている。森永(1998)は、MENSは微弱電流を通電することで組織損傷時に生じる損傷電流の働きを補い、ATPやたんぱく質の合成を速め、組織修復促進の効果が期待される物理療法であるとしている。従来の電気刺激がはっきりした通電感覚を与えるのに対し、MENSは感覚刺激のない微弱な電流を使用するため、不快感を与えることなく治療を行うことができる。<BR> MENSの腫脹に対する効果を認める者もいるが、その客観的評価や基礎的なデータはほとんどみられず、効果に対して懐疑的意見もあった。しかし今回、足関節外側靱帯損傷患者の急性期においてMENS使用前後で足部・足関節の体積が有意に減少したことから、MENS単独でも腫脹の軽減に効果が認められた。<BR> 本研究における腫脹の軽減はそれほど大きくはなかったが、水槽排水法を用いた信頼性が高い方法(廣重ら,2010)で測定したため、少ない体積変化も正確に読み取ることができたと考えられる。<BR> 板倉(2008)は、足関節外側靭帯損傷後の理学療法(MENS+冷却)で10~26mlの体積減少を認めたと報告している。今回の減少量9.8±6.9mlを考慮すると、他治療との併用においてもMENSの腫脹軽減に対する効果は大きいと考えられる。<BR> 作用機序など分からないことが多いが、今後、臨床研究により様々な使用方法を検討していきたい。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】MENSは足関節外側靱帯損傷患者の急性期において腫脹の減少に有効であり、早期復帰の一助と成り得ることが示唆された。
著者
岡本 奨
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.135-141, 1976-09-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17
著者
吉田 安規良 岡本 牧子 江藤 真生子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.33-38, 2020

<p>「一人一台端末」という教育ICT環境を活用できる教員の養成には,教職志望学生のICT活用能力の実態を様々な観点から知る必要がある.そこで,休校中の遠隔授業を想定して,中学・高等学校理科教員志望学生34人の教材探索力を把握した.8割の学生が,学校の授業で一般的に行われる授業者による説明を代替できる動画を含むコンテンツを提示した.ICTを活用したモデル実験や家庭学習では実施が相当困難な実験観察の代替を意図した解答が10人から寄せられた.「教員のICT活用指導力チェックリスト」と照合した結果,学生は,動画や映像などを利用して児童生徒の理解へつなげること,知識の定着や技能の習熟をねらった個別最適化学習,児童生徒が自ら当該コンテンツにアクセスできるような指導,他単元や他教科など全体を通した活用を想定できていたが,児童生徒がコンピュータを使ってアウトプットすることは想定していないことが推察できた.</p>
著者
岡本 覺雄
出版者
密教研究会
雑誌
密教研究
巻号頁・発行日
vol.1938, no.67, pp.190-193, 1938
著者
大庭 喜八郎 岡田 幸郎 塩田 勇 武藤 惇 岡本 敬三
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.438-443, 1965-12-25

約180本/0.1haからなる17年生のスギ人工林において、大、中および小直径級別に、それぞれ、5本ずつの母樹をえらび、1963年秋に採種した。この種子を施肥量のちがう播種床に直播し、幼苗の生長を調査した。肥料は化成肥料([○!林]スーパー1号)を使用し、1m^2あたり、それぞれ、600、300、150および0grの4段階とした。播種床には120×120×18(cm^3)の木型木伜を用い、底にビニールシートをしいた。この木枠に閃火ロームのやせた土をつめた。播極は線密度とし、長さ50cm、列間、6cm、幅1cm、深さ約0.5cmの播極溝に、それぞれ、200粒、100壮一汀よび50粒の3段階とし、4回の繰返区をもうけた。播種約6ヵ月後、幼苗を地際から切りとり、苗高と地上部乾物重とを測定した。各処理別に発芽率のちがい、または、その他の原因により生存数にちがいがあったので、各繰返し区ごとに密度補正をした。すなわち、母樹別、施肥量別に、乾物重は各繰返し区の生存本数とその平均乾物垂の対数とで、また、苗高は各繰返し区の生存本数とその平均苗高とにより回帰直線を計算し、それぞれの回帰直線を用いて50cmの播種溝あたり100、50および25本の生存数について、平均乾物垂、平均苗高の補正値を算出した。施肥量、生存密度の組合せで12の処理区があり、その各処理区に15母樹の実生集団がはいっている。平均乾物重および平均苗高について、施肥量、生存密度の組合せの12処理区のそれぞれの総平均値に対する各処理区内の母樹別平均値を対応させた回帰直線を}5母樹について計算した。この回帰係数は母樹別幼苗集団の肥料反応をしめすものと考えられ、回帰係数が大きいほど施肥効率が良いと推定される。直経級別により施肥効率をしめす回帰係数には朋らかな関係はないようである。しかし、母樹別には、乾物重、苗高の回帰係数には95%の信頼度でその信頼限界が重複しないものがあった。直播幼苗での生長調査であるため、種子重との関係を、母樹別1,000粒重と母樹別の平均乾物重、平均苗高それぞれの肥料反応をしめす回帰係数との相関を計算し、その回帰係数の有意性を検定したところ、いずれの場合も有意でなかった。