著者
櫻井 秀彦 恩田 光子 中川 明子 藤本 佳乃子 奥田 勅子 岡山 浩之 荒川 行生 早瀬 幸俊
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.118-123, 2013 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15

Objective: This study quantitatively analyzes the factors causing dispensing errors in community pharmacies and explores the characteristics of these factors and their order of importance.Design and Methods: We collected data records on the contents and causes of dispensing errors as reported between April and July 2009 by a total of 320 pharmacists at 56 stores of two pharmacy chains (15 stores in Hokkaido and 41 stores in the Kansai area).  We focused on the following three types of dispensing error: 1) “measurement error”, 2) “wrong drug dispensing error” and 3) “wrong dosage form specification error”.  We conducted multiple regression analyses and discriminant analyses with occurrence frequency of each type of error as dependent variables and count frequency of each causal factor as independent variables.Results: The result of the multiple regression analyses indicated that the primary causes of the three types of errors in order of strength of the regression coefficients were as follows.  For “measurement error”: 1) pharmacist’s wrong assumption and 2) calculation error; for “wrong dosage form specification error”: 1) insufficient confirmation of prescription and 2) pharmacist’s wrong assumption; for “wrong drug dispensing error”: 1) pharmacist’s wrong assumption and 2) insufficient confirmation of prescription.  The results of the discriminant analysis indicated that only for the discriminant coefficient between “wrong dosage form specification error” and “wrong drug dispensing error” no significant difference in the mean was found (p=0.539).Conclusions: Results show that partly different factors cause “measurement error” as compared with the two other types of dispensing errors.  In addition, while basically the same factors were found to cause “wrong drug dispensing error” and “wrong dosage form specification error,” there was a difference in the order of importance of these factors.  This study uncovered differences in terms of causal factors affecting each dispensing error type.
著者
中井 將人 吉川 明良 舟原 宏子 開 浩一
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.307-315, 2021-06-10 (Released:2022-06-10)
参考文献数
29
被引用文献数
1

The criteria for palliative chemotherapy discontinuation have not been adequately systematized. We evaluated the relevance of the neutrophil-lymphocyte ratio, platelet-lymphocyte ratio, prognostic nutritional index, modified Glasgow Prognostic Score (mGPS), and clinicopathological factors as potential factors for chemotherapy discontinuation in patients with recurrent and unresectable pancreatic cancer.We retrospectively analyzed the data of 91 patients who received palliative chemotherapy for recurrent and unresectable pancreatic cancer at Hiroshima City Hospital between April 2014 and March 2018. Factors significantly related to chemotherapy discontinuation were extracted using Coxʼs proportional-hazard model, and a prognostic model was established by combining these factors.The median overall survival was 76 days. Multivariate analysis of the factors revealed that the mGPS (0/1-2) (hazard ratio [HR] = 3.053, P = 0.005), the presence of distant metastatic disease (HR = 2.605, P < 0.001), and the status of recurrent or initially unresectable disease (HR = 2.587, P = 0.013) were significantly associated with the discontinuation decision. One point was assigned to each of these three factors to create the prognostic model. A total score index of 0-3 was used to categorize three prognostic risk groups. The high-risk group (3 points) had a significantly lower overall survival than the low- (≤1 point) (P < 0.001) and intermediate-risk (2 points) groups (P < 0.001).Our study shows that mGPS and this prognostic model can help determine whether chemotherapy should be discontinued in patients with relapsed and unresectable pancreatic cancer.
著者
高田 祐輔 中谷 知生 山本 征孝 堤 万佐子 田口 潤智 笹岡 保典 藤本 康浩 佐川 明 天竺 俊太
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Bb0768, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 近年、治療用装具として長下肢装具を積極的に活用することの有用性が認識されつつある。脳卒中片麻痺患者の歩行練習に際し、長下肢装具を使用する利点の一つとして、ターミナルスタンス(以下Tst)における股関節伸展・足関節背屈運動が保障されると考えられており、先行研究においても短下肢装具装着下に比べ足関節背屈運動の可動域が拡大することが明らかとなっている。しかし長下肢装具を装着することによる、股関節伸展運動への影響についてまとまった報告はこれまでなされていない。そこで今回、長下肢装具を装着することが麻痺側立脚期の股関節伸展角度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、短下肢装具装着下との比較検討を行ったのでここに報告する。【方法】 対象は当院入院中の脳卒中片麻痺患者6名(左片麻痺3名・右片麻痺3名、男性3名、女性3名、平均年齢69±10歳)とした。発症日からの平均経過日数は155±39日で、下肢Bruunstrom Recovery Stageは3が4名、4が2名であった。すべての対象者が当院にて長下肢装具作成後カットダウンを行っており、計測時点では短下肢装具を用いた歩行トレーニングを行っていた。作成した下肢装具はいずれも足継手に底屈制動・背屈フリーの機能を有する川村義肢社製Gait Solutionを使用していた。計測は長下肢装具、短下肢装具それぞれ前後3mの予備路を設けた10mを自由速度で歩行する様子を、矢状面から三脚台に固定したデジタルカメラにて撮影した。すべての対象者は杖を使用し、計測時は転倒防止のため理学療法士が見守った。デジタルカメラは床面から1.2mの高さの位置に歩行の進行方向と垂直になるように、歩行路から4m離れた位置に設置した。股関節角度は倉林らの報告を参照に股関節点(上前腸骨棘点と大転子最外側突出点を結ぶ線上で大転子最外側突出点から1/3の位置)をとり、上前腸骨棘、膝関節外側裂隙を結んだ線のなす角とした。対象者には上記3点にマーカーを貼り付け、静止立位時の角度を基準にそこからの増減角度を計測した。計測は2回実施し、画像解析ソフト(NIH ImageJ)を利用し得られた3歩行周期分の平均角度を、Wilcoxonの符号付順位和検定を用い統計学的処理を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は所属施設長の承認を得て、対象者に口頭にて説明し同意を得た【結果】 Tstでの股関節伸展角度は、長下肢装具装着下では5.8±2.3°であり、短下肢装具装着下では-0.9±2.1°であった。すべての対象者が長下肢装具装着下ではTstにて股関節伸展位を保持でき、短下肢装具装着下と比べ股関節伸展角度が有意に増大していた。短下肢装具装着下ではTstで股関節伸展位を保持できた者は3名(1±0.4°)であり、屈曲位となった者が3名(-2.7±0.9°)であった。【考察】 脳卒中片麻痺患者の歩行の特徴の一つとして、Tstにおける股関節伸展運動の不足が挙げられる。吉尾らは、股関節伸展運動の不足により股関節屈筋群が十分に伸張されず、遊脚初期に必要な筋力の発揮が困難となると述べている。当院において長下肢装具を積極的に使用する目的の一つは、不足する股関節伸展運動を補い、力学的に有利なアライメント下で歩行練習が行えるという点にある。しかし、実際に短下肢装具装着下と比較しTstでの股関節伸展角度が増大しているのかについては目測の域で終わってしまうことが多かった。今回の調査から、すべての対象者において長下肢装具装着下のTstの股関節伸展角度は有意に拡大し、長下肢装具の有する役割が明らかとなった。一方、短下肢装具装着下ではTstにて股関節伸展位を保持することが可能な者と不可能な者の2群に分けられた。一般的に長下肢装具におけるカットダウンの基準は、立位での麻痺側下肢の支持性、歩行時の下肢アライメントなどが挙げられている。今回、股関節屈曲位となった3名について運動学的見地からはカットダウンの時期でなかった可能性があるが、病棟での生活動作においても使用することを目的に短下肢装具へと変更していた。理学療法場面においては、より有利なアライメント下での歩行練習としては長下肢装具が適していると考えられるが、カットダウンについては症例の個別性も配慮する必要性があると考える。【理学療法学研究としての意義】 本研究は長下肢装具を装着することで、短下肢装具と比較しTstでの股関節伸展角度が有意に増大することを示したものである。このことにより、脳卒中片麻痺患者の歩行練習において長下肢装具を使用することの利点がより明確にされたものと考える。
著者
国原 峯男 佐瀬 真一 荒川 明雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.4, pp.299-307, 2007 (Released:2007-04-13)
参考文献数
44
被引用文献数
1 1

ガバペンチンは,1973年にワーナー・ランバート社(現ファイザー社)のドイツ研究所で合成されたGABA(γ-アミノ酪酸)誘導体である.当初の予想に反し,GABAおよびベンゾジアゼピン受容体への親和性を示さず,その他多くの受容体(グルタミン酸,NMDA,AMPA,カイニン酸,グリシン受容体など)にも作用せず,長く作用機序が不明のままであった.ガバペンチンは,ラット欠神発作モデルおよびヒヒ光過敏性ミオクローヌスモデルでは無効であったが,マウスのペンチレンテトラゾール誘発閾値間代性けいれんモデルをはじめとして他のてんかん動物モデルに有効であった.近年ガバペンチン結合タンパクは電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットと同定され,ガバペンチンは興奮性神経の前シナプスのカルシウム流入を抑制し,神経伝達物質の放出を部分的に抑制した.また,ガバペンチンはGABA神経において脳内GABA量を増加させ,GABAトランスポーターの細胞質から膜への細胞内輸送を促進し,GABA神経系を亢進させた.これらの知見から,ガバペンチンはグルタミン酸神経などの興奮性神経を抑制し,GABA神経系を亢進することにより,抗けいれん作用を発現するものと考えられる.国内臨床試験では,既存の抗てんかん薬治療で十分に抑制できない部分発作を有するてんかん患者を対象としてプラセボ対照二重盲検試験を実施し,他の抗てんかん薬との併用療法における有効性および安全性が確認された.ガバペンチンは,体内で代謝されず,ほぼ全てが未変化体のまま尿中に排泄された.また,血漿タンパク結合率は3%未満であり,臨床用量では薬物代謝酵素の阻害あるいは誘導を起こさないため,抗てんかん薬治療でしばしば問題となる薬物動態上の薬物相互作用のリスクが低いと考えられた.以上の特徴から,ガバペンチンは,部分発作を呈する難治てんかんに対する有用な併用治療薬であると考えられる.
著者
髙村 康之 平田 勝弘 新口 昇 加藤 雅之 大川 明美 東條 威士 髙口 大樹
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.87-93, 2020 (Released:2020-10-13)
参考文献数
13

In this paper, we propose a mathematical model for evaluating the performance of an onboard energy harvester. First, the static analysis results using the finite element method and the measurement results using a prototype are compared, and the parameters are supplemented as table data. In addition, the parameters necessary for a mathematical model are identified using a damping vibration. In order to easily evaluate the harvester, we propose a mathematical model that combines the results of using the finite element method with the identified parameters. Finally, a power generation experiment is conducted, and the experimental results are compared with the simulation results to discuss the validity of the proposed mathematical model.
著者
網谷 東方 網谷 真理恵 浅川 明弘 乾 明夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1013-1022, 2016 (Released:2016-10-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1

悪液質がもたらす栄養不良には, 食欲不振が大きく影響している. さらに, 炎症性サイトカインに誘発される全身の炎症反応による代謝異常のため, 骨格筋分解の亢進, インスリン抵抗性, 脂質分解の亢進などの同化障害と異化亢進された状態にある. この代謝障害が高度になり, 悪液質のステージが, “前悪液質 (precachexia)”, “悪液質 (cachexia)”, “不応性悪液質 (refractory cachexia)” と進行すると, 栄養補給を行っても有効に同化することができず, 栄養不良は不可逆的な状態になる. そのため, 悪液質のステージを評価し, 適切な栄養管理を行うことが重要となる.
著者
中村 皖一 中川 明彦 田中 実 増田 裕 林 康之 西園 寺克
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.183-191, 1984 (Released:2007-03-07)
参考文献数
33
被引用文献数
11 7

3位にmethyltetrazolylthiomethyl基を有するセフェム系抗生物質によるジスルフィラム様作用の発現機構を追求するために以下の実験を行った.1)cefetazole(CMZ),cefoperazone(CPZ),latamoxef(LMOX)をヒト,サル,イヌ,ラットに静脈内投与後の原薬物ならびに3位置換基由来のmercaptomethyltetrazole(Me-TZ)の累積尿中排泄率(0~24時間)を求めた.ヒトにおけるMe-TZの尿中排泄率はCPZ(39%)>LMOX(14%)>CMZ(3% of dose)となり,同様の傾向はラット,サルでも見られた.2)ラットにCMZ,CPZ,LMOX,Me-TZを静脈内に単回投与し,一定時間後ethanolを経口負荷したところ,血中アセトアルデヒド値は用量依存的に上昇した.その傾向はMe-TZの尿中排泄率に比例し,CPZ>LMOX>CMZとなった.またサルの2回静脈内投与群においてもCPZ>CMZの傾向が見られた.以上の結果からMe-TZがジスルフィラム様作用の原因物質と推測できたが,本作用発現の強弱に種差,抗生物質問の差異が見られた.それらはこれまでに報告されている各抗生物質の胆汁移行率の大小および組織液中での安定性に起因していると考えられた.
著者
宮地 良樹 中村 元信 荒川 明子
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

円形脱毛症の中には、多発型円形脱毛症あるいは全頭部に拡大する全頭型脱毛症、眉毛や体毛の脱毛もある汎発型脱毛症があり、ステロイドの外用、内服、局所免疫療法、光線療法などの既存の治療法に反応しないことが多い。私たちは円形脱毛症の病因が制御性T細胞の機能不全であるという仮説のもと、坂口志文教授らとの共同研究で円形脱毛症患者の末梢血を解析し、有意な制御性T細胞減少があることをすでに見いだしている。自己免疫疾患マウスに制御性T細胞を移入すると自己免疫反応を抑制できるため、制御性T細胞操作の治療への応用が期待されている。我々はまず円形脱毛症を自然発症するC3H/HeJマウスの皮膚局所へ制御性T細胞を投与し、人体に応用する前にまず、円形脱毛症モデルマウスC3H/HeJマウスへの治療効果を検討する。(1)C3H/HeJマウスCD4陽性細胞をソーティングする。(2)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクト(3)C3H/HeJマウスの末梢血、脾臓、胸腺を採取する。(4)CD4陽性CD25陽性細胞をソーティングする。(5)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクトしたCD4陽性細胞とCD4陽性CD25陽性制御性T細胞をそれぞれC3H/HeJマウスの脱毛斑に局所投(6)外毛根鞘細胞のMHCclassI、II蛋白の発現量、インターフェロンガンマの産生を定量する。
著者
長谷川 明洋 中山 俊憲
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.189-195, 2010 (Released:2010-08-31)
参考文献数
11
被引用文献数
7 7

CD69分子はc-type lectinファミリーに属するII型の膜分子で,早期活性化マーカー分子としてリンパ球の活性化の指標として広く用いられている.機能の詳細はこれまであまり明らかにされていないが,炎症局所に浸潤する炎症細胞のほとんどがCD69を発現していることから,さまざまな炎症反応の誘導・維持に重要な役割を果たしていると考えられる.著者らはこれまでに生体内でのCD69分子の役割を解析する目的でCD69ノックアウトマウスを作製し,疾患との関わりの解析を進めてきた.その結果,CD69ノックアウトマウスでは関節炎やアレルギー性喘息が起きないことを見出した.アレルギー性喘息は抗CD69抗体の投与でも抑制され,治療効果が認められた.CD69分子はその他の炎症性疾患の発症にも関与している可能性が高く,難治性の炎症性疾患に対する新規治療法の開発において新しいターゲット分子になる可能性が示唆された.
著者
堀 天 髙木 祐介 相川 悠貴 福地 かおり 吉川 明里 藤原 紗音 小木曽 洋介 下村 有佳里 家吉 彩夏 枝元 香菜子 関 和俊 堀田 典生
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.761-773, 2022 (Released:2022-09-27)
参考文献数
44

Sudden cardiac death is a common cause of death during hiking activities. Since the exaggerated blood pressure (BP) response to physical activity is known to increase the risk for the development of cardiovascular events, hiking might also induce an excessive BP response and such events. The purpose of this study was to investigate the effects of hiking at around 1,200 m on the circulatory responses to isometric handgrip (IHG) exercise. Five healthy women volunteered to hike and stay at Mt. Ibuki (altitude, 1,377 m; Shiga, Japan) for 2 consecutive days. On the first day, the participants ascended to 1,220 m (Hiking study), and on the second day, they drove to an altitude of 1,260 m where they remained for about 5.5 h (Staying study). The participants performed IHG exercise before (altitude, 220 m), during (altitude, 990 m), and after (altitude, 220 m) hiking in the Hiking study, and before driving (altitude, 160 m), after staying for 5 h (altitude, 1,260 m), and after driving back from an altitude of 1,260 m (altitude, 122 m) in the Staying study. The participants performed IHG exercise at 30% maximum voluntary contraction for 2 min after seated rest. We measured systolic and diastolic BP (SBP and DBP), and pulse rate during the test, and then calculated the double product (DP) from the product of the SBP and pulse rate. In the Hiking study, SBP and DP responses to IHG exercise during hiking were significantly augmented (P < 0.05). Importantly, these responses to IHG exercise during hiking were significantly higher than those before hiking (P < 0.05). On the other hand, in the Staying study, staying at an altitude of 1,260 m for about 5.5 h did not significantly change circulatory responses to IHG exercise. In conclusion, we demonstrated that SBP and DP during IHG exercise were significantly augmented during hiking at an elevation difference of about 1,000 m. This finding suggests that transient increases in BP due to physical activity, which might trigger cardiovascular events, could be enhanced during hiking at a moderate altitude.
著者
皆川 明大 酒井 理歌 福留 慶一 久永 修一 年森 啓隆 佐藤 祐二 藤元 昭一
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.685-690, 2014 (Released:2014-11-28)
参考文献数
15

血液透析患者において適正体液量の維持は心血管合併症や生命予後改善の点で重要である. 今回われわれは, 健常者および血液透析患者に体組成分析装置を用いて透析前後に体液過剰・不足量 (OH) の測定を行い, 有用性の検証について横断的研究を行った. 219名の健常者 (平均年齢68.8±8.4歳, 男性69名) と64名の慢性維持血液透析患者 (平均年齢61.7±12.8歳, 男性37名) を対象とした. 健常者平均OHは0.7±0.8L (平均±SD) であり, 海外での健常者のOH基準値 (−1.1~1.1L) に相当した参加者は全体の76.3%であった. 血液透析患者の透析前平均OHは2.9±1.5L, 透析後平均OHは0.6±1.7Lであった. 透析前後でのOH変化量と体重変化量は有意な相関関係を認めた (r=0.61, p<0.05). 一方, 透析前あるいは透析後OHと透析前血圧・心胸郭比との間には, 有意な相関関係は認められなかった. 透析後血中ANP濃度と透析後OH値との間に正の相関関係を認めた (r=0.48, p<0.05). 透析後血中ANP濃度で3群 (高値群>60pg/mL, 中間群40~60pg/mL, 低値群<40pg/mL) に分類し, 透析後平均OHを比較したところ, 血中ANP濃度が高値になるほどOHも高値となった, p<0.05). これらの結果から血液透析患者において, 潜在的に体液過多となっている患者の存在が示唆された. 目標体重検討の際に考慮する心胸郭比や血圧との有意な相関関係は認められなかったが, 透析前後での劇的なOHの変化や血中ANP濃度との関係をみると, OHは血液透析患者の体液量の指標として有用な可能性がある. 今後OHと心機能との関連性など検証し, 有用性についてさらに具体的に検討していく必要があると思われた.
著者
馬場 天信 佐藤 豪 齋藤 瞳 木村 穣 中川 明仁
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.937-944, 2012-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21

肥満治療において臨床心理士を加えたチーム医療システムは効果的である.また,パーソナリティ尺度は,肥満症患者の置かれている心理社会的状況を理解するツールとして,患者と治療スタッフ双方に有益な情報を提供する.パーソナリティと肥満に関する研究報告は近年増加しているが,日本人の肥満症患者に関する報告は数少ない.本研究ではNEO-PI-R, TEG II, TAS-20を用いて,肥満症患者と一般成人におけるパーソナリティの違いを検討したところ統計的差異は認めらなかった.次に,肥満度別によるパーソナリティの違いについて分散分析を用いて検討したところ,BMI35以上の肥満症患者は神経症傾向(特に不安と抑うつ)が高く,感情同定困難という特徴が認められた。以上の結果は,肥満度の高い肥満症患者に対する介入にはパーソナリティの査定が有効であることを示唆している.
著者
小川 明子
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.45-54, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

現在,インターネット社会において,周縁化されがちな弱者の意見は,フィルター・バブルがひしめく中でかき消され,時に激しいヘイトスピーチの下に晒されがちである。そこで,彼らが声を上げることは難しい。本稿では,米国のストーリーテリング実践,日本の生活記録運動や臨床領域で展開されるナラティヴ・アプローチなど,ストーリーテリングの手法を活用して,他者理解や連帯,社会参画を目的に展開されてきた実践の系譜を辿りながら,周縁化されがちな人びとにとって,物語を協働的,対話的に生成し,共有することがエンパワメントにつながるという道筋を示す。またその視点から,デジタル・ストーリーテリングを再検討し,デジタル時代における協働的なストーリーテリングの利点について再検討する。