著者
川本 義海 川上 祥代 柏 貴子
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本稿は平成24年3月に敦賀市で実施された福井県原子力防災総合訓練を事例として、福島第一原発事故をふまえた最初の防災訓練の中でもとくに住民の避難と参加の状況に着目し、従前の訓練と今回の訓練の内容および意識の変化を整理・把握する。具体的には、敦賀原発から5キロ圏の全住民を対象とした避難訓練当日の避難対象地区およびオフサイトセンターなどの現場視察、訓練直後に県が参加者に対して実施したアンケートの結果概要、訓練前後の報道記事および訓練後約2ヶ月時の避難対象地区区長などへのアンケートをもとに、今回の訓練から得られた成果と課題を明らかにする。これらにより、今後国の正式な防災指針の見直しを受けて策定されることになる県の原子力防災計画策定の一助とすべき現状を共有化することを目的とする。
著者
貞方 隆史 川澄 明子 河合 智康 川本 珠美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.196, 2008

〈はじめに〉当院手術室では、各出版会社からの手術室看護手順書などを参考に各科の手術手順書を作成している。近年手術技法の著しい進歩により、同じ予定術式であっても執刀医により手術手順、使用する鋼製小物や医療材料に違いがあるため手術手順書への追加記載が必要となる。しかし、スタッフ各個人のメモへの追記に止まりがちで、共有の手術手順書の活用は充分とは言えない現状である。そこで術後、器械出し看護師と外回り看護師によるシートに沿ったショートカンファレンスのデータ、スタッフに対する意識調査より、手術手順書の効果を明らかにしようと考えた。〈方法〉シート記載:平成19年6月~9月、腰椎麻酔・全身麻酔の手術260件を対象に担当した看護師がシートに沿って話し合い記載したものを項目毎に結果を単純集計した。それらから、手術に入る看護師すべてのメンバーが手術手順書を活用した群を1群とし、以下メンバー3人のうち2人の活用を2群、メンバー2人のうち1人の活用を3群、メンバー3人のうち1人の活用を4群、メンバー全員が活用しないを5群とした。手順書活用群別に、『医師から助言・指導を受けた』『手術室外に鋼製小物などを取りに出た』の有無。さらに予定通りの手術・途中術式変更の違い、予定手術・緊急手術の条件の違いによる差を解析した。アンケートによる意識調査:平成19年5月と10月に器械出し看護師担当時・外回り看護師担当時に『手順書の活用』は出来ているか、『医師からの伝達の共有』は出来ているかをそれぞれ5段階のスケール選択方法により意識調査を行い比較した。さらに、10月に自由記載法による意識調査を行った。<結果>1)手順書活用群別に、『医師から助言・指導を受けた』は、1群32%、2群36%、3群35%、4群24%、5群18%であった。『手術室外に鋼製小物などを取りに出た』では、1群68%、2群52%、3群71%、4群60%、5群66%であり、それぞれに明らかな差はなかった。さらに、予定通りの手術と途中術式変更の違い。予定手術と緊急手術の条件の違いでも、『医師から助言・指導を受けた』『手術室外に鋼製小物などを取りに出た』の有無にそれぞれ明らかな差はなかった。 2)手順書活用に関する意識の5月と10月の比較では、「器械出し担当時の手順書活用」の意識調査は、やや評価を下げてしまったものの「外回り担当時の手順書活用」「医師からの伝達は共有できている」の意識調査は評価を上げた。10月の自由記載による意識調査では、情報の共有ができる。手術に対し振り返りができる。手順書活用、追記の意識が高まった。などの記載が複数あった。<BR>〈考察〉手術室経験年数や個人の手術看護に対してのスキルの違いから手術手順書の活用方法が違ってくると推測される。手術後話し合うことは、手術を振り返りができ、医師からの伝達の共有ができるに繋がったと考えられる。また共有の手術手順書は最新の情報でなければならない。と言う意識が高くなったと考えられる。今回の研究で使用したシートの項目は手術治療の介助に関することが主であったため、今後はチーム自らの看護を振り返るきっかけにしていきたい。<BR>〈まとめ〉手術手順書を活用した場合と活用しない場合とでは、『医師から助言・指導を受けた』『手術室外に鋼製小物などを取りに出た』の有無のいずれにも関連性はない。<BR>
著者
川本 隆史
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.52, pp.1-13,312, 2001

John Rawls' seminal work, <I>A Theory of Justice</I>, which was published in 1971 and has received widespread attention, brought a recovery of substantial moral philosophy to us. And subsequently began exciting debates over social and distributive justice. In my opinion, the three important issues brought about by this dispute are as below: 'Care vs. Justice', 'Plurality and Justice', and 'Evil and Justice'.<BR>My aim in this article is to examine Rawls' unique methodology, i.e. 'wide reflective equlibrium' and to investigate the first point ('Care vs. Justice').<BR>To this end, I confront firstly 'reflective equlibrium' with 'a new plan for post-war philosophy' (proposed by Shunsuke TSURUMI), secondly 'an ethic of care' (by Carol Gilligan)with 'self-motivated obligation' (by Satoru SAISHU), and lastly 'local justice' (by Jon Elster) with 'socializing nursing care within concrete relationships' and 'nursing care insurance system with a human face' (by Haruki MIYOSHI).<BR>In conclusion, I develop my motto, 'Don't make away and don't intrude' and argue for the integra-tion of care and justice again.
著者
川本 隆史
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.60, pp.33-50_L4, 2009

Confronting a host of difficult issues of widening disparities which emerge within domestic and international affairs, I attempt in this paper to flesh out the conception of a just and caring society by considering appropriate conditions for the taxation system thereof.<br>For this purpose I conjointly apply two methodologies: reflective equilibrium (Rawls) and &lsquo;dis-aggregation&rsquo; (attributed to Sen by Yoichi Mine). Firstly I examine three joint ideas bridging a gap between difference and equality in Rawlsian social justice; (1) fraternity, (2) reciprocity, and (3) democracy. Then I dig into Rawls' and Kant's theories of taxation in some detail and propose a way of reinterpreting the Rawlsian concerns with justice in terms of Sen's notion of capabilities. (In this regard Makoto Yuasa's Japanese translation of &lsquo;capability&rsquo; as &lsquo;tame&rsquo; is highly suggestive.) The classical ideal of fraternity proves in need of careful elaboration.
著者
中野 裕 川本 直哉 梅本 司 桂木 格
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第31回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.95, 2020 (Released:2020-11-30)

我が国では少子高齢化や生産年齢人口の減少が進展する中、ロボット技術は、製造業の生産現場、医療・介護現場、農業・建設・インフラの作業現場などの幅広い分野で、人手不足の解消、過重な労働からの解放、生産性の向上などの社会課題を解決する可能性を有している。 資源化施設における選別工程では、機械による選別に加えて、精度向上のため、人による手選別が広く採用されている。手選別作業はベルトコンベヤ上で行われることが多く、作業員はベルトコンベヤ上を流れる混合廃棄物の中から対象物または異物を見つけ、選別・除去を行っている。これらは繁忙な作業であることに加えて、選別対象物に重量物が含まれる場合もあり、作業員への負担は小さくない。当社は手選別作業に係る負荷軽減を目的として、人共存型ロボットによる支援システムの開発を行っており、本稿ではその取り組みについて紹介する。
著者
西川 和孝 川本 実穂 田中 章江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.339-345, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
29

The oxalic acid content of spinach has become a major human health concern due to its toxicity. We investigated in this study the residual oxalic acid content in spinach and the free oxalic acid content in the cooking solution. The water temperature and duration of boiling were important factors for the residual oxalic acid content of spinach, while the water volume and salt concentration had no influence. However, the content of free oxalic acid in the cooking solution was influenced by the water volume, salt concentration, water temperature, and duration of boiling. In particular, the oxalic acid content in the cooking solution decreased with increasing salt concentration. Cooking spinach by boiling was demonstrated, and a follow-up questionnaire survey of junior high school students was conducted. The results of the questionnaire survey clarified that there was insufficient understanding of the preparation of vegetables by boiling as studied at the elementary school level. However, most students understood how to boil spinach after the teaching demonstration, and the results of a cluster analysis showed that the students' interest as well as knowledge about spinach had increased
著者
渡辺 澄子 川本 栄子 黒田 喜久枝 中川 早苗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.131-139, 1993

前報において, 若い女性向けの服装雑誌より選んだ服装サンプルをもとに服装イメージを構成している因子の抽出を行った. 本報では前報で得られた主要な因子の因子得点をもとにクラスター分析を行い, イメージによる服装の類型化を行った. さらに類型化された服装タイプのデザインの特徴を把握するために, クロス集計および数量化II類による分析を行い検討した. その結果, 次のような知見を得た.<BR>1) 服装タイプは, (1) キャリアエレガンス, (2) エレガンスフェミニン, (3) ベーシックカジュアル, (4) トレンディカジュアルの四つに類型化された.<BR>2) 服装タイプとデザイン要素の関連性をクロス集計で分析した結果, 43項目中27項目において有意な関連がみられた.<BR>3) 四つの服装タイプを判別するのにより有効な意味は, エレガンスかカジュアルかの違いであり, そのデザイン要素は服種の違いによるものが大きいことが分かった.<BR>4) 服装タイプを一組ずつ対比させ, その違いをより有効に判別するデザイン要素を検討するとつぎのようになった. キャリアエレガンスとトレンディカジュアルは服種, ディティール, 色柄の順に三つのデザイン要素のみで容易に判別できる. 次いで, キャリアエレガンスとベーシックカジュアルもそれらのデザイン要素に襟・袖の形まで含めると明確に判別できる. また, キャリアエレガンスとエレガンスフェミニンのどちらもエレガンスタイプのものどうし, および, ベーシックカジュアルとトレンディカジュアルのカジュアルタイプのものどうしの判別はやや困難であるが, それらは服種やディティールよりも色柄によつてかなり判別できることが明らかになった
著者
川本 佳代
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これからの社会において論理的思考力は重要であり,その育成には数理的説明文を書く経験の蓄積が有効である.その際,数理的説明文を評価する必要があるが,適切に評価する方法が存在しない.本研究では,蓄積された数理的説明文の分析を元に,数学の専門家が高くあるいは低く評価する数理的説明文がどのような特徴を持つのかを明らかにした.これに基づいて作成した評価基準を導入し,学習支援者が学習者の数理的説明文を評価する上で役立つ,論理的思考力評価支援システムを開発した.
著者
川本 義海 伊豆原 浩二 本多 義明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.16, pp.801-808, 1999

本研究は、地域構造分析により交通制約の大きい県境部の道路整備の方向性を提起することを目的としたものである。ここではまず県境部の道路の実状を把握した。次に北陸3県 (富山県、石川県、福井県) において、社会・経済指標の時系列データを用いて地域特性を説明する諸要因を明らかにした。さらにこれらの地域特性を説明する諸要因から市郡を分類し、北陸3県と隣接する中部・近畿の県との県境市郡の地域特性を示すとともに、県境部の道路整備状況との対比により県境地域の課題を示した。最後にケーススタディを通じて、県境地域において地域間の交流と連携を進めるに当たって重要とされる項目とそれらの相互関係をデマテル法により相対的に示し、県境部の道路整備の方向性を示した。
著者
加藤 丈陽 川本 龍一 楠木 智
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.176-179, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3

Howship-Romberg徴候を坐骨神経痛として見過され,イレウスを発症し診断された右閉鎖孔ヘルニアの一例を報告する.症例は88歳女性で3年前より右大腿部痛があり,整形外科にて坐骨神経痛と診断されていた.2009年7月食欲不振を主訴に入院.翌日右大腿部痛の増強及び下腹部痛が出現したため腹部超音波検査を行ったところkey board signを認めた.イレウスと診断,イレウス管を挿入し減圧をしたところ改善した.イレウス管抜去後右大腿部痛が再出現.また,大腿径に左右差が見られたためヘルニアを疑い造影CTを行ったところ恥骨筋と閉鎖筋に挟まれた領域に腸管の嵌頓所見を認め手術適応と判断した.開腹してみると回腸末端から約15 cm口側の回腸が右閉鎖孔に嵌頓しており嵌頓腸管を切除した.術後イレウス症状,右大腿部痛は消失した.原因不明の右大腿部痛やイレウス症状が高齢者にみられた時は,閉鎖孔ヘルニアを念頭に置くべきである.
著者
辻本 太郎 奥野 英夫 川本 正純 錦織 綾彦 安雲 和四郎 布谷 晴男 大西 俊造 山口 雄三
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.118-128, 1981

Acupuncture needles were inserted and artificially broken in subcutaneous and muscle tissues in rats. Movement of the needles in the body and histo-pathological changes thus induced were studied in this experiment.<br>The needles moved in the body most often within 2 weeks of the beginning of experiments. The movement was observed more frequently in the needles buried in the foreleg than in other parts of the body. It was supposed that the movement was related to the motility of this part. The thin or short gold needles moved least of all. In contrast, stainless steel needles moved more actively, sometimes being found in the internal organs, such as the liver, testicles, heart and spermatic duct. Most of the needles remaining in the body were encapsulated in connective tissues after several weeks.<br>General implications of the buried needles for a organism were discussed from the histopathological point of view.
著者
新井 紀子 川本 佳代
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.155-163, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

「e-教室」プロジェクトは,新井らが開発を行った「Net-Commons」という情報共有ポータルシステムを活用して,研究者・教員らが協力しながら,中高校生とともにインターネット上に通常のカリキュラムを超える,高度な学びのコミュニティを創出する試みである。「Net-Commons」は,テキストと画像を組み合わせて投稿することができる掲示板を中心に据えながら,インターネット上で提供されているデジタルコンテンツを柔軟に活用するオンライン協調学習環境を提供している。「Net-Commons」が提供する柔軟なページレイアウト機能により,コミュニティの状態に最適なページレイアウトをWeb上から簡単に実現することができる。学習支援者は,学習状況を観察しながら,さまざまなe-ラーニングツールの組み合わせ(Blended Learning)を自由に試みることができる。「e-教室」に参加している学習者は,学習支援者とともにコミュニティを形成しながら,インターネット上の学びの空間を体験する。「e-教室」の学習ログを解析した結果,「e-教室」での活動を通じて,学習者の (1) 論理的思考力 (2)(書き言葉による)コミュニケーション能力 (3) プレゼンテーション能力が向上したことが観察された。
著者
堀井 茂毅 川口 充康 川本 義海 川上 洋司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
no.22, pp.677-684, 2005

本研究は, 2年余りの運行休止を経て「えちぜん鉄道」として運行再開した地方鉄道に焦点を当て, 鉄道の運行休止・再開が地域にもたらした影響・効果を把握すること, それらを踏まえて今後の利用促進の検討に資する知見を得ることを目的としたものである. 利用者および沿線住民アンケート調査結果にもとづき, 鉄道の運行有一無一有の3つの状況下における人々の交通行動・生活活動, 意識面の変化について分析した結果, 交通手段選択だけでなく, それを通して生活活動面にも多大な影響を及ぼしたこと, 利用者のみならず非利用者に対しても送迎機会の増減や心理面的負荷の増減といった面で影響を及ぼしたこと等を明らかにするとともに, 今後の利用促進に向けてのいくつかの提案を行っている.