著者
平川 浩文 佐山 勝彦
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.207-210, 2005-09
被引用文献数
2

北海道札幌市にある東定山渓国有林で行った自動撮影による野生生物調査において、テンがスズメバチの巣盤をくわえて歩いている写真が2枚得られた。これらは、テンがスズメバチに刺されてひどく傷害を受けることなく、スズメバチの巣を襲うことができることを示す有力な証拠である。
著者
益澤 秀明 平川 公義 富田 博樹 中村 紀夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.104-110, 2004-02-20
被引用文献数
4

交通事故による脳外傷後には,特徴的な知的障害・人格変化・社会適応障害が後遺しやすい.しかし,専門家も見過ごしやすいため社会問題になり,"高次脳機能障害"とよばれるようになった.しかし,この命名では従来からの高次脳機能障害と紛らわしく混乱が生じている.そこで"脳外傷による高次脳機能障害"とよぶことにした.本障害は外傷後の意識障害の期間と関連し,急速に生じる全般性脳室拡大の程度とも関連する.つまり,本障害はびまん性軸索損傷やその他のびまん性脳損傷によってもたらされる大脳白質損傷による神経ネットワークの障害と考えられる。画像所見変化に注目することにより非外傷性疾患との鑑別も容易であり,急性期管理に携わる脳神経外科医の眼が後遺症評価においても重要である.
著者
平川 眞規子 福田 倫子 成田 奈緒子 岡本 能里子 平川 八尋 マシューズ ジョン 細井 洋伸 スネイプ ニール
出版者
文教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は第二言語(L2)の習得が及ぼす第一言語(L1)への影響、L1の喪失、L2の習得や喪失に関わる要因を明らかにし、学習者の言語発達を促進する教育へ応用することを目的とした。主な成果は3点ある。1)日本在住の外国籍の子どものL1の喪失に関しては、認知能力において伸びた生徒と減少した生徒がいた。L2の言語能力は概ね中国語話者の伸びが高く、タガログ語話者には個人差があった。2)英語圏からの帰国児童・生徒の音声や文法については、L2の喪失は観察されなかった。3)日英語の音声や文法の習得に及ぼすL1の影響については、日本人とスペイン人の英語学習者、米国人と中国人の日本語学習者に母語の影響が見られた。
著者
池田 崇 増田 真希 辻 耕二 鈴木 浩次 北原 侑奈 野田 玄 平川 和男
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.453-459, 2010-12-20
参考文献数
22

【目的】本研究の目的は,低侵襲性人工股関節全置換術(MIS-THA)における術前身体活動量と術前・術後の下肢機能との関係を明らかにすることである。【方法】MIS-THAを施行した女性66例を対象に,国際標準化身体活動量問診票を用いて1週間の消費kcalを求め,高活動群と低活動群に分類した。術前から術後6ヵ月間まで理学療法介入を行い,追跡調査した。等尺性外転筋力,疼痛,10m歩行時間,関節可動域,日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA),生活状況(就業状況と環境因子)の評価を実施した。【結果】高活動群は,術前の10m歩行時間は有意に短く,JOA,立ち仕事の割合は有意に高値を示した。他の項目は差を認めなかった。身体活動量と外転筋力に相関は認めず,術前と術後2ヵ月の外転筋力に有意な正の相関を認めた。【結論】術前身体活動量は,就業状況と関係し,10m歩行時間と相互に関係する可能性が示唆された。外転筋力と疼痛は,影響を認めなかった。一方,術前の外転筋力は術後2ヵ月の外転筋力に関わることが示唆された。術前の理学療法は,身体活動量の維持よりも,筋再教育・筋力増強練習の実施が望ましいと考えられる。
著者
平川 幸子 山崎 博敏 林原 慎 永田 成文 永田 成文
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

この研究は、カンボジアの小学校で多くの児童が中退していることから、退学の原因を明らかにするために行われた。客観的要因を得るため、事前にデータを取り、その後退学したかを追跡する生存分析を用いた。3つの省の30の学校を調査対象とすることで、学校の要因が退学に影響を及ぼしているかを明らかにした。結果は、小学校1年生から4年生のコーホートでは学校要因がみられなかったが、4年生から7年生では学校要因が7%を占めた。教員の欠勤が有意な要因であった。児童のレベルでは、両コーホートで、学級内の成績が低く留年する児童が退学する率が高かった。貧困や労働時間は、退学に有意な影響を及ぼしていなかった。
著者
平川 公子 ヒラカワ キミコ
出版者
大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
雑誌
阪大社会言語学研究ノート
巻号頁・発行日
vol.8, pp.116-131, 2008-03

本稿では福岡市方言における文末詞バイおよびタイについて以下の記述を行う。(a) バイ、タイはいずれも平叙文にのみ生起し(4.1)、ト、ゲナの後、ネ、ナの前の位置に生起可能なモダリティ形式である(4.2) 。(b)バイは、発話時において聞き手にとって新規である(と話し手が判断する)情報を提示する機能を持つ(5 .1 )。(c)タイは、発話時において聞き手にとって新規で、ある(と話し手が判断する)情報を、自己の知識へ確認・照会した上で提示する機能を持つ(5.2.1)。(d)バイとタイに共通するのは「聞き手には発話時において当該情報が無い」とする話し手の判断である(6.1)。(e)バイは発話時における新規情報を提示する以外の機能は持たないが、タイは提示する情報を話し手が自己の知識や記憶に照会・確認するという機能が付加されている(6.2) 。タイの様々な語用論的意味(5.2.2) はこのために生じる。
著者
宮本 洋文 平川 正人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2010-HCI-136, no.7, pp.1-6, 2010-01-15

近年,情報化社会の構築に伴い Web の世界は飛躍的な成長を続けている.現代の Web データは個性的な特徴を持つようになっている.しかし,従来の Web 検索のほとんどがキーワードに頼っている.個性的な特徴を持つ Web データの特徴をキーワードだけで表現することが困難であることは Web 検索における課題の一つである.本研究では,レイアウト及び色彩の情報を検索キーとして,類似する Web ページを抽出する新しい Web 検索システムを提案する.提案システムはソーシャル・ブックマーク・サービスのシステム上に構築しており,Web ページには,ユーザによりレイアウトと色彩情報が付与される.ユーザは,情報付与時と同様の方法により条件付けして関連ページの検索を行うことができる.
著者
新井誠也 平川豊 大関和夫
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2013-IFAT-112, no.1, pp.1-8, 2013-09-19

マイクロブログサービスの Twitter が注目を集めている.Twitter が持つ特徴の 1 つにリアルタイム性に優れていることが挙げられるが,近年ではその特徴を生かし,実世界で起きているイベントを Twitter から観測しようとする研究が活発に行われている.本研究では,列車の遅延というイベントに焦点を当て,鉄道利用者から発信されるツイートをもとに各路線の列車の運行状況を判断するシステムを提案する.加えて,リアルタイム性の観点からシステムの有効性を確認する.遅延検出の閾値を,実際の遅延発生時における単位時間当たりのツイート数と各路線・各時間帯の鉄道利用者数を考慮して定める.その結果,鉄道会社の公式運行情報よりも早く列車遅延の第一報を配信可能としたことを示す.
著者
中村 俊春 根立 研介 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 森 雅彦 河上 繁樹 安田 篤生 加須屋 誠 平川 佳世 深谷 訓子 皿井 舞 吉田 朋子 剱持 あずさ
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、近代的な展覧会制度が確立する18世紀以前のいわゆる前近代の日本・東洋および西洋で行われた「つかのまの展示」について、作品調査および関連史料の分析に基づき個別事例を精査するとともに、比較研究の視点を交えつつ、各々に関して同時代の宗教観、経済活動、政治的文脈、社会状況等に照らした詳細な考察を行った。その結果、今後、本領域において指標的な役割を果しうる包括的な成果を得た。
著者
平川 幸子 中山 修一 相原 玲二 永田 成文 NU Nu Wai
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、テレビ会議システムを日本の高等学校に設置し、環境問題などの地球的な課題に関する問題解決型の教材を開発し、外国の高等学校との間で実際に教材を用いた実験を行って、その効果を実証することを目的に、平成16年度から18年度までの3年間で研究を行った。日本では広島県立安芸府中高等学校が実験に協力し、その姉妹校であるハワイのメリノール高校とオーストラリアのベド・ポールディング高校がカウンターパートとして参加した。教材の開発と実験は、平成17年9月に地球温暖化(3年生中心)、18年1月に平和(2年生中心)、平成18年9月に地球温暖化(3年生中心)をテーマに3回行った。最初の交流では、手作りのタイムマシンなどを使って映像的には盛り上がったが、生徒の思考力を高める問題解決型の交流を行うことはできなかった。また、第2回の平和に関する交流では、フロアの生徒への準備が不足していたため、具体的にイラクでの戦争などの話になると十分に理解することができなかった。生徒の「英語能力を高めなければ」「世界の情勢を知らなければ」という意欲を高めることに役立ったことがアンケート調査から実証されたが、問題解決型の学習教材としては不十分であった。この反省を踏まえ、第3回の教材開発では、温暖化防止のためのサマータイムの導入の是非を、コスト、リスク、対費用効果などの基本概念を踏まえて代表チームがディベートを行い、フロアの生徒やオーストラリアの生徒にどちらの意見に賛成するかの意見を表明させる形式を取った。また、日本側の生徒にも十分な準備を行い、基礎知識と英語能力を身に付けさせた。その結果、既にサマータイムを導入しているオーストラリアの状況を質問してその答を自分の意見の理由に取り入れたり、コストや対費用効果などの考えを加味したりして、生徒の視野が広がり、思考が深まったことが実証できた。
著者
小林 傳司 山脇 直司 木原 英逸 藤垣 裕子 平川 秀幸 横山 輝雄 副田 隆重 服部 裕幸 沢登 文治
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

現代社会における科学技術が、知的、物質的威力としてのみではなく、権力や権威を伴う政治的威力として機能していることの分析を行い、科学者共同体において確保される知的「正当性」と、科学技術が関連する社会的意思決定において科学知識が果たす「正統性」提供機能の錯綜した関係を解明し、論文集を出版した。また、このような状況における科学技術のガバナンスのあり方として、科学技術の専門家や行政関係者のみならず、広く一般人を含む多様なステークホルダーの参加の元での合意形成や意思決定様式の可能性を探求した。特に、科学者共同体内部で作動する合意形成様式の社会学的分析に関する著作、幅広いステークホルダー参加の元手の合意形成の試みのひとつであるコンセンサス会議の分析に関する著作が、その成果である。さらに具体的な事例分析のために、参加型のテクノロジーアセスメントにおける多様な試みを集約するワークショップを開催し、現状の成果と今後の課題を明らかにした。課題としては、全国的なテーマと地域的なテーマで参加手法はどういう違いがあるべきか、参加型手法の成果を政策決定とどのように接続する課などである。同時に、「もんじゅ裁判」を事例に、科学技術的思考と法的思考、そして一般市民の視点のずれと相克を記述分析し、社会的紛争処理一般にかかわる問題点や課題を明らかにした。本研究の結果到達した結論は、人々の現在及び将来の生活に大きな影響を与える科学技術のあり方に関しては、政治的な捕捉と検討という意味での公共的討議が必要であり、そのための社会的仕組みを構想していく必要があるということである。こういった活動の成果は、最終年度にパリで開催された4S(Society for Social Studies of Science)国際大会でセッションを組んで報告された。
著者
平川 正人 吉高 淳夫 市川 忠男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ユーザインタフェースは従来の文字主体のものから視覚情報を用いたものに移り変わってきている.更にマルチメディア技術の進歩は,音や動画なども交えた,よりユーザ親和性に優れたインタフェースの提供を可能にしている.ただし対話メディアに複数のメディアを活用するだけでは真に使いやすいシステムとは言えず,コンピュータ処理の質的改善が欠かせない.本研究では,そのような目標に向けたひとつのアプローチとして,コンピュータに社会性を持たせるための基礎的研究を行った.社会性の提供に向けては,まず人間の置かれている“状況"というものをコンピュータが把握する必要がある.そこで状況についての検討をおこない,意味内容の違いから状況を3つのレベルに分類した.さらに,状況認識に基づいた情報管理・アクセスのための基本的枠組みを提案した.また,画像ならびに音声が提供し得る意味について詳細な検討をおこなった.各種メディアデータとして得られる情報を統合し,より高度な状況理解を実現するための研究を進めた.実際に音声,音,映像から各種の特徴データ抽出実験を行なった.さらに,音と映像以外の状況認識の手だてとして,物理的位置の利用可能性について検討をおこなった.位置認識デバイスにGPSを用いた実験の結果,位置情報は状況認識にあたって極めて有効に機能することを確認した.一方,人間とシステムの関係に注目するだけでなく,人間と人間の間で交される対話の過程への状況の利用促進を図ることを目標に,物理的に同じ場所を共有する人間同士の間での情報交換を支援する機能を開発した.プロトタイプシステムの構築を行い,提案した手法の有効性を確認した.
著者
渡邉 俤二 平川 一臣 澤柿 教伸 石川 守 岩田 修二 泉山 茂之 水嶋 一雄 落合 康浩
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,パミール高原の中核地域であるタジキスタン共和国東部とキルギス共和国南部を主たる対象地域として,1991年の経済自由化がもたらした貧困が招く自然資源(大型草食動物と灌木)の利用(消費)の実態,土地利用(特に放牧地利用)変化,貧困が招いたオオカミ増加が家畜に対して与える影響,ツーリズムの現状,などを明らかにし,その上で持続的な自然資源の利用(保全)につながるジオエコツーリズムの導入について考察した。
著者
山川 烈 内野 英治 平川 克己 松山 敏剛 渡辺 寿美子 野上 ナヲエ
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
Biomedical fuzzy and human sciences : the official journal of the Biomedical Fuzzy Systems Association
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.71-79, 1995-07-07
被引用文献数
1

ハフ変換はノイズに埋もれた画像から直線を検出する有効な手法である.しかし, 従来のハフ変換ではノイズが多くなると直線を検出するのが困難になる.本論文では, ノイズの多い画像中の, いわゆるぼやけた直線や, 有界な線分(始点と終点)をも検出できる組合せファジィハフ変換を提案する.さらに, この手法を拡張しノイズに埋もれた円の検出も可能にした.本手法の有効性は細胞診に用いる顕微鏡画像への適用により確認された.