著者
平川 祐弘
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.163-183, 2005

ハーンの『因果話』は松林伯円の『百物語』を基に英語で再話した怪談だが、嫉妬した女の手が、死後も相手にくっついたまま離れないという恐ろしい話である。ハーンは原作者と違って平和な風景の中で話を始めることで怪談の効果的な結びをきわだたせた。アイルランドの怪談作家ルファニュもThe Handという作品で白い手という身体の一部分の神出鬼没を描いたが、その手が出没する動機が説明されておらず、そこに読者の側の不満が残る。読者は怪談の中でも合理性のある話の筋を求めているからである。超自然的な現象であろうともハーンの『因果話』には女の嫉妬という動機があった。同様にモーパッサンのLa Mainにも復讐という動機が超自然的な、切断され、鎖に繋がれた手による相手の殺害を説明している。モーパッサンの『手』を読むと、その中に用いられた蜘蛛のイメージをハーンが『百物語』を再話する際にも用いたことが知られる。ちなみにハーンはモーパッサンの『手』の英訳者でもある。
著者
龍岡 文夫 平川 大貴 相澤 宏幸 錦織 大樹 相馬 亮一 園田 陽介
出版者
Japan Chapter of International Geosynthetics Society
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-76, 2007
被引用文献数
1 4

「RC 竪壁と橋桁を一体化した一体橋梁」と「剛な一体壁面工を段階施工するジオテキスタイル補強土(GRS)の擁壁」を組み合わせた「GRS 一体橋梁」を提案する。室内模型実験を実施して、一体橋梁は経済的・構造的な弱点となる支承部がないが、大気温変動に伴う橋桁の熱伸縮及び地震荷重により壁面工の強制繰返し水平変位が生じ、そのため盛土に過大な沈下と土圧増加が生じることを示した。壁面工下端が自由で壁面工の変位モードが転倒+下端滑動の場合は、壁面工下端がヒンジ支持で壁面工の変位モードが転倒の場合と比べて、土圧の増加量は低減するが壁面工下端が主働方向に押し出されて盛土に主働崩壊が容易に生じて盛土は大きく沈下した。これらの問題は、ジオテキスタイル補強材が剛で一体の壁面工に結合してあるGRS一体橋梁では解決する。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
太田 陽子 平川 一臣
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.169-189, 1979-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
32
被引用文献数
17 9

能登半島の海成段丘を調査して,第四紀中・後期における古地理の推移と地殻変動を考察した.能登半島の海成段丘は,高位からT, H, M, Lの4群に大別され,さらにTは7段,Hは4段,Mは3段に細分される.M1面は最も連続的に分布し,貝化石と海進を示す厚い堆積物とを伴う広い面で,最終間氷期の海進(下末吉海進)に形成されたと考えられる.M1面より高位に約10段もの海成段丘があるので,その分布から,能登半島の大部分が更新世中期以降の離水によって生じたものであるとみられる.M1面の旧汀線高度ば北端の110mから南部の20mまで,全体として南下り,富山湾側への緩い低下を伴う傾動が推定される.しかし,半島全体が一つの傾動地塊をなすのではなく,1辺10~20km,それぞれが南下りの傾動を示す数個の小地塊の集合からなっている.M1面とそれより古期の段丘の傾動の量はほぼ等しいので,各地塊の傾動はM1面形成後に活発になったと考えられる.北端部での平均隆起速度は1m/1,000年となる.
著者
木村 勇気 勝野 弘康 平川 靜 山﨑 智也
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.700-705, 2023-12-10 (Released:2023-12-10)
参考文献数
27

Non-equilibrium processes such as nucleation are difficult to observe in situ using transmission electron microscopy (TEM) because of spatiotemporal stochastic process. Therefore, we have been developing a method to predict/detect nucleation events and observe under low electron doses conditions in real time with the support of machine learning. Low electron dose observation is important to avoid radiolysis of water in the observation of aqueous solutions using liquid-cell TEM. Our data-driven TEM that can suggest observation points to the operator by processing in situ observation data in real time. In other words, it is data-driven TEM in which the TEM helps the operator, rather than the TEM being driven by the data. By incorporating the two codes into the TEM's software, nucleation can now be observed efficiently.
著者
藤 将大 有田 汐紗 太田 貴子 冨永 博英 平川 篤 杉山 伸樹
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.e304-e308, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
18

14歳10カ月齢,去勢済雄のイングリッシュ・コッカー・スパニエルが,嘔吐と四肢の振戦を主訴に夜間救急動物病院を受診した.来院時は起立不能及び意識は傾眠状態で,稟告及び吐物の内容によりイチョウ種子である銀杏による中毒を疑い,入院管理下での治療を開始した.ビタミンB6製剤の投与や対症療法を行い,治療開始9時間後には意識状態の改善並びに自力での歩行が可能になるまで回復した.治療開始11時間後に退院とし,受診11カ月後現在までに症状の再燃は認められず,良好に経過している.
著者
平原 佐斗司 山口 泰弘 山中 崇 平川 仁尚 三浦 久幸
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.60-67, 2022 (Released:2022-02-17)
参考文献数
17

目的:末期認知症高齢者の肺炎に対する抗菌薬の予後と苦痛の改善効果を検討する.方法:国内外のデータベースから検索式を用い,末期認知症の肺炎の抗菌薬治療の予後と苦痛の改善効果についての2つ の CQs を含む5つの CQs に該当する 604 論文を抽出,最終的に採用した 17 論文のうちこれらの CQ に該当する6論文を解析した.結果:末期認知症高齢者の肺炎の抗菌薬治療は予後を改善する可能性があり,とりわけ短期の予後の改善が期待できる.抗菌薬治療の予後改善効果は認知症や嚥下障害の重症度や過去の肺炎回数と関連していた.また,抗菌薬治療が肺炎による死亡前の苦痛を軽減する可能性が示唆された.
著者
楢崎 幸範 平川 博仙 大津 隆一 深町 和美
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.59-68_1, 1989-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
23

メラミン樹脂製食器の安全性を確認する目的で, 種々の条件で溶出試験を行い, 樹脂の変化, 溶出物及びその変異原性について検討した. 一連の実験から, 通常の使用状態では, 樹脂が分解して多量のホルムアデヒドが基準を越えて溶出することはなく, 微量に存在する未反応のホルムアルデヒドがわずかに溶出する程度であった. また, カドミウム, 鉛の溶出は認められず, メラミンが微量検出された. 一方, ホルムアルデヒドはサルモネラTA104株に対し弱い変異原性 (28rev/μg) を示したが, 溶出物による変異原性は認められなかった.
著者
髙江洲 雄 谷口 祐介 平川 智裕 一志 恒太 城戸 寛史 佐藤 博信 松浦 尚志
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.230-236, 2021 (Released:2021-07-30)
参考文献数
22

目的:コンポジットレジンブロックによる小臼歯CAD/CAM冠(以下,CAD/CAM冠)の短期間の臨床報告はあるものの,接着処理などの条件が統一されていないため永続性には不明確な部分が多い.本研究では,接着処理を一定の条件下で装着した小臼歯CAD/CAM冠の予後評価を行う事を目的とした.方法:2014年4月1日から2020年3月31日までの6年間に福岡歯科大学医科歯科総合病院補綴科・インプラント科の歯科医師16名が装着した小臼歯CAD/CAM冠の装着数,性別,装着時年齢,支台歯および対合歯の状態,残存歯数,歯種,アルミナサンドブラスト処理,リン酸処理,シラン処理の接着処理をすべて行った群(ガイドライン順守群)と接着処理のいずれか一つを行わなかった群(ガイドライン不順守群)に分け調査した.また.生存期間とそれに関連する因子をKaplan-Meier法とCox比例ハザード分析を用いて検討した.結果:6年累積生存率は93.6%,成功率は88.8%であった.ガイドライン順守群とガイドライン不順守群の6年累積成功率はガイドライン順守群が92.7%,ガイドライン不順守群が79.5%であり,統計学的な有意差を認めた.Cox比例ハザード分析を用いた結果,接着処理の有無で生存期間と有意な関連を認めた.結論:接着処理の手順を遵守することが,長期予後を得るために重要である可能性が示唆された.
著者
平川 一臣 澤柿 教伸
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.4-12, 2014-03-12 (Released:2014-09-30)
参考文献数
4

本研究では,幕末期の蝦夷地陣屋の立地について,Google Earth をはじめとするいくつかの衛星画像および空中写真から範囲や方 位,視点高度などを適宜変えて,地形の3D 画像を作成し,蝦夷地陣屋の地形環境,地形的立地条件を読み解く試みをおこなった。 とりわけ,陣屋の配置,設営に当たって現地見分した報告書,盛岡藩『松前持場見分帳』の記載と対照・検討が可能な室蘭,長万部,砂原,白老の陣屋について自然地理的・地形学的解釈をおこなった。
著者
三根 奈々 谷川 義則 園畑 素樹 平川 奈緒美 坂口 嘉郎
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.802-807, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

経口補水液(OS-1)と高濃度炭水化物含有飲料(AW)の術前水分補給効果と飲水量に関する比較検討を行った.手術当日2例目以降予定の脊髄くも膜下麻酔下に施行される人工股関節全置換術症例を対象とし,封筒法にて各群20例(OS-1 1,000ml群,AW 1,000ml群,AW 250ml群の3群)に分け水分補給効果を前向きに調査した.OS-1 1,000ml vs AW 1,000ml群,AW 1,000ml vs AW 250ml群ともΔFENa(fractional excretion rate of Na)に有意差なく,効果は同等であった.術前摂取飲料に両飲料水とも適することが示唆された.