著者
梅本 順子 平川 祐弘 牧野 陽子 河島 弘美 遠田 勝 劉 岸偉
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

今年度は3年間のまとめの年であり、それぞれが書物や論文にまとめると同時に、これまでの資料を補完するべく、アメリカに出張した。昨年のハーン没後百年のシンポジウムに見られるように、ハーンの再評価が目覚しい。当プロジェクトも、異文化理解が進むと文学も雑種化の道を辿るということを前提にハーン他の作家を取り扱った。ハーンは日本に帰化したこともあって、この視点からはその先駆者として位置づけられる。ハーンは英文学やフランス文学にも造詣が深かったが、マルティニークをはじめとした西インド諸島滞在や晩年をすごした日本での経験から、その文学は世界文学とも呼べるほど多くの要素を取り入れたものになった。とりわけ、日本の伝説や昔話を受容して、彼なりの解釈を付け加え、それを英語で書き直したのだった。その視点からは、新しいハーン像が窺われる。西洋近代文明の名の下に、アジアやアフリカの独自の文化が押しやられそうになっていた百年あまり前に、西洋人でありながら、その優位性に押し流されることなく、いわゆる異文化に関心を示した人物がいたことに着目した。ハーン以降、この視点で異文化理解を積極的に行ったものとして、ストープスと周作人が挙げられる。アーサー・ウェイリーより先に日本の能に目を向けたストープスの活動と、日本留学でハーンの存在を知り、「日本は自国文化のよき理解者であり伝達者である人物を得た」と評価した周作人の中国での対応を追った。このように、数こそ多くはないが、異文化理解に積極的に携わり、同化に関わった人物がいたことを再確認し、彼らの努力が現在とどのように結びついているのか、また彼らの足跡をどのように理解すればよいのか、という視点に立ってこれらの人物の日本文化への貢献を定義することに努めた。また、ハーンの足跡を辿るとき、ハーンの友人たちが著した伝記や、公開に同意した書簡、ならびにそれを基にした書簡集の存在が大きな役割を果たしてきたことから、ハーンと直接交渉があった人々を調査した。さらに、直接の交渉こそなかったが、ハーンの遺族と文通し、後世のハーン研究者の伝記執筆の際にアドバイスしてきた、ハーン研究家のドロシー・マクレランド(1897-1995)の未発表の資料についても調査した。
著者
平山 次清 高山 武彦 平川 嘉昭 庄司 るり 上野 道雄 塚田 吉昭 岩下 英嗣 土井 康明
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海上が荒れた場合はバラストタンクと主翼および尾翼を制御することによって浅く潜航し波浪影響を避けるという新コンセプト船を提案し、その実現可能性について主として流体力学・運動制御工学の観点から実験・数値計算を実施して検討した結果、船長の半分程度まで潜水すれば波浪影響は数%以下に抑制可能であることやウェザールーチングの観点からは10%程度の燃費低減が可能といった結果を得た。
著者
平川 新 佐藤 大介 菊池 勇夫 モリス ジョン 斎藤 善之 菊池 慶子 中川 学 千葉 正樹 高橋 美貴 菅野 正道 畑井 洋樹 籠橋 俊光 水野 沙織 坂田 美咲 栗原 伸一郎 高橋 陽一
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究課題では、旧仙台藩領の個人宅など地域社会に残されている歴史資料の保全を実施すると共に、研究期間中に発生した東日本大震災に対しては、行政や市民と連携して被災した仙台藩関係の古文書資料を約6万点を救済することが出来た。上記の保全活動や、仙台市史など1990年代以降の自治体史編さん事業などで新たに確認された史料を活用し、仙台藩主の動向、家臣団の編成、年貢制度の実態、生業の発展による地域間関係、災害史、幕末の政治史などについて、新たな史実の発掘と解釈を示すことが出来た。
著者
平川 晴久 原口 桂 林田 嘉朗
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

【背景】作業関連疾患の一つである高血圧性疾患の発症には、個人の生活習慣や感受性が大きく関与する。この高血圧の病態にはレニン-アンギオテンシン系及び一酸化窒素(NO)が、交感神経系と共に重要な因子と考えられてきた。近年、アンギオテンシンII(ANG II)とNOは相互作用を持ち、交感神経活動を調節している可能性が示唆された。【目的】塩分制限が交感神経活動に対するANG IIとNOの相互作用をどのように変化させるかを検討した。【方法】実験は、意識下のラビットを用い、3週間の塩分制限を行った群及び行わなかった群の2群について行った。NO合成阻害剤(L-NAME)とそれに続くANG II受容体拮抗剤(losartan)の投与を行い、腎交感神経活動を観察した。いづれの投与後も圧受容器反射の影響を除くため血圧は、コントロール・レベルに維持した。【結果および考察】塩分制限を行った群では、L-NAME投与によるNO合成阻害により、交感神経活動は増加した。この増加は、losartanの投与によるANG II受容体の抑制により消失した。これより、NO合成限害後の交感神経活動の増加は、ANG II増加によると考えられた。一方、塩分制限を行わなかった群では、NO合成阻害、およびNO合成阻害後のANG II受容体抑制のいづれでも交感神経活動は変化しなかった。【結語】塩分制限は、ANG IIを増加による交感神経活動促進、それと同時にNO合成の促進による交感神経活動抑制を引き起こす。この2つが相互干渉することにより、交感神経活動、血圧は維持されることが示唆された。
著者
平川 慶子 小池 薫 大野 曜吉 崔 范来 金涌 佳雅 佐藤 格夫 大野 曜吉 崔 范来 金涌 佳雅 佐藤 格夫 増野 智彦 栗林 秀人
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

MRI装置を用いた死後画像診断におけるスペクトルデータの活用に関する基盤研究を行なった。ラット死体の骨格筋および脳組織の死後早期の代謝物質の変化について、^1H NMRスペクトルデータをパターン認識した結果、死後経過時間の推定や死因の検索に有用な解析結果を得た。また、死体のMRI画像測定データを用いて、組織内の温度分布の時間変化を可視化することができた。
著者
山本 裕二 工藤 和俊 山田 憲政 北原 俊一 平田 智秋 宮崎 真 平川 武仁 木島 章文 奥村 基生 郷原 一寿 門田 浩二 山際 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,様々なスポーツ技能の生成機序を力学系の観点から統合的に理解することを目的とした.その結果,ブランコ漕ぎの協応パタンは振り子の等時性にほぼかなっていること,音に合わせたダンスでは,運動周波数が高い場合でも熟練者は逆相同期を維持できること,卓球では技能水準を切替ダイナミクスのフラクタル次元で評価できること,剣道では二者間距離によって詰め引き速度の相対位相が切り替わること,タグ鬼ごっこでは,学習に伴い両者の詰め引き速度の相対位相が逆相同期になること,サッカーの3対1ボール保持課題における三者の連携パタンは,技能レベルによって環状連結振動子における対称性のホップ分岐理論で予測されるパタンを示すこと,サッカーゲームのパス行動にはベキ則が見られることなどを明らかにした.
著者
平川 一彦 荒川 泰彦 岩本 敏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

我々は、半導体量子構造を強いテラヘルツ電磁場の中に置き、その量子伝導を制御することを目的として研究を行った。主な成果は以下の通りである;1)半導体超格子に強いテラヘルツ電磁波を照射することにより、高電界ドメインの発生を抑制することに成功した。2)量子ドットにナノギャップ電極を形成することにより、量子ドットとテラヘルツ電磁波の強い結合を実現し、テラヘルツ光子支援トンネル効果により単一電子の伝導を制御することに成功した。
著者
相澤 宏幸 錦織 大樹 平川 大貴 相馬 亮一 園田 陽介 龍岡 文夫
出版者
Japan Chapter of International Geosynthetics Society
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.77-82, 2007
被引用文献数
1

RC橋台と橋桁を一体化したインテグラル橋梁(一体橋梁)は、経済的・構造的な弱点となる支承部及び伸縮装置がない。一方、大気温変動に伴う橋桁の熱伸縮により壁面工に強制繰返し水平変位が生じて、背面盛土に過大な沈下と土圧増加が生じる。このため、壁面工に構造的損傷が生じる虞が生じ、壁面工下端が前方に押し出される可能性が、あるいは壁面工が杭支持されていれば杭頭部が損傷する虞が出てくる。この問題を解決するために、「壁面工に定着したジオシンセティックス面状補強材で補強した盛土と一体橋梁を組み合わせたGRS一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral Bridge; GRS Integral Bridge)」を提案している。室内模型実験を行い、壁面工上端に強制繰返し水平変位を与えた。(1)壁面工下端の水平及び鉛直方向の自由度を高めて壁面工の転倒+下端滑動モードが生じる場合と、(2)強固な杭基礎がある場合を想定して壁面工下端をヒンジ固定して転倒モードが生じる場合を検討した。背面盛土が無補強、あるいは補強しても補強材が壁面工に非定着の場合では、(1)の載荷モードでは、壁面工下端が主働方向に押し出されて盛土に過大な沈下が生じた。(2)の載荷モードでは、盛土の沈下は若干抑制されたが、残留土圧が非常に大きくなり、壁面工及び杭頭部が損傷する可能性が生じた。一方、補強材を壁面工に定着させた場合では、(1)と(2)のモードの何れでも、盛土の残留沈下は殆ど生ぜず、土圧は上昇しても構造系は非常に高い安定性を示した。
著者
松永 圭司 平川 豊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.7, pp.129-134, 2008-01-25

インターネットの普及に伴い、ネット上には莫大な知識が蓄積されている。このため、近年ではわからないことはネット上で調べるというのが常識化してきている。ネット上には、専門家向けばかりではなく、一般利用者向けに物事の解説を行っているサイトも少なくない。このような解説では、従来、テキストと画像による解説が主であったが、利用者層の広がりに応じて、よりわかりやすいアニメーションを用いた解説も増えつつある。アニメーションの作成では、Flash が広く利用されている。しかし、Flash によるアニメーション作成のためには修得すべき事項が多く、初心者にとって意図するアニメーションを作成することは容易ではない。本稿では、一般利用者を対象に、Flash 作成を平易に行える場を、ネットワーク上の共有の場として提供する手法について論ずる。この目的達成のために、Flash 作成で用いる部品を再利用する枠組みについて提案する。提案手法の評価として、実際の家電製品の操作説明書のアニメーション化を行い、良好な結果を得た。With popularization in the Internet, huge knowledge is accumulated on the network. Utilizing the huge knowledge, a web search becomes a popular method to find hints for solving questions. Also, there are many manual like documents in the Internet, such as explaining how to replace an old battery with a new one. These documents are increasing and becoming to be used widely. In such manual like documents, texts and figures are used conventionally. But, aiming for more easily understanding, animations are becoming to be used in explanations. Flash is widely used for animations. However, to create flash, it requires technical skills. It is not easy for inexperienced person. This article discusses a sharing place, on the network, where general users easily create Flash animations. A framework to reuse parts of Flash description to create a new animation is proposed. Also, animations of home electronics operations are experimentally described, and the advantage of the proposed method is demonstrated.
著者
下山 節子 水町 淑美 平川 オリエ 田中 利恵
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.159-167, 2005-03-01

腹膜透析および血液透析者の家族が抱える健康問題を比較し、透析者家族のQOL向上を目指した看護援助の課題を明らかにすることを目的として研究を行った。対象は、腹膜透析者の家族22名と血液透析者の家族43名。健康関連QOL尺度SF-36日本語版1.2による質問紙調査を実施した。調査期間は、2002年3月(腹膜透析者の家族)と2003年9月(血液透析者の家族)であった。腹膜透析の家族と血液透析者の家族のQOLを比較した結果、腹膜透析者の家族は、精神的負担感が強いことが明らかとなった。特に、精神的健康感が低かったのは、腹膜透析者の家族の年齢60歳以上、女性、家族自身が病気をもっている、透析歴5年未満の家族であった。週3回外来通院する血液透析とは異なり、腹膜透析が在宅療養であることも家族の精神的負担を強くしていると考えられる。腹膜透析者の家族がもつ精神的健康問題については、家族に対するカウンセリングや家庭訪問など積極的な介入の必要性が示唆された。
著者
木村 みさか 平川 和文 奥野 直 小田 慶喜 森本 武利 木谷 輝夫 藤田 大祐 永田 久紀
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.175-185, 1989-10-01
被引用文献数
35 16

60歳以上の高齢者の運動能力の検討やトレーニング効果の判定のための基礎資料を得るために, 体力診断バッテリーテストを約900名の高齢者に実施し, その結果について, 男女別, 年齢階級別に検討して, 以下の結果を得た.<BR>A.体力テストの測定値の分布については, 男女とも, ステッピング, 垂直とび, 握力はほぼ左右対象であるのに対し, 息こらえは正の歪み, 体前屈は負の歪みを示し, 片足立ちは5秒以下に6割以上が分布していた.片足立ち, 忌こらえ, 体前屈はステッピング, 垂直とび, 握力より分布幅が大きかった.<BR>B.垂直とび, 握力, 息こらえの平均値では男子が, 体前屈では女子が有意に高い値を示したが, ステッピングおよび片足立ち, 息こらえには男女差が認められなかった.<BR>C.体力テストの成績は, 息こらえを除いて男女ともすべての項目で, 年齢に伴って低下していたが, その低下の割合は体力要素によって異なっていた.加齢による低下は, 体重を移動させたり, 複雑な神経支配を必要とする項目で特に大きかった.<BR>D.体力テストの成績は, 男女とも各項目間で有意の相関が認められた.<BR>本調査の経験から, この体力診断バッテリーテストは, 高齢者にとって比較的身体的負担が少なく, メディカルチェックとして安静時の血圧測定と膝・腰などの運動器の障害を問診する程度で安全に実施できることが判明した.また本方法による高齢者の体力の標準的な数値を得ることができた.この基準値は高齢者の必要体力や高齢者に適した運動について検討を加えるのに有用と考えられる.
著者
平川 裕樹 齋藤 豪 高橋 裕樹 中嶋 正之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.116, pp.67-72, 2005-11-18

開扉動作は,扉という可動対象物があることで動作開始位置に依存してその後の動作が全く異なる点や,移動をしながら扉を操作する複合動作である点から日常生活の動作の中でも複雑な動作の一つである.それに対して,本稿では,時系列データを扱うのに適した連続HMMを用い,腰軌跡のみを入力として与えることで開扉動作の生成を動的かつ容易に生成することを試み,自然な開扉動作のアニメーション生成結果を得ることができたので報告する.Opening a door and going through it is a trivial action in ordinary life. For a virtual CG character, however, motions such as approaching the door knob from an arbitrary position, pulling it and following the door movement, have to be taken into account to generate the actions. In this paper, we adopt HMMs to synthesizing the animation of the action. A prepared hip trajectory of a character is applied to the HMMs, and result that an open-door-action which consist of parallel and serial motions.