著者
岡本 義信 平川 義宏 松野 知宏
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.20, pp.47-52, 2001-02-23
参考文献数
4

中国放送では、雷の発生を早期に知り無線設備の運用で出来る限り雷の被害を防ぐための研究をおこなっている。我々は雷から発生する電磁波と誘起される高電圧を検出する検知機を作り、観測システムを構成して試験をおこなった。その結果、雷の発生を早い段階で知り、親局の商用停電による放送事故を防止することに成功した。
著者
深田 博己 平川 真 塚脇 涼太
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.10, pp.27-36, 2010

本研究では、詐欺の一種である架空請求を虚偽説得として利用した。そして、虚偽説得メッセージ(架空請求ハガキ)を実験参加者に提示した後、説得者の意図に関する事後警告を提示し、その効果を測定した。事後警告情報には、説得意図(PI)、虚偽意図(DI)、情緒喚起意図(EI)の3タイプを使用した。実験計画は、事後警告要因(3種類の単一タイプと4種類の結合タイプの事後警告、および無事後警告)と実験参加者の性(男性、女性)の8×2の2要因実験参加者間計画であったが、実質的に2×2×2×2の4要因実験参加者計画であった。従属変数の測定には事後測定法を用いた。4要因分散分析の結果、①EIタイプの事後警告が有る場合には、PIタイプの事後警告は連絡行動意思を抑制すること、②PIタイプの事後警告は無いが、EIタイプの事後警告がある場合には、DIタイプの事後警告は振込行動意思を抑制することが分かった。また、共分散構造分析の結果、微弱ではあるが、DIタイプの事後警告は、メッセージ評価を低下させて、振込行動意思を抑制することが解明された。
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
平川 知佳
巻号頁・発行日
2010-03-25

本研究では、近年人々がどのような生き甲斐や意義を余暇に見いだすことができるのか観光学の領域で議論されていることをふまえて、余暇が確立された歴史的・社会的な背景を学問的な視点に立って改めて考察した。事例の対象としては、余暇が初めて確立されたイギリス社会に焦点をあて、余暇がどのような過程で成立されたのか検証した。またイギリスについて考察を進めるにあたり、階級に着目した。具体的にはそれぞれの階級社会によって娯楽の指向性に違いがあるのかどうか検証した。さらに論述を進める過程で、娯楽を通して階級間の関係性はどのようなものであったのか、分析を試みた。第1章は序論とし、研究の背景、研究の目的と研究方法、研究の構成、研究の意義、先行研究の概要をそれぞれ述べた。第2章では前近代のイギリス社会に焦点をあて研究を進めた。農村社会の労働は天候や突然の出来事によりたびたび中断されることがあったため、一時的な小休止がたびたび点在していた。また季節に応じて多種多様な祝祭が祝われていたため、労働時間と労働以外の時間(spare time)は、現在のように時間によって明確に区別されていたわけではなかったのである。その当時の支配層は生産に従事することなく、華やかに着飾り社交や観劇、狩猟などを楽しみ時間を潰すことがステイタス・シンボルであった。一方で民衆は一時的に祝われる例祭行事や娯楽活動の時間になると、日常生活から解放され、酒に酔いしれながら歌や踊りに熱狂し村中の裕福な家々を訪ね祝儀をねだっていた。貴族はそうした民衆の非日常的な振る舞いや言動を容認し、伝統的な祝祭や娯楽活動における費用や食事を民衆のために提供していた。農村社会における伝統的な娯楽の時間は、民衆だけでなく貴族も積極的に参加することが社会的な義務として課されていた。そして最終的には娯楽を通じて共同体の安定を図っていたのである。つまりそれぞれの階級間には娯楽を通して柔軟な相互理解があったとのではないかと推測した。第3章では近代のイギリス社会に焦点をあて、近代以前の労働以外の時間がどのように変容し、余暇が確立されたのか検証した。その上で、近代に入り貴族に代わる社会の指導者として地位を高めた中流市民と労働者階級の人々に焦点を絞り、それぞれ階級ごとにどのような娯楽の指向性があったのか明らかした。そして研究を進める過程で、近代社会に入ってから娯楽活動における階級間の関係性にはどのようなものであったのか、考察を試みた。その結果、近代に入ると資本主義経済の下、工業や産業の発展に伴い、人間はその日の作業量ではなく時間によって束縛されるようになった。それまで農民として働いていた民衆の多くが土地の囲い込みによって仕事を失ったため、都市部に移住し工場労働者として働き始めた。1847年に10時間労働法が制定されると、労働と余暇が明確に分離され、自由時間(free time)が確立された。それまでの労働以外の時間とは異なり、個人が自由な判断で娯楽を享受することができるようになったのである。近代以降、貴族に代わり社会的・政治的に権力をもちはじめた中流層の人々は、新たな指導者として社会改良を進めた。中流市民層は勤勉こそ美徳であるという信条を近代社会にふさわしい土台として定着させようとしたのである。そのために中流層は労働者層の伝統的な祝祭や娯楽を排除し、中流的な価値に基づく合理的レクリエーションを労働者層に推奨した。合理的レクリエーションとは、労働力の再生産を高めるための休養として位置づけられていた。このような中流的な娯楽の提案が中流層の思い通りに成功することはなかった。つまり労働者の人々の娯楽の指向性が中流層と同化することはなかったのである。その後、商業的な余暇が誕生したことによって労働者層の指向に見合った娯楽が提供されると、階級によって娯楽の指向性の違いが明らかとなっていった。第4章では第3章をふまえて、合理的レクリエーションに代わり商業的な余暇が誕生したことで階級によって余暇の指向性にどのような違いが見られたのか、分析した。事例としてはイギリス全土で発展した海浜リゾートに焦点をあてた。その結果、明らかに階級によって海浜リゾートにおける娯楽の指向性は異なっていたことがうかがえた。言い換えれば、それぞれ階級の指向性に見合う複合的な要素を海浜リゾートが潜在的に内在していたことが明らかとなった。終章では第2章から第4章をまとめ、考察した。その結果、その時代の社会状況によって娯楽に対する位置づけや意味合いは明らかに異なっていた。前近代のイギリス社会では労働と労働以外の時間の区別はなく、娯楽を通して共同体の維持を図っていたことから、娯楽の社会的機能に価値をおいていたことがうかがえた。近代社会に入り、時間によって人々の日常生活が規律化されるようになると、労働と余暇が明確に分かれていった。個人が自由な裁量で娯楽を楽しむことができるようになった一方で、中流市民は自らの信条に基づいた真面目な娯楽活動こそ近代社会にふさわしい普遍的な余暇の過ごし方として位置づけた。つまり伝統的な娯楽に対する社会的な価値は失われ、代わりに中流的な余暇の過ごし方が社会秩序の安定を図るために重要視されるようになった。しかしこのような娯楽の統制を労働者は受け入れなかった。むしろ労働者層は合理的レクリエーションの代わりに商業的な余暇を選び、巧みに自由時間を利用して、限られた時間や空間の中で日常社会を忘れ、非日常的な娯楽を享受していたのである。すなわち労働者の娯楽に対する指向性を分析してみると、農村社会におけるカーニヴァル的な要素と通底する部分が垣間見られることから、明らかにヴィクトリア朝の社会理念と相反していることがうかがえた。また娯楽活動における階級間の関係性について分析を試みたが、近代以降の社会では空間的にも時間的にも階級の違う者同士が関わり合いをもつ機会がなくなってしまったこと、また近代に入り個人が主体となって娯楽を享受することが正当化されたため、娯楽を通しての階級間の意思の疎通が失われてしまったのではないかと分析した。
著者
平川 祐弘 Sukehiro HIRAKAWA
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学人文科学部論集 = Otemae journal of humanities (ISSN:13462105)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.107-126, 2004

平川はかねて「盆踊りの系譜-ロティ・ハーン・柳田国男」と題して文学的な連鎖反応としての盆踊りの記述をたどった (平川『オリエンタルな夢』所収) 。ロティのバンバラ族の輪舞記述に感心したハーンは、それを英訳し、さらにはロティのような目付きで山陰の盆踊りも見、記録したのである。そのような文学史的な系譜には筆者の主観的な思い入れがまぎれこむ可能性がある。ハーンに刺戟された柳田国男が陸中小子内で書きとめた盆踊りの解釈も、川田順造の調査によれば、柳田の思い入れがあるようだ。またハーンの盆踊り記述を読み、自分も盆踊りを見て書いたモラエスの「徳島の盆踊り」解釈にも観念的な先入主が混じっているのではないか。日本人が死者たちと親しい関係にあるとモラエスは信じた。ハーンもモラエスも盆祭りを festival of the dead として見た。ところでロティやフランシス・キングが盆祭りを自分の物語のセッティングとして用いた異国趣味の作家であったのに対し、モラエスにとって盆踊りは自分がその輪の中にはいることを得なかった「死者の祭り」であった。その意味ではモラエスの『徳島の盆踊り』はアンチ・クライマックスで終る作品である。その拍子抜けした読後感をハーンの作物の読後感と対比すると、ハーンの特色が逆に浮び上がる。ハーンには自分は日本人の心の世界へ入り得たという喜びがあった。ハーンの文章を文学たらしめているのは、そのようなハーンの自信と喜びの中にひそんでいるのではあるまいか。
著者
齋藤 智也 田辺 正樹 平川 幸子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.42-51, 2017-12-25 (Released:2019-09-12)
参考文献数
18

新型インフルエンザ等発生時には,都道府県においてそれぞれの流行状況を踏まえて対策を判断する必要がある.本研究では,地域における医療従事者と行政が連携を強化するための研修・訓練のためのシミュレーション&ゲーミングを開発し,研修会形式で実施した.医療従事者(医師または感染管理看護師)と地方自治体の担当者が5~6名の班に分かれ,それぞれファシリテーターを決め,ビデオ等によって付与されたシナリオの中で付与された課題を検討,発表,ブリーフィングを行った.アンケートでは,回答者すべてが本研修は「新型インフルエンザ等対策の強化」「行政と医師・看護師の連携強化」に資すると評価した.シミュレーション&ゲーミングは,新型インフルエンザ等対策のような健康危機管理の合意形成型の意思決定を,短時間に多数の局面について疑似体験可能であり,マルチステークホルダーの連携強化に有用である.
著者
平川 茂
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.66, pp.29-46, 2018-09-25

1964 年公民権法施行によって黒人の機会は拡大したにもかかわらず、その社会・経済的状態に改善が見られないのはなぜか?これが「ポスト公民権法問題」である。この「問題」をめぐってリベラル派と保守派の研究者の間で活発な議論が戦わされた。リベラル派は黒人の停滞の原因を黒人差別の厳しさに求め、それゆえ黒人の停滞の打破には差別をなくす必要があると考えた。そして、そのためにアファーマティヴ・アクション・プログラムを通して黒人に対する雇用・教育面での優遇措置を実施することが重要であるとみなした。リベラル派のなかで、こうした見解に異論を唱えたのがWilson と Steele であった。両者にとってまず、差別は黒人の停滞とほとんど関係ないと考えられた。そのうえでWilson は黒人の停滞の原因を探るために「文化特性」レベルの分析を行って、黒人貧困層の「自己効力感のなさ」にその原因を求めるに至った。他方Steele は黒人の「心理の領域」の分析を行って、黒人総体の「人種的脆弱性」(「人種的不安」と「人種的懐疑」)が黒人の停滞を招いていることを明らかにした。そして黒人がこの「人種的脆弱性」を克服するには黒人にとって批判的な声に耳を傾ける必要があると述べた。こうしたSteele の主張は、黒人が白人と向き合うことを可能とする点で差別理論の今後の展開にとってきわめて重要な貢献をなすものである。
著者
山田 昌彦 山根 弘康 佐藤 明彦 平川 信之 岩波 宏 吉永 勝一 小澤 俊治 三谷 宣仁 白石 美樹夫 吉岡 美加乃 中島 育子 中野 正明 中畝 良二
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-38, 2008 (Released:2010-07-07)

1. ‘シャインマスカット’は、果樹試験場安芸津支場(現 農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、1988年に安芸津21号に‘白南’を交雑して得た実生から選抜された、肉質が崩壊性で硬く、マスカット香を持つ黄緑色の大粒ブドウである。1999年よりブドウ安芸津23号の系統名を付けてブドウ第9回系統適応性検定試験に供試し、全国30か所の国公立試験研究機関において特性を検討した。2003年9月に農林水産省育成農作物新品種命名登録規程に基づき、‘シャインマスカット’と命名、ぶどう農林21号として登録された。また、2006年3月に種苗法に基づき登録番号第13,891号として品種登録された。2. 樹勢は強い。長梢剪定では花穂の着生は良く、平均1.6花穂/新梢着生した。短梢剪定においても花穂着生率が高かった。満開時と満開10~15日後にジベレリン25ppmに花(果)穂を浸漬処理することにより無核化生産できる。開花前にストレプトマイシン200ppmを散布すると、無核化はさらに安定する。無処理の有核栽培では、満開時に花穂整形すると、長梢・短梢剪定樹とも新梢の強さにかかわらず結実が良く、適度に着粒した。花穂整形労力は‘巨峰’なみ、摘粒労力は‘巨峰’に近い程度と評価された。3. 果実成熟期は‘巨峰’とほぼ同時期である。果粒重は有核栽培では10g程度であるが、満開10~15日後にジベレリン25ppmに果房浸漬処理を行うと、1g程度増大する。また、育成地における無核化栽培では、有核栽培と比べて2.4g増大し、平均12.4gであった。裂果性は非常に低く、系統適応性検定試験では‘巨峰’よりやや裂果しにくかった。‘巨峰’より脱粒しにくく、日持ちも長かった。糖度は‘巨峰’と同程度であり、育成地で18%程度であった。酸含量は‘巨峰’より0.1g/100mLあまり低く、育成地では0.4g/100mL程度であった。果肉特性は崩壊性で、噛み切れやすくて硬く、マスカット香を呈し、食味が優れる。渋みは一般に感じられない。4. 東北以南の‘巨峰’栽培地域における栽培に適する。耐寒性は‘巨峰’なみと評価された。べと病・晩腐病・うどんこ病については、ある程度の抵抗性があり、‘巨峰’を対象とした防除により栽培可能と見込まれる。しかし、黒とう病には強くないため、降雨の多い地域では簡易被覆またはハウス栽培が望ましい。
著者
平賀 勇貴 久野 真矢 許山 勝弘 平川 善之
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.178-186, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
21

本研究は,人工膝関節置換術(TKA)後患者における『活動日記』を併用した作業療法(OT)実践が,疼痛と疼痛の心理的要因および活動量に与える影響を,非ランダム化比較試験によって検討した.TKA後患者を対照群15名と日記群15名に分類した.測定指標はカナダ作業遂行測定(COPM),疼痛,破局的思考,不安と抑うつ,自己効力感,活動量を測定し,多重比較検定にて解析し,『活動日記』のコメントをKJ法にて分析した.結果,日記群はCOPM,不安,生活活動量に有意な改善を認め,KJ法ではOT開始時に「痛み」を中心としていたが,終了時は「達成感」へ変化した.TKA後患者に対する『活動日記』を併用したOT実践の有用性が示唆された.
著者
平川 俊介 案部 雄一郎 山下 珠希 内野 隆一郎 丸田 英基 才本 明秀 石松 隆和
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.125-140, 2015 (Released:2015-07-17)
参考文献数
15

Handgun bullets fired toward the windshield of an automobile sometimes ricochets. In such a case, we must estimate the type of bullet and direction of shooting from the damaged windshield. The purpose of this study is to obtain a method to estimate the fired direction of a handgun bullet from the fractured windshield. We test fired bullets to an automobile windshield with various incidence angles. The thickness of the windshield is slightly different from model to model of the automobiles. In the beginning, we examined the strength of the automobile windshield of various car models. First, we examined the static failure strength of the windshield by an indentation test. In this test, fracture load and the amount of indentation were measured on windshield samples cut from ten models of Japanese automobiles. Next, we test fired a handgun in order to examine the relation between the trajectory of a bullet and the collision marks on the windshield. The cartridges used in these test firings were 38SPL. lead round nose (LRN) bullet and full metal cased (FMC) bullet. In the results of static indentation test for different car models, there was found to be almost no differences in the relationship between fracture load and indentation depth. With the LRN bullet, bullets perforated the windshield when the incidence angle was less than 45 degrees and ricocheted when the incidence angle was greater than 60 degrees. In these cases, a characteristic damage was left on the windshield. On the other hand, FMC bullets of 38SPL. perforated the windshield when the incidence angle was less than 60 degrees and ricocheted when the incidence angle was greater than 70 degrees. Based on these results, we proposed a method to estimate the direction of shooting in criminal cases in which a bullet was fired on an automobile windshield.
著者
永徳 紀男 柚木 謙一 平川 廣満.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.819-827, 2002-09-01
被引用文献数
1

自然楽器音の特徴の一つはその周波数及び振幅が揺らぎを呈していることである.従来のミュージックシンセサイザではすべてのスペクトルを一律に変調していたため,生成音には自然さが得られなかった.そこでミュージックシンセサイザに自然な揺らぎをもたせることを目的として任意のスペクトルの変調を提案する.提案では,まず,電圧制御型発振器が含む任意の単一スペクトルを1個の状態変数形フィルタによって同時に抽出,消去する.この抽出したスペクトルを超低周波で変調した信号と同一のスペクトルを消去した信号をアナログ的に加算する.本論文では,任意のスペクトルを周波数変調あるいは振幅変調する場合の理論式を示す.次に,状態変数形フィルタの構成と基本動作について述べる.このような方式のミュージックシンセサイザを製作し,実験により単一のスペクトルの抽出,消去の動作とビブラート変調,トレモロ変調について検証できた.提案したミュージックシンセサイザは従来の回路に状態変数形フィルタを追加するのみで実現されるもので内蔵の超低周波発振器で揺らぎの深さ,速さを確実に制御できた.
著者
澤柿 教伸 平川 一臣
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.469-492, 1998-08-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
120

Geomorphological and sedimentological processes beneath modern glaciers and ice sheet s have not been observed directly and are poorly understood. On the contrary, abundant glacial landscapes can be observed, which provide us with evidence about processes underway at the beds of the past ice sheets. Consequently, careful studies of glacial landforms and sediments provide a wealth of information of these processes.During the last decade, there have been various debates regarding subglacial landforms and their formation processes: drumlins is a major issue, and no satisfactorye xplanation of their mode of formation has yet been obtained. By overviewing recent research on the drumlin problem, this article attempts to draw attention to the major concepts and controversies behind the formation of subglacial landform, together with new developments in understanding the subglacial environment. The most recent explanations for drumlin formation have been examined in the light of our knowledge of the subglacial environment. In particular, J. Shaw and his co-workers draw attention to the significance and the implication of subglacial meltwater processes. They suggested that large-scale meltwater floods were responsible for the formation of some drumlins. Later, erosional drumlins, bedrock erosional marks, tunnel channels, and Rogen moraine were added to the forms resulting from catastrophic floods. Conversely, G.S. Boulton developed a semi-quantitative flow model for the deformation of rapidly deforming soft sediments (A-horizon) on the basis of field observations.The drumlin problem stands as a conspicuous instance of how much there is still to understand about the interplay of glacier motion, sediments, topography, and subglacial environmental conditions. It is thus emphasized that accumrate explanations of the complexities of subglacial environments are necessary to understand subglacial landform development, sediment deposition, and other geomorphic processes at the ice/bed interface, together with extraglacial effects of ice sheet dynamics on fluvial systems, marine sedimentation, ocean currents, and climate.
著者
境 泉洋 平川 沙織 野中 俊介 岡崎 剛 妹尾 香苗 横瀬 洋輔 稲畑 陽子 牛尾 恵 溝口 暁子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.167-178, 2015-09-30

本研究の目的は、ひきこもり状態にある人(以下、ひきこもり本人)の親を対象としたCRAFTプログラムの効果を検討することであった。本研究においては、CRAFT群7名、自助群7名が設定された。その効果測定として、ひきこもり状態の改善、相談機関利用の有無、否定的評価尺度、セルフ・エフィカシー尺度(以下、エフィカシー)、心理的ストレス反応尺度(以下、SRS-18)、ひきこもり家族機能尺度(以下、家族機能)について親に回答を求めた。その結果、自助群よりもCRAFT群において、ひきこもり状態の改善やひきこもり本人の相談機関の利用が多く認められた。また、CRAFT群、自助群のいずれにおいても、親の「エフィカシー」が向上し、SRS-18の「抑うつ・不安」、「不機嫌・怒り」、家族機能の「正の強化」、「負の強化」が改善された。考察においては、親の年齢、ひきこもり期間を統制したうえで無作為割り付けによる効果検証の必要性が指摘された。
著者
山内 眞義 平川 淳一 木村 和夫 中島 尚登 中原 正雄 中山 一 北原 敏久 大畑 充 片山 辰郎 高原 仁 藤沢 洌 亀田 治男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.643-648, 1989-06-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
15

雌と雄ラットに慢性アルコール投与を行い,アルコール性肝障害の発症と伸展に及ぼす性差の影響を検討した.雌アルコール群で最も肝ハイドロオキシプロリンの増加を認め,雌のほうが雄に比べてアルコール性肝障害になりやすいことを実験的に明らかにした.雌アルコール群では,雌コントロール群に対して,アルコール脱水素酵素(ADH),アルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性及びエタノール除去率はいずれも低下するのに対して,雄アルコール群では雄コントロール群に対してADH,ALDHは高活性を示し,エタノール除去率も速やかとなった.以上より女性のアルコール性肝障害に対する高感受性の原因として,男女間の常習飲酒に対するアルコール代謝の変動の差異が一因と考えられた.
著者
平川 真 森永 康子
出版者
対人コミュニケーション研究会
雑誌
対人コミュニケーション研究 = The Japanese journal of interpersonal communication (ISSN:21874433)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-30, 2014-03

本研究の目的は、間接的要求を使用することによって、使用者の目標は達成できるのかどうかを検討することであった。検討対象となった使用目標は、平川・深田・塚脇・樋口(2012)が整理した、他者配慮、応諾獲得、明確拒否の回避、印象管理、申し訳なさ伝達、の5つである。大学生80名を対象に、直接的要求、丁寧な要求、そして間接的要求によって頼み事をされるシナリオを用いた実験を行った。それぞれの目標の達成と関連する、感情、認知、行動意思を測定し、間接的要求を基準条件、直接的要求と丁寧な要求を比較条件とした条件間比較を行った。その結果、直接的要求と比べた場合、間接的要求の使用は応諾獲得以外の目標を達成することが示された。しかしながら、その効果は丁寧に頼む場合よりもおおむね低く、他者配慮、応諾獲得、印象管理に関しては、間接的要求よりも丁寧な要求を使用した方が目標を達成できることが示された。したがって、平川他(2012)が整理した目標の達成という観点からすれば、間接的要求ではなく丁寧な要求を使用することのほうが望ましいといえる。
著者
宮田 Susanne 伊藤 恵子 大伴 潔 白井 英俊 杉浦 正利 平川 眞規子 MACWHINNEY Brian OSHIMA-TAKANE Yuriko SHIRAI Yasuhiro 村木 恭子 西澤 弘行 辰巳 朝子 椿田 ジェシカ
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1歳から5歳までの日本語を獲得する子どもの縦断発話データに基づき発達指標DSSJ(Developmental Sentence Scoring for Japanese)を開発し、この日本語の発達指標を84人の子どもの横断データ(2歳~5歳)にあてはめ、標準化に向けて調整を行った.DSSJはWWW上のCHILDES国際発話データベースの解析プログラムCLANの一部として一般公開されている.