- 著者
-
成田 智哉
- 出版者
- 利府町立菅谷台小学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
○研究の目的小学校5年生の理科において,顕微鏡による水中微小生物の観察結果から,間接的に魚の食べ物を推論するだけでなく,糞の分析や捕食行動等の観察から「食べている証拠」を実感をもってとらえさせる授業プログラムを開発することであった。○研究の方法観察する魚種および水中微小生物の培養法を検討しながら,児童に魚が微小生物を捕食する様子を再現性よく観察させたり,糞および消化管内の内容物を顕微鏡で観察させたりした。これらの授業記録や児童の観察記録を分析し,魚が水中微小生物を捕食していることを実感をもってとらえさせる授業プログラムの有効性を探った。○研究の成果1児童の実態調査の結果を基に,魚の食べ物が何かを考え,検証させる単元を構成し授業実践を行った。まず,魚の生息する水域や無給餌状態で飼育しているメダカの水槽内の水を顕微鏡で観察させた。多数の水中微小生物が存在することを確認させ,魚がそれらを食べて生きているという仮説を立てた。児童の考えを基に(1)ミジンコを食べる瞬間を見る(2)解剖して消化管内の水中微小生物の痕跡を探す(3)糞の中の水中微小生物の痕跡を探す等,検証方法を設定し,観察・実験を行わせた。2 1で得られた結果を顕微鏡の拡大画像やVTRの動画を活用し共有させた。授業記録から,児童が複数の結果を基に「魚が水中の小さな生物を食べて生きている」という考えをもったことが分かった。3上記1,2の実践および授業後の理解度調査の結果から,(1)糞や消化管の内容物の分析,捕食行動の観察結果を基に多面的に検討させることが,「魚が水中微小生物を補食している」ことをとらえさせる上で有効であること(2)捕食行動の観察にはメダカ,消化管内の内容物の観察にはゲンゴロウブナ,糞の分析にはメダカ,モツゴ,タモロコ等の魚種が有効であることが分かった。