著者
松本 英樹 北井 隆平 成田 憲彦
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

正常マウス(Jcl:ICR マウス、5 週齡、雄)に炭素線(135 MeV/u、25 keV/μm)を 0.01~2.0 Gy 全身照射し、小腸および精巣でのアポトーシス誘導について精査した。その結果、小腸および精巣共にそれぞれの幹細胞および前駆細胞が分布する部位に特異的にアポトーシスが誘導されていた。また 0.05 Gy 以下の照射においても、小腸では非照射の対照マウスと比較して有意にアポトーシスの誘導が検出され、アポトーシス細胞の出現頻度は線量依存的に増加した。さらに特異的にアポトーシスが誘導されていた細胞を免疫組織化学染色により解析した結果、小腸および精巣いずれにおいてもアポトーシスが誘導されていた細胞は幹細胞およびその前駆細胞であることが明らかとなった。以上の結果から、炭素線の低線量被ばくにより正常組織の組織幹細胞および生殖幹細胞に特異的にアポトーシスが誘導されることが明らかとなった。
著者
亀井 邦裕 児玉 公信 細澤 あゆみ 成田 雅彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-7, 2013-09-05

ビジネスシステムにおいて代金計算に伴う消費税の計算は必須であるが,消費税率の段階的引き上げや特例の導入などが見込まれている中で,税制改定に追随し,適用時点に応じた税額計算を,合理的に行う必要があるここには,過去の取引データの遡及的な修正も含む.このための概念モデルのあるべき姿を,取引 (商流) データおよび代金 (金流) データのモデルを含めて提案する.Calculation of consumption tax accompanied with the price calculation is inevitable in the business information system. However, it will be more difficult to catch up the tax revision and calculate the tax reasonably in accordance with the applicable time, because of expected gradual increase in the tax rate and uncertain application of special exceptions. In addition, the calculation must include retrospective fix of transaction data in the past. In this paper, we propose the conceptual model for consumption tax calculation, which can be an ideal one, because it includes models of the transaction representing commercial distribution and billing as the example of money distribution, which are the organizational basic activities.
著者
水流 輝彦 影山 進 成田 充弘 岡田 裕作
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.738-741, 2010-09-20

28歳,男性.左陰嚢内無痛性小腫瘤を主訴に受診.身体所見では左精巣上体尾部に無痛性腫瘤を触知し,精巣・精管は正常であった.超音波検査にて精巣実質と等信号の内部均一な径16mmの球状の腫瘤を認めた.左精巣上体腫瘍の診断で陰嚢切開を行った.腫瘍は精巣上体尾部近傍に位置し,精巣白膜のような白い膜で覆われていた.術中迅速標本では悪性変化を認めない精巣組織であり,多精巣症と診断された.精巣上体,精管との交通がなかったため余剰精巣は摘除された.多精巣症は比較的まれな先天奇形であり,文献的には海外も含めると100例以上の報告がある.余剰精巣の手術摘除の適応に関しては一定の見解はない.陰嚢内に余剰精巣が存在する場合は術中の生検所見で異形成を認めた際は摘除が推奨される.余剰精巣が温存された際は慎重に定期的な診察と超音波検査が必要である.しかし,陰嚢外に存在する余剰精巣は悪性化の危険性が高くなるため摘除が必要である.
著者
梅枝 覚 松本 好市 北川 達士 野地 みどり 山本 隆行 石井 雅昭 成田 清 鳥井 孝宏 肥満 智紀 山崎 学
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.838-845, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

環状自動縫合器(circuler stapler,PPH=procedure for prolapse and hemorrhoids)による痔核脱肛の手術は,1998年Longoによって発表された手術(粘膜環状切除術,以下PPH)であり,痔核口側の直腸粘膜を環状切除し,痔核脱肛を吊り上げ固定する術式で,疼痛が少なく,QOLにすぐれているため世界で広く行われるようになった.本邦でも2001年より各施設で施行され,術後疼痛の軽減,早期社会復帰,再発率において結紮切除術と比べても差がない,などとIII度内痔核には有用な手術術式と考えられる.一時期PPHによる合併症も報告されたが,PPH機種の改良,手技の向上により合併症が減少した.PPHの特性から,すべての痔核に適応はなく,適応基準を厳格にして症例を選択する必要がある.術者は他の治療法であるLEやALTAにも精通し,長所短所を理解のうえ,痔核・脱肛の適応を的確に判断出来る能力があり,PPHの特性と実技を充分会得したうえで行う手技である.適応症例においては非常に有用な手術と思われる.
著者
成田 憲二 Mertia R.S. Kumar Shuresh 市河 三英 古川 昭雄
出版者
JAPAN SOCIETY OF TROPICAL ECOLOGY
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.105-114, 1997-10-30

インドのタール膿内の轍地(年降水量150mm)および半乾燥地(同450mm)の草本植生において,ヒツジの被食が草本群集の構成と被度に与える影響を被食圧の勾配に沿って調査した。両調査地1ヘクタール当たり8,6,3頭とコントロールの4段階の被食圧のプロットを設定し,ヒツジの導入後の季節変化を種構成,被度について調査した。草本植生の被度,構成種数共に半乾燥地の方が高く,季節変化も少なかった。乾燥地の植生は被度の季節変動が大きく,ヒツジによる被食の影響は乾燥地でより強く現れた。乾燥地では,雨期中期に優占する一年生広葉草本Indigofera属の3種がヒツジの被食に応じて被度が減少し,この3種の変動だけで被食による群集全体の被度影響の92.5%が説明された。半乾燥地にもこれらの種が生育していたが被度も低く,また,被食圧に沿った被度の減少は見られなかった。
著者
成田 千尋
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.446-486, 2014-05
著者
亀井 邦裕 児玉 公信 細澤 あゆみ 成田 雅彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1351-1362, 2015-05-15

企業情報システムは変化する企業環境に対し,柔軟で機敏な対応を迫られている.そこで稼働するビジネス系アプリケーションは短期間での構築が可能で,なおかつ変化に強い構造を持っており,再利用開発が可能でなければならない.それは経験に裏打ちされた合理的な概念構造を持ち,変化する部分と固定部分が明確に分かれた実装構造となっているはずである.本論文は,そのようなアプリケーションを開発するための1つの取組みとして,概念モデルに基づく実装方法を試行し,消費税計算などの公開可能な題材を用いた概念モデル,実装モデルなどを成果として提示する.
著者
小林 理 成田 昌紀 河内 広志 浅野 良三 外山 譲二 永井 明彦 来生 哲 荒川 正昭 藤田 雅 広井 忠夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.925-931, 1984-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

症例は, 25歳男性で家業は味噌製造業である. くり返す気管支喘息, 血清IgE上昇, くり返す肺浸潤影があり, 気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像を認めた. こうじに含まれる Asp. oryzae およびその亜種が喀痰中より検出された. エドワードの二重透析法によりそれらの真菌より抗原を作成し, オクタルニーの沈降抗体法を施行したところ患者血清との間に沈降線を認めた. 吸入誘発試験では, 即時型および遅発型反応が陽性となった. TBLBでは, 肺胞壁および肺胞腔内に, 好酸球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認めた. 以上より Asp. oryzae およびその亜種によるABPAと診断した.
著者
成田 健一 植村 明子 三坂 育正
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.545, pp.71-78, 2001
被引用文献数
15 5 8

Water bodies in urban area have been expected to mitigate the urban heat island as well as green space. In this paper, we showed the results of observations about heat budget at river water and moving observations to clarify horizontal extent of its thermal effects. Diurnal variations of sensible heat flux estimated by several methods corresponded closely with each other, though these values didn't exceed 100W/m2 even in the peak about midday. Estimated heat storage term occupied more than 90% of net radiation during daytime. According to the numerical simulation, observed water temperature variation required equivalent heat conductivity for actual stirred water about forty times as much as that of stagnant water. This heat balance is completely different from that of green space characterized large latent heat flux. On the other hand, horizontal sensible heat flux from adjacent built-up area to the river space also estimated by eddy correlation method at riverside terrace. Turbulent heat flux across the river-edge amounted to 250W/m2 in daytime, which greatly surpassed vertical sensible heat flux at water surface. The horizontal limits of river-effect along the street crossing the river were about 300m from river-edge, and there was no clear relation between this limits and wind speed.