著者
斉藤 博
雑誌
埼玉医科大学進学課程紀要
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-25, 2000-03-31

アテネの疫病は, トゥキュディデスの『戦史』2巻には記載されているが, 『ヒポクラテス全集』(『全集』)には記載されていない.アテネの疫病は, 出血性, 発熱性ウイルス性感染症であるマールブルグ病, エボラ熱, 或いは, その類似疾患と考えられる.『戦史』と『全集』の色彩表現は関連性があったと推測される.『戦史』の3巻以降には色彩表現は殆ど認められないが, トゥキュディデスが疫病に罹り, その合併症であるブドウ膜炎による後天性色覚異常になったためと推測される.ヒポクラテスの生年をBC 460年頃とすると, アテネの疫病はBC 430年であるから, 彼は当時30歳代と推測される.『全集』にはアテネの疫病の記載がないが, ヒポクラテスがアテネの疫病に関与しなかったか, 或いは, 後に記載が脱落したかは不明である.
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.10-19, 2006-01-20
被引用文献数
1 1

(目的)『ヒポクラテス全集』の尿に関する記述を研究した.(方法): 『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版)の尿の記述を採集し, コス学派とクニドス学派とで比較した.(結果)尿は396カ所記述されていた;コス学派355, クニドス学派23, 学派不明9であった.尿所見の記述は39種類で, 濃厚, 希薄, 清澄, 濁り, 煮熟, 未熟, 水っぽい, 色あせ, "良好な色", 血液, 血塊, 膿, などであった.色は27色で, 黒(メラス), 白(レウコス)が多く, 赤(エリュトロス), 黄色, 黄色系色(クロロス, オクロス, プロス, クサントス)などがこれに続いた."良い尿"とは, 白色尿(レウコス), 黄色尿(オクロス), または, 澱が白く, 滑らかで均一な尿で, "悪い尿"とは, 黒色尿, 希薄尿, 悪い匂い, 水っぽい尿, 澱がふすま状の尿である.(結論)尿所見は『ヒポクラテス全集』で記述されており, コス学派で多く, 多彩であった.ヒポクラテスの色彩表現は現代日本語とは異なっていた.白色(レウコス)ブドウ酒と同じように, (レウコス)は白色でも無色でもなく, 淡黄色であることから, 白色(レウコス)尿は淡黄色尿と考えられる.濃厚な白色尿と濃厚な黄色(オクロス)尿は, それぞれ, 健康者の濃縮された黄色と黄褐色尿と考えられる.黒色(メラス)尿は赤(メラス)ブドウ酒様の肉眼的血尿, 薄い黒っぽい尿(ヒュポメラス)は, 血尿に希釈尿が合併した尿で, 腎不全が考えられる.
著者
斉藤 博
出版者
埼玉医科大学
雑誌
埼玉医科大学進学課程紀要 (ISSN:0287377X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-25, 2000-03-31
被引用文献数
3

アテネの疫病は, トゥキュディデスの『戦史』2巻には記載されているが, 『ヒポクラテス全集』(『全集』)には記載されていない.アテネの疫病は, 出血性, 発熱性ウイルス性感染症であるマールブルグ病, エボラ熱, 或いは, その類似疾患と考えられる.『戦史』と『全集』の色彩表現は関連性があったと推測される.『戦史』の3巻以降には色彩表現は殆ど認められないが, トゥキュディデスが疫病に罹り, その合併症であるブドウ膜炎による後天性色覚異常になったためと推測される.ヒポクラテスの生年をBC 460年頃とすると, アテネの疫病はBC 430年であるから, 彼は当時30歳代と推測される.『全集』にはアテネの疫病の記載がないが, ヒポクラテスがアテネの疫病に関与しなかったか, 或いは, 後に記載が脱落したかは不明である.
著者
斉藤 博
雑誌
埼玉医科大学医学基礎部門紀要
巻号頁・発行日
vol.10, pp.61-75, 2004-03-31

ヒポクラテスの歳言"人生は短く,術の道は長い"は,セネカ,アリストテレス,シェクスピア,ディケンズ,ゲーテなど多くの著者に引用されている.ゲーテファウスト初稿では,ワーグナーの台詞で,"術のみちは長く,人生は短い"と逆に引用されている.私は,古代ギリシアでの"術"の意味を検討し,ファウストの台詞とファウスト初稿での台詞の差異を比較した.ゲーテはファウスト初稿では,術を生命より強調するために,箴言の順序を変え,さらに,箴言の終わりに感嘆符(!)を加えた.彼はファウスト初稿をファウストに書き換えた時に,ファウストでは,箴言のはじめの"ああ"を"ああ!"に変更し,行末の感嘆符を削除した.
著者
斉藤 博
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.551-560, 2006-03-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
26

(目的)『ヒポクラテス全集』の治療に関する記述を研究した.(方法)『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版) の治療の記述を計量言語学的に検討し, コス学派とクニドス学派とで治療の優先度を比較した.(結果) 治療の記述は2,687節で, 内科治療2,319 (86%), 外科治療は368箇所 (14%) であった. 2,687中, コス学派の記述は1,023 (38%), クニドス学派1,261 (47%), 学派不明は403 (15%) であった. 内科治療は薬剤, 食餌法, 入浴, 燻蒸, 運動, 走行, 散歩, 罨法が多かった. 外科治療は骨折と脱臼に対する伸展, 整復, 切開, 焼灼, 瀉血であった. 食餌法, 運動, 走行, 散歩, 伸展, 整復, 瀉血はコス学派がクニドス学派より高頻度, 薬剤, 入浴, 婦人科疾患に対する燻蒸, 切開はクニドス学派が高頻度であった (X2検定でp<0.01). 尿路結石に対する治療としては, 薬剤, 食餌法, 入浴, 温罨法, 腎結石患者に対する切開術であったが, 膀胱切石術の記述はなかった. ヒポクラテスは薬で治らない病気はナイフで治すと“宣誓”で述べていた. また, 彼は戦場での傷の外科を習得する者は, 軍隊に加わらなければならないと強調していた.(結論)『ヒポクラテス全集』では, 多数の内科治療が記述されていたが, 外科治療も重視されていた. ヒポクラテスは“宣誓”で初心医師の入門時の戒めとして, 尿路結石に対して, 経験のない治療を禁じたのであって, 外科治療を禁じたのではない.
著者
斉藤 博
出版者
埼玉医科大学
雑誌
埼玉医科大学医学基礎部門紀要 (ISSN:0287377X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.61-75, 2004-03-31

ヒポクラテスの歳言"人生は短く,術の道は長い"は,セネカ,アリストテレス,シェクスピア,ディケンズ,ゲーテなど多くの著者に引用されている.ゲーテファウスト初稿では,ワーグナーの台詞で,"術のみちは長く,人生は短い"と逆に引用されている.私は,古代ギリシアでの"術"の意味を検討し,ファウストの台詞とファウスト初稿での台詞の差異を比較した.ゲーテはファウスト初稿では,術を生命より強調するために,箴言の順序を変え,さらに,箴言の終わりに感嘆符(!)を加えた.彼はファウスト初稿をファウストに書き換えた時に,ファウストでは,箴言のはじめの"ああ"を"ああ!"に変更し,行末の感嘆符を削除した.
著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.632-639, 2005-09-20
被引用文献数
2 2

(目的)ヒポクラテス(紀元前460年頃)は古代ギリシア, コスの有名な医師で, 彼の業績は, 後世『ヒポクラテス全集』に記載されている.私は『ヒポクラテス全集』の結石に関する記述を研究した.(方法)『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版)の尿路結石の記述を採集し, コス学派とクニドス学派とで比較した.(結果)尿路結石に関する記述は24カ所で, 発生病理に関する記述は12カ所(50%), 症状6カ所(25%), 治療4カ所(17%), その他2カ所(8%)あった.尿路結石の症状は血尿, 腹痛, 排尿痛, 排尿障害, 排石であった.膀胱結石15カ所(63%), 腎結石4カ所(17%), 2カ所(8%)は腎と膀胱結石の両方であった.7カ所(29%)は部位の記述はなかったが, 多分, 膀胱結石と推測された.尿路結石の記述のうち, コス学派, クニドス学派, 学派不明の記述は15カ所(63%), 4カ所(17%), 5カ所(21%)であった.コス学派の膀胱結石に関する記述は比較的多く, 腎結石に関する記述は少ないが, クニドス学派が多かった.尿路結石に対する治療法は, 薬, 多分, 排石を助ける薬, 痛み止め, 痛みに対する入浴, 温罨法, 患部が腫れて盛り上がったら, 腎切開をする.(結論)『ヒポクラテス全集』には尿路結石の記述があるが, コス学派による膀胱結石の記述が多い.膀胱切石術の記述はなく, "宣誓"では, 尿路結石の治療には切開術を禁じている.しかし, クニドス派の"内科疾患"には, 腎切開, 多分, 腎切石術を推測させる記述があった.
著者
斉藤 博
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.632-639, 2005-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
2

(目的) ヒポクラテス (紀元前460年頃) は古代ギリシア, コスの有名な医師で, 彼の業績は, 後世『ヒポクラテス全集』に記載されている. 私は『ヒポクラテス全集』の結石に関する記述を研究した.(方法)『ヒポクラテス全集』(ラーブ版, 大槻版, 今版) の尿路結石の記述を採集し, コス学派とクニドス学派とで比較した.(結果) 尿路結石に関する記述は24ヵ所で, 発生病理に関する記述は12ヵ所 (50%), 症状6ヵ所 (25%), 治療4ヵ所 (17%), その他2ヵ所 (8%) あった. 尿路結石の症状は血尿, 腹痛, 排尿痛, 排尿障害, 排石であった. 膀胱結石15ヵ所 (63%), 腎結石4ヵ所 (17%), 2ヵ所 (8%) は腎と膀胱結石の両方であった. 7ヵ所 (29%) は部位の記述はなかったが, 多分, 膀胱結石と推測された. 尿路結石の記述のうち, コス学派, クニドス学派, 学派不明の記述は15ヵ所 (63%), 4ヵ所 (17%), 5ヵ所 (21%) であった. コス学派の膀胱結石に関する記述は比較的多く, 腎結石に関する記述は少ないが, クニドス学派が多かった. 尿路結石に対する治療法は, 薬, 多分, 排石を助ける薬, 痛み止め, 痛みに対する入浴, 温罨法, 患部が腫れて盛り上がったら, 腎切開をする.(結論)『ヒポクラテス全集』には尿路結石の記述があるが, コス学派による膀胱結石の記述が多い. 膀胱切石術の記述はなく,“宣誓”では, 尿路結石の治療には切開術を禁じている. しかし, クニドス派の“内科疾患”には, 腎切開, 多分, 腎切石術を推測させる記述があった.
著者
桶谷 典弘 斉藤 博之 江部 達夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.9, pp.983-988, 1996-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20
被引用文献数
1

半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎の1例を報告した. 症例は72歳の女性で, 口内炎の治療のため半夏瀉心湯と白虎加人参湯を内服したところ, 8ヵ月後に労作時息切れと胸部X線写真上びまん性の斑状影が出現し, 間質性肺炎の疑いで入院した. 薬剤性肺臓炎を疑い, 内服薬を中止したところ, 臨床症状, 胸部X線写真の改善を認めた. 気管支肺胞洗浄の検査では, リンパ球の増加とCD4/CD8比の低下を認め, 肺生検の組織像では, 細気管支周辺および肺胞壁に, リンパ球を主とする細胞浸潤を認めた. 白血球遊走阻止試験では, 半夏瀉心湯に対し陽性を示し, 半夏瀉心湯による薬剤性肺臓炎と思われた. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は, 本邦で第1例目と思われる.
著者
斉藤 博
雑誌
埼玉医科大学医学基礎部門紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-30, 2006-03-31

ヒポクラテスの箴言「人生は短く 術の道は長い」は,ゲーテの『ファウスト初稿』では,ワーグナーの台詞として,「ああ,術の道は長く/人生は短い!」と,ヒポクラテスの「箴言」に,感嘆詞「ああ」,接続詞「と」を追加し,「術と人生」の順序は逆で,行末に感嘆符がつけられて引用された.『ファウスト』のメフィストフェレスの台詞では,「時は短く,術のみちは長い」と,ヒポクラテスの箴言とは全く同じ言葉ではないが,同じ語順で,感嘆詞と感嘆符はつけられていない.『ファウスト』(Faust)と『ファウスト初稿』(Urfaust)とで,感嘆詞と感嘆符(!)の数,単数,または,複数使用,位置について,計量言語学(quantitative linguistics)検索を行った.感嘆詞は 190 / 12,237 行(2%)中,悲劇Ⅰは 130 / 4,735(3%),悲劇Ⅱは 60 / 7,490(1%),感嘆符は 1,764(14%)で,悲劇Ⅰは 925(20%),悲劇Ⅱは 839(11%),感嘆符の複数使用は 205(2%)中,悲劇Ⅰは 114(3%),悲劇Ⅱは 91(1%)で,いずれも悲劇Ⅰが悲劇Ⅱより高頻度であった(Χ2 検定,p < 0.01).ゲーテは多くの感嘆詞と感嘆符を単数,または,複数使用,あるいは,台詞の始め,あるいは終わりなど,いろいろな語法で使用していた.ゲーテは『ファウスト初稿』を『ファウスト』に書きかえたときに,多くの感嘆符を行の前に挿入し,行末の感嘆符を削除する傾向にあった.箴言では,術を人生より強調するために,ゲーテは人生と術の順序を変え,台詞の最後に感嘆符を付けたと,筆者は推測した.ゲーテは『ファウスト初稿』を『ファウスト』に書きかえた時に,"ああ!"に感嘆符を挿入したが,おそらく,複数使用を避けるために行末の感嘆符を削除したと考えられる.結果的には,台詞の行末から初めの方への,感嘆符の転移が起きた.かくして,『ファウスト』では,「ああ!術のみちは長く/人生は短い」と引用された.
著者
斉藤 博道
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.91-102, 1974-11-15 (Released:2009-05-29)
参考文献数
2
著者
斉藤 博之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.327-333, 1998-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

従来から清酒製造では「酒造好適米」という言葉がよく使われるが, 分析値等の具体的数値で定義されたものではなかった。今回は「最新の醸造科学」としての観点から酒米分析値による好適米の判別, 酒造適性の評価方法について紹介していただいた。より効率的な好適米育種や酒造米の選択に資するところが大であると思われる。
著者
秋本 憲一 斉藤 博之 赤沢 晃 橋本 光司 勝沼 俊雄 野々村 和男 海老沢 元宏 永倉 俊和 植草 忠 恩田 威文 福田 保俊 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.96-100, 1990-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

重症のアトピー性皮膚炎患児のなかには食物除去療法, 環境整備, 薬物療法, 免疫療法, ステロイド外用療法等を行っても治療に抵抗するものが結構多い. 重症アトピー性皮膚炎患者が夏休み明けに軽快していることがしばしば経験し, 海水浴がアトピー性皮膚炎の治療に役立つのではないかと考え, 昭和63年の夏にアトピー性皮膚炎患児9名を対象に一週間の海水浴療法を経験し, 好結果を得た. 今回行った方法は, 患者を神奈川県二宮町の国立小児病院二宮分院に入院させ, 食物療法, 薬物療法等の治療に加え二宮町の海岸で午前一時間, 午後二時間, 海岸で海水による皮膚の洗浄を行うものである. 僅か一週間の短期間で通常の入院治療より優れた寛解が得られ, 厳格な食物除去療法のような社会的・栄養的な問題, 薬物療法による副反応等の問題がないため, 海水浴療法は重症の小児アトピー性皮膚炎に対して是非試みるべき治療法と考えられた.
著者
斉藤 博則 野本 淳 田野 入高史 岡村 哲夫 青木 和弘 鈴木 清文 福元 耕 茂木 純一 川井 三恵 横打 邦男 阿部 邦彦 吉沢 直
出版者
心臓
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.92-96, 1995

症例は47歳,男性.平成5年1O月28日事務仕事中,突然意識消失,呼吸微弱となり,心肺蘇生術を受けながら,近医に転送された.来院時意識レベル200~300,瞳孔散大,血圧測定不能,モニターでは心室細動であった.挿管し呼吸管理とするとともに,200~300JのDC計4回施行し洞調律に復した.この間リドカイン,メキシレチン,ベラバミル,ボスミン,メイロン等の静注を受けた.その後順調に回復し,精査加療目的で当院紹介入院となった.入院後心カテ施行.冠動脈造影正常,左室造影上全体的な収縮力低下を認め駆出率は25%であった.また,心筋生検も施行し,さらに電気生理学的検査を施行した.右室2カ所,左室1カ所計3カ所からの3連発刺激,それに加えて,イソプロテレノール負荷後の2連発刺激でも心室頻拍・心室細動は誘発されなかった.治療はアミオダロン200mg/日,カプトプリル,利尿剤,ワーファリンを投与した.現在経過観察中であり,今後ICD植え込みも検討中である.
著者
武者金吉文 斉藤博之絵
出版者
小峰書店
巻号頁・発行日
1950
著者
原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 中富 昌夫 浅井 貞宏 水兼 隆介 奥野 一裕 福島 喜代康 伊藤 直美 井上 祐一 小池 隆夫 大西 勝憲 大道 光秀 山田 玄 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 武内 健一 新妻 一直 柳瀬 賢次 友池 仁暢 中村 秀範 加藤 修一 佐田 誠 池田 英樹 板坂 美代子 荒川 正昭 和田 光一 原口 通比古 星野 重幸 五十嵐 謙一 嶋津 芳典 近 幸吉 瀬賀 弘行 関根 理 鈴木 康稔 青木 信樹 滝沢 敬夫 兼村 俊範 竹村 尚志 長尾 光修 濱島 吉男 坂本 芳雄 坂田 憲史 豊田 丈夫 大角 光彦 小林 宏行 河合 伸 酒寄 享 杉浦 宏詩 押谷 浩 島田 馨 佐野 靖之 荒井 康男 北條 貴子 小川 忠平 柴 孝也 吉田 正樹 岡田 和久 佐藤 哲夫 古田島 太 林 泉 宍戸 春美 松本 文夫 桜井 磐 小田切 繁樹 鈴木 周雄 綿貫 祐司 高橋 健一 吉池 保博 山本 俊幸 鈴木 幹三 下方 薫 川端 原 長谷川 好規 齋藤 英彦 酒井 秀造 西脇 敬祐 山本 雅史 小笠原 智彦 岩田 全充 斉藤 博 三木 文雄 成田 亘啓 三笠 桂一 二木 芳人 河端 聡 松島 敏春 副島 林造 澤江 義郎 高木 宏治 大泉 耕太郎 木下 正治 光武 良幸 川原 正士 竹田 圭介 永正 毅 宇都宮 嘉明 秋山 盛登司 真崎 宏則 渡辺 浩 那須 勝 橋本 敦郎 後藤 純 河野 宏 松倉 茂 平谷 一人 松本 亮 斎藤 厚 健山 正男 新里 敬 伊志嶺 朝彦 上地 博之 比嘉 太 仲本 敦 我謝 道弘 中島 光好
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.901-922, 1997-11-25
参考文献数
20
被引用文献数
19
著者
木村 まり子 松田 徹 深瀬 和利 奥本 和夫 間部 克裕 鈴木 克典 青山 一郎 堺 順一 斉藤 博 佐藤 信一郎
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.2, pp.145-151, 2002-02-01
被引用文献数
20

上腸間膜動脈解離6症例につき検討した.高血圧を4例に認め,危険因子として考慮された.症状の特徴として,背部に放散する高度の腹痛,背部痛,食後の症状増悪,腸雑音の減弱が挙げられた.診断にはCTや腹部超音波検査が有用であった.抗血栓凝固薬で保存的に管理し,4例が改善した.改善しない2例については厳重に経過を観察し,増悪するようなら侵襲的治療を考慮する必要がある.本疾患として加療されていることもあり,腹痛の鑑別診断上忘れてはならない疾患であると考えられた.