著者
北嶋 暁 森岡 澄夫 島谷 肇 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.1017-1029, 1996-12-25
参考文献数
15
被引用文献数
4

教育用CPU KUE-CHIP2を,各命令の意味を記述した要求仕様からRTレベルまで段階的に設計し,それをSFL記述に自動変換してハードウェア合成系パルテノンを用いて回路を得た.そして,その設計が正しいことを代数的手法に基づいた証明支援系を用いて完全に自動で証明した.自動で証明できた理由は,CPUでは,要求仕様も含め,各レベルの仕様が共通の基本関数(算術・論理演算,メモリの入出力)を用いて記述できる,CPUの正しさの証明では1命令ごとに正しく動作することを調べればよく,かつ1命令の実行では繰返しループを含まない,また,我々の開発した証明支援系では,項書換え,場合分け,整数上の論理式の恒真性判定などを一定の手順で自動実行する,扱う式の大きさが増大するのに対処した工夫をしている,などである.証明作業は,記述誤りに伴う再証明も含め2週間程度で行えた.CPUの命令数が増えても証明のための計算時間はそれに比例する程度ですむので,本実験の結果より,単一制御部をもつ非パイプラインCPUについては,本論文の手法により,その正しさの証明を,現実的な時間で自動で行うことが可能であると言える.
著者
酒井 暁子 北川 涼 近藤 博史
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

丹沢山地の306ha集水域において、樹木の分布パターンは地形変数で説明され、大径木が主尾根に分布することと支尾根で小径木の本数が多いことにより、尾根周辺で地上部バイオマスが大きいこと、また樹種により多様な分布特性を持つこと等を示した。また南アルプスの亜高山帯で、地表の撹乱状況と対応した微地形構造に規定される樹種の分布パターンを明らかにし、山地帯渓畔林との類似・相違点を示した。
著者
坪内 暁子 奈良 武司 丸井 英二 青木 孝
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

新型インフルエンザ(H1N1)の発生・流行によって、「新型インフルエンザ」という名称は周知されたにも関わらずマスコミ報道等の影響で正しく理解されていない可能性が非常に高いと考えられたため、流行が収まるのを待って予備調査を実施した。その結果、リスク認知とリスク回避行動とが、リスクマネジメントの概念通りに正しくリンクしている勤労者(危機管理担当者)に対して、高齢者は自らの身体的リスクを認識した上で、新型インフルエンザ対策に関する情報収集等に強い関心を示し、マスコミや広報から得た知識を正しく認識できていない割合も他のグループより多いが、行動面で慎重でリスク回避の方向に進む傾向があることがわかった。その一方で、中学生他若者層は、知識吸収能力は高く対策についても正しく理解しているが、行動に関するリスクの認識が甘く、知識と行動とが合致せず危険性が高いことがわかった。H1N1型の国内発生・流行時の関西の高校生がカラオケ店に殺到した事件が裏付けとなる。中学生と、高校生・大学生を比較した場合、知識に関する設問でほとんど有意差がみられなかったため、調査モデル国の台湾では対象を中学生に絞った。台湾の中学生の行動は、日本の勤労者に近い行動をとること、講義や広報、マスコミ(一律の政府報道)に依存し、より慎重であることがわかった。また、全体的に、高病原性と低病原性のリスクを正しく理解していないことがわかった。以上から、リスク認知とリスク回避の関係は非常に密接であり、「感染症教育」の効果としての行動リスクの低減への期待値は非常に高いという結論を得た。
著者
岩本 通弥 川森 博司 高木 博志 淺野 敏久 菊地 暁 青木 隆浩 才津 祐美子 俵木 悟 濱田 琢司 室井 康成 中村 淳 南 根祐 李 相賢 李 承洙 丁 秀珍 エルメル フェルトカンプ 金 賢貞
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、外形的に比較的近似する法律条項を持つとされてきた日韓の「文化財保護法」が、UNESCOの世界遺産条約の新たな対応や「無形文化遺産保護条約」(2003年)の採択によって、どのような戦略的な受容や運用を行っているのか、それに応じて「遺産」を担う地域社会にはどのような影響があり、現実との齟齬はどのように調整されているのかに関し、主として民俗学の観点から、日韓の文化遺産保護システムの包括的な比較研究を試みた。
著者
前原 進也 大澤 康暁 佐藤 孝 丸山 武男 大河 正志 水島 正喬 坪川 恒也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.62, pp.49-52, 2002-05-10
参考文献数
5

一般相対性理論から導出された天の川銀河の重力場が地球に及ぼす影響に関する報告があり,振り子の変位を観測することで,天の川銀河系の中心核の影響により地球が受ける力を検出することが可能であり,2種類の振り子の観測を行い,周時刻に同一方向への変位が見られたと報告されている.本報告では,この実験結果の検証を目的とし,半導体レーザーを用いた振り子の変位の光計測システムを構築し,外部雑音の影響が非常に少ない国立天文台の観測所のトンネルで観測を行っている.これまでの観測では,地震による影響が観測されており,今回は潮汐力による影響について検討し,重力放射力の検証の基礎実験を行ったので報告する.
著者
山下 暁美
出版者
常磐大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

「お」・「ご」の使用、「丁寧語の異なる動詞」の使用とともに「性差」、「年齢」と相関関係が見られないことが明らかになった。いいかえれば、「老若男女」に関係なく、言葉が使われている。しかし、「世代」と「母語」については「丁寧度の異なる動詞」の使用との間に強い相関関係が認められた。「世代」をさかのぼるほど丁寧度の高い表現が選択される傾向がある。戦前の国語教育の歴史が垣間見られる。3世のほうに5段階のぞんざいな表現を使用する傾向が見られる。しかし、ぞんざいな表現を使用するからといって、3世には相手に対する顧慮がないということは言えない。親愛の気持ちを表現している可能性は十分にあり、「ね」の使用が見られる。3世に近づけば近づくほど、階層差をわきまえることより、親愛の関係を協調することが人間関係にとって重要であると認識されているように思われる。「コロニア在住経験のある人」のほうが丁寧な段階の表現を使用している。コロニアにおいては戦前から皇民化教育として国語教育がしっかりと行われていた。家庭内で学習された日本語とコロニア内の学校における国語教育の影響が見られる。両親のどちらかが西日本出身である場合は「レル・ラレル」形の使用率が高い傾向があるが、日系ブラジル人全体としても「レル・ラレル」形は今もよく使われ、共通語家の様子がうかがわれる。西日本、なかでも中国、九州地方を中心とした方言が生きていることからもこのことが裏付けられた。
著者
野村 康祐 安部 征哉 福島 健太郎 庄山 正仁 松本 暁 福井 昭圭 山崎 幹夫 二宮 保
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.371, pp.105-109, 2010-01-14

近年、データセンターの規模は年々拡大し、その消費電力は著しく増加している。そのため、データセンターにおける給電システムを従来の交流給電から直流給電へ移行し,消費電力を削減することが検討されている。この直流給電システムにおいて、過電流から系統を保護することは最も重要な事項の一つである。そこで、保護用デバイスとして、高速な遮断が可能である半導体遮断器の適用が検討されている。しかし、遮断の際に発生するノイズ電流により他系統の半導体遮断器に誤動作が発生する。本稿では、ノイズ電流による半導体遮断器の誤動作の発生メカニズムについて検討する。
著者
田辺 宏暁 渡士 克己 平山 浩 佐郷 ひろみ 芋生 和道
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
no.1, pp.381-382, 2001-08-22

Plant maintenance and plant management activities are important for steady and safety operation of the nuclear plant. Therefore the Structural Integrity Oriented Reliability Assessment System (SORE) has developed to assist preservation management for the main components of MONJU plant. SORE calculates stress intensity and creep-fatigue damage of main parts of components using the plant data (temperature history, etc.).
著者
岩崎 俊樹 山崎 剛 余 偉明 大林 茂 松島 大 菅野 洋光 佐々木 華織 石井 昌憲 岩井 宏徳 野田 暁
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

ダウンスケール手法に基づくメソスケール予報システムを作成し、農業気象と航空気象へ高度利用法を検討した。予測精度を向上させるためには、物理過程を改良し、初期条件と境界条件を最適化することが重要であることが示された。農業分野では、清川だしの強風といもち病の予測可能性を明らかにした。航空分野では、ドップラーライダーとダウンスケールシステムを組み合わせた、空港気象監視予測システムの可能性を検討した。
著者
石田 浩 佐藤 博樹 苅谷 剛彦 本田 由紀 玄田 有史 永井 暁子 白波瀬 佐和子 佐藤 香 三輪 哲
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、若年者を対象としたパネル(追跡)調査を2007年から毎年実施した。同一の個人を何年にもわたり追跡して調査することにより、(1)学校から職場への移行、(2)初期のキャリア形成と転職、(3)離家と異性との交際・結婚、(4)意識・態度、価値観といった多様な側面から若年者のライフコースを総合的に捉え、その変化を跡付ける分析を行った。
著者
山田 祥徳 酒井 幹夫 水谷 慎 孫 暁松 野々上 友也 高橋 公紀
出版者
The Society of Powder Technology, Japan
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.288-295, 2011-05-10 (Released:2011-05-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

In industrial arena, there are many solid-liquid two phase flow systems like mixing vessels, glass furnaces, solid-liquid separation equipments, etc. Numerical simulations are promising approach to understand the phenomena. Numerical analyses by the Eulerian-Lagrangian approach were performed in the past studies. The Eulerian-Lagrangian methods were applied to various solid-liquid flow systems without the free surfaces. On the other hand, numerical models which can treat the solid-liquid flows involving free surface were hardly developed so far. Hence, in the current study, we develop a Lagrangian-Lagrangian coupling methods to perform the fast simulation of the solid-liquid flows. The liquid phase were modeled by the Explicit Moving Particle Simulation (E-MPS) method. The E-MPS method can simulate the free surface flows easily. The DEM / E-MPS method was applied to a solid-liquid flow in a pipeline. The simulations were performed by changing the acoustic velocity. The simulation results, namely, the solid particle distribution, pressure and fluid velocity were compared in the present study. The DEM / E-MPS method is shown to make possible to perform the fast simulation by assuaging the acoustic velocity.
著者
矢箆原 隆造 谷野 元一 寺西 利生 和田 陽介 生川 暁久 上野 芳也 宇佐見 和也 園田 茂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B1O1004, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】脳卒中患者の歩行や立位訓練において短下肢装具(以下,AFO)はよく用いられる.今までAFOの効果を検討した報告では,歩行を指標にしているものが多く,立位を指標にしている研究は少ない.そこで我々は当院に入院した脳卒中患者に対してAFOの効果を立位バランスの観点で検討したので報告する.【対象】当院に入院し,歩行訓練においてAFOを使用しており,AFO装着時と裸足時ともに上肢支持なしで1分間の静止立位が可能であった初発脳卒中片麻痺患者14名を対象とした.対象者には研究の趣旨と内容について説明し同意を得た.年齢は53.1±11.0歳,性別は男性12名,女性2名,障害側は右片麻痺9名,左片麻痺5名,診断名は脳出血10名,脳梗塞4名,発症から計測までの期間は62.1±29.7日であった.下肢Br.stageの中央値は3.5,SIAS下肢深部覚の中央値は1,FIM運動項目合計点は63.4±13.0点,FIM認知項目合計点は29.5±5.9点,FIM歩行項目は3点が3名,4点が4名,5点が7名であった.使用装具は調整機能付き後方平板支柱型AFOが10名,両側金属支柱付きAFOが3名,継ぎ手付きプラスチックAFOが1名であった. 【方法】計測機器は酒井医療社製Active Balancerを用いた.前方2mの位置に視線と同じ高さの直径5cmの指標を注視させ,上肢を下垂した状態で60秒間立位をとり,足圧中心(COP)の総軌跡長,外周面積を計測した.計測はAFO装着しての開眼時,閉眼時を計測,次に裸足での開眼時,閉眼時の順に計4回行った.そして開眼時,閉眼時それぞれのAFO装着時の総軌跡長,外周面積と裸足時の総軌跡長,外周面積を比較した.統計処理にはWilcoxon符号付き順位和検定を用い,5%未満を有意水準とした. 【結果および考察】開眼での総軌跡長はAFO装着時に159.6±63.7cmであり,裸足時に282.7±136.5cmであった(p<0.05).外周面積はAFO装着時に7.2±5.9cm2であり,裸足時に9.5±5.2cm2であった(p=0.08).開眼では総軌跡長にて有意差を認め,外周面積では有意差は認めなかったものの裸足時に比べAFO装着時では平均値が減少していた.閉眼での総軌跡長はAFO装着時に230.5±89.4cmであり,裸足時に282.7±136.5cmであった(p<0.01).外周面積はAFO装着時に12.7±8.5cm2であり,裸足時に18.1±11.2cm2であった(p<0.01).閉眼では総軌跡長,外周面積ともに有意差が認められた.この結果からAFO装着は立位バランスの向上に有用と考えられた.この理由としてAFOが麻痺側足部を固定し,関節の自由度を制約したことにより安定性が増したことが考えられた.また閉眼では外周面積においても有意差を認めたため,閉眼のような視覚を遮断し,体性感覚が優位となる難易度が高い課題ではAFOの効果がよりみられやすいと考えられた.
著者
太田 至 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 内海 成治 佐藤 俊 北村 光二 作道 信介 河合 香吏 曽我 亨 湖中 真哉 内藤 直樹 孫 暁剛 中村 香子 波佐間 逸博 佐川 徹 白石 壮一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、第一に、アフリカの乾燥地域に分布する牧畜社会の人々が歴史的に培ってきた知識や技術、社会関係や文化など(「ローカル・プラクティス(LP)」)を再評価すること、第二には、この社会の開発=発展のためにLP を活用する道を探究することである。東アフリカの4カ国、12民族について現地調査を実施し、人々がLPに基づきながら激動する生態・社会環境に対処している様態を解明し、LPが開発=発展に対してもつ潜在力を総合的に再評価し、それを援用する道に関する考察を深めた。