著者
山崎 亮輔 浅木 信吾 馬場 暁 大平 泰生 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 サマンタ サチャ ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.59, pp.21-25, 2010-05-20
参考文献数
8

グレーティングカップリング表面プラズモン共鳴法は、金属で覆われたグレーティング基板上に入射した光の波数にグレーティングベクトルが足し合わさることによりプラズモンの波数と一致して表面プラズモンを共鳴励起する方法であり、プリズムを必要としないことなどから、実用的なセンサーへの応用が検討されてきている。我々は、金属格子上での白色光照射多重励起型表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサーへの応用を行ってきている。また、可視域で大きなエレクトロクロミズムを持つPEDOT-PSS/テルピリジン鉄錯体ポリマーを用いて、センシング感度の向上を試みている。今回、格子間隔の異なるグレーティングを用いてセンシングを行い比較・検討を行ったので報告する。
著者
馬場 暁 山崎 亮輔 大平 泰生 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 サマンタ サチャ ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.7-11, 2009-03-06
参考文献数
8

グレーティングカップリング表面プラズモン共鳴法は、金属で覆われたグレーティング基板上に入射した光の波数にグレーティングベクトルが足し合わさることによりプラズモンの波数と一致してSPを共鳴励起する方法であり、プリズムを必要としないことなどから、実用的なセンサーへの応用が検討されてきている。本研究では、金属グレーティング上での白色光照射多重励起型表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサーへの応用を行ったので報告する。また、可視域で大きなエレクトロクロミズムを持つPEDOT-PSS/テルピリジン鉄錯体ポリマーを用いて、センシング感度の向上を試みた。
著者
高久 洋暁
出版者
新潟薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

酵母Candida maltosaは蛋白質合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CYH)に対し、生育の一時停止後に再び生育が回復する誘導的耐性を示す。これは、CYH添加後、転写活性化因子C-Gcn4pが、CYH耐性L41リボソーム蛋白質遺伝子(L41-Q)の転写を誘導し、CYH耐性型リボソームが合成されることに起因する。CYH添加後及びヒスチジン飢餓を誘導する3-AT添加後の転写活性化因子C-Gcn4pの制御をmRNA、蛋白質レベルにおいて解析するため、GFP又はHAタグと融合したC-Gcn4pの検出を試みたが、十分に解析できるレベルのものは構築できなかった。そこでFLAGタグ融合型C-Gcn4pを用いたところ、機能も相補、検出感度も解析に十分であった。FLAGタグ融合型C-GCN4をC-GCN4破壊株に導入し、3-AT或いはCYH添加後のC-GCN4mRNA、蛋白質レベルの解析を行った。3-AT添加後、C-GCN4mRNA量の上昇率以上にC-Gcn4p量の上昇率が大きかったので、転写、翻訳段階における制御、特に翻訳制御が大きく寄与していることが示唆された。CYH添加1時間後、C-GCN4 mRNA量は一時的に大きく上昇するが、逆にC-Gcn4p量は減少した。その後、C-GCN4mRNA量は減少するが、逆にC-Gcn4p量は増加し、CYH添加前の約1.5倍まで上昇し、一定となった。すなわち、CYHによるmRNAの安定化で一時的にRNA量は上昇するが、CYH添加直後の蛋白質合成は厳しく抑制されるためにC-Gcn4p量は減少したと考えられた。その後、C-Gcn4pの上昇ともにL41-Q転写誘導が促進されたが、C-Gcn4p量が一定量になったにもかかわらず、転写誘導効率がその後数時間上昇し続けたことから、C-Cpc2pなどのC-Gcn4p活性調節因子の関与の可能性が考えられた。
著者
澤井 志保 暁 清文 秦 龍二 出崎 順三 朱 鵬翔
出版者
愛媛大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

虚血性難聴モデル動物に骨髄造血幹細胞を用いた再生治療を試みた。内耳虚血負荷を加えた砂ネズミに骨髄造血幹細胞を内耳に移植すると、聴性脳幹反応(ABR)の虚血性障害が有意に改善した。更に蝸牛を摘出し、有毛細胞の細胞死の有無を検討すると、幹細胞治療群で有意に内有毛細胞の虚血性細胞死が抑制されていた。次いで細胞死抑制機構における骨髄造血幹細胞の役割を検討するために、骨髄造血幹細胞を蛍光色素でラベリングし経時的に細胞動態を調べると、内耳に移植された骨髄造血幹細胞は鼓室階に留まっており、内有毛細胞に再分化したり、障害を受けた内有毛細胞と融合した骨髄造血幹細胞は見いだせなかった。従って内耳虚血障害では、骨髄造血幹細胞が有毛細胞に再分化したり障害有毛細胞と融合して、有毛細胞を再生する可能性はほとんどないと考えられた。一方幹細胞は多分化・自己再生能以外に各種栄養因子を分泌することが知られている。そこで各種栄養因子を調べてみると、骨髄造血幹細胞治療群の蝸牛では有意にglial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF)のタンパク量が増大していることが明らかとなった。以上のことより、骨髄造血幹細胞は内有毛細胞に再分化したり、障害を受けた内有毛細胞と融合するのではなく、内耳でのGDNFの発現を増大させることで虚血性内耳障害を軽減させることが明らかとなった。今回の検討では残念ながら骨髄造血幹細胞からは有毛細胞の再生は認められなかった。そこで現在有毛細胞自身の再生を目指して、胚性幹細胞を用いた分化誘導実験を行っている。これに成功すれば有毛細胞を直接再生することが可能となり、再生治療の新たな手法を開発できるものと考えられる。
著者
中村 仁彦 山根 克 杉原 知道 岡田 昌史 関口 暁宣 大武 美保子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

1.力学的情報処理理論力学敵情報処理を行うメカニズムの設計法として,多項式および物理的力学系を用いた手法を確立した.また,力学系の可塑性パラメータを導入し,その可塑性に基づく学習と発達のモデルを構築するとともに,力学的引き込み現象としてのコミュニケーションモデルを実現した.2.ミラーニューロンの数学モデル隠れマルコフモデル(HMM)を用いたミラーニューロン数学モデルとその計算法を確立し,HMMの多重階層化による行為の抽象化を実現した.また,常識データベースをもつ言語解析システムと多重階層化ミラーニューロンモデルとの結合を行った.3.ヒューマノイドロボットによる行為の受容と生成の実験従外力運動をするヒューマノイドロボットの試作を行い,人間動作計測に基づいて動作パターンを獲得して制御系を設計する手法を開発した.また,ヒューマノイドロボットと力学情報処理および言語解析システム,行動受容生成システムの結合実験を行った.4.人間の筋・骨格詳細モデルによる大規模センサリ・モータ系のシミュレーションモーションキャプチャデータに基づく筋張力の推定と動力学シミュレーションを行う手法を開発した.また,人間詳細モデルの動力学計算の並列計算による高速化を実現した.大規模センサリ・モータ系としてのヒューマンキデルシミュレータを開発し,力学的情報処理モデルとの結合を実現した.
著者
姫岡 とし子 中川 成美 池内 靖子 松本 克美 立岩 真也 二宮 周平 松井 暁
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、1、労働概念が男性の多い有償の経済労働を中心に組み立てられ、2、職業/家事、正規社員/パートなどジェンダー問でさまざまな境界線が引かれ、3、労働法も中立ではなく、4、労働研究がジェンダーの構築に関与している、という多様な意味合いで、労働がジェンダー化されていることを出発点とした。そして概念、制度、労働分担、働き方、セクシュアリティなどにいかにジェンダーが組み込まれているのかを、その変容過程も含めて考察し、また分析するために、歴史、社会学、法学、政治学、経済学、表象の分野で学際的な研究を行った。本研究では、労働の脱ジェンダー化に向けての提案も行った。本研究の過程で、「労働のジェンダー化」シンポジウムを開催し、制度面と表象面の2つの側面から、買売春やアンペイドワークなど、従来の労働概念に含まれていない労働も含めて考察した。その成果は、『労働のジェンダー化-揺らぐ労働とアイデンティティ』として平凡社から2005年に公刊されている。労働のジェンダー化は、家族と密接に関連している。家族については、歴史的観点から、日独の近代家族の形成と現在における家族の個人化について考察し、未完に終わったととらえた資本制と家父長制をめぐる論争に関して、性別分業がなお存在しつづけている理由とそこから誰が利益を得ているのかが検討された。家族法では、女性差別撤廃条約の視点から民法改正がなされる必要性が指摘された。また教育現場のセクシュアルハラスメントに関して、当該機関に環境配慮義務のあることが指摘された。表象については、アングラ演劇をマスキュリニティ構築のパフォーマンスとして読み解いている。
著者
傅 暁宇 浦浜 喜一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.303-306, 2011-04-01

主要物体の形状を保って画像のサイズを変える重要度拡散リサイジング法において,重要度を複数の行や列に拡散させ,同時に画素値の色も拡散させる拡張法を提案し,重要度を両隣の行や列に拡散させるだけの方法よりも画素値の不連続や物体ひずみ,ジャギーなどが低減されることを実験で示す.
著者
景浦暁
雑誌
別冊整形外科
巻号頁・発行日
vol.22, pp.161-164, 1992
被引用文献数
1
著者
岸 政七 袁 暁輝
出版者
愛知工業大学
雑誌
愛知工業大学研究報告. B, 専門関係論文集 (ISSN:03870812)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.219-223, 1994-03

Signals transmitted over poor radio channels are interfered by fading noise to be degraded in speech quality. The short time DFT (ST DFT) compander has successfully excluded envelope detection owing to employing concept of instantaneous spectrum instead of employing approximated AM demodulation in realizing the envelope detectors. This ST DFT compander is able to reduce fading noise to improve speech quality over poor radio channels without any distortions. The ST DFT compander is discussed in this paper to optimize their structures and is also discussed to be sufficient in noise reduction both from theoretical analysis and computer simulations.
著者
柳井 徳磨 後藤 俊二 杢野 弥生 平田 暁大 酒井 洋樹 柵木 利昭 吉川 泰弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.41-48, 2003-03

サル類,特にマカク属において結核症は依然として重要な感染症である。アカゲザルに発生した牛型結核症および非定型抗酸菌症(鳥型結核菌症)の病理学的特徴について示す。アカゲザルの群れに牛型結核菌症が集団発生した。13例が急性の経過で瀕死に陥り,剖検では,肺,脾臓,肝臓,リンパ節および胸壁に著明な黄白色結節が認められた。組織学的には,いずれも肺および付属リンパ節,肝臓および脾臓に中心部が高度な乾酪壊死を示す結節状病変がみられた。結節状病変では,中心部は高度に乾酪壊死し、これを取り囲んで類上皮細胞,稀にランゲルハンス型巨細胞,さらにリンパ球の浸潤が認められた。抗酸菌染色では,乾酪壊死巣内には,少数の陽性桿菌が認められた。一方,非定型抗酸菌は,SIVに感染し免疫抑制状態にあるアカゲザルの腸管の粘膜と腸間膜リンパ節に肉芽腫性病変を引き起こした。多数の抗酸菌を容れた泡沫様大食細胞が肥厚した腸管粘膜および腸間膜リンパ節に認められた。マカク属は結核菌と非定型抗酸菌の双方に高い感受性を示すことから,集団発生の可能性に留意する必要がある。
著者
大島 久雄 勝山 貴之 古屋 靖二 中村 未樹 高森 暁子 道行 千枝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

『テンペスト』受容におけるテキストと言説の関係性とその役割を受容事例分析により明らかにし、受容におけるインターテキスチュアリティの重要性を検討し、インターテキ・スチュアリティ受容批評理論の構築を目指した。特に植民地主義・労働、記憶・歴史、モンスター・異常出産、所有・支配、階級・衣服、メタシアター、王政復古期性・政治等の諸言説とのインターテキスチュアリティの受容に意味機能を具体的に検討し、原作上演当時から現代の翻案『プロスペロの本』や『蜷川テンペスト』に至るまでの個々の『テンペスト』受容について、その歴史性・地域性を重視した事例研究を行った。研究成果としては、The VIII World Shakespeare Congress(Brisbane,2006)において"The Discourse of Master-Servant Relationships in The Tempest"(大島)、第46回シェイクスピア学会(早稲田大学,2007)において「『テンペスト』における衣服」(高森)等、研究発表を行い、各分担研究は報告書兼論集『「テンペスト」受容研究:テキストと言説とインターテキスチュアリティ』(2008)に論文としてまとめ、国内外関連研究機関・研究者に配布した。各時代・地域でのテキストと言説が織り成す多様なインターテキスチュアリティの中、近年のシェイクスピア国際化の加速により、『テンペスト』は、多岐に分化するシェイクスピア受容の典型であり、受容研究におけるインターテキスチュアリティの重要性は益々高まっている。The 7th Triennial Shakespeare Congress(Rhodes University,2007)での"Location and Intertextuality in Ninagawa Tempest:Zeami/Prospero on a Sado Noh Stage"、シェイクスピア協会主催マクラスキー教授セミナー(同志社大学,2006)での"The Throne of Blood and Kurosawa's Intertextual and Crosscultural Transplantation of Macbeth"等のシェイクスピア受容事例研究を行い、受容研究へのインターテキスチュアリティ批評理論の有効性を検証した。
著者
小泉 智恵 菅原 ますみ 前川 暁子 北村 俊則
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.272-283, 2003-12-05
被引用文献数
4

働く母親における仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが母親自身の抑うつ傾向にどのような過程を経て影響を及ぼすのか,そのメカニズムを検討することを目的とした。仮説として仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーの抑うつ傾向に対する直接的影響と,仕事ストレツサー,労働時間,子どもの教育・育児役割負担によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが子育てストレス,夫婦関係を介して抑うつ傾向に及ぼすという間接的影響が提出された。方法は,小学校高学年の子どもをもつ有職の母親で配偶者のある者(246名)と同学年の子どもをもつ無職の母親で配偶者のある者(131名)を対象として質問紙調査をおこなった。有職母親群の分析結果で,分散分析により仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると抑うつ傾向が高くなるという直接的影響がみとめられた。パス解析により仕事ストレツサー,労働時間の増加によって生起した仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが多くなると,夫婦間の意見の一致を減少させ,子育てストレスを高めることを介して抑うつ傾向を上昇させるという間接的影響がみとめられた。考察では仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーが抑うつ傾向に影響しないようにするには,夫婦関係と子育てに関して介入,支援をおこなうこと,仕事ストレツサーの低減と労働時間の短縮が有効である可能性が論じられた。
著者
樫村 志郎 山崎 敬一 南方 暁 棚瀬 孝雄 米田 憲市
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

紛争処理は広く合意型と裁定型に分けることができる.合意型の紛争処理においては,紛争処理過程の開始,進行とその結果が紛争当事者による承認ないし規範受容に結合されている(ただし,裁定型の紛争処理でも,紛争解決の最終結果の規範的妥当性が,制度的規範により構築されるにとどまり,その過程や結果の解釈等は,かなり紛争当事者の規範受容によって構築されたり影響されたりする).本研究では,合意型の処理において当事者の間のどのようなコミュニケーションがなりたっているのかを知ることを主眼として,エスノメソドロジーの知見を参考にしながら,複数の研究を行った.(1)まず,法社会学の研究と理論における,非公式紛争紛争研究のレビューを行った.(2)その上で,理論的分析としては,法的コミュニケーションを単なる相互了解としてではなく,法的場面を存立させるための根源的かつ基盤的作用をもつものとしてとらえる社会学的視角の総合と洗練を行った.(3)以上の理論的分析の上にたつ,経験的分析としては,まず,紛争当事者と法的専門家が公式・非公式の紛争処理の準備のために事件の分析を行う法律相談場面.紛争当事者と紛争解決者が合意にもとづく紛争解決を達成するために事件の分析を行う調停場面(シミュレーション)をとりあげて,詳しい分析を行った.(4)この経験的知見を確かめるために,人が日常的場面を理解しようとする際に規範へと言及する場面を半実験的に構成し,法制度的場面と比較した.これらの結果として,本研究は,理論的ならびに経験的分析を組み合わせて,合意型の紛争処理過程が,独特の制度的規範構造のもとで起こるコミュニケーションとして,日常的なコミュニケーションと区別されることを示すことに成功した.
著者
林 宏暁 牧野 茂樹 北谷 健 塩田 貴支 篠田 和典 田中 滋久 青木 雅博 笹田 紀子 直江 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.245, pp.187-190, 2009-10-15

高速,低チャープ,小型,低消費電力といった特長を有する電界吸収型光変調器と分布帰還形レーザをモノリシック集積したEA/DFBレーザは,次世代高速通信用光源として有望である.ペルチェ素子による温度調整を必要としない,いわゆるアンクールド動作が実現できれば,さらなる低消費電力化が可能である.我々はこれまでにEA/DFBレーザを作製し,0〜85℃の広い温度範囲において1.55μm帯10Gbps 40km,80km伝送を実現してきた.本研究では1.3μm帯アンクールドEA/DFBレーザを開発し,Al系材料を変調器部に適用しバットジョイント法を用いた集積技術および低容量化技術により,広い温度範囲における43Gbps 10km単一モードファイバ伝送を世界で初めて達成したので報告する.
著者
〓 春明 越田 淳一 森山 典子 王 暁丹 有働 武三 井上 興一 染谷 孝
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.865-874, 2005-12-05
被引用文献数
10

九州各地の堆肥化施設23カ所から,牛糞,鶏糞,生ゴミおよび下水汚泥を原料とした堆肥計29点を採取し,糞便汚染指標菌(大腸菌群,大腸菌およびサルモネラ菌)について培養検査した。1)これら堆肥試料のCECは31.4〜79.0cmol_ckg^<-1>の範囲(平均55.4cmol_ckg^<-1>)で,炭素率(C/N比)は7.6〜25.4の範囲(平均15.3)にあり,他の性状と合わせ,多くが完熟堆肥であると判断された。2)デスオキシコーレイト寒天培地により大腸菌群が29点中11点(38%)から検出され10^2〜10^6cfug^<-1> dry matterの菌数レベルであった。大腸菌群陽性堆肥試料4点のうち3点からの分離株は,大腸菌群に属するE. coli, E. vulneris, Pantoea sp., Buttiauxella agrestisと同定された。しかし,Serratia marcescensのみが分離された試料が1点,本菌とE. coliが分離された試料が1点あった。大腸菌群には属さない腸内細菌科の細菌であるS. marcescensは赤色色素を生産するため,分離培地上で大腸菌群の赤いコロニーと誤認されたものと推察された。一方,得られたE. coli5株は,病原大腸菌免疫血清試験ですべて陰性であった。3)堆肥試料12点についてクロモカルト・コリフォーム培地による大腸菌の直接培養検査およびMLCB寒天培地によるサルモネラ菌の検出を試みた結果,大腸菌はいずれの試料からも検出されず,サルモネラ菌は2点(17%)から検出され,その菌数は10^3cfug^<-1> dry matterのレベルにあった。4)堆肥原料(牛糞,鶏糞,生ゴミ等)8点のうち大腸菌群およびサルモネラ菌がいずれも6点(75%)から,大腸菌が5点(63%)から検出され,菌数はいずれも10^2〜10^8cfug^<-1> dry matterであった。5)堆肥製造施設6カ所における堆肥化過程での糞便汚染指標菌の消長を7例について追跡した結果,糞便汚染指標菌が減少して製品中で消失する場合,いったん消失するが製品で再度検出される場合,全く消失しない場合,原料から製品まで検出されない場合の4通りが観察された。発酵温度が高くてもサルモネラ菌などが生残する場合があり,その原因について,再増殖や交叉汚染の可能性を考察した。6)上記の諸結果に基づき,堆肥の製造過程における温度管理や交叉汚染防止などの適切な衛生管理の重要性を指摘した。
著者
倉地 暁美
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

米国では多文化教育の研究成果は膨大にあるが、(1)多文化的な感受性(multi-cultural sensitivity)を有し、文化の多様性に柔軟に対応できる教師は極めて少数であり、(2)そうした少数の教員の文化に対する態度がいつ、どこで、何を契機に形成され、周囲のどんなサポートを得てそれを維持し続けているのか、(3)彼らの学生は日本をどのようにイメージし、日本語学習に何を求めているのかを明らかにすることは、日米両国の学術交流やグローバル時代の人材育成・教員養成のあり方を模索する上で有益である。そこで本研究では、前の科研で実施した国内での調査結果を踏まえ、米国の大学で日本語教育に携わる教師に対する民族誌的インタビュー、授業観察、学生への質問紙調査を実施し、(1)文化中心主義に基づく偏見やステレオタイプ形成の危険性を認識し、文化の多様性に柔軟に対応できる教師が、いつ、どこで、何を契機にそのような態度を獲得し、(2)現在どのような職場環境の中でそれを維持しているのか分析した。一方、本研究では、フィールドワークの過程、及び結果分析の段階(調査対象者に対するインタビュー、授業観察、学習者に対する質問紙・面接調査の過程やデータ分析の段階)において、いかに調査者の背景、哲学、価値観が分析・考察に反映しているかをより鮮明にするために、研究協力者と研究者が相互にインタビューを行い、お互いの背景や文化観、価値観がどのようなものであるのか、研究者自身の認知枠や文化観及びその背景を明らかにするための新しい研究手法として「3者間インタビュー」を考案し、その第一段階の施行を試みた。本研究は質的研究におけるより有効な手法を開発・提案すると言う点においても創発的であり、研究領域を超えた新しい研究方法の開発は、学術的にも大きな意味をもつものと考えられる。
著者
古澤 賢治 路 林書 中川 信義 李 暁西 植田 政孝 LU Lin shu LI Shao Xi 路 林暑
出版者
大阪市立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1.本研究は、中国の産業立地と広域経済圏の発展可能性を主たる課題とした.調査対象としては,北京,天津,山東,遼寧を含む環渤海領域と上海デルタを「竜の頭」とする長江経済圏を軸にし,それらの比較をしたいと考えた.広大な中国の研究は対象を絞り込まねばならないが,同時に中国の多様性を実際に体験し,様々な状況を比較検討する素地を固めることも不可欠である.2.具体的な研究課題としてはまず,90年代前半の大幅な外資導入によって引き起こされた中国各地の変化についての状況認識し,その意義を分析することであった.外資導入により,中国各地の変化は確かに急速であり,投資環境の整備で産業立地の改善は大きく進展した.とはいえ,各地の一部の指導者には中央政府の援助と外資導入に依存することを望むだけの者もいる.3.次の研究課題は,企業間,地域間の協力関係の進展についてであった.我々は各地における地域連携システム確立による広域経済圏の形成を調査した.しかし,企業の自律性は依然として行政的に阻害されており,地域間の協力関係は展開できないでいるのを改めて認識させられた.社会経済構造の根本的変革は容易ではなく,市場経済の発展に不可欠な地域経済の自由往来は思ったほど進んでいない.4.今回の調査研究ではまた,自動車と家電産業を中心に外資企業の進出状況と中国各地の産業拠点政策についても認識を深めた.国際的技術水準における格差は別にして,外資企業の中にも現地化に努力し,中国の技術者を養成する姿勢を示すものも多い.さらに各地の指導者の多くが,それぞれの特色を生かした発展の重要性を自覚し始めているように見えた.