著者
黒田 貴綱 曽根 賢 大澤 啓志
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.687-690, 2019-03-29 (Released:2019-07-03)
参考文献数
21
被引用文献数
2

“Ukiya no Sato” in the central part of the Kanto Plain, Japan, contains a mix of agricultural lands, such as paddy fields, and semi-natural grasslands, such as wetlands, and harvest mice (Micromys minutus) are found in both habitats. In this study, we investigated the nesting habits of harvest mice and the formation of semi-natural grasslands in this region to examine the conservation status of each. We observed many harvest mouse ball nests in the paddy fields on the plains, which were a long distance from the hilly and mountainous areas. It was inferred that the wetlands helped to maintain the mouse population through geographical and hydrological factors, as well as historical factors related to rural development. It was noteworthy that harvest mice in the study area particularly used the wetland species Carex dispalata as a nesting material and that the timing of leaf growth overlapped with the harvest mouse breeding season, indicating that this species was positively used as a nesting plant. From the viewpoint of conservation of the harvest mouse in the study area, it was considered necessary to shift to various plant communities in the wetland environment by improving the site condition closer to the wet side.
著者
中川 美緒 樋口 智子 寺岡 由貴 曽我 賢彦
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.36-42, 2019
被引用文献数
3

<p> 口腔粘膜障害の創部保護を行い,疼痛を緩和する医療機器 「エピシル<sup>®</sup> 口腔用液」(ソレイジア・ファーマ株式会社,東京)が2018年4月に保険適用された。しかし,本邦で本機器の疼痛緩和効果および使用感等についての報告はない。そこで本院で造血細胞移植を受け,口腔粘膜障害の疼痛を訴えた4名の患者を対象とし,症例研究を行った。使用後5分において,4人のうち3人でペインスコアが減少し,その後30分から120分にかけて口腔内疼痛は概ね同等で推移した。2名が味覚の変化および刺激感について,1名が不快感について 「少し気になる」 と回答したが,使用後2時間の評価時間の後,全員が継続使用を希望した。有害事象および機器としての不具合の発生はなかった。エピシル<sup>®</sup> 口腔用液は,造血細胞移植患者を対象として,疼痛をはじめとする口腔粘膜障害による不快感を緩和することを示唆した。</p>
著者
香西 伸彦 冨高 晶子 曽和 順子 赤松 浩彦 竹内 誠 松永 佳世子 鈴木 加余子 大竹 直樹
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.234-236, 2003-06-01
参考文献数
7
被引用文献数
1

土木作業中に200V電圧の電流で感電し受傷した42歳男性の電撃傷を報告した。両前腕,右手背に電流斑を認め,右側は手背より流入し前腕より流出し,左側はスイッチより流入し前腕より流出したと考えた。局所的な筋組織の損傷程度,範囲の確定には,MRIが有用であった。減張切開術,デブリードマンおよび人工真皮貼付と全層植皮術を二期的に施行した。術後リハビリを施行し,軽度手指関節の拘縮を認めるが運動機能はほぼ改善した。
著者
細谷 和範 高山 由暉 加藤 学 井上 浩行 曽利 仁 漆原 史朗 杉本 大志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2A1-G05, 2018

<p>In this research, a novel rough terrain track mechanism for agricultural robot and levee weed robots was developed. Soft and long spike track provides enough shear forces by insert the comb like soft spikes on weed covered steep slopes which we can often see along rice field. In addition, spikes are composed of flexible materials to enable running on uneven surfaces and muddy areas. In this report, a relationship between the spike length and the climbing performance on the grass covered slope will be described.</p>
著者
小木曽 一之 串間 敦郎 安井 年文 青山 清英
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.449-462, 1997

The puropose of this study was twofold: (a) to investigate the pattern of change in the sprinting speed that is the final results of the sprinting movements, and (b) to find out whether the characteristics in the sprinting speed change due to the differences in age, sex, sprinting ability and training status. One-hundred thirty male and 123 female ordinary students aged 6 to 18, and 30 male and 23 female sprint runners aged 9, 10, 11 and 18 participated in this study. They were instructed to excute an exhaustive sprinting. Sprinting times ranged from about 20 to 30 sec. The elapsed times were measured every five meters in their sprinting. In the analysis, the polynomial curve fitting from 5th-degree to 9th-degree was used for the predictions of the sprinting distances with respect to the elapsed times every 0.1 sec. From the relations of the distances to times the following speeds were computed: 1) the sprinting speed that was computed by differentiating the sprinting distance, and 2) the average speed form start to the elapsed time every 0.1 sec. The sprinting speed reached the peak speed after about 6to 7 sec from start. The average speed showed the peak speed after about 15 sec from start. These characteristics with respect to time remained unchanged despite the differences in age, sex, sprinting performance and training status. The time at the maximum average speed was particularly stable. The maximum average speed was about 90% of the maximum sprinting speed. This result also remained unchanged despite the differences in age, sex, sprinting performance and training status,respectively. These results indicate that the pattern of change in the sprinting speed with respect to time is rather constant without the distinction of age, sex, sprinting performance and training status. The sprinting performance, however, improved with age and by training. This result was mostly caused by the increase of the maximum sprinting speed with age and by training. These characteristics with respect to time and speed seem to cause the differences in the sprinting distance.
著者
杵渕 彰 小曽戸 洋 木村 容子 藤井 泰志 稲木 一元 永尾 幸 近藤 亨子 山崎 麻由子 田中 博幸 加藤 香里 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.180-184, 2014 (Released:2014-11-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4 5

今回,我々は,抑肝散の原典について『薛氏医案』を中心に検討した。抑肝散の記載は,薛己の著書では『保嬰金鏡録』(1550年)にみられ,また,薛己の校訂した文献では,銭乙の『小児薬証直訣』(1551年),薛鎧の『保嬰撮要』(1556年)および陳文仲の『小児痘疹方論』(1550年)に認められた。『保嬰金鏡録』および『小児痘疹方論』には,「愚製」と記述されていた。一方,熊宗立の『類証小児痘疹方論』には「愚製」の記載がなく,また,薛己校訂以外の『小児薬証直訣』には抑肝散の記載は認められないため,抑肝散は薛己の創方である可能性が高いと考えられた。これまで,抑肝散の原典は薛鎧の『保嬰撮要』とされていたが,今回,「愚製」の表現に着目して古典を検討したところ,薛己の父である薛鎧ではなく,薛己の創方であり,原典は薛己の『保嬰金鏡録』であると考えられた。
著者
曽我 知絵
出版者
九州工業大学
巻号頁・発行日
2010-03-01

九州工業大学博士学位論文 学位記番号:生工博甲第135号 学位授与年月日:平成22年3月24日
著者
渡部 雅也 楊 坤 Dinesh Malla 坂本 克好 山口 浩一 曽我部 東馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ディープラーニングと強化ラーニングは近年急速に発展しています。ゲームやロボット制御などの分野にディープラーニングを適用する多くの研究が大きな成功を収めています。本論文では、強化学習アルゴリズムであるAlphaZeroをゲームAIのためのこれまでにないレベルの多用途性を最適制御問題に適用する可能性を検証する。従来の制御メカニズムを使用することによって処理することが困難であると考えられているノイズの多い環境下で動作を制御するその能力についての洞察を得ることを目指している。
著者
遠藤(飛川) みのり 曽根 一純
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.95-104, 2017 (Released:2017-03-31)
参考文献数
14
被引用文献数
7

品質保持効果の高いイチゴ果実の輸送方法を確立することを目的に,新型容器およびMA包装を併用してイチゴ2品種を東南アジア2か国へ航空便および船便にて輸送し,品種別に包装資材を検討した.その結果,航空便においては‘福岡S6号’は伸縮性フィルム容器,‘おいCベリー’は宙吊り型容器を用いることで損傷程度の低減効果や果実硬度低下の抑制効果が期待できることが明らかになった.容器による品質保持効果が品種によって異なったことから,イチゴ果実の輸送において,容器および品種選定の必要性が示唆された.また,船便においては,損傷程度は新型容器により概ね低減されるものの,MA包装を併用することにより維管束のにじみなどが防止できることが明らかになり,新型容器に加えてMA包装の使用が推奨された.なお,MA包装の有無や品種,輸送条件を問わず損傷程度は損傷した果実の割合と高い相関を示し,イチゴにおいては損傷した果実の割合を元に損傷程度を評価できると考えられた.また,損傷する果実の割合を低下させるよう容器を改良することで,果実の損傷程度をより低減できる可能性が示唆された.
著者
木曽 隆 宮城 コマキ
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学マルチメディア教育研究センター紀要 (ISSN:13464264)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-11, 2004-03-31

昨今、インターネットを活用した遠隔教育は国内外を問わず広がりを見せている。本稿でとりあげる書道もまたそのひとつである。しかしながら、今までの書道遠隔教育の多くはあくまで「筆跡」の模写の域を出ず、「筆運び」といった『書道』の重要点を伝えるには限界があった。この問題に対し、我々は書道家玉舟の監修を得て双方向の動画通信による書道遠隔教育システムを実装し、運用を開始した。本稿では実装の基盤となるサーバーアプリケーションMacromedia Flash Communication Serverの概説とその実例の一つとしての書道教育システムを紹介する。
著者
田中 百香 藤井 佑梨奈 曽我 聡起
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会年次大会発表原稿集
巻号頁・発行日
vol.4, pp.69-70, 2015

<p>小学生が水族館などの施設見学をする際に、より深く理解してもらうためにデジタル教科書を利用することで、紙の教材では得られない情報の提示が可能になると考えている。</p><p>そのため、我々はApple社が無料で提供しているマルチタッチブック作成アプリケーションであるiBooksAuthorを用いて、HTMLwidgetをiBooks Author内に埋め込み、クイズ形式で理解を深めることが可能なデジタル教科書を作成する。ほかに、HTMLwidgetではHTML5を用い、小学生がタッチや移動などの操作を行うことで、より楽しくゲーム感覚で学べるようなものを検討している。また、先般iBooks AuthorコンテンツがiPhoneにも対応したことにより、i P h o n eで気軽に利用してもらえるようなデジタル資料となっている。本発表では、施設見学に来た小学生向けデジタル教科書を試作し、実演を交えて紹介する。</p>
著者
藤澤 令夫 小澤 和道 美濃 正 山本 耕平 木曽 好能 酒井 修
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

昨年度に続いて本年度も各研究分担領域で「壊疑」のもつそれぞれの意味と役割を究明し, 西洋哲学における壊疑論の歴史的変遷を跡づけることに努めた. 古代ギリシアでは後期に懐疑派が現れるが, この派の哲学の全体的特徴はセクストス・エンペイリコス著『ピュロン哲学の概要』に述べられている. それによれば懐疑哲学では判断保留とそれに伴う平静な悟脱の心境が問題とされ, 特にその判断保留の十箇の方式をめぐってはその著の第14章で詳述されている. 教父哲学ではアウグスティヌスによる新アカデミア派の懐疑論克服が問題とされるが, 彼の『自由意志論』第2巻では「神の存在論証」と相俟って真理の超越的独存性が立証され, 真の認識の成立根拠が確証される. 彼の影響下にある中世哲学では基本的には懐疑の問題は主要な関心事とはならなかった. このような哲学としてはトマスの哲学が取り上げられ, 彼のessentia概念の二義性が抽象説との関係において論じられる. 近世ではデカルトが一切のものに対して徹底して懐疑を行なった末にcogito ergo sumという不可疑的な真理の発見に到るが, これに対するストローソンの批判が考察される. 彼のデカルト批判によれば, cogito ergo sumを成立させる「私」という個体の存在は「私」以外の他の個体の存在を既に前提とする. つまり, 個体指示表現が有意味であるためには, 個体とそれ以外の個体との識別可能性の原理の働くことを認めねばならないと言えよう. 現代の英米哲学においても懐疑論に関係する多くの問題がみられる. その一つに, 経験的認識の証拠による不十分決定underdeterminationの問題が挙げられる. 今日の反実在論の多くはこの「証拠による不十分決定」に依拠している点である意味での懐疑論の変種とみなすことも不適切とは言えない. 又, 懐疑論・弁証法・解釈学・ニヒリズム相互の関係も本研究において深く問題としてきた哲学的・倫理的課題である.
著者
辻原 諒 小木曽 哲 佐野 貴司 石橋 秀巳
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

箱根火山は首都圏から最も近く,カルデラ形成噴火を数回繰り返してきた活動的な火山のひとつである.箱根火山における最大規模の噴火は,約6万年前に発生した,箱根火山における最新のカルデラである強羅潜在カルデラを形成した噴火(VEI 6)である.この噴火はプリニー式噴火で開始し,続いて火砕流が発生した.プリニー式噴火による降下軽石(箱根東京軽石)は南関東の広域でみられ,火砕流は噴出源から約50km遠方まで到達した(笠間・山下,2008).この噴火の準備過程を詳細に検討することは,同規模の噴火が今後も起こるリスクを評価する上で非常に重要である.そこで本研究では,降下軽石と火砕流堆積物中の本質物質を対象に噴火準備過程を検討した. 本研究で用いた試料は,神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯の谷底露頭から採取した.本質岩片として軽石とスコリアがみられ,軽石にはマフィックエンクレーブを持つものがみられた.本研究ではXRF(国立科学博物館)を用いた全岩主成分・微量元素組成分析を行い,偏光顕微鏡とSEM(京大理学部)を用いた組織解析と,EPMA(京大理学部)を用いた主成分化学組成分析を行った. 軽石は流紋岩からデイサイト(SiO2 =64-71wt.%)で,斜長石,斜方輝石,単斜輝石,磁鉄鉱,チタン鉄鉱,燐灰石,橄欖石の斑晶が見られた.スコリアは安山岩(SiO2=58-60wt.%)で,斜長石,斜方輝石,単斜輝石,磁鉄鉱,燐灰石,橄欖石の斑晶がみられた.マフィックエンクレーブは玄武岩から玄武岩質安山岩で(SiO2 ~52 wt.%),斜長石,磁鉄鉱,橄欖石の斑晶がみられた.ガラスと斑晶鉱物の化学組成から,斑晶鉱物と平衡共存するメルト組成が4種類存在することが示唆され,この噴火の直前のマグマだまりには組成的に異なる4種類のマグマが存在したことが考えられる.全岩化学組成はSiO2 ~67 wt.%で組成トレンドが異なり,SiO2 > ~67 wt.%の全岩化学組成トレンドと斜長石斑晶の組成累帯構造パターンから,噴火前のマグマは結晶分化作用を経験しており,SiO2 < ~67 wt.%の全岩化学組成トレンドと斜長石と橄欖石斑晶の組成累帯構造パターンから,噴火前のマグマはマグマ混合を経験していることが示唆される.Fe-Ti酸化物温度計と斜長石-メルト温度含水量計を用いると,噴火前のデイサイト質〜流紋岩質マグマの温度は820-880 ℃,含水量は4.2-7.2wt.%と見積られ,メルトが水に飽和していると仮定した場合,噴火前のマグマだまり最浅部の深さは5.5-10.5 kmと見積られる.橄欖石のFe-Mg拡散モデリングにより,最後のマグマ混合から噴火までの時間は30日-1年と見積られた. 以上より,次のような噴火準備過程を考察した.結晶分化したデイサイト質〜流紋岩質マグマが深さ≧5.5-10.5kmに存在し,そこに苦鉄質マグマが貫入・混合した.最後のマグマ混合から30日から1年程度経過後に噴火が開始した. 当時のマグマだまり最浅部の深さは,地球物理学的に見積られている現在のマグマだまりの深さ(~10 km: Yukutake et al., 2015) と概ね一致する.このマグマだまりが,今後“箱根東京軽石噴火”と同規模の噴火を起こす可能性を正確に評価するためには,“箱根東京軽石噴火”以降の噴火準備過程の変遷を明らかにする必要がある.
著者
曽我 雅比児
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.81-82, 1997

市民革命期の公教育プランにおいては科学の教育は重視されるが, 反動〜革命〜反動と勢力図が変転する19世紀フランスにおいて、科学教育の地位は不安定な状態におかれる。エリート養成を使命とし、それゆえ人間を考察する文芸教育が極めて重視されてきた中等教育においてとりわけそのことがあてはまる。しかし、産業化の進展にともない職業教育そしてそのための基礎教養として科学教育の必要性が主張されるようになる。1852年のフォルトゥル文相による専攻別クラス分け制度の創設はそのような世論に応える試みであったが、社会的認知を受けるに至らなかった。
著者
山口 晴美 阿曽 洋子 田丸 朋子 片山 恵 清水 佐知子 岩﨑 幸恵 上田 記子 Harumi Yamaguchi Yoko Aso Tomoko Tamaru Megumi Katayama Sachiko Shimizu Yukie Iwasaki Noriko Ueda
雑誌
武庫川女子大学看護学ジャーナル (ISSN:24240303)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.13-23, 2019-03-20

温熱作用に関して手浴が全身浴の代用が可能かについて、健康な女子大生18 名を対象に比較検証した。方法は、全身浴と手浴を別日に実施し、湯温約40℃の全身浴及び手浴を10 分間行いその後60 分安静とした。左右の手背・前腕・下腿・足背の8 箇所の皮膚温を連続測定し、温度感覚と快適感覚も調べた。全身浴と手浴は、どちらも左右の手背・前腕・下腿の皮膚温を上昇させ実施後60 分までその影響が続き、実施後60 分値に差がなく、基準値より有意に高く同様の温熱作用を及ぼした。温度感覚は、手浴と全身浴とも浸水していた手は実施後に高まり両者で差がなかった。手浴中湯外の部分は、実施後は全身浴より低いが、終了時には全身浴と差がなくなっていた。快適感覚は、手浴も全身浴も実施後の快適感は高まるが、終了時は手浴の方が高かった。以上より、手浴は全身浴の代用として有効であり、手浴の温熱作用は全身浴と比べて快適感が高い可能性が示唆された。