著者
五味 二郎 光井 庄太郎 工藤 康之 赤坂 喜三郎 小野 康夫 木村 武 川上 保雄 野口 英世 宮本 昭正 牧野 荘平 可部 順三郎 石崎 達 中島 重徳 熊谷 朗 野崎 忠信 富岡 玖夫 伊藤 和彦 斧田 太公望
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.599-612,614-61, 1973

気管支拡張剤ST1512(S群)の成人気管支喘息に対する薬効につき, metaproterenol(A群)およびinactive placebo(P群)を対照として, 頓用, 連用効果につき, 9施設による2重盲検試験を行った.open trialの結果から, Fisherの直接確率計算法により, 1群につき36例となり, 並列3群にあてはめれば3倍の108例前後の症例数でよいと考えられたため, 105例に達した時点で中間点検を行った.全例104例であり, S群34例, A群36例, P群34例で, 3群間にはback groundにおいて有意差はなかった.試験方法は, S群1錠(1mg), A群1錠(10mg), placebo1錠を投与し, 前および1時間後の自他覚症状, 肺機能を検した.医師の総合判定につき, H-test, U-testを行い, S群とP群間に危険率0.5%以下の高度の薬物差を認めたが, 危険率5%でS群とA群とP群間には有意差は検出されなかった.ついで薬効差につき, 詳細な3群判別分析を行い検討も行った.
著者
木村 栄一 斧田 太公望 宮原 光夫 金沢 知博 新谷 博一 水野 康 早瀬 正二 高安 正夫 戸山 靖一 木村 登 奥村 英正
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.347-358, 1974

新しく開発された抗不整脈薬prajmalium(propylajmaline)の経口投与による効果を,群問比較による二重盲検法を用いてajmalineおよびinactiveplacebo のそれと比較した.1分間数個以上の期外収縮を有する78例に上記薬剤を1週間投与し,来院時における期外収縮数の減少度を目標として,3薬間の比較を行なったが,有意の差はえられなかった.しかし分析の結果,1分間10個以上の期外収縮を有する例を対象とするならば,prajmaliumがajmalineおよびinactiveplaceboより有効だという成績がえられるであろうとの推定がなされた.一方,主治医の評価による総合判断を用いた時には,3群間に有意の差のあること,さらにprajごnaliumがi捻activeplac¢boより有意の差をもってすぐれていることが知られた.また多変量解析により分析を行なうに,期外収縮数の消艮,心拍不整感およびめまいが主治医の総合判断に強く影響していることが知られた.なお,本剤は発作性心頻拍や発作性心房細動の予防にも有効であることが期待されるが,症例数が少ないため参考データとするに止めた.本剤の副作用として最も重大なのは肝機能障害の発生であるが,分析の結果,心胸比の大きな例でS-GOTの上昇をきたしやすいことがわかった,したがって心臓の大きなもの,始めからS-GOTや3GPTの高いものには,投薬にさいし注意することが必要である.
著者
植田 清文 木村 雅友 筑後 孝章 土橋 千琴 上杉 忠雄 佐藤 隆夫
出版者
The Japanese Society of Clinical Cytology
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.290-294, 2012

<b>背景</b> : アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎 (allergic fungal rhinosinusitis : AFRS) は真菌に対するアレルギー反応が原因とされる再発率の高い難治性鼻副鼻腔炎である. 本邦では AFRS の存在があまり認識されておらずまれな疾患と考えられている. 今回 AFRS を経験し副鼻腔内容物を材料とする塗抹細胞診が実施されたので報告する.<br><b>症例</b> : 42 歳, 女性. 2 年前に左副鼻腔真菌症と診断され手術されたが完全な治癒にはいたらず, 今回その再発と考えられる真菌性汎副鼻腔炎となり内視鏡手術が施行された. 副鼻腔からピーナツバター様物質が採取されその組織標本に散在する菌糸を含むアレルギー性ムチンが確認された. その 1 週間後, 前頭洞から鼻腔内に漏出した同様の検体の塗抹標本で組織標本同様にアレルギー性ムチンがみられ少数の真菌が散在していた.<br><b>結論</b> : 副鼻腔炎からの検体において細胞診での背景が粘液の場合, AFRS を念頭におき, アレルギー性ムチンを確認することが重要である. 細胞診標本は組織標本より厚みがあり, 菌を見出す確率が高く, また菌糸形態の観察に有用である.
著者
森本 恵子 鷹股 亮 上山 敬司 木村 博子 吉田 謙一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.マイルドな精神的ストレスであるケージ交換ストレス(CS)による血漿ノルエピネフリン(NE)増加反応は、雄ラットにのみ見られるという性差が存在し、これは昇圧反応の性差の原因と考えられる。このメカニズムとして、雄では一酸化窒素(NO)がNE増加を促進させることが示唆された。2.卵巣摘出ラットでもCSストレスによるNE増加反応が見られるが、エストロゲン補充により抑制される傾向があった。また、エストロゲン補充により安静時の血漿NO代謝産物(NOx)が増加する傾向があり、逆に、酸化ストレスマーカーである4-hydroxy-2-nonenalは低下した。3.エストロゲンの中枢神経系を介したストレス反応を緩和するメカニズムについて検討した。c-Fosタンパク質を神経細胞活性化の指標とし、各脳部位におけるCSストレスの影響とそれに対するエストロゲン補充の効果を免疫組織化学法を用いて測定した。その結果、CSストレスにより卵巣摘出ラットでは、外側中隔核、視床室傍核、弓状核、視床下部室傍核(PVN)、視床下部背内側核(DMD)、青斑核(LC)でc-Fos発現が有意に増加したが、正常雌では増加は見られなかった。しかし、卵巣摘出後にエストロゲン補充を行なうとPVN、DMD、LCではc-Fosの増加が抑制された。さらに、LCではストレスによるカテコラミン産生細胞の活性化が、エストロゲン補充により有意に抑制されることが判明した。同部位では、エストロゲン受容体αの存在が免疫染色で確認でき、エストロゲンの直接作用の可能性が示唆された。また、PVN小細胞領域では、エストロゲン補充はNO産生ニューロンのストレスによる活性化を促進することを見いだした。これはエストロゲンの抑制作用におけるNOを介したメカニズムを示唆している。以上の結果より、エストロゲンは末梢血管系においては酸化ストレス抑制作用によって、中枢神経系ではPVN、DMD及びLCの神経細胞に対する抑制作用によって、ストレス反応を緩和する可能性が示唆された。
著者
木村 弥生 戸田 年総 平野 久
出版者
日本電気泳動学会
雑誌
電気泳動 (ISSN:21892628)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.5-8, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
3

タンパク質は,翻訳後修飾(PTM)を受けて,その性質を多様に変化させる.そのため,タ ンパク質の機能を理解する上で,質量分析装置を用いた網羅的な解析によって取得できるPTM情報が重要になる.しかし,このような解析によって取得できるタンパク質のPTM情報の大部分は有効活用することができない.そこで,私たちは,PTM情報を統合し,管理するためのシステムを構築し,さらには,タンパク質のPTM情報を集めた独自データベース,ModProt(Post-Translational Modification Map of Proteome)を作成した.今後,ModProtは,PTM研究を推進するための重要なツールとして,また,PTMを標的とした個別化医療実現に向けた強力なツールとして,様々な研究に応用されることが期待される.
著者
松本亦太郎 木村鷹太郎訳
出版者
冨山房
巻号頁・発行日
1903
著者
高橋 翼 中村 寛子 木村 啓志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00560-16-00560, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
16

Nowadays, in vitro fertilization (IVF) of mammalian embryos is an essential technique in the reproductive technology and other related life science fields. However, the fertility rate by this technique is still less than 25%. Therefore, a novel in vitro fertilization method which obtains high fertility rate has been highly desired to the reproductive technology. In this study, we proposed and developed an in vitro embryo production device which allows three steps of sperm selection, fertilization and culture on a microdevice. To realize this concept, we integrated the sperm sorting function combining with swim-up and swim-down methods onto the device. To evaluate the device functions, sperm sorting experiment, in vitro fertilization experiment, and embryo culture experiment have been carried out. As results, we concluded that the device has ability to produce high quality embryos by integrating the sperm sorting function. This concept will open and enhance the management of in vitro fertilized embryos for assisted reproductive technology, livestock breeding, and fundamental stage research by further development.
著者
木村 洋
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.1-16, 2013-05-15 (Released:2017-06-01)

In 1903 a high-school student, Fujimura Misao, committed suicide, leaving a note stating that "The truth of all matters can be described in one word : mysterious." This strange incident stirred up a great deal of public discussion, and three years later, in 1906, a directive was issued by the Ministry of Education in an effort to chastise and control students sympathetic to Fujimura. This study sheds light on the way the Naturalist Movement reacted to the authorities' treatment of the incident. What is particularly noteworthy is the provocation supplied by conservative critics and educators who fiercely attacked Fujimura and the influence literature had on his suicide. Their attacks grew fiercer as they built close ties with the authorities. It seems that those who participated in the Naturalist Movement were keenly aware of this development: that encouraged them in carrying out their slogan, "Overcoming the Old Virtues, Destroying the Conservative Ideology." This also engendered a literary approach that valued depth of sympathy for Fujimura's mental struggle. Furthermore, this development was closely tied to the advent, as the leading author of Naturalism, of Kunikida Doppo, a writer who had previously overcome a great deal of adversity.
著者
木村 秀政
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所報告
巻号頁・発行日
vol.13, no.169, pp.453-471, 1938-09

In this report, some problems concerning the corrections to the measured results of take off run of an aeroplane are discussed. All the examples of test results referred to are those on the Koken long-range monoplane on a concrete runway. The take off run of an aeroplane depends to a large extent on how the aeroplane is piloted at the moment of leaving the ground, that is to say, at what speed the aeroplane takes off. Since the personal difference of the pilotage is unavoidable, the results of take off tests on an aeroplane, though corrected to the no wind and standard atmospheric conditions, are very scattered, as shown, for example, in Fig. 10, where measured take off runs are plotted against weight. In order to use the test results for the purpose of the estimation of take off run at the overloaded condition, or for the comparison of take off characteristics between different propellers, the effect of the personal difference must be eliminated. The method of reduction is simple and practical as the following. (1) Plotting the measured take off speeds, corrected to the no wind condition, against weight, draw the mean take off speed curve as shown in Fig. 7. (2) Calculate or measure Δs, the variation of take off run, due to ΔV, the difference between the actual take off speed and the mean value, as shown in Fig. 8. Using these two figures, the measured take off run will be easily reduced to that if the aeroplane took off at the mean speed. By the reduction above described, all the measured results shown in Fig. 10 will lie on a fair curve, as shown in Fig 11, which coincide with the curve of the calculated take off run at a constant angle of incidence (in this case 5°). By the extrapolation of the curve, the author estimated that the take off run with a gross weight of 9200 kg would be 1350m at no wind, while the probable variation due to a personal difference of pilotage at the moment of take off would be ±150m. The actual measured results on Ioth and 13th of May, this year, on the latter day our long-range monoplane started on the record breaking attempt, were 1170m and 1380m respectively when corrected to the no wind condition, and agreed very well with the author's estimation. In this paper, the effect of wind on the take off run is also discussed. The conclusion is that when the take off is into a wind velocity v_1, the effect of wind can be corrected by the following formula, s_0=s_1+v_1t_1+(s)_0→v_1 where s_0 take off run at no wind s_1 take off run at v_1 t_1 take off time at v_1 (s)_0→v_1 distance required to attain v_1 and that the term (s)_0→v_1, which has been often neglected, can be obtained by a diagram as shown, for example, in Fig. 3.
著者
木村 友美
出版者
京都大学ヒマラヤ研究会; 京都大学霊長類学・ワイルドライフサイエンス・リーディング大学院; 京都大学ヒマラヤ研究ユニット
雑誌
ヒマラヤ学誌 : Himalayan Study Monographs (ISSN:09148620)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.92-101, 2017-03-28

特集2: フィールド医学 = Special Issue 2: Field Medicine 本誌公刊にあたっては、京都大学学士山岳会、京都大学「霊長類学・ワイルドライフサイエンス」・リーディング大学院からの助成をうけました。 本稿は、総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「人の生老病死と高所環境―『高所文明』における医学生理・生態・文化的適応」(代表奥宮清人)の一環として、ヒマラヤ地方の北西端に位置するインド・ラダーク地方(以下、ラダーク)において行った医学・栄養学調査(2010年、2011年)から、特に都市部に移住したチベット人に焦点をあてたフォローアップ調査(2013、2014年)について報告するものである。著者らは、2010年9 月にラダークの中心都市レーで、2011年7 月にはラダークの遊牧地域のチャンタン高原でメディカルキャンプを行い、その医学調査・栄養学調査の結果、高血圧や糖尿病といった生活習慣病はチャンタン高原に暮らす遊牧民に比べて、都市の住民で多く、近代化による食や生活様式の変化の影響について示唆している1~3)。そこで、生活習慣病を有するレーの住民にはどのような生活背景や食の実態があるのかを調査するため、2013年、2014年に、生活習慣病のフォローアップとして住民宅への家庭訪問を実施した。2011年のレーでの健診は、チベット難民居住区を含むチョグラムサル地区にて行ったため、健診を受診した対象者309 人のうち多くは、高原から移住した元遊牧民のチベット人であった注1)。遊牧民の定住化、とくに都市への移住による生活様式の大きな変化が、摂取エネルギーの増加と消費エネルギーの減少に影響したことが考えられる。そこで、本稿では、遊牧民の都市への移住に注目し、生活習慣病を有している移住者の食と生活背景の事例を報告する。 This article describes the lifestyle of Tibetan refugees who have settled in Leh town in Ladakh, India, and especially focuses on dietary changes from their nomadic lifestyle. These case reports are based on the follow-up research which had carried out for the Tibetan elderly who had diagnosed diabetes and hypertension by the previous medical check-up done in 2010 and 2011. Authors had reported the prevalence of lifestyle-related diseases was higher among the elderly living in Leh town than that among living in nomadic area called Changtang plateau. Through the interview, the follow-up research also revealed how they perceive their current life after moved to the town from nomadic life as well as the change of daily diet and physical activity. The roles of the elderly are less in town compared to those in the mountain life with a lot of technical tasks such as spinning a yarn from yak hair, milking and processing dairy.
著者
島 雅人 奥田 邦晴 岩田 秀治 菊池 昌代 木村 淳一 長谷川 珠華 太田 啓介 森 優花 西野 伸一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ed1467, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 我々は、2010年より大阪府下に在住する重度知的障がい者及び知的と身体機能の重複障がい者(以下重複障がい者)を対象として、理学療法士及び作業療法士が心身機能や活動の評価を行い、対象者個々のニーズに応じてスポーツ活動に結び付く心身機能の向上を目的としたトレーニングを計画し実践している。今回は、これまでの取り組みを報告するとともに、理学療法士が知的障がい者の社会参加支援に関与する意義について述べる。【方法】 本活動は、大阪府下在住の重度知的障がい者及び重複障がい者(児)を対象に実施している。参加者の募集は大阪府下の特別支援学校教員やスペシャルオリンピックス日本(以下SON)大阪の協力を得て行っている。チームの構成は理学療法士4名、作業療法士3名、支援学校教員1名、理学療法士および作業療法士を目指す学生ボランティアで構成し、シフトを組んで実施している。また、医療的ケアの必要な参加者が来られた時など、必要に応じて看護師の協力を得ている。対象者の評価に関しては、Special Olympics Motor Activities Training Program(以下MATP) Coaches Guide2005を参考とし、社会適応能力、原始反射、バランス反応、姿勢保持能力、環境適応能力、日常生活活動能力、認識能力、コミュニケーション能力、行動の問題に関連する内容を評価している。また、スポーツに関連する運動能力の評価として、移動能力、投げる、打つ、蹴る の4項目を実施している。これらの評価結果にもとづき、一人ひとりのニーズに応じたトレーニング内容を計画し実施している。トレーニングは、参加者1名に対して1名の学生を配置するとともに、理学療法士および作業療法士がトレーニングの内容を指示し監督のもと行っている。トレーニング内容は、評価結果をもとに参加者の能力に応じて、野球、バスケットボール、サッカー、ボウリング等のスポーツに関連した内容を、環境や使用する道具によって難易度を調整し実施している。トレーニングの実施期間と頻度は、2010年度は8月から11月に隔週で合計8回実施し、2011年度は9月から12月に合計10回を計画し実施している。1回の実施時間は90分とし、参加者の状態に合わせて適宜休憩を取っている。実施場所は、SON大阪の協力を得て大阪府下の特別支援学校にて実施している。【倫理的配慮、説明と同意】 本活動の目的や方法に関して、対象者及び保護者へ説明を行い同意を得ている。また、本活動で収集した情報に関しては、個人情報保護法に基づき厳密に管理し、本活動及び学術活動以外には使用しないことに同意を得ている。評価及びトレーニングに際してはヘルシンキ宣言を遵守し、参加者及びボランティアの安全面へも配慮を行った。【結果】 本活動への参加者は、2010年度12名(男性10名女性2名)、平均年齢19±5歳(13-32歳)、重度知的障がい者3名、重複障がい者9名であった。2011年度は10名(男性9名、女性1名)、平均年齢17.5±4.2歳(11-27歳)重度知的障がい者3名、重複障がい者7名で実施している。本活動は2010年度にSON夏季ナショナルゲームの一部として、大阪市長居障害者スポーツセンターにおいて日本で初めてのデモンストレーションを行った。【考察】 知的障がい者に対するスポーツ活動支援は各種スポーツ団体によって行われているが、対象のほとんどが軽度知的障がい者で運動能力の高い方である。スペシャルオリンピックスでは、知的障がいの程度に関わらず参加する機会を設けており、通常のスポーツ活動プログラムに参加できない重度知的障がい者や重複障がい者に対する取り組みとしてMATPを設定しているが、日本ではほとんど行われていない。本活動の実施には、対象者個々の心身機能や活動能力の評価を行い、能力に応じた運動プログラムを実施する必要があるため、その分野の知識や技術を持った理学療法士の関与が必要不可欠であると考える。このような機会を設定することは、重度知的障がい者および重複障がい者が在宅から地域へ出向く機会が増えるとともに、家族にとっても、他者との交流や家族同士の情報交換を促すことができると考える。これらのことより、本活動は理学療法士がリーダーシップを取って実施できる社会参加支援の1つであると考える。【理学療法学研究としての意義】 先行研究より知的障がい者は知的機能のみでなく、身体機能の低下が示されている。ひとり一人の心身機能や活動に応じた運動プラグラムを提供する事に関して、理学療法士は専門的知識と技術を有しているため、本活動のような取り組みに積極的に関与することで、知的障害者に対する安全で質の高い社会参加支援につながると考える。今後は、本活動の参加者及び家族に対する効果を検証して行くことで、理学療法士の関与の必要性がより具体化されると考えている。
著者
木村 清志
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.1551-1558, 1981-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
25

The present report deals with the feeding habit of Parapristipoma trilineatum, Pomadasyidae, based on 1208 individuals taken from coastal areas of Kumano-nada (Kii peninsula, central Japan) from March 1978 to September 1980. Empty stomachs occurred more frequently in the samples collected by hook and line than in the samples collected by set net. Feeding activity was intense during the period from May to September, and declined after October. The main food of the immatures and adults, larger than 100mm in fork length, was clupeoid fishes, but crustaceans were fed on abundantly in March, June, November and December. Clupeoid fishes appeared as prey amimal in almost all seasons. Copepods chiefly appeared in spring and autumn, while amphipods in summer. The main food of juveniles, smaller than 50mm, were copepodid larvae and bivalve larvae. Those of young, 50-100mm, were Iucalanus spp., copepodid larvae, mysis larvae, zoea larvae and clupeoid larve. Maximum value of amax(=PLmax|L;L, length of predator; PLmax, mzximum size of prey) was 58% in the fish 50-100mm in fork length. The value of amax declined with growth for the fish larger than 100mm.
著者
木村 啓造
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.113-122, 1986-01-01
被引用文献数
1
著者
渡辺 敦夫 太田 義雄 木村 尚史 梅田 圭司 木村 進
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.260-265, 1979-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
4 11

温州ミカン果汁を逆浸透法により濃縮する間に生ずる膜面付着物について分析を行ない,付着成分は主として,ペクチンおよびセルロースようの不溶性成分であることを確認した。そこで,ペクチンおよびセルロースからなるモデル液を使用し,付着層による水透過に対する抵抗の成長速度について検討を加えた。セルロース懸濁液では水透過速度の減少はまったくなかったが,ペクチン溶液においては急速な水透過速度の低下が見られた。しかし,ペクチンを塩化カルシウムで不溶化することにより水透過速度の低下を減少させることができた。従って,ペクチンが水透過に対する抵抗形成の主要成分であることがわかった。膜面付着ペクチンの分子量分布についてゲル濾過法を用い検討を加え,逆浸透濃縮中に膜面に付着するペクチンは高分子ペクチンが主体であることを確認した。
著者
福嶌 五月 仲原 正明 荻野 信夫 城戸 哲夫 黒住 和史 久原 章雄 西 宏之 木村 一隆 中尾 量保 辻本 正彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1321-1325, 2001-08-01
参考文献数
15
被引用文献数
2

症例は15歳の女性. 主訴は下腹部痛. 13歳時, 腹痛にて施行したCT検査で脾膣(容積1,150cm^3)を指摘されるも位置異常を認めなかった. 今回, ジェットコースターに乗った後に下腹部痛を来し来院. CT検査にて脾臓を正位に認めず, 下腹部に腫瘤(容積810cm^3)を認めた. 超音波検査, 血管造影にて広範な脾梗塞を伴う遊走脾と診断し, 腹膣鏡下脾臓摘出術を施行した. 術中所見では脾周囲靱帯は欠失し, 脾臓は腹膣内に遊離していた. 脾動静脈をEndo GIA40mm^Rにて切離後, 腹膣内で脾臓をTissue Morcellator^R を用いて粉砕し摘出した. 手術時間は145分, 出血量は50mlであった. 病理所見は梗塞を伴った正常脾であった. 第6病日に退院し, 術後2年目の現在経過良好である. 遊走脾に対する腹膣鏡下手術の報告は自験例を含め5例で, メッシュによる脾固定3例, 脾摘2例であった. 自験例は広範な脾梗塞と脾腫をともなっていたため, 脾摘を行った.