著者
吉田 憲司 赤塚 純一 石塚 只夫 伊藤 健 岩堀 豊 上野 篤史 郭 東潤 小島 孝之 進藤 重美 高戸谷 健 田口 秀之 多田 章 徳川 直子 富田 博史 中 右介 仲田 靖 永吉 力 野口 正芳 平野 義鎭 二村 尚夫 堀之内 茂 本田 雅久 牧野 好和 水野 拓哉 水野 洋 村上 哲 村上 義隆 山本 一臣 渡辺 安 大貫 武 鈴木 広一 二宮 哲次郎 静粛超音速研究機開発チーム Yoshida Kenji Akatsuka Junichi Ishizuka Tadao Ito Takeshi Iwahori Yutaka Ueno Atsushi Kwak Dong-Youn Kojima Takayuki Shindo Shigemi Takatoya Takeshi Taguchi Hideyuki Tada Akira Tokugawa Naoko Tomita Hiroshi Naka Yusuke Nakata Yasushi Nagayoshi Tsutomu Noguchi Masayoshi Hirano Yoshiyasu Futamura Hisao Horinouchi Shigeru Honda Masahiro Makino Yoshikazu Mizuno Takuya Mizuno Hiroshi Murakami Akira Murakami Yoshitaka Yamamoto Kazuomi Watanabe Yasushi Onuki Takeshi Suzuki Hirokazu Ninomiya Tetsujiro S3TD Design Team
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-10-007, 2010-07-10

宇宙航空研究開発機構では,将来のブレイクスルーとしての超音速旅客機実現を目指し2005年10月に飛行実験に成功した小型超音速実験機(NEXST-1)に引き続き,新たな飛行実験プロジェクトとして,2006年度より「静粛超音速研究機」(S3TD:Silent SuperSonic Technology Demonstrator)の予備設計に着手し,2008年~2009年度に基本設計を実施した.S3TDは,完全自律離着陸及び超音速飛行可能な無人機で,ソニックブーム低減技術を飛行実証することを目的としたものである.本報告書では,超音速飛行実験計画及び飛行実験システム(研究機システム及び実験場システム)の設計検討について,JAXAが独自に検討した成果及びJAXAとプライムメーカの契約に基づき実施された成果をまとめる.
著者
本田 由紀
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.105-123, 2002
被引用文献数
1

This paper aims to review the trends in the school curriculum and educational attainment in 1990s Japan. The first section outlines the curriculum policy. The 1987 Curriculum Council Report placed emphasis on a &ldquo;Renewed View on Academic Achievement, &rdquo; while the amount of teaching time for each subject and the level of educational content was maintained. In contrast, the Curriculum Council Report in 1998 determined to drastically reduce teaching time and the content of subjects in anticipation of the start of the &ldquo;five-day&rdquo; school week system in 2002. At the same time it introduced a new &ldquo;Time for Comprehensive Learning&rdquo; into the school curriculum, the purpose of which is to cope simultaneously with the emerging social need for a variety of new knowledge and for renovated teaching methods. The reality of its actual implementation and its effects, however, remain uncertain and unforeseeable.<BR>The second section examines the debate on the &ldquo;decline of educational attainment&rdquo; which began at the end of the decade, and the actual situation of educational attainment. The proponents of this argument, which was triggered by data on the strikingly low level of mathematical ability among university students, shared their opposition to the recent curriculum policy of the Ministry of Education. As the result of this debate, not only did the Ministry shift its emphasis from the &ldquo;Full Scope Education&rdquo; to the improvement of educational attainment, but the social tendency of &ldquo;bright -flight&rdquo; to private schools has been accelerated. With regard to the actual situation of educational attainment, the available data imply that &ldquo;in some cases it seems to be declining slightly.&rdquo; A far more distinctive tendency is that the willingness of students to study is deteriorating, to differing extents according to their families' socio-economic status.<BR>The third section presents a theoretical hypothesis based on an examination of the two sections above. The decline of willingness to study among students reflects the end of the inter-system relation which was characterized by close links between the family system and the economic system via the educational system. On the other hand the educational system itself, as reflected in policies and discourses, maintains its conventional closed-ness and stiffness, the symptoms of which are the &ldquo;institutionalization&rdquo; of educational content and the abstracted interpretation of educational attainment. We conclude that it is crucial for the betterment of the educational system to break out of this closed-ness and to improve the relevance of educational content.
著者
西野 雄一郎 竹下 正高 本田 祐基 徳尾野 徹 横山 俊祐
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.792, pp.272-282, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)
参考文献数
12

In this study, "renovation that generates a network of people, things, and events" is called Co-Renovation. The effectiveness of Co-Renovation is summarized in two ways. The first is that the openness of the renovation and the house will activate the connection between the people connected through the renovation. The second is that the renovation network will inspire an awareness of community development, and what started out as renovation-related connections will derive into autonomous regional activities. In order to increase the effectiveness of Co-Renovation, it is important to encourage the formation of spontaneous connections, and the factors that contribute to this are summarized.
著者
朝長 啓造 本田 知之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

生物には、感染したウイルスの遺伝情報をゲノムに記憶し進化に利用する仕組みがあることが示唆されている。本研究は、哺乳動物ゲノムで発見された内在性ボルナウイルス様配列(EBLs)の機能、特に感染防御に関する働きを明らかにすることを目的に遂行された。本研究により、ヒト由来EBLsの発現と遺伝子発現調節機能が明らかになるとともに、マウスならびにジュウサンセンジリスにおけるEBLsがそれぞれpiRNAとタンパク質を発現して、ボルナウイルスの感染防御に働く可能性を示した。さらに、Eptesicus属コウモリに内在化したEBLsが機能性のRNA依存性RNAポリメラーゼ酵素をコードする可能性も明らかにした。
著者
本田 秀幸
雑誌
第95回日本医療機器学会大会
巻号頁・発行日
2020-09-04

1.はじめに 2020年7月に公衆音声サービスが終了することが発表され,PHSを院内のコミュニケーションツールとして使用している病院では,代替システムの検討が急務となっている.また,近年,スマートフォン(以下スマホ)を院内通信ツールとして活用した取り組みがみられるようになってきたが,Wi-Fiなどの通信方式では電波干渉やセキュリティの課題が指摘されており,これらの課題解決策として,次世代PHS通信方式である「sXGP(shared eXtended Global Platform)」がある.2.sXGPとは何か sXGPとは,従来PHSが利用していた1.9GHzの周波数帯に携帯電話で豊富な実績をもつTD-LTE方式を採用した,自営無線方式の簡便さとLTE方式の汎用性を併せもつ新技術である.1.9GHz帯はわが国や海外で広く使われているLTEの国際バンド「Band39」に包含されるため,この国際規格に準拠してBand39に対応したスマホやデータ通信端末を,手を加えることなくそのまま活用しようというコンセプトで,2017年10月に技術仕様が規格化された.さらに,sXGPで利用する1.9GHz帯はアンライセンスバンド(免許不要の周波数帯)であるため,対応したLTE無線基地局を設置すれば,Wi-Fiのような手軽さで自営LTEの環境を構築できることから,自営内線電話やIoT分野のワイヤレス接続に有効な通信方式とされている.3.医療分野におけるsXGPの有効性 sXGPは,病院の通信環境や電波環境の課題を解決できる特徴をもっている.ここでは,医療現場に導入する主な4つのメリットについて述べる.3-1 医療機器に与える影響が少ない 病院内のスマホ利用で最も懸念されることは,電波が医療機器へ与える影響であり,PHSが広く医療機関に普及したのは,送信出力が低く医療機器への影響が少ないためである.実際の送信出力を比較すると,PHSの基地局が最大80 mW,PHS端末が最大80 mWであるのに対し,一般的なスマホの最大出力は200 mWとなっている. sXGPの最大出力は,基地局が100 mW,スマホが100 mWと,一般のスマホより低出力となっているが,医療機器に与える影響をより客観的に評価するため,弊社では,埼玉医科大学と共同でsXGPによる医療機器への影響調査を実施し,PHSと同等の安全性を確認した(後述).調査概要については,後に詳細にレポートしているので,導入に当たっての参考にしていただきたい.3-2 カスタマイズ可能な自営LTE1)災害に強いシステムの構築が可能 医療機関で要望の多い自社運用(オンプレミス)が可能であるため,停電や災害時に公衆回線を利用できなくなった場合でも,院内の装置自体に故障や停電がない限りは通信に影響を受けない.また,病院内では電波が弱く携帯電話がつながらない場所が存在することがあるが,sXGPでは自ら基地局を設置することで,院内どこでも通話が可能な環境を構築することができる.2)収容効率と通信速度の向上 弊社が採用しているアクセスポイントは,PHSとの比較で,次のように収容効率や通信速度が格段に上がっていることから,通話だけではなく,幅広いデータ利用が可能である. ・アンテナ毎の同時接続数:3台→16台 ・速度(上り)32 kbps→4 Mbps ・速度(下り)32 kbps→12 Mbps3)情報システム連携 TD-LTE(Band39)に対応したスマホを利用できその特徴を活かして,ナースコールなどの既存システムと高度な連携が可能である.3-3 通信の安全性 Wi-Fi通信では,傍受の危険性やセキュリティの脆弱性に常に対策とメンテナンスが必要となるが,sXGPの場合はキャリアグレードの強固な認証方式を採用しているため,高セキュリティなネットワークを構築することが可能である.またPHSと同じ周波数帯のため院内で乱立するWi-Fi干渉対策および代替手段として効果的である.3-4 データ/IoT利用への拡張性 無線ネットワーク方式として世界で標準であるLTE方式を採用しており,PHSの置き換えで構築したsXGPネットワーク上で,医療機関固有の情報システムとの連携に必要なデータ通信やIoT利用,さらには遠隔医療,在宅医療などへの拡張が可能である.4.医療機器との影響概要 本調査では,sXGP規格に対応したスマホで専用アプリケーションを用い,常時,100 mwの電波を放射させ,医療機器の各面に可能な限り近距離で,最低30秒以上電波を放射し続け影響を調査した.調査中はスペクトラムアナライザを用い,上記状態を確認した.結果として対象とした37機種の医療機器のうち4機種(10.8%)で影響が確認された. 医用電気機器の電波による影響状況のカテゴリー分類を表1に,確認された影響状況を表2に示す.本調査では,表2に示した通りカテゴリ2と4に該当する影響が確認された.具体的には,カテゴリ2はスピーカからの異音が出る影響であり,電波発射源を遠ざけることで異音が消失し,カテゴリ4は,動作は停止するがアラームの発生により停止を認知可能であり,電波発射源を遠ざけ輸液開始ボタンを押すことで正常状態に復帰可能であった. また,影響が発生した医療機器2機種における影響発生距離の最大値は7cm(注射筒輸液ポンプ1)であったが,医療機器と通信端末がこのような近距離となる状況は想定されないと考える. 本調査結果に基づき,sXGP端末を利用する際には,「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」2)のPHSの使用に関するルールを適用することで医療機器へ与える影響のリスクを軽減させることが可能で,医療機関内で使用されるPHS端末の代わりとなり得ると考えられる.5.普及にむけて 本稿では,医療機関へのsXGP導入のメリットについて述べた.弊社としては,sXGPの普及促進を通じて,医療の質向上はもちろん,医療現場における働き方改革にも寄与したいと考えている.参考文献 1)総務省:「電波の医療機器等への影響に関する調査」報告書, 平成29年3月 https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/medical/h28.pdf(2019年10月15日現在) 2)電波環境協議会:医療機関における携帯電話等の使用に関する指針─医療機関でのより安心・安全な無線通信機器の活用のために─, 平成26年8月19日
著者
本田 忠雄
出版者
関西大学仏文学会
雑誌
仏語仏文学 (ISSN:02880067)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.49-62, 1989-12-20
著者
山田 真大 林 和宏 鈴木 章浩 岡本 幸太 小林 良岳 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013-OS-126, no.18, pp.1-7, 2013-07-24

組込み向け機器に利用されるハードウェアの高性能化に伴い,組込み OS として Linux などの汎用 OS が搭載されるようになった.組込み機器では,リアルタイム性が重要視されるため,Linux を採用する場合,カーネルに改良を施すことでリアルタイム性を確保している.また,マルチコア CPU を搭載する組込み機器では,Linux が持つ CPU affinity の機能を用いることで,シングルコアでは不可能であった高負荷時におけるリアルタイム性も確保することが可能になった.しかし,CPU コア毎に存在するカーネルスレッドは CPU affinity を適用することができず,また,この処理がまれに引き起こすタイマのカスケード処理には多くの処理時間を必要とし,リアルタイム性を阻害する原因となる.本論文では,マルチコア CPU の各コアを,リアルタイム性を必要とする CPU コアと不要とする CPU コアに分割し,リアルタイム性を必要とする CPU コアでは,タイマのカスケード処理を発生させないよう事前に対策を施すことで,リアルタイム性を確保する手法を提案する.
著者
鈴木 光幸 本田 由佳
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年「成人病胎児期発症説」によって妊娠前女性の栄養管理が重要視されいる。本研究では、妊娠前女性を対象として、生殖予備能評価として注目されている抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測定し、それと体格および血液栄養解析検査を行い、AMH低下者が置かれているライフスタイルの現状を検討した。本研究において日本人生殖可能女性において血清ビタミンDが低値であると血清AMHも低値であり、30歳未満では血清AMHと体脂肪率に正の相関が認められた。すなわち、やせ体型やビタミンD不足は卵巣予備能低下の一因となる可能性が示唆され、妊娠前女性の適切な栄養摂取や適正体脂肪が卵巣予備能の維持に重要であることが考えられた。
著者
本田 賢也 KEARNEY SEAN
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-10-12

研究では、微生物叢-宿主相互作用の理解を加速・深化し、健康・医療技術を創出するために、以下の2つのプロジェクトを推進した。1)トリプシンを分解する細菌単離:腸管バリアに関する研究を推進する過程で、炎症性腸疾患患者の便中では、膵由来酵素であるトリプシンの濃度が健常人と比較して高いことを見出した。無菌マウスの便中トリプシン濃度も、SPFマウスと比較して高いことが明らかになった。即ち膵臓から分泌されたトリプシンは、通常小腸においてその役割を終えた後、回盲部の細菌によって分解される必要があるが、炎症性腸疾患ではそうした細菌種が減少して、分解されずに大腸に残存すると考えられた。本研究では、健常ボランティア由来の便サンプルから細菌株を分離培養し、トリプシン分解細菌をスクリーニングし、Paraprevotella claraに属する細菌株がトリプシン分解能がある事がわかった。さらに、同定分離した株をIL10欠損マウスに経口投与すると、腸炎発症を抑制する事がわかった。Paraprevotella claraに由来するトリプシン分解プロテアーゼを同定するため、P. claraのゲノム配列のマイニング、P. claraの発現ライブラリーの作製、P. claraのmutant株の作製を行った。2) 長寿と腸内細菌との関係を調べる目的で慶應義塾大学・百寿総合研究センターと協力し、100名を超える百寿者の腸内細菌叢についてメタゲノムシークエンシングと胆汁酸組成解析を行った。コントロールとしての平均80才前後の高齢者の便サンプルを用いた。百寿者は3-oxo-LCAやallo-iso-LCAといった特殊な胆汁酸を代謝合成する細菌種が多く存在する事がわかった。そこで、3-oxo-LCAやallo-iso-LCAという百寿者に特徴的な胆汁酸代謝胆汁酸代謝を司る細菌株の同定を試み、候補細菌の同定に成功した。
著者
笹川 滋 本田 憲治
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.310-320, 1981-07-01 (Released:2010-10-21)
参考文献数
57

Chemical substances having cell fusogenicity and their mechanism of cell fusion were reviewed in this article. Especially, a new concept for the chemically-induced cell fusion has been introduced on the basis of the interpolymer complex formation. Moreover, a new idea of the hybrid type of chemical fusogens has also been given according to the following order:1. Introduction2. Classification and Mechanism of Monomeric Fusogens3. New Concept of the Mechanism of Polymeric Fusogens4. Further Development
著者
本田 圭佑 東 昌樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1952, pp.64-67, 2018-07-30

自身3度目となるロシアW杯では持ち前の勝負強さを発揮し、日本代表をベスト16に導いた。経営するサッカースクール事業を拡大する一方で、投資家としても存在感を高めている。今回のW杯で区切りが付いたと話すが、後進の指導にも意欲を示す。
著者
本田 洋介 浦川 順治 阪井 寛志 笹尾 登
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.19-25, 2004

超低エミッタンス電子ビームの生成は,第三世代放射光装置,X線領域自由電子レーザー,TeV領域線形衝突型加速器等の実現にとって必要不可欠の技術である.このためにはエミッタンス自身を信頼度高く測定できる「目」(モニター)が本質的である.本稿においては,新しく開発したレーザーワイヤーモニターの原理とその特徴,それを用いたエミッタンス測定,及び今後の展望について紹介する.
著者
本田 護 福岡 講平 津村 悠介 森 麻希子 入倉 朋也 渡壁 麻衣 平木 崇正 井上 恭兵 三谷 友一 大嶋 宏一 荒川 ゆうき 福地 麻貴子 本田 聡子 坂中 須美子 田波 穣 中澤 温子 栗原 淳 康 勝好
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.455-458, 2021 (Released:2022-02-08)
参考文献数
20

MEK阻害剤であるtrametinibは,BRAF遺伝子異常を有する視神経膠腫に対する有効性が期待されているが,本邦において小児の視神経膠腫に対する本薬剤の使用経験は極めて乏しい.今回我々はがん遺伝子パネル検査によってKIAA1549-BRAF融合遺伝子が検出された治療抵抗性の視神経膠腫に対してtrametinibを使用した症例を経験したため報告する.症例は8歳女児で生後7か月に視神経膠腫と診断された.診断後から合計5種類の化学療法と生検を含めて4回の手術療法を受けたが腫瘍は増大傾向であった.水頭症による意識障害が進行したが,髄液蛋白濃度が高く脳室腹腔シャントは施行できなかった.がん遺伝子パネル検査でKIAA1549-BRAF融合遺伝子が検出され,trametinibを2か月間投与した.投与期間中は画像上腫瘍増大の抑制効果を認め,髄液蛋白濃度も低下した.NCI-CTCAE version 5においてGrade 3以上の有害事象を認めなかった.本邦におけるtrametinibの有効性と安全性について,今後の症例の蓄積が重要と考えられる.
著者
川上 礼四郎 伊藤 太郎 本田 豊 黒田 峻平
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.33, pp.78-79, 2017

<p>東京都動物園協会の多摩動物公園では,育児放棄されたボルネオオランウータン(<i>Pongo pygmaeus</i>,以下オランウータン)のチェリア(メス,2歳)に代理母であるジュリー(メス,51歳)を充てるという国内初の試みが行われている。そのため,代理母を充てた血縁関係のない親子の行動を血縁関係のある親子の行動と比較して考察していこうと考えている。過去に行った血縁関係のある親子間におけるオランウータンの社会的行動に関する研究では,ワカモノ以下の個体は母親だけでなく血縁関係のない個体とも身体接触を伴う社会的交流を行うのに対し,オトナは自身の子供としか交流を行わないという結果になった。また,ワカモノ以下の個体の方がオトナの個体に比べ単独行動時間が短く,また,血縁関係のない個体と個体間距離が短くなる時間が多いと考えられた。そこで本研究では「血縁関係がある親子,ない親子でも交流時間や個体間距離が短くなる時間は大きく変わらない」という仮説を立て,それを検証するために「母親(子供)と交流する時間」「母親(子供)と個体間距離が短くなる時間」を記録し,その結果を血縁関係がある親子(2組)と血縁関係がない親子(1組)で比較する予定である。調査は東京都動物園協会の多摩動物公園において4/23~6/18まで計13回,9:45~16:45まで行う予定である。調査対象は血縁関係がないジュリー(オトナメス,51歳)とチェリア(アカンボウ,2歳)の親子,血縁関係があるチャッピー(オトナメス,43歳)とアピ(アカンボウ,3歳)の親子,同じく血縁関係があるキキ(オトナメス,16歳)とリキ(コドモ,4歳)の親子である。収集したデータをもとに,代理母を充てることによる子供の行動変化について考察を行う予定である。</p>