著者
吉田 直樹 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.669-676, 2012-10-23

耐タンパーソフトウェアの構成法として自己書換えを用いた方法が知られている.組込みシステム向けの一部のマイコンでは,機械語プログラムを書換える方法が適用できない場合があり,そのような場合においても有効となる方法にニーズがあると考えられる.本稿では,データメモリに可変な中間コードとして振舞うデータ部を格納し,命令メモリにそれを実行するインタプリタ部を格納する2部構成の耐タンパーソフトウェアの作成方法を提案する.この方法は,命令メモリを書換えられないマイコンに適用できるだけでなく,命令メモリ内の機械語プログラムを自己書換えする方法に比べて一般的に高速な実行が可能であるという特徴を有する.
著者
長瀬 博 松本 和久 西山 久雄
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1055-1066, 1996-12-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
44
被引用文献数
6 10

Just after the discovery of PGI2, we started to find chemically and metabolically stable PGI2 derivatives with longer duration of action. Extensive studies led us to a new class of stable PGI2 analogue, 5, 6, 7-trinor-4, 8-inter-m-phenylenePGI2 that has a phenol moiety instead of enol-ether linkage in PGI2. In order to accomplish synthesis of the m-phenylenePGI2, novel synthetic methods were developed, for instance, ortho-selective metal-halogen exchange reaction of bromoanisoles by means of Grignard reagent, copper-catalyzed SN2' cyclization to prepare dihydrocyclopenta [b] benzofuran, and regioselective and stereo-selective elongation of ω-side chain by Prins reaction. Further efforts were devoted to synthesize derivatives of m-phenylenePGI2 with enhanced pharmacological activity and less adverse reaction. Finally, we attained to Beraprost sodium which is the first launched drug as an orally active PGI2. This paper will focus on the study of total syntheses of m-phenylenePGI2.
著者
前山 智弘 北出 理 松本 忠夫
出版者
日本熱帯生態学会
雑誌
Tropics (ISSN:0917415X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1+2, pp.93-103, 1997 (Released:2009-04-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

アリ植物に住みつくアリ以外の生物についての詳細かっ定量的な調査報告はほとんどないが,アリ植物と動物との共生関係を解明するためには,アリ植物内の全動物相の調査が必要である。我々はパプア·ニューギニアのマングローブ林において,着生性アリ植物Hydnophytum moseleyanumの483個体を対象に,その塊茎部の空洞に住みつく全動物相を調査した。その結果,11種のアリに加え39種の動物(昆虫などの節足動物と,ある種のトカゲ)が見いだされた。必ずアリのいる空洞で見つかる種が7種,アリがいる空洞·いない空洞の双方で見つかる種が6種みられたが,その他の全ての種はアリが住みついていない空洞内においてのみ見いだされた。ほとんどの動物種は着生性アリ植物を偏利共生的に利用し,捕食者や乾燥から身を守る隠れ家として使っていると思われる。着生性アリ植物の存在によって,多様で複雑な空間構造が提供され,樹上の動物相の多様性が維持されていると考えられた。
著者
伊藤 浩志 吉田 孝久 松本 実
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.221_2, 2017

<p> ここ数年、多くのアクティビティートラッカーが発売され、スポーツでの活動量記録が手軽に行えるようになった。しかしながら、市販のアクティビティートラッカーは、競技スポーツのトレーニング記録には機能が不十分である。競技パフォーマンス向上にはトレーニング過程の最適化が必要であり、そのためにはトレーニング手段及びトレーニング負荷の客観的な記録と評価が重要である。本研究は、トレーニング記録の簡便化を実現するために、加速度センサーデータを用いたコンピュータによるトレーニング内容の自動判別の手法について検討する。</p><p> 大学陸上競技跳躍女子選手3名を対象に、3日間4セッションのトレーニング時に手首の3軸加速度を100Hzで計測した。同時に撮影した映像からトレーニング内容を読み取り、ランニング、スプリント走、跳躍運動、ドリル運動、補強運動、ストレッチング、歩行の7種のカテゴリー情報をセンサーデータに付加し、15時間分の教師データを作成した。これらのデータを用いて7層で構成される再帰型ディープニューラルネットワークの学習を行った。その結果、センサーデータから75%の精度で運動内容を判別することが可能であった。</p>
著者
山下 一也 井山 ゆり 松本 亥智江 井上 千晶 松岡 文子 磯村 由美 飯塚 桃子 梶谷 みゆき 吾郷 美奈恵 齋藤 茂子 湯澤 雄一郎 片倉 賢紀 橋本 道男 加藤 節司 Kazuya YAMASITA Yuri IYAMA Ayako MATSUOKA Yumi ISOMURA Momoko IIZUKA Miyuki KAJITANI Minae AGO Sigeko SAITO Yoichiro FUKUZAWA Masanori KATAKURA Michio HASHIMOTO Setsuji KATO
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-30, 2007-12-10

高齢者の趣味の有無が認知機能と関連しているとの報告が多くなされている。今回、地域在住一般高齢者272名(平均年齢72.3歳)を対象に趣味の有無と認知機能の関連を検討した。趣味を有する群(186名)と無趣味群(86名)では、主観的幸福感、抑うつ程度、 日常生活動作には有意差は見られなかったが、認知機能においては、趣味を有する群では無趣味群に比して有意に高値であった。また、趣味を有する群では、無趣味群に比して、物事に好奇心があり、社交的な性格であった。認知症予防において、趣味を持つことを積極的に勧めることは重要と思われる。
著者
松本 光晴
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.18-25, 2013-03-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
31

腸内常在菌の代謝産物の研究は少ない。我々は、数多く存在する腸内常在菌の代謝産物の中から、細胞の増殖や分化に関与し、非常に多岐に渡る機能を有するポリアミン(PA)に着目してきた。特に、PA の有する①抗炎症作用、②核酸安定化作用、③腸管バリア機能の充実化作用、④オートファジー促進作用、は健康と疾病に密接に関与している。腸管内PA 濃度を上昇させるBifidobacterium animalis subsp. lactis LKM512 を10 ヶ月齢マウスに週3 回、約1 年間LKM512 を投与した結果、腸内PA 濃度の上昇と共に寿命伸長効果が得られた。演者らが知る限り、カロリー制限無しでの哺乳類に対する寿命伸長効果が得られた食品成分は、レスベラトロールに次ぐ報告であり重要な知見である。本稿では、この効果の詳細を解説すると共に、今後の腸内常在菌の代謝産物の研究にとって強力なツールとなると考えられるキャピラリー電気泳動と飛行時間型質量分析装置(CE-TOF MS)によるメタボロミクス解析について紹介する。
著者
松本 大樹 木村 容子 佐藤 弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.325-329, 2012 (Released:2013-02-14)
参考文献数
17

更年期女性の動悸に対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が有効であった症例は報告されているが,冷えに対する効果に言及した報告は認めない。今回動悸と冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した症例を経験したので冷えを中心に考察を加え報告する。症例は48歳,女性。2-3年前より動悸,手足の冷えが出現し,X 年5月8日当院を初診。虚証で動悸と不眠を訴え,腹診所見の腹部動悸から,桂枝加竜骨牡蛎湯7.5g/日を投与したところ,服用2週間で動悸,手足の冷えが改善した。1年後に5g/日と減量したが,症状は落ち着いている。今回の症例では,臍上悸を伴う動悸と手足の冷えに対し,桂枝加竜骨牡蛎湯が速やかに奏効した。桂枝加竜骨牡蛎湯はのぼせを伴う上熱下寒型の冷えに限らず,のぼせの訴えがない場合でも,動悸や臍上悸などの気逆によると考えられる所見を伴う手足の冷えには,桂枝加竜骨牡蛎湯を応用できると考えられた。
著者
松本 京子 星野 敏 余語 トシヒロ
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.82-88, 2013-06-25 (Released:2014-03-14)
参考文献数
13

This study addresses pertinent factors in sustaining small-scale water supply cooperatives (SWSCs). Based on our survey results, we identified three important areas to be addressed prior to the construction of water-supply infrastructure: (1) Identify the characteristics of communities to be involved in an SWSC, so that the SWSC can understand the shared interests of prospective members, (2) Identify the experiences of local communities in rule-making, for example, those based on neighborhood associations, and (3) For those communities that cannot fulfill (1) and (2), capacity-building among member residents is necessary, if they are to achieve the public or common interests of members through the enactment of SWSCs.
著者
今井 美奈 三枝 勉 松本 園子 山口 敬介 光畑 裕正
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.106-109, 2016 (Released:2016-06-30)
参考文献数
10

舌痛症は器質的変化がないにもかかわらず,舌に慢性的な痛みやしびれが生じる疾患である.とくに更年期の女性に多く発症し,歯科治療後に発症することが多いが,原因は不明なことが多く難治性である.心因性の問題が大きく関与していると考えられている.疼痛は舌尖部から舌縁部に好発し,摂食時,睡眠時には軽減する傾向がある.今回,舌痛症の診断で西洋医学的治療を行ったが無効であった4症例に対して,証に合わせてそれぞれ四逆散合香蘇散(柴胡疎肝湯の方意),桂枝人参湯,加味逍遙散,四逆散を使用し,numerical rating scale(NRS)で0~3に痛みが改善した.このように難治性舌痛症に対しては証(漢方学的所見)に従う漢方を使用することにより,効果があることが示された.
著者
濱口 拓男 大岩 秀和 新保 仁 松本 裕治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.F-H72_1-10, 2018-03-01 (Released:2018-04-03)
参考文献数
31
被引用文献数
5

Knowledge base completion (KBC) aims to predict missing information in a knowledge base. In this paper, we address the out-of-knowledge-base (OOKB) entity problem in KBC: how to answer queries concerning test entities not observed at training time. Existing embedding-based KBC models assume that all test entities are available at training time, making it unclear how to obtain embeddings for new entities without costly retraining. To solve the OOKB entity problem without retraining, we use graph neural networks (GNNs) to compute the embeddings of OOKB entities, exploiting the limited auxiliary knowledge provided at test time. The experimental results show the effectiveness of our proposed model in the OOKB setting. Additionally, in the standard KBC setting in which OOKB entities are not involved, our model achieves state-of-the-art performance on the WordNet dataset.
著者
坂田 恒昭 松本 弥生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1095-1097, 2017

ヒトの腸内には1,000種類以上,40兆個程度とも言われる細菌が存在しており,これは37兆2,000億個とされるヒト細胞数とほぼ同数である.また腸以外にも,皮膚や口腔,鼻腔,膣などの部位に,細菌や真菌,ウイルスなどの様々な微生物が存在しており,これらの集団はマイクロバイオータ(微生物叢)と呼ばれている.そして,マイクロバイオームとはヒト微生物叢(細菌叢,真菌叢およびウイルス叢)のゲノムと,それが発現する遺伝子群,および微生物叢とヒトの相互作用を含む広い概念を現している.この微生物叢がヒトの健康状態,病態に関係していると言われ,空前のマイクロバイオームブームが起こっている.このようななか,筆者らは,2016年から製薬企業を中心にアカデミアで生み出されたマイクロバイオームの研究成果をいかに産業界で応用し,社会還元する仕組みを構築するかの議論をし,2017年4月19日に日本マイクロバイオームコンソーシアム(Japan Microbiome Consortium:JMBC,以下「本法人」という)を設立した.
著者
川口 義樹 石 志紘 島田 敦 大石 崇 磯部 陽 松本 純夫
出版者
日本内視鏡外科学会
雑誌
日本内視鏡外科学会雑誌 (ISSN:13446703)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.215-219, 2012-04-15

◆要旨:慢性腹痛の原因と考えられた移動性盲腸に対して腹腔鏡下盲腸固定術を行い良好な結果を得たので,報告する.患者は26歳,女性.右下腹部痛を主訴に受診したが,CT検査,上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査では特に異常を認めなかった.小腸造影で移動性盲腸と診断され,腹痛の原因である可能性が高いと考えられた.その後も症状が持続,増悪したため,インフォームドコンセントのうえで腹腔鏡下盲腸固定術を施行したところ,腹痛は消失しQOLも改善した.移動性盲腸で自験例のように腹痛を伴い,内科的治療が困難な場合には腹腔鏡下盲腸固定術は低侵襲かつ有効な術式と思われた.
著者
松本 幸夫
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.13-14, 1980-07

教授会メモ/昭和55年度科学研究費補助金配分内定一覧/人事異動/外国人客員研究員/永年勤続者表彰/海外渡航者
著者
川上 満幸 福井 英俊 松本 修一 大久保 堯夫
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.117-123, 2000-02-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

Today we live in a highly technological and car-oriented society. Car access has achieved noticeable developments and grown on a worldwide level. Along with the social benefits of the automobile, it is a widely known fact that major accidents and loss of life are occurring at increasing rates in almost every society today.This paper describes the effect of using a mobile phone on a driver's reaction time was evaluated experimentally by measuring the movement of the driver's eye-fixation point and his reaction time when a stimulus light was shines on his face from inside or outside the car.The results showed that using a mobile phone while driving (1) reduces the movement of the eye-fixation point to both the right and to the left, thus narrowing the range of the fixation point, and (2) delayed the reaction time by about 0.2 seconds. It also proposed the desirable position of setting up a visual display.
著者
常川 真央 天野 絵里子 大園 隼彦 西薗 由依 前田 翔太 松本 侑子 南山 泰之 三角 太郎 青木 学聡 尾城 孝一 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.362-365, 2017

<p> 研究データ管理は,研究プロセスの透明性を高め不正を防止する目的とともに,オープンサイエンスにおける研究データ共有を支える重要なプロセスである.しかし,研究データ管理のスキルを持つ人材はまだまだ少ないのが実状である.そこでオープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は,研究データタスクフォースを組織し,研究データ管理(RDM)のスキルを習得するためのトレーニングツールを開発し,2017年6月6日にWeb上で公開した.さらに,国立情報学研究所に協力し,オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」を11月15日に開講する予定である.本発表では,こうしたRDMの習得を支援する一連の活動について紹介したうえで,今後の研究データ管理業務を担当する人材育成について論じる.</p>
著者
松本 美鈴 山中 英明
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.787-791, 1992 (Released:2008-02-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

Culinary “arai” was prepared by washing the muscles from the legs of live tanner crab in water at 0°C for 2 min, at 18°C for 1 min, and at 49°C for 20s, respectively. Sensory panel members distinguished “arai” prepared at 49°C from the others, in addition to which they showed an overall preference for it. “Arai” prepared at 49°C was significantly opaque, elastic, and tasty. After “arai” treatments, ATP and arginine phosphate decreased and lactate increased in the muscle, especially in “arai” prepared at 49°C. This means that a rapid degradation of ATP, which was produced from arginine phosphate and glycolysis, occurred in the “arai” treatment at 49°C. In addition, it was observed that muscle fiber curved distinctly in optical microscopy of “arai” prepared at 49°C. The total amounts of free amino acids were lower in “arai” prepared at 49°C than in the others. The amounts of glucose, organic acids except lactate, and homarine did not differ among the three “arai” samples. However, a large amount of AMP was accumulated and GMP was detected in “arai” prepared at 49°C. These results suggested that AMP and GMP in “arai” prepared at 49°C contributed to its strong taste. The composition of extractive components in “arai” prepared at 49°C was similar to that of cooked tanner crab muscle.