著者
桑原 優美 渡辺 則生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.244-254, 2008-04-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

本論文の目的は,長期の金融時系列のトレンドを分析するために,高木-菅野のファジィシステムを基にファジィトレンドモデルを提案することにある.従来の金融時系列モデルでは,時系列の分散のモデル化に関心が集中し,期待値は一定値あるいは特殊な構造をもつものと仮定されてきた.しかし,長期の時系列の場合これらの仮定は妥当ではない.ファジィトレンドモデルは時系列の変動する期待値のモデル化を可能にする.本論文では,ファジィトレンドモデルの同定法を提案し,その有効性をシミュレーションによって検討した.さらに実際の金融時系列である東証株価指数 TOPIX適用し,ファジィトレンドモデルによってトレンドに関するあらたな分析が可能になることを示した.
著者
渡邉 真理 伊東 祐信 禧 光太郎 古賀 照邦 岩隈 裕明 桑原 寛
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.1310-1315, 1993-11-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

発作性心房細動,脳硬塞,腎梗塞などの発症を契機に,三心房心と診断された高齢者を含む3症例を経験した. 症例1は62歳, 男性. 約10年前から時折数分間持続する動悸を自覚し,1991年8月頃より動悸が頻回になったため当院を受診した.1年前に腎梗塞の既往がある.動悸発作時の心電図は心房細動を呈し,心臓のシネモードMRI,経胸壁および経食道心エコー検査にて左房内に異常隔壁を認め,三心房心と診断した.症例2は32歳,男性.1984年3月1日夕刻,1時間程度意識消失発作出現.意識回復後,右半身に脱力感を自覚.翌日起床後言語障害に気付き,当院を受診した.頭部CT検査で左前頭葉に広範な低吸収域を認め,脳硬塞と診断された.心エコー検査で左房内に大動脈後壁から僧帽弁後尖に向かう異常隔壁を認め三心房心と診断した.症例3は77歳, 男性.1980年7月4日めまいを主訴に来院.精査の結果椎骨脳底動脈循環不全と診断された.頭部CTで脳硬塞の既往があった.胸部X線写真でCTR58%の心拡大と肺うっ血を認めた.心エコー検査で左房内異常隔壁と心房中隔欠損を認め,左房および右室負荷所見を呈していた.三心房心はまれな先天性心疾患であり,多くは小児期に診断され,成人例での報告は少ない.当院の3症例はいずれも成人例であり,これまでの報告例中,最高齢例を含む.先天性心疾患の診断,治療および予後について重要な経験例となると考え,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
大島 一浩 溝端 康光 掛屋 弘 桑原 学 井本 和紀 山入 和志 柴多 渉 山田 康一 切通 絢子 加賀 慎一郎 西村 哲郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.600-603, 2020

<p>A 38-year-old man diagnosed as having COVID-19 pneumonia was transferred to our hospital from another hospital. The patient had received favipiravir at the previous hospital, and as he still had severe respiratory dysfunction, we added hydroxychloroquine and azithromycin to the treatment regimen for COVID-19 pneumonia at our hospital. The respiratory status improved gradually with the treatment and the patient began to be weaned from mechanical ventilation. However, on the 5<sup>th </sup>hospital day, the patient developed ventricular fibrillation (Vf) and cardiac arrest, with return of spontaneous circulation (ROSC) 2 minutes after the start of cardiopulmonary resuscitation. An electrocardiogram recorded after the ROSC showed not QT interval prolongation, but first-degree atrioventricular block. Nevertheless, because both hydroxychloroquine and azithromycin could cause QT interval prolongation, both were discontinued and the Vf did not recur. The patient was transferred to another hospital after extubation and had no neurological deficit. Herein, we report a patient with COVID-19 pneumonia who developed Vf while being treated with hydroxychloroquine,azithromycin and favipiravir.</p>
著者
佐藤 祐子 桑原 礼子 重田 公子 谷口(山田) 亜樹子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.45, 2011

<B>【目的】</B>柿は日本人に古くから親しまれている果物である。昔から渋柿は「干柿」や「樽柿」に、地域によっては「あんぽ柿」や「枯露柿」にして食べられている。現在、摘果した柿や規格外で販売できない未利用柿を大量に廃棄している現状がある。我々は今回、それらの未利用柿を広く有効利用できないかと考え、現代の若年層の柿に対する嗜好性や認知度を把握する目的で女子大学生を対象にアンケート調査を行った。<BR><B>【方法】</B>調査時期は2010年4月、20歳前後の女子大生132名を対象者に柿に関するアンケート調査を行った。調査内容は、柿の嗜好性や柿の「摘果」や品種の認知度、柿に対するイメージおよび柿の新規加工食品に関するアイディア等の項目である。<BR><B>【結果】</B>柿の嗜好に関しては「好き」と答えた学生が7割程度であった。しかし、他の果物に比べ嗜好意欲が低いことが伺える。甘柿と脱渋した柿では9割の学生が「甘柿」を好んでいた。「軟らかい」柿を好む学生および「硬い」柿を好む学生は双方ともに約5割であった。一方で柿の品種を答えることのできた学生は2割程度で、「摘果」に関して理解している学生は1割以下であった。<BR> 他の果物に比べて柿の嗜好意欲が低い理由には、食べやすさ、水分含量が低い、糖/酸比が低いなどの問題に起因していると考えられる。また、未利用柿の有効利用法としては、サラダ類、ケーキ、ジェラートが上位に挙げられていた。また、「かきフライ」などユーモアに富んだネーミングのものも挙げられていた。大量廃棄される未利用柿の中には渋柿もあるため、柿の加工食品の開発には簡単に脱渋ができ、加工調理しやすいものが適していると考える。
著者
中西 謙二 桑原 正章
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.251-258, 1996-03-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

チロシン分解酵素を有する乳酸菌を利用したタケノコチロシンの分解技術を開発する目的で,チロシン分解乳酸菌のスクリーニングを行い,分離菌によるタケノコチロシンの分解方法について検討した結果つぎの知見を得た.乳酸菌35株からチロシン分解活性を有する乳酸菌7株を分離した.この中でEnterococcus sp. 4株及びLactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株に強い分解活性が認められた.Enterococcus faecalis IFO 3971株を添加培養することにより,スライスタケノコで2日間,1/2切断の場合は5日間で肉眼的に認められない程度に白色固形物は分解された.また,Lactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株についても同等の結果が得られた.乳酸発酵にともなう成分変化は,乳酸と酢酸の増加及び糖の減少は大きかったが,他の成分については大きな変化は認められなかった.
著者
桑原 祐子
出版者
佛教大学国語国文学会
雑誌
京都語文 (ISSN:13424254)
巻号頁・発行日
no.28, pp.29-44, 2020-11-28

正倉院文書に残る「待遇改善要求草稿」に、休暇に関する要望がある。「毎月、一度にまとめて五日間の休暇をもらいたい」という要望である。この要望は、その後叶えられて、「例・法例」という規定のなかに生かされた。そのことを「請暇解(休暇願)」の分析・検討から明らかにした。また、この規定を最大限に生かすために、写経生等は請暇解に、様々な表現の工夫を凝らしていたことを検討した。さらに、工夫の甲斐あって、一回に一〇日間の休暇を獲得した安宿廣成の請暇解や解文に焦点を当て、どのように文書の定型を外しながら、表現の工夫をしていたのかということも分析した。 正倉院文書は、いつ・誰が・誰に対して・どのような場で・どのような目的で・何を・どのように書き記したかが明確な一次資料である。これらの文書を作成した実務官人の言語生活の実態を記述することは、八世紀の日常普段の日本語を解明することに資することになるのである。
著者
桑原,徹
出版者
土質工学会
雑誌
土と基礎
巻号頁・発行日
vol.24, no.12, 1976-12-25
著者
桑原 宏介 中島 求
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2014 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._3A1-J05_1-_3A1-J05_4, 2014-05-24 (Released:2017-06-19)

The objective of this study was to measure thrust for crawl stroke by using a humanoid robot. The swimming humanoid robot had 20 servo motors for the whole body and could perform basic human swimming motion except for the breaststroke. A driving mechanism to move the humanoid robot in pitching, heaving and rolling motions was installed. Force sensors and a circulation tank which could make water flow was used for the measurement system. The thrust was measured when the robot performed standard crawl stroke motion at 9.0 s cycles. The positive thrust could be measured while the arm was paddling the water. It was also confirmed that insufficient recovery stroke generated the negative thrust.
著者
堀口 良太 桑原 雅夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.653, pp.29-38, 2000-07-20
参考文献数
2
被引用文献数
1

本研究では, ノンストップ自動料金収受 (ETC) 料金ゲートが従来の一般ゲートとともに設置された際の, 料金所全体での容量に関する理論的解法を提案する. すなわち料金ゲートの構成, 運用形態とともに, 料金所手前の道路形状および渋滞の延伸状況を考慮して, ETCの混入率に応じた料金所の容量を求めるものである. この理論的解法より, 一般ゲートとETC混用ゲートでの運用の場合, 料金所全体の容量改善割合は混用ゲートの数によらずETC混入率にのみ依存すること, また一般ゲートとETC専用ゲートでの運用の場合, 一般ゲートからの渋滞が本線にまで延伸すると, 本線がブロックされることによる見かけの容量低下を評価することができる. 本稿ではさらに, いくつかのケーススタディを通して, ETC整備のあり方について考察を加える.
著者
吉岡 慎郎 小河 弘枝 桑原 俊也 宮内 修平 丸山 剛郎
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.817-822, 1992-08-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

In order to investigate the characteristics and reproducibility of the mandibular position during phonation of a Japanese syllabary single sound, intra- and inter-individual variations of the mandibular position were analyzed in 10 normal subjects using the Sirognathograph Analyzing System.Results were summerized as follows:1. With regard to the characteristics of the mandibular position during phonation of each vowel pronunciation, the order of the amount of the mandibular displacement in the vertical and anterior-posterior directions from maximum to minimum was IA/, /E/, /O/, /I/, and /U/ vowel pronunciation.2. With regard to the characteristics of the mandibular position during phonation of each consonant pronunciation, IS/ consonant pronunciation showed the smallest mandibular displacement in the vertical and anterior-posterior directions of all the consonant pronunciation.3. Phonation of each distinct single sound was performed at each characteristic mandibular position. However, high degree of reproducibility of the mandibular position during phonation was demonstrated in every subjects.4. The mandibular position during phonation of a Japanese syllabary has a little inter-individual variations in both antero-posterior and lateral direction. However, they showed a large inter -individual variation in superio-inferior direction.