著者
石村 大輔 岩佐 佳哉 高橋 直也 田所 龍二 小田 龍平 梶井 宇宙 松風 潤 石澤 尭史 堤 浩之
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

2016年熊本地震以後に、布田川断層帯および日奈久断層帯において精力的に古地震調査が行われてきた。我々の研究グループでは、2016年熊本地震で出現した副次的な地表地震断層の過去の活動について明らかにするために、2017年には阿蘇カルデラ内の宮地トレンチ、2018年には出ノ口断層上の小森牧野トレンチを実施してきた。その結果、2-3千年という短い間隔で2016年に活動した断層が繰り返し活動していることが明らかとなった(石村ほか,2018,2019)。これは2016年熊本地震同様に、過去にも布田川断層の活動に際して、周辺の広い範囲に断層が出現したことを示唆する。一方、布田川断層の活動履歴については、多くのトレンチ調査が行われているが(熊原ほか,2017;岩佐ほか,2018;白濱ほか,2018;堤ほか,2018;上田ほか,2018,遠田ほか,2019,など)、それらの多くは鬼界―アカホヤ火山灰(7.3 ka;町田・新井,2003)以降に複数回活動したことを示すのみで、個々のイベントの年代が十分に制約できていない。また、トレンチ調査場所も、阿蘇カルデラ内や益城町に向かって分岐する断層上といった地点に偏っており、最も変位量の大きかった布田川断層の中央部に位置する布田周辺での活動履歴はよくわかっていない。そこで本研究では、布田川断層中央部に位置する布田地区でトレンチ調査を行なった。 掘削地点は、布田川断層と布田川が交わる西原村布田地区である。布田川断層と布田川が交わる地点では、2016年熊本地震で出現した大露頭の記載を石村(2019)が行なっており、高遊原溶岩を数10 m上下変位させる布田川断層の主断層と10 m前後上下変位させる副次的な断層が確認されている。そこから約50 mほど東の林内で5つのトレンチを掘削した。トレンチ掘削地点では、2条の地表地震断層が確認されており、南側のものは約10 cmの南落ちを伴う左ステップする開口亀裂、北側のものは30-40 cmの南落ちを示す断層崖であった。地表地震断層の変位様式と布田川の露頭で認められた断層との位置関係から、南側が主たる右横ずれ断層で、北側が副次的な正断層であると考えられる。トレンチは、南側で2箇所、北側で3箇所の掘削を行なった。 トレンチ調査の結果、すべての壁面で2016年の断層活動に加えて、過去の活動が認められた。特にK-Ah以降には少なくとも3回の断層活動(2016年イベント含む)が認められ、高い活動度を示した。現在、放射性炭素年代測定を実施中であり、発表ではそれらを加えて、より詳細な断層活動の議論とその時期について示す。
著者
梶本 玲子
出版者
国際女性の地位協会
雑誌
国際女性 (ISSN:0916393X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.141-147, 1998-12-15 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12

アメリカ連邦議会は1998年10月, 女性の直面している「シリコンの天井」 (コンピュータリタラシーの遅れによる女性の社会的地位の低下) について調査委員会を設立するための予算を通しました。科学, 工学, 技術開発における女性の就職昇進, 給与, 男女平等な処遇などについて調査する11人からなる委員会であり, 100万ドルの経費をかけた研究は, 少数民族や障害者の女性についての研究も行う予定ですハイテク業界のロビイング活動により, 外国人技術者のアメリカ国内での雇用は増加しました。ここで, なぜ女性技術者が外国人技術者と同様増加しないのか, という疑問が持たれたわけです。この業界に入った女性に何が起きているのか。メンターはいるのか。同じ能力の男性と同等の地位にいるのか, という問題意識です。他の研究がすでに, ハイテク業界における男女格差を立証しているため, 今回の研究はその理由に焦点があてられます。女性や少数民族の科学者や技術者の直面している障害を明らかにすることによって, 労働力全体のレベルが, 情報化時代のハイテク経済に対応できるようにすることがその目的です。教育省のデータによるとコンピュータサイエンスの学位を持つ女性が1984年の37.1%から1994年の28.4%に減っています。1995年現在で女性は科学技術分野でたった22%の労働力を構成するのです。そして, 彼女たちの年収のメジアン (中間値) は4万2千ドル, 男性の5万2千ドルの20%減です。「たとえ良い点をとっていても, 私は数学が苦手だと思っていました。」とあるUNIXマガジンのエンジニアの女性が言っているように, 女性が文化的に科学や技術から疎外されるようなしくみが残っているのが最大の原因なのでしょう。女性にはいろいろな機会が用意されているのに, 女性本人が「私には無理だわ。」と思い込んでこの業界に飛び込まないことが最大の障害なのです。
著者
梶原 篤 蒲池 幹治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.62-65, 1998-02-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

ラジカル重合の生長末端を生長カチオンやアニオンに変換して特異なモノマー配列をもつような高分子を合成したり, 生長反応を制御して分子量や分子量分布のそろった高分子をつくったりすることは永い間,高分子合成化学の夢の一つであった.この分野では近年,大きな進歩があり,これまでラジカル重合では合成できなかった精密に制御された高分子がつくり出されるようになってきた.
著者
梶原 義実 KAJIWARA Yoshimitsu
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集. 史学 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.25-45, 2017-03-31

In this paper, I carry out research as part of an integrated study on the roof-tile organization of old Japanese provincial temples. In it, I focus on the three provinces of Shinano, Echigo, and Sado, which have a deep geographical relationship, and discuss the formation and development of roof-tile organization. With respect to the Shinano provincial temple, although the construction of its buildings took place around the year 770, which is considerably later than in other provinces, I argue that perhaps prior to that time, temporary structures were built that used the same variety of temple roof-tiles as found in the local area. Regarding the tiles of the Echigo provincial temple, because there are not many related materials, I only introduced the specific characteristics of its roof-tile manufacturing technique. As for the roof-tiles of the Sado provincial temple, I organized their many types by lineage, and presented the possibility that the founding roof-tiles may have originally come along with the Sue pottery makers from Owari via Shinano and Echigo. I also pointed out the possibility that its founding period dates back to the late eighth century.
著者
梶川 祥世 井上 純子 佐藤 久美子 兼築 清恵 高岡 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.291, pp.19-24, 2005-09-16

2曲の歌(「ゆりかごの歌」, 「ぞうさん」)について, 4-13ヶ月児の母親が乳児に対して歌いかけた場合と乳児不在で歌った場合とで, 音響的特徴の比較を行った.テンポについては, 対乳児のほうが乳児不在よりもテンポが遅くなる傾向が全般にみられた.母親による曲の印象評価においても, テンポは判断の主要な要素であり, 遅いテンポを乳児が好むと考える母親は、他の母親よりも遅いテンポで歌う傾向が「ぞうさん」にみられた。基本周波数平均値については, 対乳児と乳児不在での変化には個人差があり, 対乳児歌唱音声で一様に高くなるとする従来の見解は支持されなかった.乳児に対する歌唱音声では, テンポは個人、曲によらず一定の傾向がみられる要素であり, 周波数の高さは個人や曲によってばらつきがあると考えられる.
著者
岡野 友美 角 玄一郎 梶本 めぐみ 吉村 智雄 杉本 久秀 髙畑 暁 安田 勝彦
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.119-125, 2017

<p>漢方薬は西洋薬に比べて胎児への影響が少ないと考えられ,妊娠時にしばしば投与される.胎児への影響に関しては漢方薬の胎児への移行の有無や程度を理解しなければならない.しかし,漢方薬の胎児移行についてはわれわれの調べた範囲ではこれまでに報告がない.今回,初めて漢方薬由来成分の胎児移行を確認したので症例の臨床経過を文献的考察も含めて報告する.症例は35歳の初産婦,妊娠39週6日で女児3222gを自然分娩した.妊娠前からうつ,てんかん,橋本病があり,妊娠21週3日から分娩まで抑肝散,リスぺリドン,レボチロキシンの3種薬剤を継続服用していた.分娩後に当院で基本検査として実施している臍帯血検査でCRPは正常範囲内にもかかわらず,白血球増多症(26000/µl),好中球増多症(18070/µl),高コルチゾール血症(269 ng/ml)がみられた.しかし,無治療で分娩119時間後(出生5日目)には白血球,好中球,コルチゾールは全て正常化した.漢方薬の甘草由来成分のグリチルレチン酸による白血球増多症,好中球増多症ならびに高コルチゾール血症が疑われたため,検査機関に依頼したところ,液体クロマトグラフィー・マス・マススぺクトロメトリー法にて,臍帯血中にグリチルレチン酸が検出された.漢方薬を服用していない母親から生まれた児の臍帯血3例を対照として検査したところ,3例ともグリチルレチン酸は検出されなかった.また,本症例の血中グリチルレチン酸は分娩119時間後には検出されなかった.これらのことから,グリチルレチン酸が白血球増多症,好中球増多症,高コルチゾール血症に関与した可能性が示唆された.〔産婦の進歩69(2):119-125,2017(平成29年5月)〕</p>
著者
森 美雅 柴田 孝行 梶田 泰一
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.191-196, 1996-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

Four cases of intracranial foreign bodies are reported. The first patient was a 58-year-old male who drove nine nails into his head while drunk. On admission the patient was drowsy, and a plain skull film revealed the nails to be embedded intracranially on both sides of the frontal and temporal regions. Carotid angiography showed no vascular injury. The second patient was a 44-year-old male. The patient had fallen from the third floor of a building under construction, to the ground and a steel rod on the ground had pierced his face. On admission the patient was semi-comatose. The rod had penetrated from the right maxilla to the ipsilateral parietal vertex. The third patient was a 9-year-old boy. He had a fallen while running and his left upper orbit had been penetrated by a wooden chopstick which he had been holding in his hand. On admission the patient wasdrowsy. His left eye was intact but blind, extraocular movement was completely impaired, and there was no sensation in the left upper quadrant of the face. Computed tomography (CT) revealed a fragment of the chopstick extending from the orbit to the middle and posterior cranial fossa through the superior orbital fissure. Carotid and vertebral angiography showed no vascular abnormalities. The fourth patient was a 48-year old male. His head had been penetrated by a nail in a nail-gun accident. On admisson he was fully alert and had no neurological deficits. Only head of the nail was seen beside the occipital midline. CT showed that the tip of the nail was located in the right cerebellar hemisphere and vertebral angiography revealed the nail piercing the right transverse sinus. In all four cases, the foreign bodies were removed by the “open and see” policy. After craniotomy and intradural exploration, the foreign bodies were removed from the injured brain and penetrated major dural sinuses under visual control. The second patient, who had been seriously injured, died of encephalo-meningitis. Good recovery was obtained in the other three cases.
著者
小玉 亮 高下 昌裕 田口 峻 藤枝 延維 梶本 裕之
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-112, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
13

A virtual reality system, combined with surrounding visual, auditory content and motion platform, can provide an immersive experience including a sensation of motion. However, the space and cost requirements for installation of motion platforms hinder its practical use. To overcome this issue, we have proposed to use a car as a motion platform. We tested an immersive content in which users ride on a trolley in a virtual space, on two types of automatic driving algorithms. The results showed that this system enhanced "enjoyment", "sense of fear" and "feeling of movement" of the content. Comparison of algorithms showed that "acceleration feedback" is more advantageous than "jerk feedback".
著者
小沼 邦男 野崎 外茂次 北谷 秀樹 川中 武司 宮本 正俊 梶本 照穂
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.223-231, 1984-02-20 (Released:2017-01-01)

Case 1. A full term male infant was admitted on the day of birth with an associated omphalocele, spina bifida, extrophy of the bladder, imperforate anus and cecal fistula. 3 months after birth, a colostomy was created at the perineal portion. At 3 years of age, the patient underwent a total cystectomy and ileocutaneous ureterostomy. This 7 years old boy is now healthy and is leading active life. Case 2. A premature male infant was admitted on the day of his birth with an omphalocele, extrophy of the bladder, imperforate anus and cecal fistula. An intravenous pyelogram revealed bilateral double pelvis and double ureter. 4 months after birth, a colostomy was created at the perineal portion. At 2 years of age, an ileocutaneous ureterostomy was created at the left lower abdomen. This patient is now 5 years old and is healthy and active. The use of extrophied colon is contributory for the success. Colostomy was created at the perineum, in spite of all the defect of muscles in that place. Iliac osteotomies are not necessary in order to close the abdominal wall. It may be stressed that successful surgical management was achieved by employment of staged procedure.
著者
梶村 政司
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.152-158, 1996-03-15

1.はじめに 「アジア競技大会広島1994」(以下アジア大会)は,記録的な猛暑と異常渇水の状況のなかで開催される運びとなった.漕艇やカヌーの会場へも渇水の影響が現れ,一時「競技は不可能か」と思わせる低水位の川やダムの現状があった.しかし,これまでの準備と願いの甲斐あって,首都以外の地方都市で初めて開催されることとなった.地方での開催であるが故に,国内はもとよりアジア諸国関係者からも多くの注目を集めていた.また,わが国においては昭和33年の東京大会に次いで2度目の開催である. 今回,診療所医務班が参考にしたのは,1985年神戸で行われたユニバーシアード大会であった.これまで多くの国際スポーツ大会が開催されていたが,いずれも理学療法士の参加は非公式なものであった.
著者
松良 俊明 坂東 忠司 梶原 裕二
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「ダンゴムシ-枯葉-微生物」の3者関係に着目し、ダンゴムシが陸上生態系の中で果たしている役割を中学生が十分理解・認識できる3種類の実験を開発した。すなわち、ダンゴムシは新しい枯葉より腐食のすすんだ枯葉を好むことを確かめる実験、ダンゴムシが枯葉を摂食することで微生物による枯葉の分解が促進されることを確かめる実験、またダンゴムシが枯葉を摂食した後に残る糞や食べ残しが植物生産に正に作用することを確かめる実験である。
著者
折田 悦郎 新谷 恭明 藤岡 健太郎 梶嶋 政司 永島 広紀 陳 昊 井上 美香子 横山 尊 市原 猛志 田中 千晴
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦前期の帝国大学(以下、帝大)のうち、法文学部が設置されたのは九州帝大と東北帝大だけであった。東京、京都の両帝大には、法学部、文学部、経済学の3学部が置かれ、一方、九州・東北帝大以降の北海道、大阪、名古屋の各帝大には、法文系学部は設置されなかった。このことは法文学部の存在そのものが、帝大史研究の中では一つの意味を持つことを示唆している。本研究は、このような法文学部について、九州帝大の事例を中心に考察したものである。
著者
外村 孝一郎 津志本 陽 梶田 将司
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE) (ISSN:21888620)
巻号頁・発行日
vol.2017-CLE-21, no.2, pp.1-5, 2017-03-14

京都大学情報環境機構では,オープンソースの Sakai CLE をベースにした学習支援システムを導入し,PandA (People and Academe)のブランド名で全学に提供している.本学への導入に当たっては,京都大学における独自の要件に対応するためのカスタマイズおよび,いくつかの機能付加を行っている.本報告では Git を利用したバージョンアップ業務の効率化,オフィスアシスタントを活用した業務支援,および動画配信システム Kaltura の導入について報告する.