著者
森山 徹 右田 正夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回全国大会(2013)
巻号頁・発行日
pp.2L4OS24d3, 2013 (Released:2018-07-30)

ダンゴムシをT字路に連続して遭遇させると、左右交互に転向を続ける(交替性転向)。我々はT字路を搭載した2台の回転盤を操作し、個体を140回連続してT字路に遭遇させ、歩行軌跡を平面展開し、空間的パターンを得た。交替性転向の発現率が高い個体ではパターンは直線的だったが、片方への転向や引き返しを頻繁に生じた個体では、より複雑で平面的だった。これらのパターンの生成過程に意思決定の片鱗を探る試みを紹介する。
著者
大江 由香 森田 展彰 中谷 陽二
出版者
日本犯罪心理学会
雑誌
犯罪心理学研究 (ISSN:00177547)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.1-13, 2008-12-31 (Released:2017-09-30)
参考文献数
38

本研究では,J-SOAP-II (Juvenile Sex Offender Assessment Protocol-II) の尺度を用いて,性犯罪少年の類型を作成し,その再非行リスクアセスメントや処遇選択への適用性を検証することを目的とした。方法:1998年から2006年までの間に,接触する性非行で少年鑑別所に入所した男子115名を対象に,保管されている書類から必要な情報を抽出した。2ステップ・クラスター分析の結果,反社会的・衝動的群,非社会的・性固執群,一過的/潜伏群の3群に分類され,この3群はJ-SOAP-IIの尺度や性格などだけではなく,一般的な非行や性非行の再非行率も異なっていた。これらの特徴の差を考慮すると,各群に適した処遇計画を立てることが適当と考えられ,本研究で得られた類型は臨床で利用可能であると示唆された。
著者
栢森 良二
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.957-961, 2013 (Released:2014-02-04)
参考文献数
6
被引用文献数
4 5

Thalidomide embryopathy resulted in babies born with deformities such as phocomelia after their mothers took only a few tablets of thalidomide drug during 36 to 56 days after their last menstrual periods. There are two thalidomide embryopathy groups depending upon whether their hypoplasia is in the limbs or the auditory organs. In the limb group, deformities range from amelia to hypoplasia of the thumb. In the auditory group, the severity can be determined by the degree of deafness. This group is often associated with aplasia of the abducens and facial nucleus. Fifty years after the thalidomide scandal, the drug is still in use. It helps treat leprosy, multiple myeloma, AIDS and cachexia. As of June 2012, there are two hundred and ninetyfive victims still living in Japan. Disabilities include inadequate pinch and grasp, besides short reach. In the last two decades, the condition of these patients has worsened with chronic intractable pain due to overuse of hypoplastic skeletal muscles. They are now suffering from snapping fingers, stenosing tenosynovitis (trigger finger) and carpal tunnel syndrome. As their concomitant deformities or impairments include dislocation of the shoulder, droopy shoulders, hip dislocation, cervical block vertebrae, thoracic kyphosis, scoliosis, occult spina bifida, and L 6 lumbarization, these have become secondary etiologies for chronic pain, resulting in a dependent ADL condition. For these patients, physical exercise or recreation activities have become a viscous circle of ever increasing pain, weakness and fatigue. Furthermore, the resulting inactivity and weight gain has made ADL even more problematic. They also suffer from internal organ anomalies. Thus, a variety of problems including weakness and chronic intractable pain, which may be called post-thalidomide syndrome, has created an additional barrier for the surviving thalidomide embryopathy patients in social participation, as their aging is progressing.
著者
加藤 展朗 山田 佳廣 松浦 誠 塚田 森生
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.115-120, 2007 (Released:2007-07-13)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

The life cycle of Hypsopygia postflava, a moth parasitic on nests of the paper wasp Polistes jokahamae, was studied in Mie, Saitama and Tokyo in 2002 and 2003. The emergence of some overwintered-generation moths was extremely delayed, and some second-generation larvae overwintered without pupation; therefore, it is considered that this nest-parasitic moth typically completes three generations per year, with some completing only one or two generations. The proportion of male adults per nest was 56.4% on average, and ranged from 30.8% to 75.0%, but did not differ significantly with the nests. The head widths of overwintering moth larvae varied greatly between the nests and also within some of the nests. Larvae with a head width of <1.08 mm died during overwintering. Larvae provided with pupae of the paper wasp in glass vessels developed to adults, but those provided only with nest materials or the feces of paper wasps did not.
著者
藤田 英二 末次 真啓 森崎 由理江
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.45-52, 2017-12-15 (Released:2019-01-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究は,サッカー競技現場でのアイスバスによる運動間アイシングの導入を想定し,運動間に行うアイスバスによるアイシングが,後半の運動能力に及ぼす効果について検証を行った.大学サッカー部に所属する男子選手13名を対象とし,実際の試合における前半と後半を想定したYo-Yo Intermittent Recoveryテスト(YYIRテスト)を行わせた.運動間に下肢をアイスバスにてアイシングする条件と,座位にて安静させる条件の2条件で,YYIRテストの走行距離,大腿の皮膚温,膝伸展筋力,垂直跳び跳躍高,ならびに30m走タイムを測定して比較した.主な結果として,アイスバス条件では後半のYYIRテストの走行距離低下を抑制し,間欠的高強度運動能力への効果が認められた.しかし,垂直跳び跳躍高ならびに30m走タイムが低下し,瞬発的な運動能力への負の影響がみられ,実際の競技での応用にはre-warm upの必要性を強く示唆するものであった.
著者
森本 あんり
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.653-675, 2005-12-30 (Released:2017-07-14)

文脈化神学は、ここ数十年の間に社会正義から文化的自己表現へとその関心を移してきた。ポストモダンの諸文化理論もこの変化を後押しし、神学の自己理解もこれに新たな意義を認めるようになった。なかでもアジア神学は、キリスト教史に占める時代史的な先端性のゆえに、今では文脈化神学の主要な担い手となりつつある。この視点から近年の「日本的キリスト教」理解を検討すると、そこには外からの視線で日本の日本らしさを規定するオリエンタリズムの関与が疑われる。加えて、従来無視されてきた非正統的な宗教集団に「みずからを語らしめる」という社会学的な接近方法は、研究者=救済者という構図を生んでポストコロニアル批判を招く。アジア神学がこのような虚構性に敏感であらざるを得ないのは、みずからもアジアの「アジア性」について繰り返し問い続けているからである。最後に本稿は、アジア神学を「アジアから神学を問う」ないし「アジアによって神学を問う」という「奪格的神学」の試みとして説明する。
著者
古森厚孝 編
巻号頁・発行日
vol.[6], 1837
著者
森田 真吾
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.50-58, 2020-03-30 (Released:2020-04-09)
参考文献数
19

本研究では、文部省『中等文法』の指導内容について、橋本進吉の文法学説との連続性にではなく、むしろ両者の差異に注目することによって『中等文法』の独自性を見出そうと試みた。その結果、『中等文法』における橋本学説に対するアレンジは、文法の指導内容を学習者にとってより身近なものとするための配慮に基づいて行われていたことが確認できた。また『中等文法』に援用されている橋本学説以外の内容については、いわゆる「五種選定本」の影響を指摘することができ、それにより『中等文法』は当時一般に流布していた文法教科書の内容を視野に入れつつ、それらを一つに収斂させて指導内容を整えようとしていた可能性があることが明らかになった。
著者
廣田 照幸 佐藤 晋平 森 直人 二宮 祐 丸山 和昭 香川 七海 冨士原 雅弘 長嶺 宏作 太田 拓紀 小野 方資 末冨 芳 神代 健彦 田中 真秀 徳久 恭子 岩田 考 宇内 一文 荒井 英治郎 金子 良事 筒井 美紀 布村 育子 古賀 徹 植上 一希
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本教職員組合(日教組)の1950年代から1980年代末までの期間を研究対象に据え、日教組が所蔵する非公開史料の特別な利用、日教組幹部OBのヒアリングや私文書の活用により、それぞれの時期に日教組内部でどのような論争や対立があり、それが結果的に日教組の運動にどういう方向性を与えたのかを、労働運動と教育運動の両面から分析する。保守対革新、文部省対日教組という単純な2項対立の図式で描かれることが多かった日教組運動史を、多様なイデオロギーのグループ間のダイナミックな相互作用過程としてとらえ直していく。
著者
森 瑞季
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
pp.NPR-D-17-00008, (Released:2019-09-30)
参考文献数
25

近年,労働統合型社会的企業の研究の気運は高まってきているが,そこで働くスタッフの社会的関係ならびに承認の構造は先行研究をみてもいまだ明らかではない.本研究は,その社会的関係を参与観察から得た情報をもとに分析し,明らかにしようとしたものである.参与観察の結果,スタッフは「共働の論理」と労働者の生活を保障するための「ワーク・ライフ・バランス重視の論理」という二つの論理,また「私的な関係性」と「社会的な関係性」という二つの関係性のもとに,相互に承認しそれにもとづいて社会的関係を構築していることが判明した.とはいえ,これらの論理や関係性は両立しがたい性質を持っている.それでも職場組織が崩壊しないのは,共働のなかで他者への配慮がなされ,そしてそれにもとづく承認という共通した認識が寛容さに基いて暗黙裡に形成されていたからであった.そしてこれらによってできあがった社会的関係はまさに連帯と呼ぶにふさわしいものであった.本研究は,このように承認論の観点から労働統合型社会的企業に関する研究の発展に寄与するものである.