著者
高橋 誠 森本 哲介
出版者
河原学園 人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.23-35, 2022-03-31 (Released:2022-09-28)
被引用文献数
1

キャリア教育で育むべき性格特性的強み(CS)について明らかにするために,社会人の持つCSと経済的・心理的な要素との関連を検討した。社会人231名を対象にオンライン調査を行った。年収,年齢,勤務年数に性差が見られたため,男女ごとに相関分析を行った結果,男女とも全CSのうち9割以上に職務満足度やワーク・エンゲージメントの間に有意な正の相関がみられた。年収との間に有意な正の相関がみられた CS の多くが,男性では「業務を円滑に遂行するために必要な強み」であり,女性は「対人関係を円滑化させるような日本特有の強み」であった。年収により3群に分けてCS得点の差を検討した結果,330万円未満群と695万円以上群との間に有意な差が見られ,「積極的に現状を打開するために必要な強み」が多くみられた。
著者
加藤 博史 小澤 亘 小川 栄二 マーサ メンセンディー 山田 裕子 石川 久仁子 牧田 幸文 森田 ゆり
出版者
龍谷大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

在日コリアンや中国からの帰国者は、言葉や習慣の壁を持って地域で生きている。中でも、高齢者、障害者は特別な生活支援が必要であり、その充実の方策を探る調査を京都市において行った。調査の結果、「福祉関係者を知っている人」は、日本人43%、コリアン32.6%、中国帰国者20%、「不幸感をもつ人」は、日本人6.4%、中国帰国者10%、コリアン20%であった。また、「幸福感をもつ人」は、日本人44.5%、コリアン35.7%、中国帰国者10%であった。その他のデータからも、日本に暮らす外国籍の人や外国の風習を身につけた人たちの生活支援の必要性と地域の人たちとつなぐ機能の必要性を明らかにしえた。
著者
森脇 亮
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.57-67, 2016-01-05 (Released:2016-04-15)
参考文献数
52

渦相関法を用いた地表面フラックスに関する研究は平原・海上・森林といったフィールドにおいて先行して行われてきたが,1990年代以降,都市域においても渦相関法を用いたフラックスの観測事例が増えてきた.フラックス観測データの蓄積により都市-大気間のエネルギー収支の定量的な把握が進んでいるが,一方,都市における熱収支は裸地や植生におけるそれとは異なる取り扱いが必要であることも明らかになっている.本稿では都市接地層で行われるフラックス観測について,適切な観測サイトの選定方法,観測高度の設定,観測を行う際に留意すべき事項,熱収支の考え方について解説する.また熱収支・CO2 フラックスの時間・季節変化の特徴,発生/吸収源などについて,これまで得られている知見を,著者らの研究を中心にまとめた.最後に,都市版のフラックスネットとして立ち上げられたUrban Flux Networkについて紹介しながら,近年の研究動向などを解説する.
著者
佐竹 陽子 石澤 美保子 森脇 裕美 升田 茂章 土田 敏恵 貝谷 敏子 田中 結華
出版者
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理学会
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.503-514, 2023 (Released:2023-10-24)
参考文献数
18

本研究は在宅療養者の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)有病状況とケアの現状を明らかにすることを目的とした。 全国指定訪問看護ステーションから単純無作為抽出した1,800施設のMDRPU有病症例を対象に実態調査を行った。 338 施設(回収率18.8%)から252 症例の回答を得た。男性115 名(45.6%)、69.0 ± 25.3 歳(範囲;0-101)、233 件(79.8%)が在宅で発症していた。関与した機器は尿道留置カテーテル68 件、経ろう管法用チューブ56 件、経鼻酸素カニューレ30 件が上位であった。DESIGN-R®の深達度評価はd1が163(55.8%)、d2が85(29.1%)、D3 が18(6.2%)、D4が9(3.1%)、D5 が1(0.3%)であった。在宅で入手可能な物品で試行錯誤しながらスキンケア、接触部位の保護、除圧の外力低減ケアを実施していた。 ケアは訪問看護師のもつ創傷管理の知識で適切にされていると評価できる一方で、医療機関と異なる背景にも留意しなければならない。訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の専門的知見を融合し地域の医療者や介護福祉専門職、在宅療養者や家族に対し従来の褥瘡との違い、重症化予防の観察やケアを教育する必要がある。また在宅療養者や家族の生活状況と変化に応じセルフケアや介護能力を見極め、MDRPU 予防と管理の方法を具体的に検討する必要性が示唆された。
著者
森 誠之 南 一郎 七尾 英孝 南 一郎 七尾 英孝
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

表面化学の立場から潤滑油添加剤の反応を制御し、より適切な潤滑特性を得るために表面形状の影響を検討した。鋼試験片表面に適当な粗さを与えることにより、摩擦係数が徐々に低下し、安定で低い値を示すことを見出した。表面分析の結果、表面の突起部で金属新生面が生成し、ここで添加剤が反応するとともに潤滑性の境界膜を形成したことを明らかにした。
著者
磯沼 大 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1T3GS605, 2023 (Released:2023-07-10)

近年、ChatGPTをはじめとした幅広いタスクに汎化できる汎用言語モデルを学習する方法として、タスクごとにプロンプトを付与しマルチタスク学習を行うinstruction tuningが注目されている。 これまで様々なプロンプトがinstruction tuningのために作成されているが、どのようなプロンプトがモデルの汎化性能向上に最適なのか明らかになっていない。 本研究では学習用プロンプトを二段階最適化により最適化するinstruction optimizationを提案し、instruction tuningに最適なプロンプトを明らかにする。 評価実験において、タスクの指示をプロンプトに用いる実験設定(zero-shot)では、二段階最適化によりプロンプトを多様化することが汎化性能向上に有効である一方、タスクの例示をプロンプトに用いる実験設定(few-shot)では、多様な種類の例示ではなく同一の例示を用いる方が有効であることが明らかになった。
著者
森 重文
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.193-209, 1983-07-26 (Released:2008-12-25)
参考文献数
33
著者
森本 淳子 柴田 昌三 長谷川 秀三
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.360-366, 2003 (Released:2005-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

京都市近郊林産のコバノミツバツツジとモチツツジの地域性種苗の生産に必要な技術,すなわち種子の貯蔵,播種,苗の育成に関して,適切な方法を明らかにすることを目的に実験を行った。その結果,1)当年結実した果実を採取後,乾燥させ取り出した種子を殺菌処理し冷蔵乾燥貯蔵すると,種子の発芽力は低下しにくい,2)この条件で貯蔵すると,コバノミツバツツジは少なくとも2 年8 カ月間,モチツツジは1 年8 カ月間,高い発芽力が維持される,3)結実の翌年,気象をコントロールしないガラス室で5 月頃に播種すると発芽率は最も高くなる,4)施肥を行わない場合,コバノミツバツツジは水苔に播種し翌年早春に6 cmポットに床替え,モチツツジは水苔に播種し翌年早春に9 cmポットに床替えすると,もっとも生存率が高く,成長量の大きい2年生苗になることが明らかになった。
著者
江川 優子 麻原 きよみ 大森 純子 奥田 博子 嶋津 多恵子 曽根 智史 田宮 菜奈子 戸矢崎 悦子 成瀬 昂 村嶋 幸代
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.677-689, 2023-10-15 (Released:2023-10-28)
参考文献数
22

目的 日本公衆衛生学会に設置された「平成29/30年度公衆衛生看護のあり方に関する委員会」では,公衆衛生および公衆衛生看護教育の実践と研究のための基礎資料を提供することを目的として,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化を試みた。方法 米国の公衆衛生専門家のコアコンピテンシーおよび公衆衛生看護におけるコンピテンシーを翻訳し,共通点と相違点を検討した。次に,米国の公衆衛生看護のコンピテンシーと日本の公衆衛生看護(保健師)の能力指標の共通点と相違点を検討し,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化に取り組んだ。結果 公衆衛生と公衆衛生看護のコンピテンシーには,集団を対象とし,集団の健康問題を見出し,健康課題を設定し働きかけるという共通点がみられた。しかし,集団の捉え方,健康問題の捉え方と健康課題設定の視点,集団における個人の位置づけに相違があった。公衆衛生では,境界が明確な地理的区域や民族・種族を構成する人口全体を対象とし,人口全体としての健康問題を見出し,健康課題を設定しトップダウンで働きかけるという特徴があった。また,個人は集団の一構成員として位置づけられていた。一方,公衆衛生看護では,対象は,個人・家族を起点にグループ・コミュニティ,社会集団へと連続的かつ重層的に広がるものであった。個人・家族の健康問題を,それらを包含するグループ・コミュニティ,社会集団の特性と関連付け,社会集団共通の健康問題として見出し,社会集団全体の変容を志向した健康課題を設定し取り組むという特徴があった。日米の公衆衛生看護のコンピテンシーは,ともに公衆衛生を基盤とし公衆衛生の目的達成を目指して構築されており,概ね共通していた。しかし,米国では,公衆衛生専門家のコアコンピテンシーと整合性を持って構築され,情報収集能力,アセスメント能力,文化的能力など,日本では独立した能力として取り上げられていない能力が示され,詳細が言語化されていた。結論 公衆衛生の目的達成に向けたより実効性のある公衆衛生・公衆衛生看護実践を担う人材育成への貢献を目指し,日本の公衆衛生従事者の共通能力が明確化される必要がある。また,公衆衛生看護では,これまで独立した能力として言語化されてこなかった能力を一つの独立した能力として示し,これらを構成する詳細な技術や行為を洗い出し,言語化していく取り組みの可能性も示された。
著者
藤村 諭史 釜﨑 大志郎 末永 拓也 吉田 禄彦 森永 秀和 大田尾 浩
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-34, 2023 (Released:2023-10-26)
参考文献数
18

[目的]本研究は,若年者のアーチ高率と歩行速度の関係を検討することを目的とした。[対象]対象者は,健常若年者67名(19± 1歳,男性64%)とした。[方法]基本情報として性別,年齢,身長,体重,body mass index を記録した。身体機能は,最大歩行速度,アーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力を測定した。まず,各測定項目の相関をPearsonの相関分析で検討した。次に,最大歩行速度を従属変数とした重回帰分析を行った。[結果]最大歩行速度はアーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力と有意な相関関係を示した。さらに,重回帰分析の結果,最大歩行速度にはアーチ高率が関係することが明らかになった(標準化係数:−0.36,p=0.016)。[結語]アーチ高率の低下は,若年者の最大歩行速度を上昇させる要因である可能性が示唆された。

1 0 0 0 OA 小児領域

著者
森内 浩幸
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27, 2023 (Released:2023-07-21)
参考文献数
22

【要旨】子どもは当初 SARS-CoV-2 に感染することが少なかったが、オミクロン株に置き換わってから感染例が激増した。ただ子どもは大人(特に高齢者)にくらべて重症化することがきわめて少なく、その機序としては自然免疫応答の強さや抗感冒コロナウイルス免疫の交差反応が想定されている。重症化率は低くても感染例が激増したことを受けて重症例・死亡例がみられるようになり、特に国内では急性脳症の併発が危惧されている。またコロナ禍における社会の変化や子どもの感染予防対策が過度に行われることにより、子どもの心の発達を妨げられ心の健康を蝕まれていることに留意すべきである。
著者
小宮 友根 北村 隆憲 森本 郁代 三島 聡 佐藤 達哉
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、裁判員裁判の評議において裁判官がおこなうファシリテーションについて、その技法とそれが評議の展開に及ぼす影響を解明しようとするものである。現職裁判官をはじめとする法曹の協力のもと、現実の裁判員裁判に限りなく近い模擬裁判を実施し、その録画を主として会話分析の手法を用いて分析することで、裁判官が用いるファシリテーション技法の会話的特徴とそれが評議にもたらす帰結を体系的に解明するとともに、それに対する学際的な分析と評価をおこなう。
著者
安達 實 本江 裕之 金森 範孝 北浦 勝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.241-246, 2002-05-15 (Released:2010-06-15)
参考文献数
22

戦前までは, 特別に重要な箇所を除き橋と云えば木造橋が殆どであった. 木造橋の主流は桁橋であるが, 渓が深いところや舟運で径間を大きくとらなければならないところには, 木造方杖形式が採られた. 特に木材の豊富なわが国においては, いろいろな形の方杖形式が生まれた.戦前の写真をもとに東日本 (北海道・東北・関東地方) の木造方杖橋について, 土木史的視点よりその構造形態について述べる.