著者
片岡 俊彦 遠藤 勝義 井上 晴行 稲垣 耕司 森 勇藏 広瀬 喜久治 高田 和政
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1122-1126, 1994

The probe of this scanning near-field optical microscope (SNOM) is a dielectric sphere of 500 nm in diameter on a transparent substrate. The probe sphere is illuminated by evanescent wave which is formed by the incidence of He-Ne laser with the wave length of 632.8 nm from the inside of the substrate on the condition of total reflection. The light from the probe is collected by a conventional microscope through the substrate. The detected light intensity changes remarkably when a sample is brought in a near-field around the probe. The variation of detected light intensity in the near-field depends on refractive index of sample; the smaller real part of refractive index of sample, the more remarkable increase of detected light intensity. This result is explained by using an electric dipole model for the electromagnetic interaction between probe and sample. The vertical resolution of about 1 nm and lateral resolution of less than 20 nm are obtained for the developed microscope by measuring a standard specimen which is prepared by vacuum evaporation of metal.
著者
福島 秀晃 三浦 雄一郎 森原 徹(MD) 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会 第51回近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.88, 2011 (Released:2011-10-12)

【はじめに】前鋸筋は上位8~10肋骨から起始し、肩甲骨に付着する筋で上部、中部、下部線維に区分される。肩甲上腕リズムの観点からも肩甲骨運動に重要な筋であり、肩甲骨と胸郭との安定性にも関与している。上肢挙上時の肩甲骨運動と前鋸筋の機能に関する研究は多数あるが、前鋸筋の下部線維を対象としたものが多く、前鋸筋中部線維(以下、中部線維)に関する報告は少ない。本研究目的は肩関節屈曲、外転運動での中部線維の機能を筋電図学的に検証することである。 【対象と方法】 対象は事前に研究の趣旨を説明し、同意を得ることができた健常男性8名(平均年齢28.8±5.4歳、平均身長177.6±6.8_cm_、平均体重72.3±9.7_kg_)の右上肢とした。筋電計はmyosysytem1200(Noraxon社製)を用いた。中部線維の電極貼付位置はRichardら(2004)の方法に準じ広背筋と大胸筋の間で第3肋骨レベルに貼付した。運動課題は端坐位での上肢下垂位から肩関節屈曲と外転方向に30°毎挙上し120°まで各角度5秒間保持し、これを3回施行した。分析方法は3回の平均値を個人データとし上肢下垂位の筋電図積分値を基準に運動方向ごとに各角度での筋電図積分値相対値(以下、相対値)を算出した。次に_丸1_各運動方向における角度間での分散分析(tukeyの多重比較)、_丸2_角度ごとでの屈曲と外転間での対応のあるt検定にて比較した。 【結果】 中部線維の相対値は屈曲、外転方向ともに角度増加に伴い漸増傾向を示した。_丸1_屈曲では30°と比較して90°および120°において有意に増加した(p<0.01)。外転では30°と比較して120°において有意に増加した(p<0.05)。_丸2_各角度において屈曲と外転間での相対値には有意差は認められなかった。 【考察】 中部線維は第2,3肋骨から起始し、肩甲骨内側縁に付着し肩甲骨の外転作用を有する。肩関節屈曲、外転運動における肩甲骨運動について我々は座標移動分析法(2008)を用いて検討したところ肩甲棘内側端は屈曲では120°まで外側方向に外転では90°まで内側方向へ90°以降外側方向へ移動することを報告した。このことから肩関節屈曲における中部線維の機能は肩甲骨の外転運動に関与したと考えられる。一方、肩関節外転では肩甲棘内側端は内側方向へ移動することから中部線維の肩甲骨外転作用に対して肩甲骨運動は拮抗している状態である。しかし、中部線維の相対値は肩関節屈曲と有意差を認めなかったことから肩関節外転における中部線維の筋活動は肩甲骨運動に関与するのではなく、肩甲骨と胸郭との安定性に関与したと考えられた。また、肩関節外転120°で有意に相対値が増加したことは肩甲棘内側端が内側から外側方向へ移動が転換される角度であり、中部線維は肩甲胸郭関節の安定から肩甲骨運動に機能転換されることが示唆された。
著者
森井 裕一
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.140, pp.1-18,L5, 2005-03-19 (Released:2010-09-01)
参考文献数
41

Germany's foreign policy has been characterized by continuity since its fundamental course was defined by the Federal Republic's first chancellor, Konrad Adenauer. Even unification in 1990 did not have much impact on the continuity of both foreign policy and European integration policy. The transatlantic alliance (NATO) and the European integration (EU) have remained the basic pillars of the Federal Republic's foreign policy. It was imperative that Germany embed itself in both NATO and the EU.With the end of the cold war the security environment in Europe drastically changed: the meaning of security changed from territorial defense to crisis management. Accordingly the European Security and Defense Policy (ESDP) of the EU developed rapidly in the framework of the Common Foreign and Security Policy (CFSP). The German federal government led by Chancellor Schröder and foreign minister Fischer continued its commitment to the transatlantic alliance and to the further development of European integration. Since the federal election of 2002, however, the Iraq war has overshadowed the German-U. S. relationship.This article analyzes the issue of continuity and change in German foreign policy within this new security environment. The first part of the article outlines the course of German foreign policy since the end of the Cold War, focusing especially on the problem of using the defense force, the Bundeswehr. In the second part, using the case of the 2002 federal election, the entanglement of domestic politics and foreign policy is discussed. In the third part, the new characteristics of current foreign policy are discussed. The debates over the “German Way” and “Civilian Power” in foreign policy are examined in order to explain both continuity and change in the transatlantic relations. German policy toward the institutional development of the EU and European security policy is also discussed.The red-green government led by Schröder/Fischer introduced a new style to German foreign policy with its more direct and self-confident approach. Ongoing economic globalization and the developing EU are both generating change within German foreign policy. Nonetheless, the multilateralism of German foreign policy will not change. For Germany, the use of the UN, OSCE and EU remains the fundamental basis for its policy, even though Germany is increasingly asserting its own interests and preferred methods in those organizations. Germany's desire to promote world stability through civilian methods, for example, are well-suited to an approach that works through multilateral institutions. At the same time, even though the European security environment has changed, the U. S. A. remains the most important security partner for Germany. The transatlantic relationship remains inevitable for Germany's security and economy. Germany has to balance its key transatlantic relationship with the demands of European integration.
著者
志田 嘉次郎 浜垣 秀樹 小澤 徹 田賀井 篤平 藤田 宗孝 片山 武司 鈴木 美和子 東江 昭夫 森 君江 黒岩 常祥 田中 光明 植木 昭勝 田中 亘 中田 好
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.22-34, 2000-03

停年を迎えるにあたって/志田嘉次郎先生を送る/退職にあたって思い出と感謝/小澤先生を送る/退官にあたって/藤田さんを送る/理学部での40年間を振り返って/鈴木美和子さんを送る/二つの幸せ/森さんを送る/数々の思い出から/田中さんを送る/退官にあたって/田中さんを送る
著者
田中 康博 瀬尾 龍太郎 永井 雄也 森 美奈子 戸上 勝仁 藤田 晴之 倉田 雅之 松下 章子 前田 明則 永井 謙一 小谷 宏行 高橋 隆幸
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.71-75, 2008 (Released:2008-03-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

症例は58歳の女性.31歳より全身性エリテマトーデス(SLE)および抗リン脂質抗体症候群(APS)のためprednisoloneとazathioprineを内服しSLEとAPSは安定していた.2004年10月,発熱を伴う感冒様症状が出現したので近医に入院.抗生剤は無効で血小板減少が出現したので,SLEの増悪との診断のもとステロイドパルス療法が施行された.しかし,汎血球減少へと進展したので当院へ転院となった.骨髄穿刺で血球貪食像が認められ,胸部CTで肺門部を中心とするスリガラス影が認められた.同日のcytomegalovirus (CMV) antigenemiaが陽性であった.以上より,CMV関連血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome ; HPS)およびCMV肺炎と診断.azathioprineを中止しprednisoloneを減量してgancyclovirを開始.これにより解熱し汎血球減少は改善した.現在,外来通院中でCMV感染の再発を認めていない.SLEなどの膠原病にCMV関連HPSを併発することは稀であるため報告する.
著者
高岡 昌輝 武田 信生 小田 烈弘 藤山 弘道 藤吉 秀昭 森本 林
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.256-263, 1998-09-30

平成6年度から平成8年度にわたり行った全国87のごみ焼却施設を対象にした保全整備の実態調査と平成7年度に行った廃炉の実態調査からごみ焼却施設の寿命の推定を試みた。まず, ごみ焼却施設の寿命を表す分布形を決定するため, 廃炉のデータに対して正規分布, 対数正規分布, ワイブル分布の適用を試みた。ワイブル分布の適合度がよく, ごみ焼却施設の寿命は15.7年と推定された。保全整備実態調査の補修のデータについてワイブル分布を適用したところごみ焼却施設全体の寿命は19.2年と, 設備のつながりを考慮した最小寿命系の場合は16.4年と推定された。保全整備費のデータより焼却炉形式, ガス冷却形式の違いによる寿命の比較では, 全連・ストーカ・ボイラーの施設が18.2~37.4年の範囲であることが推定され, 最も長寿命であった。また, ワイブル分布の形状母数からごみ焼却施設はゆるやかな磨耗故障を示す分布で表されることがわかった。
著者
河野 光久 國森 拓也 馬場 俊典
出版者
山口県水産研究センター
雑誌
山口県水産研究センター研究報告 = Bulletin of Yamaguchi Prefectural Fisheries Research Center (ISSN:13472003)
巻号頁・発行日
no.15, pp.35-43, 2018-02

山口県瀬戸内海は,西から周防灘,伊予灘及び広島湾の一部で構成される。本海域の大部分の水深は50m以浅で,西部の山陽小野田市以西では広大な干潟が形成されている。本海域に出現する魚類については,藤岡が1952年~1980年代の採集記録に基づき294種を報告しているが,その後総括的な報告はなされていない。また,瀬戸内海では1994年以降水温上昇に伴い,新奇暖海性魚類が増加していることから,最新情報を含めて魚類相の現状を明らかにしておくことは,今後の水温変動が魚類相や分布に与える影響を予測するために重要であると考えられる。そこで,本研究では山口県瀬戸内海域で確認された魚類に関する既往の文献のほか,著者らの未発表の調査資料を網羅的に整理し,山口県瀬戸内海産魚類目録を予報として報告する。
著者
平川 経晃 小寺 良尚 福田 隆浩 公益財団法人日本骨髄バンク 黒澤 彩子 田島 絹子 山崎 裕介 池田 奈未 小島 裕人 田中 秀則 金森 平和 宮村 耕一
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.153-160, 2018

<p>骨髄バンクコーディネートにおける実情把握を目的として,2004年1月~2013年12月に日本骨髄バンクへ登録された患者18,487人,ドナー延べ223,842件の解析を行った。末梢血幹細胞移植例は除外した。移植到達患者あたりのコーディネート件数の中央値は11件,登録から移植までの日数中央値は146日,登録患者の40%が移植未到達であった。HLA6/6抗原フルマッチドナー推定人数が多い場合に,移植到達率が上昇し,移植到達日数が短縮した。ドナー側のコーディネート終了理由は年齢・性別で異なり,20代男性ドナーは健康理由による終了率が低く,ドナー都合による終了率が高かった。複数回コーディネートを受けたドナーのうち,前回の終了理由が患者理由の場合,ドナー理由で終了した場合と比較して採取到達率が高かった。本結果を基盤情報として,より効率的で迅速なコーディネートを目指した施策の検討が必要であると考えられた。</p>
著者
小林 茂 吉沢 英造 蜂谷 裕道 鵜飼 高弘 中川 雅人 森田 知史 中井 定明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.357-366, 1992-04-25

抄録:腰痛や坐骨神経痛などの腰仙部神経根症状を呈する疾患の病態は,機械的圧迫に伴う血流障害や脳脊髄液の停滞が長期存在し,根内環境の恒常性が破壊されることによって生ずると考えられる.特に圧迫に伴う血管透過性の亢進は,根内浮腫,強いては線維化の形成に深く関与し,この過程を解明することが今後の腰痛疾患の治療を行っていくうえで有用であると考えられる.今回はイヌの神経根における血液―神経関門の機能をトレーサーを用いて形態学的に検討した.その結果,神経根に見られる血液―神経関門を有する連続型毛細血管には,脳脊髄液をドレナージする選択的透過機構が存在した.しかし,急性圧迫障害時には,血管内皮細胞間での密着帯の開大による透過性亢進や飲小胞による細胞内輸送の増加により関門は破綻し,根内浮腫が生じることを証明した.
著者
森川 亮
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.113-153, 2015-07-01

[概要]量子力学は, 現代の科学技術文明にとってもっとも重要な理論である. 量子なる概念は, 二十世紀初頭に出現した. これを量子革命と称する. われわれは, 本論で量子論の発展過程を見てゆく. とりわけ本論が主題とするのは, 黒体放射の問題がいかに解き明かされてプランクの放射公式に結実したか, ということである. かかる議論の過程で, われわれは, 量子の二重性がどのようにして出現したのかが明確にされるのを見るであろう. 言い替えれば, 量子の二面性の根源が, 完成された理論のどこに潜んでいるかを見いだすであろう. また, 本論は, 量子の認識論に関して, その哲学的含意についても若干の議論をすることになる. [Abstract]Quantum mechanics is the most important theory for the modern scientific and technological civilization. The notion of quantum had been emerged at the beginning of the 20th century that is called quantum revolution. We will see the process of the development of the quantum theory in this paper. Especially, we will see and discuss how the black-body problem had been solved by the Planck's formula for radiation. This discussion will make a clear understanding to the emergence of the so-called wave-particle duality. That is to say, we will see the origins of the quantum duality that are hid behind of the accomplished theory. And we discuss a few philosophical implications that are about the epistemology of quantum.
著者
秋田 健太 森本 有紀 鶴野 玲治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.397-403, 2021-01-15

近年,深層学習を用いた自動着色に関する研究がさかんである.カラーイラストは線画を着色することで作成されるが,着色に非常に時間がかかるため,自動着色技術によって効率化することが期待される.既存の研究の多くは,ユーザが線画の領域ごとに色ヒントを入力する必要があるため,入力が多くなる.また,カラー参照画像による既存の自動着色手法では,目のような小領域は指定どおりに着色できないことが多い.しかし,目はキャラクタイラストにおいて,非常に着目される部分であり,重要である.そこで本論文では,カラー参照画像によるキャラクタイラストの線画の顔を対象とした自動着色において,正しく目の色を反映するための深層学習モデルを提案する.本手法では,カラー参照画像の目の一部をそのまま円形の色ヒントとして,線画の目の位置に自動で与える.これにより,ユーザ入力なしで入力線画の目に参照画像の目の色を先行手法よりも正しく反映することができる.
著者
森藤 義孝 杉本 洋輔
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.123-128, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
7

本研究においては,小学校理科の学習内容に関する命題分析を通した検討の一環として,電気分野で取り扱う諸概念について,意味内容とイメージの観点からの分析を行った。その結果,現行の学習指導要領,及びそれに基づいて作成された小学校理科教科書における科学用語の取り扱いには改善の余地があることが明らかにされた。そこで,本研究では,見いだされた科学用語の取り扱いに関わる問題点を解消するための方策として,Asoko らの提案を踏まえつつ,小学校で構築すべき電気分野の諸概念にかかわる効果的なイメージの提案を行った。
著者
根井 吾郎 﨑村 俊之 依田 周 森 圭介 水光 正裕 矢部 嘉浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.295-297, 2016

【はじめに】踵骨裂離骨折は稀な骨折である.また,転位した骨片により皮膚壊死を起こすことが報告されている.今回我々は踵骨嘴状骨折の1例を経験したので報告する.【症例】36歳・男性.バック転をした際に左踵部痛が出現し当院へ救急搬送され,単純X線像で左踵骨嘴状骨折を認めた.転位骨片により皮膚は蒼白であり,皮膚壊死を回避するために緊急手術を行った.中空海綿骨裸子3本でのラグスクリュー固定と高強度糸による締結を行った.術後3週尖足位でシーネ固定と免荷を行い,以後はアキレス腱装具装着下に荷重を開始した.皮膚壊死や創感染などの合併症なく経過し,骨癒合が得られた.【考察】踵骨嘴状骨折は稀な骨折で,皮膚壊死を起こす危険性が高く緊急手術を行う必要がある.本症例は緊急手術を行い軟部組織合併症が回避できた.
著者
伊達 善夫 越川 敏樹 森 忠洋
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
pp.7-11, 1985 (Released:2011-03-05)
著者
若田 忠之 森谷 春花 齋藤 美穂
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3+, pp.96, 2018-05-01 (Released:2018-07-17)
参考文献数
2
被引用文献数
1

前報であるWakata&Saito(2017)に引き続き,複数の感覚間の関係性に着目したCross-modal 研究における,色(視覚),音楽(聴覚),香り(嗅覚)の3つの感覚に共通する印象次元を抽出し,その印象次元における各感覚の関係性の検討および前報の結果に加えて香り,音楽に対する調和色の傾向と印象との関係性を検討することを目的とした.その結果,色の明るさとあざやかさと対応する印象次元が認められ,特に因子1は明るさ,あざやかさの判断と関連し,その判断が香りと色,音楽と色の感覚間の調和関係に影響を与える傾向が示された.
著者
森川 理 大竹 貫洋 埴 英郎 松村 光明 三浦 宏之 高橋 英和 西村 文夫 本橋 孝志
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.213-222, 2002-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
19

目的: 口腔内で使用する合金は生体適合性に優れ, 各種修復物に応用可能なものが望まれる. 最近, 耐食性に優れ, 生体適合性も良いとされる歯科用金チタン合金が市販された. そこで, この合金の機械的性質および陶材との焼付強さを測定し, その有用性を検討した.方法: 実験には市販の陶材焼付用金チタン合金を使用した. 各種鋳造試験片はメーカーの指示に従って鋳造, 熱処理を行い作製した. 機械的特性として引張特性, 硬さを, 熱的特性として熱膨張係数を測定した. 金チタン合金と従来型陶材, 超低溶陶材との焼付強さをDIN13927に準じて求めた. 対照として, 従来の陶材焼付用金合金と従来型陶材の焼付強さも求めた. 金チタン合金に従来型陶材を築盛し割断した試料をEPMA分析した.結果: 引張特性と硬さは熱処理により変化し, 軟化熱処理した値は有意に小さかった. 硬化熱処理ではタイプ4金合金に近い機械的性質を示した. 熱膨張係数は従来の陶材焼付用金合金よりも大きかった. 焼付強さはいずれの陶材を用いても40MPa以上を示し, 従来型陶材焼付用金合金の値とは有意な差を認めなかった. 剥離面を観察したところ金属側には陶材の成分が, 陶材側にはチタンが存在していた.割断面を観察したところ, 焼付界面直下に酸化チタンが認められた.結論: 今回検討した金チタン合金は, 単一合金で広範囲な修復が可能な機械的性質を有し, かつ十分な焼付強さを示したことからその有用性が示唆された.