著者
森 敏裕 丘村 煕
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.241-249, 1984-06-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
32
被引用文献数
6 1

The measurement of swallowing pressure is one of the methods to analyze the swallowing mechanism, but it has not been utilized clinically yet. The purposes of this paper are to clarify practical problems of the measurement of swallowing pressure through a survey of literature and to evaluate a posssibility of utilizing it for clinical use. It was considered that an intraluminal miniature pressure transducer was more accurate in measuring swallowing pressure than an infused water-filled catheter. The measurement of swallowing pressure can be an useful diagnostic method for investigating swallowing mechanism at the pharyngeal and cervical esophageal regions, especially in combination with cine-fluorography.
著者
笠松 隆洋 吉村 典子 森岡 聖次 橋本 勉
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-26, 1996-02-01 (Released:2010-11-26)
参考文献数
24
被引用文献数
4 4

和歌山県民栄養調査に参加した世帯の調理担当者769人について, 1日の摂取食品数を調査し, 摂取食品数と栄養素等摂取状況及び肥満との関連性について検討した結果, 以下のことが明らかになった。1) 1日の摂取食品数を12食品未満, 12~17食品, 18~23食品, 24~29食品, 30食品以上の5群に分けたところ, 18~23食品群が最も多く41%を占めていた。平均摂取食品数は, 20.2食品であった。2) 摂取食品数の増加に伴い, 栄養素等充足率は高くなる傾向を認めた。摂取食品数が18~23食品群ではカルシウムと鉄のみが不足し, 24~29食品群ではすべての栄養素が充足された。一方, 30食品以上群では, たんぱく質の充足率は142%, 脂質の充足率は125%にも達していた。脂肪エネルギー比は25%を超えていた。3) 摂取食品数の増加に伴い, いも類, 菓子類, 油脂類, 豆類, 果実類, 野菜類, 海草類, 魚介類, 肉類, 卵類, 乳・乳製品の摂取量は増加していた。4) 摂取食品数の増加に伴い, たんぱく質, 脂質, ビタミンB1, ビタミンB2は, 肉類, 卵類, 乳・乳製品といった動物性食品からの摂取割合が増加していた。5) 肥満者の割合は, 摂取食品数が24~29食品群で最も低かった。以上, 和歌山県民栄養調査の結果から, カルシウム所要量を充足させることに重点を置いた栄養指導を行うことを前提にすれば, 1日の摂取食品数は25食品程度を目標に摂取するとよいことが推察された。
著者
実森 仁志
出版者
日経BP社
雑誌
日経システム構築 (ISSN:13483196)
巻号頁・発行日
no.140, pp.148-157, 2004-12

「顧客向けシステムで致命的な障害が月に1〜2度発生し,その顧客対応や復旧作業に追われる日々。抜本的な対策にまで手が回らなかった」(丸紅情報システムズ ビジネスサービス本部 ネットワークサービス部 NS第3チーム課長 阿部秀一氏)——。 多くの運用現場は毎日忙しいが,その作業内容は後手後手の対処策ばかり。システムの企画や改善にまで及ばない。
著者
森田 英樹
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センター
雑誌
学校教育実践学研究 (ISSN:1341111X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.167-173, 2018

A Purpose of this paper is to suggest a necessity of construction of economic education for teachers training courses. This acquisition of the teachers' licenses of social studies in junior high school and civics in high school is possibility to study only one course on economics in current law. TO train high quality teachers, this paper emphasizes a teaching method to make understanding on the monopoly as the principle of three equivalence of national income.
著者
甲田 広明 堤 陽平 森 幸子 北口 遼 船越 大生 前川 和道
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1535, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】理学療法を行うにあたってブリッジ運動を利用できる場面は様々である。ブリッジ運動は臥位で行えるため安全で,幅広い患者に用い易い。理学療法中ブリッジ運動を用いると,患者によって殿部の挙上度合いに差があり,歩行自立度の高い患者ほどブリッジ運動時に股関節を伸展出来ているように感じる。そこで今回,ブリッジ運動時の股関節伸展角度と歩行自立度の関係を調べ,歩行自立度低下の予測及び予防をする際の指標とすることを目的とした。【方法】当院外来通院中で,屋外歩行自立度が独歩自立または杖歩行自立の患者を対象とした。対象の年齢選定は,年齢によるバイアスを少なくする目的で,下限を前期高齢者以上とし上限を90歳未満とした。得られた対象者は独歩自立の者が21名(男性8名,女性13名,平均年齢76.4±5.4歳,以下,独歩群),杖歩行自立の者が11名(男性2名,女性9名,平均年齢79.2±7.8歳,以下,杖歩行群)であった。下肢に麻痺のある者,ブリッジ運動時に痛みの出る者,また屋外歩行が独歩であったり杖歩行であったりと歩行自立度が一定しない者は除外した。ブリッジ運動の開始肢位は,背臥位にて両側上肢をベッド上に置き,膝関節を膝蓋骨の鉛直下方に踵部の後端が位置するところまで屈曲した肢位とした。開始肢位からゆっくりと可能な範囲で殿部を挙上させ,挙上が止まった時点での股関節伸展角度をゴニオメーターで計測した。その際上肢の力を用いることは禁止しなかった。股関節伸展角度は,日本整形外科学会及び日本リハビリテーション医学会の定める測定方法を参考にし,体幹と大腿で計測を行った。統計は,独歩群と杖歩行群において得られた股関節伸展角度及び年齢について比較検討した。統計処理にはt検定を用い,有意水準を5%未満とした。また,独歩群と杖歩行群の歩行自立度に関するカットオフ値をROC曲線より決定し,クロス集計表より感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率,正答率を算出した。【結果】ブリッジ運動時の股関節伸展角度の平均値は,独歩群1.4±11.1°,杖歩行群-21.8±11.5°で有意差を認めた(p<0.05)。両群間の年齢については有意差を認めなかった(p=0.25)。またブリッジ運動時の股関節伸展角度のROC曲線から,最も有効な統計学的カットオフ値は-15°であると判断できた。この点をカットオフ値としたクロス集計表より,感度86%,特異度82%,陽性的中率75%,陰性的中率90%,正答率84%の値が算出された。【考察】今回の研究から,独歩群は杖歩行群と比較してブリッジ運動時の股関節伸展角度が有意に高値を示し,カットオフ値は-15°であることが分かった。クロス集計表から得られた値は,陽性的中率を除いてすべて80%以上であり,歩行自立度に関する評価指標として有用であると考えられた。陽性的中率は75%であったが,陰性的中率は90%,正答率は84%であり,ブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°以上であれば歩行自立度が独歩となり易いことが示された。以上より,独歩自立の者のブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°のカットオフ値を下回るようであると,今後歩行自立度が低下すると予測された。また,独歩自立の者でブリッジ運動時の股関節伸展角度が-15°以上であれば,それを下回らないように理学療法を行うことで歩行自立度低下を予防できると考えられた。さらに現在の歩行自立度が杖歩行である者に対しては,-15°のカットオフ値を上回るように理学療法を行うことで,歩行自立度を向上させる可能性も示唆された。しかし今回の研究では,何故ブリッジ運動時の股関節伸展角度と歩行能力に関連があるのかについての詳細な検討は出来ておらず今後の研究課題としたい。また,どのような理学療法を行うとブリッジ運動時の股関節伸展角度が向上するかについても合わせて調査をしていきたい。【理学療法学研究としての意義】ブリッジ運動時の股関節伸展角度を計測することで,歩行自立度低下の予測及び予防をする際の指標になる可能性を示すことができ,理学療法学研究としての意義はあったと思われる。
著者
森本 皓一 宮島 昌克
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.I_238-I_249, 2019 (Released:2019-09-24)
参考文献数
12

埋立地等の軟弱地盤では,地震による液状化現象に起因して大規模な地盤変状が生じ,埋設された水道管にも大きな被害を及ぼしてきた.耐震継手ダクタイル鉄管は継手部に伸縮性,屈曲性,離脱防止性を有するため,現在まで地盤変状による被害は発生していない.ただし,大規模な地震動が連続して発生した場合に,液状化地盤に埋設された耐震管路が複数回の地盤変状を受けてどのように挙動するか,明らかにはなっていない.本研究では,1995年に発生した兵庫県南部地震時に計測された地盤変位を用いて,実際に生じた地盤変状を管路に複数回与えて管路の挙動解析を実施し,管路の挙動を検証した.
著者
村岡 修 田邉 元三 森川 敏生 二宮 清文 松田 久司 吉川 雅之
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.51, pp.1-6, 2009-09-01

Salacinol and kotalanol are new class of potent glycosidase inhibitors, isolated by presenters from Ayruvedic traditional medicine Salacia reticulata, having the unique zwitter-ionic structure comprising of 1-deoxy-4-thio-D-arabinofranosyl cation and the sulfate anion in the alditol side chain. Elucidation of the stereostructure of kotalanol, which has long been unknown and very recently approved by Pinto and co-workers by the synthesis, by the independent manner involving the degradation of natural kotalanol is presented. In the detradation of 2, characteristic deprotective cyclization of heptitols to anhydroheptitols was found to occur to a large extent. Structural elucidation of salalprinol, one of the sulfonium analogs recently isolated from the same species, by the synthesis is also presented. Revisions of the structures of new constituents from Salacia species, neosalacinol and 13-membered cyclic sulfoxide, recently reported as constituents responsible for the α-glucosidase inhibitory activity by Minami and Osaki and co-workers, respectively, are presented. In relation to this study, synthetic route of de-O-sufonated salacinol, which was proved as potent as 1, has been developed. Finally, conditions for the quantitative analysis of 1, 2, and their de-O-sulfonates (3 and 4) by LC-MS for the qualitative evaluation of Salacia extracts is discussed.
著者
小森 佑美 笹井 由利子 須原 伸子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.178, 2008 (Released:2009-02-04)

【はじめに】現在、当院では、顔の清拭を朝と夕方に蒸しタオルにて行っているが、眼脂が残っていることがあり、眼の清拭が不十分だった。布団を掛け臥床している患者にとって、顔は第一印象となる。しかし、長期臥床患者は自己にてケアすることができず、眼脂の多い患者は、点眼薬を使用し続け悪循環となる。また、点眼薬に関する研究は数多くされているが、眼清拭に関する研究はほとんど見あたらず、関心の低さが伺えた。そこで、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭を取り入れた結果、洗浄や点眼を使用しなくても眼脂が減少し、効果が得られたので、ここに報告する。【研究方法】1.研究期間:2007年7月~9月 2.研究対象:当院長期療養型病棟入院中65歳以上の寝たきり患者 3.方法:_丸1_2%ホウ酸水コットンを作り、朝・昼・夕方に眼清拭をする。_丸2_点眼薬使用者は、医師の許可を得て、ケア期間中点眼薬の使用を中止し、すべての患者を同じ条件にて行う。_丸3_手洗い後、又は手袋を使用し眼脂の少ない側から拭く。拭く時は、まず初めに目頭部分の眼脂を拭き取り、コットンの面を変えて目頭から目尻にむかって拭く。 評価方法:スケール表を個別に作成し、両眼計30点で1週間ごとに3回評価する。【研究結果および考察】眼脂は、眼清拭実施前も眼清拭実施後も朝に多くみられた。また、眼脂は目頭側に一番多くみられ、続いて目尻側に多くみられた。点眼薬未使用者だけでなく眼清拭実施前点眼者(以後点眼者とする)も、眼清拭実施後どの時間帯にも眼脂の量は減少した。分析の結果、有意差があり(p<0.00)眼清拭が効果的だったと言える。また、点眼者に対しても有意差があり(p<0.05)、眼清拭は効果的だったと言える。そのため、現在も点眼薬を使用せず経過している。しかし、眼清拭実施後、眼脂の量はある一定量まで減少したが、分析の結果、有意差はなく眼脂量が減少しつづけているとは言えなかった。眼脂は夜間閉眼していることや、ケアをしない時間が長いことで朝に多くみられたと考えられる。そのため、夜間のケアを導入すれば、もっと眼脂の減少につながると思われるが、患者の睡眠を配慮すれば、必須とは言えない。評価方法に関しても、個別のスケール表を使用したが、有る無は分かっても、量的な評価に関しては難しさを感じた。眼脂が目頭側に多く見られたのは、目頭には鼻涙管があることが考えられ、一般的な拭き方では、眼脂を広げることになる。そこで、初めに目頭側の眼脂を拭き取ってから、コットンの面を変え目頭から目尻に向かって拭くことが眼脂の減少につながったのではないかと考えられる。また、結果から目尻側を最後にもう一度拭き取る清拭方法を見直すことが、より効果的だったと考えられる。【結論】高齢で長期臥床患者の眼脂は、2%ホウ酸水コットンにて眼清拭をすることで減少した。しかし、消失することはなかった。
著者
林 真輝 田村 康宏 大谷 陽範 森岡 みほ子 笹本 剛生 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.223-228, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
20

魚介類中のトリブチルスズ化合物(TBT)およびトリフェニルスズ化合物(TPT)の高速溶媒抽出装置(ASE)およびLC-MS/MSを用いた分析法を開発した.LC分離は,コアシェル性オクタデシル化シリカゲルカラムを用いて0.1%ギ酸70%メタノール溶液によるアイソクラティック移動相条件で行った.試料を抽出温度125℃,抽出溶媒n-ヘキサンの条件でASE抽出し,フロリジルカートリッジカラムを用いて精製した.これらにより,脂質が多い魚介類に対しても適用可能となった.定量は重水素標識したTBTおよびTPTを用いたサロゲート法により行い,検量線は0.2~250 ng/mLの範囲で直線性が得られた.本法による定量下限値はTBT,TPTともに0.8 ng/gであった.本法を用いて,TBTおよびTPTの認証値が付与されたホタテ貝柱の環境標準物質の分析を行ったところ,分析値は認証値と有意差がない結果が得られた.スズキ,ボラ,アナゴ,カレイ,アサリを対象に2併行,5日間の添加回収試験を行った結果,真度89.3~105.3%,併行精度(RSDr) 1.0~4.5%,室内精度(RSDwr) 1.3~7.6%の良好な結果が得られた.
著者
佐々木 隆宏 田原 正一 豊原 律子 森川 麻里 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 山嶋 裕季子 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.229-234, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

第2版食品中の食品添加物分析法の方法(2版法)において,チーズでは抽出液が懸濁する場合,固形物が浮遊して定容が困難な場合,夾雑成分によりHPLC-UV分析が困難な場合がある.清酒では,共沈操作が不要と考えた.そこで,チーズについては抽出液の懸濁の原因となる水酸化ナトリウム溶液の添加量を減らし,固形物を除くため吸引ろ過後に定容する方法を確立した.清酒については,希釈後,遠心分離する方法とした.また,カーボンモレキュラーシーブが充てんされたカートリッジによる固相抽出法も開発した.添加回収試験(n=5)では,91.3~99.6%(CV 0.9~4.5%)と平均回収率および併行精度が良好であり,チーズで0.010~0.20 g/kg,乳で0.010~0.20 g/L,清酒で0.010~0.10 g/kgの範囲に適用可能であった.本法は2版法の問題を解消し,操作が効率的である点で有用な分析法と考えられた.
著者
森川 拓也
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDHOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVETSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
no.22, pp.77-90, 2020-11-30

平成20年度版小学校学習指導要領において「伝統的な言語文化に関する事項」が新たに設けられ、現行の小学校学習指導要領でも「我が国の言語文化に関する事項」として、同じく3・4学年で俳句と短歌が取り扱われている。その内容は「親しむこと」が重視され、その作品の内容についての鑑賞・解釈という点は求めてはいない。しかし、それでは俳句本来の価値に触れることは難しい。つまり文学作品としての短歌や俳句は、短く少ない言葉に秘められた思い、奥深さ、言葉によるイメージの膨らみを得ることがその価値である。その価値に触れてこそ、より親しみを感じるのではないのだろうか。その見地に立ち、光村図書教科書4年上で扱われている「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」(小林一茶)の俳句を例に、児童が俳句の内容に迫る授業の可能性を、授業実践例から考察した。児童は、句の中の数少ない言葉の意味、その言葉から導き出されるイメージを駆使して、この句の内容に迫っていくことができた。その授業からは、言葉というはっきりした証拠をもって豊かに想像を膨らませることの可能性が示されたと言える。
著者
小山 伸一 行岡 秀和 森本 修 新藤 光郎 西 信一 前田 均 藤森 貢 若杉 長英
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.235-239, 1996-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11

自殺目的で燃料用アルコール(メタノール)を服用し,脳死に陥った症例を報告する。患者は42歳の男性で,腹痛と嘔吐で発症し高度代謝性アシドーシスが認められ,昏睡状態に陥ったため気管内挿管後に当院ICUに入室した。入室時,高浸透圧血症と浸透圧ギャップの増加が認められ,頭部コンピューター断層撮影(computed tomography; CT)上両側レンズ核部に低吸収域が認められた。持続血液透析により代謝性アシドーシスの改善が認められたが患者は脳浮腫を生じ,脳死になった。ICU入室7時間後の血中メタノール濃度は173mg・dl-1であった。脳死になった原因として,メタノールおよびその代謝産物の直接作用ならびに脳浮腫による可能性が考えられる。
著者
金森 逸作 中村 宜文 似鳥 啓吾 辻 美和子 向井 優太 三吉 郁夫 松古 栄夫 石川 健一
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2020-HPC-177, no.22, pp.1-8, 2020-12-14

格子 QCD は,隣接通信を多用する典型的な HPC 計算であり,線形ソルバー内での縮約計算の頻度も高い.そのため,スーパーコンピュータ「富岳」開発において,ハードウェア・システムソフトウェア・アプリケーションソフトウェアが共同して開発にあたるコデザインの対象の一つになっている.本講演では,コデザインの成果を踏まえて実現した,富岳向けの格子 QCD 用疎行列線形ソルバーにおける通信の高速化について報告する.隣接通信には低レイテンシの uTofu インターフェースを用いており,MPI 持続通信を用いるよりも小さな通信オーバーヘッド,きめ細かな通信リソースの割り付けを実現している.また内積計算に必要な少数要素の縮約についても,Tofu バリアと呼ばる機能で高速化を実現している.
著者
外山 英志 田原 良雄 豊田 洋 小菅 宇之 荒田 慎寿 松崎 昇一 天野 静 下山 哲 中村 京太 岩下 眞之 森脇 義弘 鈴木 範行 杉山 貢 五味 淳 野沢 昭典 木村 一雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement3, pp.27-30, 2005-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

症例は64歳の男性,狭心症の既往はなし.冠危険因子は高脂血症と家族歴があった.2週間前から発熱,咳嗽などの感冒様症状が出現し内服薬を処方されていたが改善しなかった.突然の呼吸困難にて発症し救急隊を要請したが,現場到着時には心静止であった.当院搬送後,心肺蘇生処置を継続したが効果なく死亡確認となった.病理解剖を行ったところ,肉眼的には,漿液性の心嚢水が貯留,両心室腔・右房の拡張,左室壁の肥厚を認めた.左室壁はほぼ全周性に心筋の混濁が認められたが,心筋の梗塞巣や線維化は認められなかった.組織学的には両室心筋に全層性の炎症細胞浸潤,巣状壊死,変性,脱落を認めた.臨床経過と合わせて劇症型心筋炎と診断した.一般に「突然死」と呼ばれている死亡原因には,急性心筋梗塞,狭心症,不整脈,心筋疾患,弁膜症,心不全などの心臓病によるものが6割を占め,そのほかに脳血管障害,消化器疾患などがある.突然死の中でも心臓病に起因するものが「心臓突然死(SCD)」と呼ばれているが,現在米国では心臓突然死によって毎年40万人もの人が命を落としており,その数は肺がん,乳がん,エイズによる死亡者の合計数よりも多いとされている.心臓突然死における急性心筋炎の頻度は不明であるが,しばしば可逆的な病態であり,急性期の積極的な補助循環治療により,完全社会復帰された症例も散見されるので,鑑別診断として重要である.
著者
藤井 陽子 大倉 睦美 上森 栄和 谷口 充孝 大井 元晴
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.88-92, 2018
被引用文献数
1

<p>レム期睡眠行動異常症(rapid eye movement sleep behavior disorder; RBD)は筋活動の抑制が欠如し夢内容と一致した行動が出現し,終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography; PSG)にて筋活動の抑制を伴わないレム睡眠の出現を認めることで診断される.病歴上RBDが強く疑われた51歳男性において常時監視下ビデオ同時記録によるPSGによりノンレム睡眠,レム睡眠期に関わらず呼吸イベントに伴う覚醒中に発声,発語を認め,閉塞性睡眠時無呼吸が原因であると判明した1例を報告する.持続陽圧呼吸療法導入後,呼吸イベントは消失し発声,発語は認められなかった.常時監視下ビデオ同時記録PSGの重要性を示した1例である.</p>
著者
森本 泰夫 三木 猛生 東 敏昭 明星 敏彦 田中 一成 向井 千秋
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.129-134, 2009-06-20 (Released:2009-06-24)
参考文献数
22

We reviewed the effect of lunar dust (regolith) on humans from technological and biological point of views. In physicochemical properties of lunar dust, hazard-related factors are that silicon occupies about 50 % in composition, and that fibrous materials and nanoparticles are included. Animal exposure studies have been performed using a simulant of lunar dust, and it was speculated that the harmful effect of simulant lies between crystalline silica (positive control) and titanium dioxide (negative control). Fibrous materials may not have low solubility judging from the component. The nanoparticle in lunar dusts may have harmful potentials by the components. In microgravity, the deposition of particles with less than 1 μm in human lung did not decreased, but the deposition of particles with diameter of several μm decreased linearly with reducing the gravity. In microgravity the functions of macrophage including phagocytosis were suppressed. These data on the deposition of particles and the function of macrophage suggested that fine and ultrafine particles may be accumulated in the lung in microgravity. The researches on lunar dust and microgravity are preliminary and very much limited, therefore it is necessary to perform lots of researches in this field.