著者
池添 貢司 森 理也 喜多村 和郎 田村 弘 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.108, pp.59-64, 2012-06-21
参考文献数
11

一次視覚野(V1)の神経細胞は方位選択性を持ち、方位選択性の強さは細胞によって異なる。方位選択性細胞はその最適方位に従って皮質内で規則的に配列している。本研究では、サルV1で2/3層細胞の選択性の強さが細胞周辺の方位マップの構造、特に局所領域内の細胞が持つ最適方位の多様性と関係するかを検討した。本研究では、鎮痛不動化したサルにおいて方位刺激に対する個々の細胞の応答を2光子カルシウムイメージングで計測した。互いに似た最適方位を持つ細胞が集まる領域では様々な方位選択性をもつ細胞が集まっていたが、互いに異なる最適方位を持つ細胞が集まる領域では方位選択性の弱い細胞が集まっていた。この結果から、サルV1細胞の方位選択性は細胞周辺の方位マップと関係することが示唆される。
著者
森山 清徹
出版者
佛教大学文学部
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
no.90, pp.31-50, 2006-03

因果論に関し無常な自性を有する対象(因)の吟味に続く本稿で扱う常住な自性を有する対象(困)の吟味に於ても感官知、特に有形象知の点からは経量部説とされる対象の二条件に照合して論破され、さらに推理の点からは常住な自性を有するものの吟味の際の常套手段ともいい得るダルマキールティの刹那滅論の活用により論破される。しかしながらこのプラマーナを用いたカマラシーラの吟味は夕ルマキールティとは以下の点で異なる。ダルマキールティはプラマーナ(直接知覚と推理)を言語行為(vyavahara) によるが、結果的には効力を有する実在(vastu ,勝義有)を明らかにする整合した知であるとする。他方カマラシーラは、プラマーナを有という言語行為及び常、無常なる実在の自性を排除する無なる言語行為を明らかにする知とする。さらに無なる言語行為を証明する反所証拒斥検証(sadhyaviparyaye badhakapramana)により自、他、自他の二、無因からの四不生や離ー多性などを能遍の無知覚(vyapakanupalabdhi)因とし勝義無自性の論証として確立している。このプラマーナの意義や適用の仕方はダルマキールティとは異なっている。本稿で扱う因果関係と常、無常なる実在の自性に関して勝義として能遍(因果関係)の否定により所遍(実在の自性)の否定(無自性)を論理的必然関係として論じ、他方、対論者の実在を論じる推論は能遍の確定により所遍を確定するという過ちを犯している、なぜなら実在の自性が成立しなくとも因果関係はあり得る故、反所証拒斥検証が成立せず不定因であると退けている。またカマラシーラはプラマーナに段階的に限定された整合性を設け二諦説を設定する基準としている。カマラシーラダルマキールティ
著者
森 哲也 金内 誠 進藤 斉 角田 潔和 吉澤 淑 小泉 武夫
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.9-15, 2004-01-31
参考文献数
26
被引用文献数
1

金華火腿から分離された微生物309株より, 火腿脂質の不飽和化に関与する菌株のスクリーニングを行い, 糸状菌6株を選抜した。この中でA-59は脂質中の不飽和脂肪酸の割合が82.0%と選抜菌株の中で最も高く, 特にオレ・イン酸, リノレン酸含有率が高かった。A-59は各種形態試験の結果, <I>Aspergillas oryzae</I>と同定された。本菌株は, 培養温度25℃, 初発pH6.0, 0.5%コール酸ナトリウム, パルミチン酸とステアリン酸を炭素源として, その比率が60 : 40で最も高い不飽和脂肪酸量を示した。また, 本株はパルミチン酸, ステアリン酸を菌体内に取り込み, オレイン酸やリノール酸, リノレン酸を生産していると推察した。以上より, 火腿脂質の不飽和化は<I>A. oryzae</I> A-59を中心とする6株が作用していることが明らかとなった。
著者
森 強士 西川 泰 高田 曜子 樫内 賀子 石原 伸浩
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.197-203, 2001-08-10
参考文献数
24
被引用文献数
5 3

ブラジルで民間療法として用いられているインスリーナは, 糖尿病や高血圧症に効果があるといわれている。そこでインスリーナの抗糖尿病作用を評価するための試験を行った。<i>in vitro</i> の試験として, マルターゼ, α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の阻害能を調べ, <i>in vivo</i> の試験として, 自然発症糖尿病マウスに対する連続摂取での作用と正常ラットおよびストレプトゾトシン (STZ) 誘発糖尿病ラットに対する血糖値上昇への影響を調べた。その結果, インスリーナはマルターゼおよびα-グルコシダーゼに阻害活性を示した。また, 4週間連続摂取後の自然発症糖尿病マウスの随時血糖値を有意 (<i>p</i><0.001) に低下させた。正常ラットおよびSTZラットの糖負荷後の血糖値への影響は, 正常ラットショ糖負荷後30分値で有意 (<i>p</i><0.01) に血糖上昇を抑制し, STZラットショ糖負荷後60分値で有意 (<i>p</i><0.05) に抑制した。これらの結果から, インスリーナ葉は糖尿病の予防に有効であることが予想された。
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.439, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)

2020年9月号の特集は「災害に備える」です。近年,豪雨や地震など大規模な災害が立て続けに発生しました。2018年の西日本豪雨,大阪北部地震,北海道胆振東部地震,2019年の台風15号と台風19号による被害は記憶に新しいかと思います。2020年7月にも各地で豪雨災害が起こりました。また「コロナ禍」と称されるように,新型コロナウィルスの感染拡大を受けた一連の状況も災害ととらえることができます。こうした災害時・非常時であっても,あるいは災害時・非常時にこそ情報は必要とされています。利用者の情報要求に応えるためには,資料を守るだけではなく,資料へのアクセスを確保しつつ,可能な範囲で業務を続けることも必要です。そこで今回の特集では,事業継続も含めた災害への事前の備えに焦点を当てました。まず,名古屋大学 林秀弥氏には,防災・減災のための地区防災計画や事業継続計画(BCP)について,ICTの活用を交えつつ論じていただきました。常葉大学 小豆川裕子氏には,業務を続けるためのテレワーク環境整備についてご紹介いただきました。これらを合わせてお読みいただくことで,平時から備えるべきポイントや環境整備について知ることができます。次に,防災専門図書館 堀田弥生氏には,災害情報の入手方法や活用例をご紹介いただきました。東北大学 柴山明寛氏には,様々な自然災害デジタルアーカイブとその活用方法についてご紹介いただきました。自然災害に備えるために必要な情報を,どこから入手し,どのように活用できるのかという点について,2つの記事を参考にしていただければと思います。最後に,今般のコロナ禍においては図書館の休館・利用制限が相次ぎました。資料へのアクセスに困難が生じる一方,様々な形で有料コンテンツの無償公開も行われました。北海道大学附属図書館 山形知実氏には,非常時であっても資料へのアクセスを確保するという側面から,オープンアクセスについて論じていただきました。9月は防災月間です。災害への備えに,本特集を役立てていただければ幸いです。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),海老澤直美,當舎夕希子,南山泰之)
著者
森脇 志織 楠 あかね 神原 知佐子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.510-517, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
15

介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設)に勤務する管理栄養士・栄養士の職務満足度およびワーク・ライフ・バランス(WLB)の現状を把握し、それらに関連する要因を検討することを目的として、アンケート調査を行った。調査票は700施設に送付し、120施設から回答を得た。本調査に回答した者は193人で、上司や同僚とおおむね良好な関係であり、仕事での能力や専門性に関する自己評価もおおむね良好であった。給与に関する評価はやや低いものの、福利厚生制度に関してはおおむね良好であった。職務満足度の中央値(四分位範囲)は65点(40~80点) /100点で、重回帰分析の結果、最も影響を与えていた項目は「現在の仕事は、自分の能力を活かせる仕事である(β=0.249、p <0.001)」であった。WLBの満足度の中央値(四分位範囲)は70点(50~80点)/100点で、最も影響を与えていた項目は「現在の仕事は、自分の能力を活かせる仕事である(β=0.255,p =0.001)」であった。
著者
石崎 武志 服部 絢一 松田 保 宮保 進 越野 健 藤村 政樹 岡藤 和博 南 真司 金森 一紀 佐賀 務 舟田 久
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.86-97, 1985

肺真菌感染症を合併した21例の血液疾患を臨床床状, 胸部X線写真, 免疫血清学の観点から検討した. 起炎真菌はアスペルギルス17例, ムコール1例, 不明3例であった. 経気管支肺生検法で2例, 臨床経過で6例 (剖検所見で確認) を生前診断し抗真菌療法を行った. 抗真菌療法中に血液学的改善の得られた6例は治癒し, 改善の得られなかった2例は死亡した. 臨床症状として, 全例に通常の抗生剤不応性の熱発, 咳 (15例), 喀痰 (10例), 血痰 (10例), 胸痛 (9例), ラ音 (16例) 呼吸困難 (9例) を認めた. 胸部X線写真上, 肺炎様陰影 (12例), パッチイな浸潤影 (3例), びまん性微細網状小結節状影 (3例) シスト様影 (1例) を認め, air crescent sign を5例, 胸膜肥厚を9例に認めた.全例流血中アスペルギルスフミガーツス抗原・抗体とも陰性であった. 全体として, 注意深い臨床症状の観察, 胸部X線写真と経気管支肺生検法などによって早期に真菌性肺炎を診断し, 的確な抗真菌療法を開始することが, この致死的感染症治癒への一歩となる.

1 0 0 0 39.過期妊娠

著者
雨森 良彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.574-577, 1993-05-10

妊娠42週を超過するものを過期妊娠(posttermPostdate, prolonged pregnancy)と呼称する。ふつうは妊娠38〜42週で分娩が発来するが,4〜10%はこの過期産となる。機序の詳細は不明である。過期産の25%は胎児の発育栄養はよく維持され,出生時児体重も3,500gを超える。しかし一方,25%は胎児の栄養は亜急性に障害されpost maturitysyndromeと呼ばれるごとくいろいろな徴候を示す:皮下脂肪欠如,頭髪は多い,うぶ毛と胎脂は欠除,指先を超える爪,皮膚の剥離,羊水混濁である。新生児室ではよく低血糖が発見される。栄養不良でglycogenの貯蓄が少なくなりがちである。この過熟症候群は予定日超過によくみられる胎盤機能低下が増悪したためで往々にして羊水過少症をともない子宮胎盤呼吸系機能が悪化して,胎内死亡,分娩中の胎児仮死を起こしやすくする。羊水吸引症候群(meeonium aspiration syn—drome)は新生児に致命的になりうるが分娩時の適切な処置で予防可能。
著者
米本 紀子 米本 重夫 小林 俊司 神移 佳 井戸 和己 森本 正昭
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.61-64, 2020-02-25 (Released:2020-03-04)
参考文献数
9

身体表現性障害とは「検査所見に異常が無く,医師がその症状には身体的根拠が無いとするにもかかわらず,身体症状を反復して訴え,絶えず医学的検査を要求する」と定義される.身体表現性障害として紹介された8人が,当院ペインクリニックでの介入により,どのような経過をたどったか報告する.症例A~Cは未治療であった身体的根拠があり,その器質的原因に対する治療によって痛みが軽減し,生活機能が改善した.症例D~Fは生活機能が保たれており「慢性痛の治療目的は生活の質を改善していくことである」という説明を理解し,身体症状を反復して訴え完治を期待する言動をやめた.症例Gは8カ月後に解離性障害と診断され精神科入院となった.症例Hは,生活機能は保たれていたが慢性痛の説明に納得できず,1年後も身体表現性障害の言動を継続していた.以上より,身体表現性障害と診断されても,ペインクリニックの介入が有効なケースもあると考える.
著者
重松 英朗 中村 吉昭 古閑 知奈美 森 恵美子 大野 真司
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.3069-3073, 2008 (Released:2009-06-11)
参考文献数
10
被引用文献数
8 8

Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症し乳癌との鑑別を要したgranulomatous mastitisの1例を経験したので報告する.症例は47歳,女性.1カ月前より右乳房腫瘤を自覚し当科受診.右乳房A領域に3cm大の腫瘤を認めた.理学的所見,画像所見より右乳癌が疑われたが針生検組織診で確定診断が得られなかったため外科的生検術を行った.病理組織所見では肉芽腫の形成と多核巨細胞を含む炎症細胞浸潤を認め悪性所見は認められなかった.細菌培養にてCorynebacterium kroppenstedtiiを認め,Corynebacterium kroppenstedtii感染により発症したgranulomatous mastitisと診断した.治療として排膿ドレナージ後,塩酸ミノサイクリン内服治療を3週間施行し治癒を認めた.Granulomatous mastitisの診療においてCorynebacterium kroppenstedtii感染の可能性を考慮することが必要と考えられた.
著者
斉藤 飛翔 笹川 和彦 森脇 健司 藤崎 和弘
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S143_2, 2019

<p>血管内治療において,カテーテル挿入手技は医師の経験や指先の感覚に大きく依存し,その感覚を他人に正確に伝えることは難しい.その感覚を提示するため,カテーテルに作用する力を計測するシステムが開発されているが,装置が大掛かりである.また,挿入手技時にカテーテル先端と血管壁の衝突等によって術者が指先で感じる力覚を直接的に計測するものではないことから,手技の可視化を目的とした指先の力覚計測と動作解析を同時に行うシステムの開発要求が強い.本研究では,指先に接着可能なフィルム型3軸応力センサを作製し,指先の応力計測とモーションキャプチャを使った動作解析が可能なカテーテル手技可視化システムの開発を行い,血管モデルにこれを適用して術者の指先の応力計測と動作解析の有効性を検討した.カテーテルが血管壁に衝突しないときと比較し,衝突したときの方が指先の進行方向におけるせん断応力が大きく,また,ねじり動作に応じたねじり方向のせん断応力も計測できた.よって,カテーテルの前進・後退・ねじりの動作に対応した指先の接触応力を検出でき,カテーテル手技可視化の手段として本システムの有用性を示した.</p>
著者
齊藤 飛翔 笹川 和彦 森脇 健司 藤崎 和弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
M&M材料力学カンファレンス
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

<p>Catheter insertion is a sensitive operation largely depending on tactile senses of the doctor. Although several kinds of force measurement systems attached in the catheter have been proposed, the measurement of the force during operation should be measured at the finger for evaluation of the tactile senses. In this study, we developed a film type tri-axial stress sensor that can be attached to the fingertip. An electro-conductive polymer in polythiophene series was used for the pressure sensitive layer. The conductive polymer material has a characteristic that the electric resistance in the thickness direction decreases under the compression. This type sensor is thin and flexible therefore it can be expected to directly measure the contact stress at the fingertip. In this experiment, the contact stress is measured under during catheter guide wire insertion motion. The contact stress vector including vertical and the plane directional components were detected at the gripping area of the wire. The motion trajectory of the finger in the catheter insertion was analyzed in a motion capture system. As a result, changes of the contact stress according to forward, backward, and rotation in the catheter operations were observed during insertion tests. It is possible to evaluate the catheter operation by means of the tactile sensing. Also, this measurement system can be applied not only to evaluate the skill of catheter operation but also to use for training the operation.</p>