著者
坂元 章 三浦 志野 坂元 桂 森 津太子
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.87-101, 1995
被引用文献数
1

本研究の目的は, 通俗的心理テストの結果のフィードバックが, 人々の, 自己イメージ, 更には, 行動に影響するかどうか, また, その影響の強さが, 学術的な心理テストのそれと異なるかどうかを検討することであった。筆者たちは, 1つの実験を行い, 64名の女子の被験者を2つの群に分け, 1つの群には通俗的心理テストに回答させ, もう1つの群には学術的心理テストに回答させた。そして, それぞれの群の半分には, 外向性の偽のフィードバックを与え, もう半分には, 内向性の偽のフィードバックを与えた。実験の結果は, 外向性のフィードバックを受けた被験者が, 内向性のフィードバックを受けた被験者に比べて, 自分は外向的であると考え, 初対面の人物 (サクラ) に対して外向的に行動するようになることを示した。そして, この行動に対する影響の程度は, 通俗的心理テストと学術的な心理テストの間で同じであった。これは, 通俗的心理テストの結果のフィードバックが, 学術的心理テストのそれと同じ程度に, 人々の行動に影響し, 自己成就現象を引き起こしうることを示唆している。実験の結果は, また, 通俗的心理テストと学術的心理テストは, 行動への影響では違いがないが, 心理的安寧への影響では違いがあることを示した。通俗的心理テストのほうが, 学術的心理テストよりも, 心理的安寧を与えていた。また, 筆者たちは, 補足的調査を行って, それぞれのフィードバック文の特徴を調べた。
著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.88-101, 2014-07-04 (Released:2014-07-10)
参考文献数
23

スクリーンスケイプはスクリーンの映像だけではなく,その背後にあるさまざまな事象とその構造を含んだ概念である.この概念を用いることで現実の空間とサイバースペースの垣根を越えた研究が可能であり,双方の空間にわたる情報化社会にアプローチすることができる.映像の背後には技術,マーケティング,社会状況,コミュニケーションの4種類の要素がある.本稿では2Dのビデオゲーム空間の視点に注目した分析と聴き取り調査を行うことで,主に技術やマーケティングに関する調査を行った.その結果,コストと技術の制約の中でクリエイターは性能を最大限に活かす努力を行ってきたこと,技術の発展に伴い,ビジネスモデルが複雑化し,マーケティングの影響が徐々に強くなり,ビデオゲームの内容も変化したことが分析できた.このように,技術とマーケティングの影響を受けつつビデオゲームのスクリーンスケイプが発達したことが明らかになった.
著者
國吉 康夫 森 裕紀
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.14-19, 2012 (Released:2012-02-15)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1
著者
伊東 正博 小森 敦正
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

チェルノブイリ組織パンクにはこの2年間で約300症例が登録され、計3,000症例の症例集積が進んでいる。被曝甲状腺癌には一つの決まった特徴はなく、被曝形式により形態学的にも分子生物学的にも多様な形態を呈していた。チェルノブイリ地域から発生した小児甲状腺乳頭癌において、被曝の有無により、組織像に差はみられなかった。しかし、ヨード摂取の高い国の症例とは有意に差が存在し、低ヨード摂取は小児甲状腺疵の発生頻度の上昇、潜伏期の短縮、形態形成、浸潤性に影響を及ぼしていることが推察された。
著者
横澤 幸男 藤森 弘章
出版者
一般社団法人 日本時計学会
雑誌
日本時計学会誌 (ISSN:00290416)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.15-28, 1985

A Wrist watch "WRIST TERMINAL RC-1000" has been developed and put on the market. This one not only can receive data directly from information processing instruments (personal computers) but also memorise and readout the data at any time. As the RS-232C interface and RAM of 2K bytes are installed in the wrist watch, such functions as memory, schedule alarm, and world time are also fulfilled.
著者
佐藤 洋子 良村 貞子 森下 節子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.小児入院施設の安全対策:(承諾が得られた小児入院3施設安全管理マニュアル、施設設備の検討)1)事故発生状況:調査前年度の病院別事故発生状況は、転落事故が23件、転倒事故3件であったが、その他の事故はなかった。2)3病院いずれも事故防止のための入院時資料を作成していたが、保護者を対象とするものが多く、小児を対象とする資料は、ビデオ・写真など、視覚的理解を促すものであった。3)3病院いずれも事故防止目的で環境整備(点滴、ベッド柵に関する安全使用表示。点滴スタンド脚の5脚化等、用具の工夫。クッションフロア・プレイルーム等環境の工夫)を実施していた。4)事故防止のために、B病院は7歳以上の患者を対象とする転倒・転落予測ツールを使用していた。2.入院患児の保護者の意識(質問紙回収率88.3%):1)保護者が入院中起こりやすいと考えている事故は、1位転落、2位転倒、3位打撲・外傷であった。2)事故防止実施上の責任を保護者と回答した者は、91.5%であった。保護者が看護師に期待する事故防止策は「環境整備を徹底してほしい」60.4%、「子供の行動を注意して観察してほしい」10.4%であった。以上のように、小児入院環境下では事故(転倒・転落、誤飲や窒息・打撲や外傷・火傷等)防止をするためのさまざま対策がとられていた。しかし、小児入院施設としての統一的な安全基準はなく、施設の工夫に任されていることが明らかになった。また、保護者は事故防止の責任を保護者にあると認識していた。保護者が、看護師に求める事故防止対策は、入院環境の整備が多いことが示された。このようなところから、看護師は、小児の病状を観察し、安全な環境を整備することが必要であり、安全基準の策定、保護者ならびに小児に対する教育等、具体的な事故防止の支援を進めることが今後の課題と考える。
著者
中村 晃 神藤 貴昭 田口 真奈 西森 年寿 中原 淳
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.491-500, 2007-12-30
被引用文献数
3

本研究では,大学教員初任者がもつ教育に対する不安について検討し,さらにこのような不安と同時に周囲からのサポートについても考慮し,これらがどのように仕事に対する満足感と関係するかを検討することを目的とした。そのため,まず教育不安尺度を作成し,次に教育不安が周囲からのサポート,および職務満足感とどのような関係にあるかを質問紙により検討した。その結果,教育不安尺度では因子分析により「教育方法に関する不安」「学生に関する不安」「教育システムに関する不安」の3因子が見出された。また教育不安と職場におけるサポート,および職務内容満足感との関係を検討した結果,教育に関する不安が高い場合,先輩教員のサポートが満足感を上げる要因になること,および教育システムに関する不安が高い場合,同世代教員によるサポートが少ないと満足感が低くなることが示唆された。これらのことから,特に不安の高い教員に対しては,職場のサポートが仕事の満足感を上げるうえで重要であると考えられる。
著者
二村 浩史 内田 豊義 神森 眞 山田 哲
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.375-379, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

腺腫様甲状腺腫の穿刺吸引細胞診後にび慢性甲状腺腫大をきたした症例を経験した.その臨床経過と若干の文献的考察をした.患者は38歳,女性.他院にて,結節性甲状腺腫と診断され,その後増大するため当院紹介となった.既往歴,内服歴特になし.患側の左葉を22G注射針にて穿刺吸引細胞診を施行したところ,2~3分後から頸部圧迫感と疼痛を訴えた.エコーにて健側右葉が1cmから4cmに腫脹し,内部血流の増加を認めた.1時間頸部を氷片で冷却するも改善しないため,ステロイドを投与したところ急速に症状は改善した.9日間内服でステロイドを漸減しエコーを行ったところ,腫脹は改善していた.経時的にエコーで経過を追うことができた.術前後にステロイド投与を行ったところ,手術を完墜し合併症なく退院となった.穿刺吸引細胞診で偶然に甲状腺内の神経を刺激したため,血管拡張,血管透過性亢進物質が放出されて,び慢性の腫脹を引き起こしたものと推測された.
著者
杉山 智章 森内 文 高橋 里江 森部 圭亮
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.478-483, 2012
参考文献数
13

クラウドコンピューティングの普及とともに,クラウドを使用した図書館向けサービスや,機関単位でのクラウド化の事例がみられるようになった。静岡大学では,プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を活用した情報基盤の更新が行われ,附属図書館でも機関リポジトリや図書館業務システムなど,システムの全面パブリッククラウド化を達成した。その際,データの保全性を高めるためのバックアップや事業継続のためのリストア手順の確認を行った。クラウドによる効果はこれまでの機器・設備管理からの解放などがあげられる。一方,停電時の対応など,実際の運用を通して危機管理意識の重要性を再認識した。
著者
KNELLER Robert 玉井 克哉 森口 尚史 隅蔵 康一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

産学連携の改善が日本の経済回復にとって極めて重要であることは、日本のトップ官僚やビジネスリーダーたちはよく理解しているし、その課題の1つとして、知的財産管理の問題が重要であることにも気付いているようである。しかしながら、日本の大学および政府系研究機関で行われた発明の帰属のあり方、またそれが産学問の研究協力と産業におけるイノベーションにどのように影響を与えてきたかに関しては、体系的な分析はほとんど行われてきていない。本章では、日米の産学連携のシステムの比較分析を通じて、この問題に取り組む。技術移転システムに関する民間企業の新しいアイディア、新しい製品、新しい発明はどこから来ているか?少なくとも欧米に関しては、バイオ分野に関する主な発明の源は大学とバイオベンチャーにある。欧米の経済において産学連携システムは重要である。日本の製薬産業では、大部分の新薬は社内の研究所で発生しており、他の産業でも同じことが言える。日本の大企業が自前主義的イノベーションにより世界競争力を維持できるのであれば、アメリカ的産学連携システムはいらないであろう。1998年以前の曖昧な産学連携システムで十分かもしれない。しかし、この曖昧な産学連携システムが日本の産業上の需要を満たしていないのであれば、精力的なベンチャー企業、または積極的に技術経営を行う大学が必要であろう。日本におけるイノベーションシステムと産学連携システムはお互いに関連しあっているため、この関連性について、アメリカにおけるイノベーションシステムと産学連携システムを比較しながら、この2つのシステムが日本経済に将来的にどのような影響を与えるかを分析する。
著者
倉田 敬子 三根 慎二 森岡 倫子 酒井 由紀子 加藤 信哉 上田 修一
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.61, pp.59-90, 2009

原著論文【目的】 本論文の目的は、 日本の医学研究者において、 電子ジャーナルの利用がどこまで進み、それにともない論文の読みの形態、 入手経路、 検索手段にどのような変化が生じているかを明らかにすることにある。 【方法】 日本で医学部、医学研究科を持つ80大学に所属する医学研究者2,033人を抽出し、質問紙調査を実施した。 質問項目は、先行研究の分析に基づき、以下のとおりとした。 1) フェイスシート 、2) 最近読んだ論文の形態、入手経路、検索手段、 3) 普段使う検索手段、書誌データベース、 4) オープンアクセス手段の認知度と利用。 【結果】 2007年3月までに回収できた651件を集計した(回収率32.3%)。 主な結果は以下のとおりである。 1) 最近読んだ論文の7割は電子版論文であった。 2) 電子版論文の85%は大学図書館が契約する購読電子ジャーナルであり、印刷版の6割は個人購読雑誌であった。 3) 最近読んだ論文の検索手段はPubMedが一般的で、全論文の7割弱、電子版論文の8割以上がPubMedによって検索されていた。 PubMedを週1回以上検索する研究者は9割に上った。 一方、最近読んだ論文をサーチエンジンで見いだした研究者はほぼ皆無であった。 4) オープンアクセスは論文の入手先としては、PubMed Central が1割利用されていた以外は使われていなかった。 5) 年齢による論文利用パターンに違いはなかったが、 専門領域(基礎系、臨床内科系、臨床外科系に区分)によっては大きな違いがあった 。
著者
森田 宗一
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.4-5, 1978-11-01
著者
清水 孝治 戸田 瑛人 木下 宏揚 森住 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.331, pp.7-12, 2008-11-28

本論文では,地域SNS上で電子地域通貨を使うことを想定したうえで,既存方式に加えて新たに人間関係ダイアグラムを用いた評価指標を導入する。既存方式の尺度だけではユーザがどれだけ信頼できるかを計るに不十分だったが、この評価を導入することで,周りからの評価値を、より信頼性のあるものとして提示できるようになった。