著者
和田森 直
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

振動として可聴信号を耳周辺軟骨に加えるとその可聴信号を知覚できる現象を利用して、断続光の吸収に伴う発熱により、試料内部で振動が発生する光音響効果を応用した骨導音声情報提示装置を開発した。耳周辺軟骨に類似したゴム・シートから発生したPA信号の力のレベルは、日本工業規格に示されている骨導受話器を乳突部に装着した場合の基準等価いき値の力のレベルを最大47dB程度下回った。生体内の主な光吸収物質である水やヘモグロビンは、軟骨に比べおよそ100倍の吸光度を持つ。水やヘモグロビンの吸収波長付近の光源を断続光に用いることにより、基準いき値以上にPA信号の力のレベルを向上できる。
著者
山崎 峰夫 森川 肇 望月 眞人 佐藤 和雄 矢内原 巧 齋藤 良治 平川 舜 蒲田 忠明
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.925-934, 2002-07-01
参考文献数
14

日本人について妊娠末期のBishop scoreと妊娠・分娩経過との関係を初産・経産別に明らかにする共同調査を行った.妊娠期間,分娩所要時間,分娩様式,羊水混濁の有無,新生児アプガースコアに関し,第1報(日産婦誌2000;52:613-622)では実際の統計量成績を,また第2報(日産婦誌2001;53:1809-1818)では,それらと妊娠末期のBishops coreとの間の強い相関性を報告した.そこで,今回はこれらの事象が妊娠末期のBishop scoreにより予測しうるかを検討した.妊娠37~39週におけるBishop scoreの点数別の該当妊婦ののべ人数と受診後1週以内の分娩例数を集計した.また,妊娠37,38あるいは39週のBishop scoreの点数別に41週0日以降の分娩,分娩所要時間延長(初産婦24時間以上,経産婦12時間以上),手術分娩(吸引分娩,鉗子分娩あるいは緊急帝王切開),羊水混濁および低アプガースコア(出生後1分のアプガースコアが7点以下)の症例数を調べた.次いで,各事象を予測するための基準となるBishop scoreを1点から8点の8通りそれぞれにつき感度と特異度を算出し,ROC曲線により予測に最適なBishop score値(main Bishop score値)を求めた.なお,main Bishop score値の予測への有用性はこれを境とした二群間で各事象の頻度に有意差がある場合とした.初産婦・経産婦とも1週間以内に分娩となる頻度は50%を超えるのは妊娠37~39週のBishop scoreが6点以上のときであったが,感度を考慮すると初産婦では4点以上,経産婦では5点以上のとき予測上の有用性があった.他の各事象を予測するのに有用なBishop scoreは,i)41週以降の分娩:初産婦,経産婦とも妊娠37週3点以下,38週3点以下,39週5点以下,髄)分娩所要時間延長:初産婦では妊娠37週2点以下,38週2点以下,39週4点以下,経産婦では妊娠37週2点以下,妊娠38週1点以下,iii)羊水混濁:初産婦では妊娠37週2点以下,38週1点以下,39週2点以下,経産婦ではいずれの週数でも3点以下であった.なお,手術分娩と低アプガースコアについては,初産婦,経産婦ともBishop scoreによる予測は困難と思われた.以上の成績より,一週間以内の分娩,妊娠期間延長,分娩所要時間延長,羊水混濁を予測するうえで妊娠37~39週のBishop scoreが有用であることが窺われた.
著者
前中 省吾 森下 慈也 永田 大地 玉井 森彦 安本 慶一 福倉 寿信 佐藤 啓太
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.629-642, 2016-02-15

本論文では,参加型センシングに基づき,多数の車両が車載スマートフォンを用いて,桜の花が咲いている場所の情報および動画を自動的に収集,配信するシステム,桜センサを提案する.桜センサでは,(1)桜の花の有無と量(桜度合い)を正確に認識すること,(2)複数車両が分担してセンシングすることで,負荷に偏りの生じないセンシングを実現すること,という2つの技術的課題を解決することを目標としている.(1)を解決するため,事前に作成した桜の花に出現する色の分布を用いて入力画像における桜度合いを算出する方法と,桜の花に似た色の人工物の誤検出を防ぐフラクタル次元解析に基づく方法を提案する.(2)を解決するため,各PoI(桜の花が見られる地点)の発見率をあまり低下させることなく車両1台あたりの処理負担を軽減する多段階センシング法を提案する.これは,すでに発見されたPoI近辺に新たなPoIが存在すると仮定し,既登録PoIの付近におけるセンシング(画像の撮影と解析)間隔を動的に短くする方法である.桜センサをiOSデバイスとサーバからなるシステムとして実装し,桜が開花中の道路を走行する実験を行った.7カ所で収集した合計1860秒の動画を10秒ごとに区切った動画186個に桜センサを適用した結果,桜のあり・なしを適合率0.91,再現率0.53で認識できた.また,シミュレーション実験により,多段階センシング法は,固定距離間隔でセンシングを行う手法と比較し,約半分のセンシング回数で同程度のPoI発見率を達成した.In this paper, we propose SakuraSensor, a system which senses and shares the information of roads with flowering cherries by leveraging car-mounted smart-phones. SakuraSensor aims to solve two technical challenges: (1) how to accurately detect flowering cherries and its degree, and (2) how to efficiently find locations of flowering cherries (PoIs) through cooperation among participants. For (1), we develop a color analysis-based method to detect image pixels belonging to flowering cherries. To exclude artificial objects with similar color, we also employ fractal dimension analysis. For (2), we propose the k-stage sensing method which dynamically narrows sensing interval near the PoIs already found, assuming that PoIs exist close together. We implemented SakuraSensor for for iOS devices with a cloud server, and traveled cherry-lined roads and recorded a total of 1,860 seconds video (divided into 186 ten-second videos for classification) in 7 different places. As a result, SakuraSensor classified the 186 videos into two classes (with or without flowering cherries) at about 0.91 of precision and 0.53 of recall. In addition, our k-stage sensing method achieved the comparable PoI discovery rate with half sensing times compared to a conventional method.
著者
儀保 翼 森本 哲司 吉田 圭 森内 優子 小川 えりか 高橋 悠乃 鈴木 潤一 石毛 美夏 渕上 達夫 高橋 昌里
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.87-91, 2017-04-01 (Released:2017-05-02)
参考文献数
12

集団食中毒で,急性脳症を合併した腸チフスの小児例を経験した.海外渡航歴はなく,発熱や消化器症状を主訴に入院.便・血液培養からSalmonella typhi が同定され,腸チフスと診断した.入院後みられた急性脳症は,後遺症なく治癒した.急性脳症発症時の髄液でIL-8,monocyte chemoattractant protein-1 が高値をとり,脳症発症にこれらのサイトカインの関与が示唆された.
著者
森 保道
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.558-562, 2016-08-20 (Released:2016-08-30)
参考文献数
17
著者
大森 清一
出版者
克誠堂出版
雑誌
形成外科 (ISSN:00215228)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.225-230, 1964-10
著者
杉森 清孝 白木 正裕 室谷 益代 松本 和基 津本 清次 大柴 三郎
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.1820-1823_1, 1989-07-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
24

症例は45歳女性.ビタミンC錠(アスコルビン酸)を就寝前に飲水せずに服用した.翌朝,嚥下時に咽頭部異和感が出現し来院した.内視鏡検査で食道入口部直下より25cmまでの間に全周性びまん性に白苔の付着を認めた.生検では扁平上皮は変性し,細胞間浮腫を思わせる細胞間隙が目立ち,変性の高度な部位では微小膿瘍も散見された.粘膜保護剤服用にて,第3病日に自覚症状は消失し,第10病日の内視鏡検査では病変は消失していた. 本例で服用されたビタミンC錠は海外の市販薬で,大きさ19.3×8.1×7.6mm,pH2.42,アスコルビン酸含量995.6mgであった.これを本邦の市販薬(ハイシーS(R)錠)と比較すると,大きさは約2倍でアスコルビン酸含量は約20倍にも達し,食道炎惹起の大きな原因と考えられた. ビタミンC錠による薬剤性食道炎は,極めて稀な疾患であり,若干の文献的考察を加え報告する.
著者
太田 彩子 森長 真一 熊野 有子 山岡 亮平 酒井 聡樹
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.234, 2004

これまでの研究では、集団間では送粉者が異なることによって、花の香りが異なることが知られている。しかし、花の香りは以下の要因でも変化しうるのではないだろうか。<br>1. 個体サイズ:個体サイズによって繁殖形質(花冠の大きさ等)が変化することがあるため。<br>2. 花齢:訪花要求量が変化するため。<br>3. 昼夜:送粉者が変化することがあるため。<br>そこで本研究では、花の香りが個体サイズ・時間(花齢・昼夜)に依存して変化するのかどうかを調査した。今回は、香りの強さに特に着目して解析を行った。<br>・ 実験方法<br>ヤマユリ(ユリ科・花寿命約7日)を用いて以下の調査を行った。<br>1. 香りの個体サイズ依存変化<br>2. 香りの時間依存変化<br>3. 送粉者の昼夜変化<br>4. 繁殖成功(送粉者の違いの影響をみるため、昼/夜のみ袋がけ処理を行い、種子成熟率・花粉放出率を比較)<br>・結果<br>1. 個体サイズが大きいものほど花の香りは強くなる傾向にあった。<br>2. 昼に比べ夜の方が香りは強くなるが、花齢が進むにつれて香りは弱くなる傾向にあった。<br>3. 昼にはカラスアゲハ、夜にはエゾシモフリスズメが訪花していた。<br>4. 種子成熟率・花粉放出率共に、昼夜での違いはなかった。<br> 今後はGC-MSを用いた香りの成分分析を行う予定である。これらの結果を統合することにより、個体サイズ・時間に依存した花の香りの適応戦略を明らかにしていきたい。
著者
森田 智慶 本望 修 山下 敏彦
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.366-371, 2017-04-25

はじめに 本邦の脊髄損傷患者の年間発生数は5,000〜6,000人と言われており,総数は10万人を超える.その発生機序は,直達外力による脊髄組織の圧挫である一次損傷と,出血・浮腫・炎症などによる壊死や損傷神経線維の脱髄・軸索損傷などの二次損傷が関与すると考えられている1).今日の標準治療は,脊椎の整復固定術・除圧術といった手術療法や,リハビリテーションが一般的である.メチルプレドニゾロンの大量投与療法は,その有効性が疑問視され,また種々の重篤な合併症が散見されることから,2013年のガイドラインにおいて「推奨しない」と記されている2).一度受けた脊髄の損傷そのものを修復し得る治療法はいまだ存在せず,現在も患者は大きな後遺症を抱えたまま,その後の生活を余儀なくされている. われわれは1990年代から,脊髄損傷の実験的動物モデルを用いて,各種幹細胞をドナーとした再生医療研究を精力的に行ってきた.なかでも,脊髄損傷のみならず,脳梗塞やパーキンソン病など,他の多くの分野の再生医療研究において有用性が高いと注目されており,臨床応用が大いに期待できるドナー細胞として骨髄中に含まれる間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC)に着目した.われわれは,急性期から亜急性期の脊髄損傷動物モデルに対し,骨髄由来のMSCの移植実験を行い,良好な機能回復が得られたことを報告した1,3).これらの基礎研究結果に基づき,2013年11月には,脊髄損傷患者に対する医師主導治験を実施しており,再生医療等製品としての薬事承認を目指している. 本稿では,われわれがこれまでに行ってきた急性期から亜急性期,さらに慢性期の脊髄損傷に対するMSCを用いた再生医療研究の最新の知見と,現在本学で施行している自家MSC移植療法の医師主導治験の概要について述べる.
著者
森口 佑介
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.30-38, 2016 (Released:2018-04-13)
参考文献数
34
被引用文献数
4

The replicability and robustness of psychological research has been questioned in recent years. However, few researchers have addressed the issue in developmental science. In this article, I discuss the replicability and robustness of developmental science. Two examples are reviewed. First, I introduce experiments on infants and young children. Several factors that may affect the results of the experiments, therefore revised provided difficulty in replication. The ManyBabies project was launched to resolve the issue. Second, I introduce longitudinal research the that examines is long-term developmental trajectory. Longitudinal research may cost time and money, and therefore robustness rather than replicability may be assessed. Finally, I argue the situation in domestic developmental science, and propose that more efforts should be done to improve reliability in developmental research.
著者
大塚 小太郎 森 善一
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2016年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.745-746, 2016-08-20 (Released:2017-02-20)

本研究では,ヒューマノイドの硬平地での移動効率の向上を目標とし,ブレイブボードを道具として使用する脚型ロボットの開発を目指す.
著者
森 傑
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.32, 2010

本研究は、北海道の過疎地域の郵便局を対象とし、郵便業務以外での地域貢献や地域交流といったボランティアサービスが民営化前後においてどのように変化しているのか、そのような取り組みへの郵政民営化の影響を郵便局側がどのように認識しているのかについて把握し、地域住民の利用実態と郵便局への期待と評価についても詳細に分析することで、郵便局が地域におけるコミュニケーションの接点としてどれほど人々の日常生活に浸透しているのかについて考察し、過疎地域のソーシャル・キャピタルの核としての郵便局の今後のあり方を探求するための基礎的知見を得ることを目的とした。その結果、郵便局員と地域住民が郵便サービスを授受するだけの関係にとどまらず日常の生活においても密接に交流を持っていること、郵便局が地域の公共資産として保持されることが期待されていること、郵便局のあり方は、他の公共施設と公共サービスとの関係の中で郵便局の徒歩圏域の立地特性が重要な意味を持っていること、が明らかとなった。
著者
笹森 崇行 澤谷 邦男 安達 三郎 朝日 道成 有田 高治 岡村 信男
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.424-428, 2002-03-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
11

It has been pointed out that a very strong electromagnetic field is induced occasionally along aerial power lines located near a medium wave (MW) broadcasting station, and the construction and the maintenance of power lines are sometimes endangered. We have presented a method to predict a dangerous span before the construction and the maintenance, and a use of a loading of appropriate inductor to decrease the induced field the case where the resonant loop is composed of three power lines, i.e., a top conductor, a middle conductor and a bottom conductor and part of towers. In this paper, the effect of loading inductor for the case that the resonant loop includes a ground wire is presented. Since the ground wire is connected directly to the tower, the inductor can not be loaded into the ground wire. It is shown that the field strength in the vicinity of three power lines can be suppressed by loading the inductor to three power cables each. However, the field in the vicinity of the ground wire can not be suppressed significantly. Measured values of the field strength in the vicinity of the bottom conductor is presented to confirm the suppression effect.