著者
石田 和子 中村 美代子 森田 久美子 茂呂 木綿子 神田 清子
出版者
群馬大学
雑誌
群馬保健学紀要 (ISSN:13434179)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.7-13, 2001-03

骨髄移植を受けた患者家族の不安構造を分析し, 骨髄移植の治療過程の中での家族の関わりを明らかにすることを目的に研究を行った。対象は同種骨髄移植を受けた患者家族6名であり, 半構成的面接法により1回につき30分から60分の面接を行った。面接内容は移植決定から無菌室退室後の不安について3期に分け逐語録に起こし分析した。その結果, (1)移植を決定した時から無菌室入室までの不安は「病名を聞いた時の衝撃」「病気, 移植に関する知識不足」「病気, 移植に関連した情報探求行動」「ドナーが見つかった安心感」「ドナーの骨髄採取術への不安」(2)無菌室入室時から退室までの不安は「患者のそばで直接的に役立てないことへの無力感」「いてもたってもいられない行動「再発, 死への不安」(3)無菌室退室後の不安は「思った以上の回復」「生きていてくれるだけで十分」「生活のすべてが悪化するのではないかという不安」「安心する要因」の12のカテゴリーが抽出できた。以上のことより, 骨髄移植を受ける家族には患者が無菌室入室中は無力感を強く抱いており, 見守ることも一大切な役割であることを支持する必要がある。また, 退院後の家族は, 患者が生存していること自体に感謝していることが明らかにされた。看護婦は家族の不安を受け止め, それぞれの段階に応じた家族援助を行うことが示唆された。
著者
森田 優子
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.72-85, 2008-12-31

The cycle of Sts. George, Jerome and Tryphon for the Scuola Dalmata was executed by Vittore Carpaccio in ca. 1502-1511. The Vision of St. Augustine of the cycle is based on the apocryphal letters. Compared with the examples of same subject and the representations of the other study, it reveals that this work is different from the traditional iconography. The setting of study and chapel focused on both the contemplative life and the daily work of bishop. It finds also the details which demonstrate a kind of collectionism. These become the factors which remind anyone's portrait. When we concern on this problem, it's important to see it in the patronal context. The production of the cycle has been inspired by the donation of the relic by Paolo Vallaresso, and it's also important to remember that Maffeo Vallaresso is the archbishop of Zara. He is the humanist-ecclesiastic, interested with the art, which recorded in his letters. On considering these factors, the setting of study and art-conscious details, in the contemporary context, so it can say that the St. Augustine's study is intended to allude the intellectual and ecclesiastical figure of Maffeo Vallaresso.
著者
針金 由美子 森下 知晃 Snow Jonathan 田村 明弘 道林 克禎 小原 泰彦 荒井 章司
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.56-56, 2011

白鳳丸KH07-2航海において採取されたフィリピン海パレスベラ海盆のゴジラメガムリオン中央部(KH07-02-D18地点)から採取されたはんれい岩を用いて、はんれい岩に含まれる熱水変成作用で形成した角閃石の変形微細構造と微量元素組成から考察される流体の特徴について述べる。
著者
有岡 将基 佐々木 匡理 石井 広太郎 金本 政樹 山城 崇裕 森 悦秀
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.15-20, 2017-01-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
21

Arsenic trioxide used to be used as an effective endodontic treatment. However, domestic production of arsenic trioxide for mortal pulpectomy was discontinued in 2005, because it is a toxic agent that has the risk of injuring periodontal tissues. We report a case of mandibular osteonecrosis caused by leakage of arsenic trioxide in a child after 2005. The patient was a 6-year-old boy who presented with swelling of the right buccal region, after arsenic trioxide had been used for mortal pulpectomy in the mandibular right second primary molar. The condition was diagnosed as mandibular osteonecrosis. The mandibular right first primary molar and mandibular right second permanent premolar were extracted, and a sequestrectomy was performed with the patient under local anesthesia. We still should consider that leakage of pulp devitalizing agents can cause osteonecrosis.
著者
馬ノ段 梨乃 森 俊夫 飯島 優子 福島 南 五十嵐 良雄
出版者
日本ブリーフサイコセラピー学会
雑誌
ブリーフサイコセラピー研究 (ISSN:18805132)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.25-36, 2013

近年,労働者を対象とした復職支援プログラム(リワークプログラム)が注目を集めている。本稿では,筆者が作成した「SFAの手法を用いた体験型の心理教育プログラム」に関して,提供したプログラムの内容を紹介し,リワークプログラムへの適用可能性について検討したい。プログラムは1回2時間,全8回の講義とワークから構成され,ウェルフォームド・ゴール,ミラクル・クエスチョン,スケーリング・クエスチョン,タイムマシン・クエスチョン,リソース,外在化,アサーション等の概念を含むものとした。プログラムを導入した結果,SFAに対する意見としては,より簡単に理解できる,身近に感じられるといった意見が得られた。一方で,抽象的なメタファーやイメージが多く,理論的な学習を好む利用者にとっては理解が難しい様子もみられた。今後は,効果評価を含めて,プログラムの検討をさらに進めていくことが望まれる。
著者
森木 貴司 小池 有美 上西 啓裕 梅本 安則 田島 文博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.EbPI2428, 2011 (Released:2011-05-26)

【はじめに】純粋無動症はパーキンソン症候群を伴う疾患で、進行性核上性麻痺の一病型と考えられ、すくみを主症状とする。すくみは、日常生活上ですくみ足として現れ、しばしば転倒の原因となっている。したがって、すくみ足を改善することが期待され、しばしば理学療法が処方される。すくみ足に対する理学療法は、眼前の障害物を意識することで改善する特質(矛盾性運動、kinesie paradoxale)を活用した方法が多く報告されている。しかし、純粋無動症に対しての報告は少なく、臨床的にあまり検討されていない。今回、純粋無動症患者に対して、自助具の導入と運動療法を実施し、ADL改善がみられたので報告する。【説明と同意】本調査実施にあたり、文書による十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た。【症例紹介】70代男性、無職、妻と二人暮らし。社会資源に関しては、身体障害者手帳2級、介護保険要介護度5で、入院前はデイサービスと訪問リハビリを週3回ずつ利用されていた。平成15年に純粋無動症、パーキンソン症候群と診断された。平成22年に入り、すくみ足が強く出現し歩行困難となり、同年6月初旬にADL改善目的で入院され、理学・作業・言語療法が処方された。リハビリ開始時現症は、意識清明、見当識良好。仮面様顔貌、小字症がみられた。脳神経には異常所見はなく、筋緊張は亢進し固縮がみられた。協調性は上下肢でやや拙劣さあり、企図振戦もみられた。立位姿勢は、典型的な前傾姿勢を呈し、頸部や体幹、肩関節、股関節でROM制限がみられた。MMTは両上下肢5レベル。ADLについて、セルフケアは食事以外は中等度介助レベル、歩行はすくみ足が強く中等度~軽介助レベルであり、FIMは85点であった。【経過】リハビリ開始当初は集中的に運動療法を行った。具体的なプログラムとしては、ROM訓練、筋力訓練、床上動作、歩行、階段昇降などを実施した。また、運動耐容能や左右肢体の協調性改善目的に自転車エルゴメータおよびハンドエルゴメータ、トレッドミルなどを実施した。リハビリ開始から3日後には独歩が軽介助~監視レベルとなったが、依然としてすくみ足が問題であった。1週間後のカンファレンスでは、入院中の目標を実用的なすくみ足改善手段の決定、退院後の機能維持のため自主トレーニングの習得、他機関医療者への情報提供とした。すくみ足に対する環境設定については、L字型杖が著効した。10m歩行時間においても他手段と比較しL字型杖使用時で最速であった。したがって、すくみ足改善手段をL字型杖の導入に決定した。これにより症例自身もすくみ足改善を実感されていた。入院から3週後の退院時には、セルフケアは軽介助~監視レベル、歩行はL字型杖使用により監視~自立レベルとなり、FIMは107点に増加した。【退院後の状況】退院1カ月後の状況は、訪問リハビリ、通院リハビリ、デイサービスをそれぞれ週2回受けられ、自宅では、入院中の指導も守れており、転倒もなく入院中と同レベルのADLを維持できていた。また、歩行改善に伴いリースしていた車椅子や電動車椅子は返却し、移動手段は歩行のみとなっていた。しかし、退院5カ月後の状況では、歩行は行えていたものの動作指導や自主トレーニングを継続しておらず、主にセルフケアで妻の介助を要し、FIMは95点と入院中に比べ減少していた。【考察】純粋無動症患者に対し自助具の導入と運動療法の併用により、短期入院ではあったが著明にADLが改善した。L字型杖の導入によりすくみ足が改善した理由は、矛盾性運動誘発の障害物として状況に応じて自由に目印にすることができ、場所の限定がされないということが考えられる。また、すくみ足改善以外にセルフケアも全般的に改善したため運動療法も効果的であったと考えられる。本疾患は、進行性ではあるが退院後もできるだけ機能維持していくことが重要であり、退院後は他機関への情報提供と在宅での自主トレーニングを継続していく必要があると考える。退院後の調査では、退院直後は機能維持できていたが、5カ月後では入院中に比べADLが低下していた。この対策としては、定期的な状態の把握と動作指導、訪問・外来リハビリでの運動量の確保、指導の徹底をする必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】純粋無動症についての報告は少なく治療に難渋することが予測される。そこで、本発表を参考にして頂き治療の一助になればと思い報告させて頂く。
著者
木森 佳子 須釜 淳子 宮地 利明 中山 和也
出版者
石川県立看護大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、失敗する可能性の高い目視困難な末梢静脈を可視化する装置開発を最終目的に、近赤外光を用いた静脈透視技術と画像処理技術の課題を解決することである。これらの共通課題は深層静脈の可視化である。静脈透視技術について可視性に影響する光源とカメラと皮膚の位置関係、ナローバンドの効果、偏光フィルターの角度について検討した。その結果、これらの角度等により静脈の見え方は違いがあり最適値付近が明らかになった。画像処理技術の改良によってこれまでのプロトタイプより静脈可視化率が向上した。静脈の深さではなくコントラストの向上が功を奏した。臨床の意見を基に穿刺に有用な画像処理技術も向上した。
著者
藤本 眞一 森田 孝夫 中村 忍
出版者
奈良医学会
雑誌
Journal of Nara Medical Association (ISSN:13450069)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.9-14, 2009-04-30

奈良県立医科大学の目指す地域基盤型医療教育について概説した.本学では,平成18年度から「MDプログラム奈良2006」として,「6年一貫教育」,「成人教育学に基づいた教育」,「地域を基盤とした教育(Community Based Education」の3つの方針のもとにカリキュラム改革を進めてきた.本稿では,その重要な柱の一つである地域基盤型医療教育の中での新しい試みとして, 1)メンター制度, 2)クリニック実習, 3)ぬいぐるみ病院実習, 4)保育所実習, 5)ホスピス実習, 6)健康相談実習などを中心に説明している.これらの,新企画を実りあるものにするためには,関連諸施設の緊密なネットワークが必須である.今後,さらに地域基盤型医療教育を本学で発展させるために,e-learningシステムの開発も重要であると考える.
著者
宗森 純 由井薗 隆也 山元 一永 長澤 庸二
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.26, pp.1-6, 1996-03-14

ネットワークで接続されたパーソナルコンピュータと比較的安価な入力機器を用いて遠隔地間でゼミを行う遠隔ゼミ支援システムRemoteWadamanを開発した.本システムは知的生産支援システムWadamanにグループウェア機能を付加し,新たに開発した画像・音声用コミュニケーションツールNetGearと併用したものである.本システムを用いて鹿児島大学(鹿児島市)と東北大学電気通信研究所(仙台市)間で遠隔ゼミを2回行った.その結果,従来のゼミと比較してもRemoteWadamanを用いた遠隔ゼミは大筋では遜色ないが,同時に使用できる計算機の台数が実用的には4台と少ないために,ゼミ特有のインタラクティブな部分が不十分であることがわかった.We have developed a remote seminar support system named RemoteWadaman. RemoteWadaman was implemented on a network, consisting of four personal computers and cheep input equipments. RemoteWadaman is based on an intelligent productive work card support system, named Wadaman, and a multimedia communication tool, named NetGear. We tried remote seminar between Kagosima University and Tohoku University twice. The results of trial was that RemoteWadaman was sufficiently effective for a remote seminar, but, insufficient about interaction between participants.
著者
吉田 壱 宗森 純 首藤 勝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.23, pp.1-6, 1997-03-06
被引用文献数
1

ネットワークで接続されたパーソナルコンピュータと比較的安価な入力機器を用いて遠隔地間でのゼミを支援する遠隔ゼミ支援システムを開発した.本システムは知的生産支援システムWadamanに共有カーソルなどのグループウェア機能を付加し,新たに開発した画像・音声用コミュニケーションツールNetGearと併用したものである.本システムを用いて大阪大学(豊中市)と鹿児島大学(鹿児島市)の2地点間で20回,そして東北大学電気通信研究所(仙台市)も加えた3地点間で5回遠隔ゼミを行った.We have developed a remote seminar support system named RemoteWadaman. RemoteWadaman was implemented on a network, consisting of personal computers and cheap input equipments. RemoteWadaman is based on an intelligent productive work card support system, named Wadaman, and a multimedia communication tool, named NetGear. Some functions, for example, shared cursors, were added for groupware. We tried remote seminar between Kagoshima University and Osaka University 20 times and among 3 sites, added Tohoku University to them, 5 times.
著者
宗森 純 吉田 壱 由井薗 隆也 首藤 勝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.447-457, 1998-02-15
被引用文献数
17

インターネットで接続されたパーソナルコンピュータと比較的安価な入力機器を用いて遠隔地間での研究指導を支援する遠隔ゼミナール支援システムを開発した.本システムは知的生産支援システムWadamanに共有カーソルなどのグループウェア用の機能を追加したRemoteWadamanと画像・音声コミュニケーションツールNetGearとを組み合わせたものである.本システムを用いて1年間にわたって大阪大学と鹿児島大学の2地点を結んで20回,東北大学と大阪大学,鹿児島大学の3地点を結んで5回の合計25回の研究指導(ゼミナール)を行った.その結果,本システムを用いた遠隔ゼミナールでは従来の対面のゼミナールと比較して1人あたりかかった平均時間などには大差なく指導できたが,対面独特の緊張感が弱まる傾向にあることが分かった.また,3地点を結んで遠隔ゼミナールを行うことによって異なる大学の学生が1つのゼミナールに同席し意見を出し合うことは利点ではあるが,第三者が割り込んで発言しにくいことが分かった.さらに通信状況がネットワークの混雑の度合いに大きく依存していて,3地点を結ぶと2地点と比較して通信が切断することが多くなることが分かった.We have developed a remote seminar support system which consists of personal computers and inexpensive input equipments.The software of the system consists of RemoteWadaman and NetGear.RemoteWadaman is an intelligent productive work card support system for collaboration and NetGear is a multimedia communication tool.This newly developed remote seminar support system was used on Internet.We have tried the remote seminar via Internet between two places of Osaka University and Kagoshima University 20 times and among three places of Tohoku University,Osaka University,and Kagoshima University 5 times.This Internet experiments shows that almost same seminar time per person was required as conventional seminar in the room and a remote seminar with Internet,however,aweaker tense atmosphere of student compared to the conventional seminar in the room was existed.The advantage of the seminar among three different places is the intellectual trigger because of simultaneous participation of different universities sutdents at the same seminar.The disadvantage,however,was a difficulty in participation of third person at this Internet seminar.Another disadvantage was more of ten communication disconnection among three places if compared to two places.This is because of more often traffic congestion of networks among therr places.

1 0 0 0 OA 自発性の回路

著者
森 一郎
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.43, pp.178-188, 1993-04-01 (Released:2009-07-23)
著者
森 順子
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば = Mind and language (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
no.1, pp.51-63, 2002-03-31

作家、宇野千代の九十九年間の人生は、絶対的権力者としての父親の存在を抜きにしては語ることが出来ない。それは恐怖心として、彼女の精神の髄まで刻み込まれる。父親の言葉によって植え付けられた自信喪失に懊悩し続ける中で、宇野千代がいかにして生涯、自分自身であることを希求して生き抜いたかを探る。Chiyo UNO was a Japanese novelist and essayist who lived for 99 years. She suffered from loss of self-confidence throughout most of her life under the emotionally abusive influence of her father. He was an absolute patriarch and continuously spoke ill of her dark complexioned face. He was a terror to her. The present writer would like to focus upon this emotional abuse and its effect upon her and to speculate upon how she overcame difficulties and tried to be mentally independent, striking out a path of her own in life.
著者
小野田 尚佳 神森 眞 岡本 高宏 中島 範昭 伊藤 研一 宮崎 眞和 吉田 明
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.110-114, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
9

甲状腺乳頭癌(PTC)に対する放射性ヨウ素内用療法の現状を把握し,意義を見出すため,多施設共同の後ろ向き研究を行った。ʼ03~ʼ12年に初発のPTCに対し全摘術を受けた患者1,324例のデータを7施設から集積した。全摘,内用療法施行とも増加傾向にありʼ12年には全初発PTC手術例の60%,25%を越えた。内用療法は480例に施行され全摘例の36%に相当,M1,Stage ⅣB,ⅣC症例の2/3に施行されていた。疾患特異的生存率は内用療法施行群で有意に不良であった。予後リスクによって層別化すると内用療法施行により生命予後に差は認めなかったが,中間リスクの施行例は非施行例に比し術後診断の進行度が有意に高かった。本研究により内用療法の現状が明らかとなり,中間リスク患者での効果が示唆されたが,適応や治療法の問題点も確認され,内用療法の意義を見出すためにはさらなる症例集積研究が必要と考えられた。
著者
田上 諒 木村 輔 宮森 恒
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.45-57, 2017-10-05

近年,ユーザからの多様な情報要求を満たす技術として,質問応答などの自動解答技術が注目されている.しかし,それらの技術は,大学入試をはじめとする現実に即した多様で複雑な質問に対して,現状では十分に対応できているとはいい難い.たとえば,大学入試などにおける文書中の空欄部分の単語を解答するような穴埋め型問題に対して,従来手法では,主に語順を考慮しない検索ベースのファクトイド型解答技術が用いられているため,十分な正答率を得られていない.本稿では,大学入試二次試験の世界史穴埋め型問題を対象とし,語順を考慮した自動解答手法を提案する.具体的には,問題文解析時に穴埋め部分の周辺単語から解答カテゴリを推定し,解答候補抽出に利用するとともに,解答候補評価時に,カテゴリとの一致性や周辺単語の既出状況などを用いた指標を導入することで解答候補を評価する.特に,解答カテゴリを推定する際には,語順を考慮した分散表現による単語予測モデルを導入する.実験では,まず,単語予測モデルの精度を比較する.また,ベースライン手法と提案手法を比較し,提案手法を解答処理に取り入れることで,正答率にどのような変化があるかを明らかにする.Recently, automatic answering technologies such as question answering have attracted attention as a technology to satisfy various information requests from users. However, it is difficult to say that these technologies can adequately respond to the diverse and complicated questions in realistic situations including university entrance examinations. For example, conventional methods can not provide correct answers sufficiently for the slot filling questions in the university entrance examinations, because retrieval-based factoid-type answering technologies are mainly used, which do not consider word order. In this paper, we propose an automatic answering method considering word order for the slot filling questions in the university entrance examination world history problems. In particular, when in analyzing the question sentence, the answer category is estimated from the surrounding words of the filling slot and used for extracting the answer candidates, and these candidates are evaluated by introducing the indicator using the consistency with the category, and the occurrence situation of the surrounding words. Especially, we introduce a word prediction model by distributed expression considering word order in estimating the answer category. In the experiment, we first compare the accuracy of the word prediction models. In addition, we compare the proposed method with the baseline method and clarify what kind of change is observed in the correct answer rate by incorporating proposed method.