著者
西澤 常彦 稲員 とよの 小泉 明 渡辺 晴彦 荒井 康裕 森 正幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.II_143-II_150, 2011 (Released:2012-03-16)
参考文献数
11

管路更新計画における更新順序の決定では,管路単体の物理評価だけでなく管路ネットワーク構造における上下流関係を定量的に評価することが重要である.すなわち,ある管路上で発生した断水事故の影響は,まず,直近の仕切弁を閉じて作られる断水領域として生じ,次いでその影響が管路のネットワーク上の発生箇所によって異なる形で波及するといえる.そこで本研究では,管路ネットワーク上の仕切弁で閉じられる個々の断水領域を需要者ユニットと定義することにより,管路事故時における水供給への影響度を需要者ユニット間の相互関連構造から評価する方法を提案した.さらに,ケーススタディで,提案したネットワーク構造に基づく影響度評価を行うとともに管網解析の結果との整合性を確認することで本提案の有効性を示した.
著者
森脇 睦子
出版者
独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

26年度は以下を実施した。1)夜間・休日時間外に受診した患者における必要性の低い救急患者の同定手法の開発を実施する目的で次の分析を行った。分析対象は、国立病院機構143病院のうち一般病床を有する110病院で、当該病院の夜間・休日時間外受診した患者(初診料・再診料の時間外・休日・深夜加算を算定した患者)とした。分析には、国立病院機構総合研究センターにおける診療情報データバンクに収集されている平成25年度のレセプトデータを使用した。分析内容は、初診および再診患者の判定(定義の検討)を行った。続いて診療区分(注射、処置、手術、麻酔、病理、画像診断、その他)別に軽症患者の判定に関するアルゴリズムを作成し、患者数や診療報酬点数ベースでの記述統計を行った。2)カルテレビューによる必要性の低い救急患者の判定を実施する目的で次の調査を実施した。1)の分析対象(休日・時間外受診した患者)から対象施設2施設を選定し、各施設150件、合計300件を年齢階級別に無作為層化抽出しカルテレビューの対象とした。調査項目は、①主訴、②主訴発生時刻、③診察時刻、④軽症もしくは軽症外の判定、⑤判定の根拠、⑥早期受診の必要性の有無等とした。調査方法は、医師および薬剤師2名によりカルテレビューを実施し、軽症判定を行った。レビュー後、判定結果に相違がある場合は再度検討により一致させた。検討により判定が一致しない場合は、医師の判定結果を採用した。今後は、カルテレビューの結果を基にレセプトデータによる軽症患者の判定モデル作成する分析を実施する。
著者
千森 幹子 DAME Gillan beer CLIVE Scott
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ポストコロニアル的観点から、19世紀から20世紀イギリスで出版された文学挿絵における、日本、中国、中東にいたるオリエント表象の分化と変遷を、政治(帝国主義と植民地主義政策)社会(オリエント諸国への西洋観)および、文化(ジャポニズムに代表される美術様式や万博などにみられる西洋の東洋文化理解)を通じて検証する学際研究である。
著者
山田 宏 松村 仁 森田 大作
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.173-184, 2004 (Released:2005-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

This theoretical investigation of the mechanics of the vascular endothelial cells that line the luminal side of blood vessels focused on two points. First, we formulated a hypothesis on the orientation of stress fibers, i.e., bundles of actin filaments, under cyclic deformation, and used numerical simulation to predict their orientation under various types of substrate deformation. Second, we created a finite element model of cultured endothelial cells adhering to a substrate, i.e., a silicone membrane, and a vascular endothelial cell on the luminal side of a vascular wall, and used finite element analyses to determine the stress and strain under various types of deformation.To predict the orientation of stress fibers, we hypothesized that they are oriented only in the direction in which the strain component in the fiber direction does not exceed the strain limit, either with maximum deformation of the substrate or during deformation of the substrate. We found that stress fibers have a minimum length during the process of substrate stretching, and investigated the importance of considering substrate deformation during cyclic stretching. The numerical simulation showed that the effect is small over the physiological range of cyclic deformation experienced in blood vessels. We also predicted the out-of-plane orientations of stress fibers during cycles of simple elongation, pure uniaxial stretching, and equibiaxial stretching. With cyclic equibiaxial stretching and the assumption of a certain cell height, the predicted orientation of stress fibers agreed with the reported range of orientation of the actin cytoskeleton.Second, using finite element modeling and analyses, we modeled a cell adherent to a substrate and a vascular endothelial cell on the luminal side of the vascular wall. We assumed that a cell consists of a nucleus and cytoplasm, and that both are incompressible, isotropic, hyperelastic materials. We also assumed that the bottom surface of the cell completely attaches to the substrate surface. The analyses of the stress and strain in the cell showed that the strain was greatest at the substrate and decreased in higher positions in the cell; the amount of strain in the top region of the cell depended on its shape. Moreover, the existence of the nucleus caused a complicated distribution of stress and strain in the cytoplasm. This result provides important information for predicting the orientation of stress fibers with nonuniform deformation of a cell.
著者
今村 均 西田 郁子 牧 憲司 森本 彰子 古谷 充朗 上田 秀朗 坂本 淑子 曽我 富美雄 内上 堀征人 木村 光孝
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.732-742, 1993-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2

著者らは小児における歯牙の測色にビデオディジタイザーとコンピュータを応用することを考えた.しかし,本機材はコンピュータグラフィック用に開発されたもので測色値は保証されない.今回の実験では機材の特性を調査し設定方法について検討した.1)機材の電源投入後30分以上経過して測定値が安定した.2)HPV2コマンドではカラーレベルが3,γ 補正値が4のとき10YR7/3の基準信号を良好に測定した.これは,HV-HP-S013012コマンドに相当した.3)ビデオカメラの設定を次のようにすると良好な結果が得られた.(1)シャッタースピード:1/60S(2)絞り:F3.4以上またはオート設定(3)ゲイン:+6dB(4)ホワイトバランスまずカメラを横壁に向ける.次にホワイトレンズキャップを付けピントを最大にぼかす.ワンプッシュホワイトバランスボタンを押す.4)無彩色を取り込んだ測色値の特性は非直線的で理論値と一致しなかった.5)計測値を理論値に近づける数学的補正の基本式にK×M1/3+A(K,Aは定数)を用いると良好な補正値が得られた.
著者
森棟 公夫 金谷 太郎 末石 直也
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ボラティリティとは収益率の分散(あるいま標準偏差)の事を言うが,金融データの時系列分析では収益率の系列を調べても,通常,何ら特性が見つからない事が一般に知られている.特に,効率的な市場だと,収益率はランダム・ウォークに従うとされる.この研究では金融時系列におけるボラティリティの分析法の研究を行う.特にティック・データが利用できる状況において,効率的かつ実際的なボラティリティの推宿法を求めてきた.ティック・データを用いたボラティリティ分析でよノイズの処理が理論的には大きな関心を持たれているが,時系列処理で,ノイズをフィルターする手法を考案してきた.ボラティリティは自在に変化し,ノイズは独立同一分布を持つという通常の仮定の下ではボラティリティは観測個数にのみ依存する値となる.この1生質を使って,間引き標本などの手法を用いてノイズを除去しようとする試みは行われてきたが,本研究では二次モーメントを基礎とするノイズ除去法を追求した.理論的な研究を進めてきたが,数系列を用いたシミュレーションも行った.しかし,このようなシミュレーションは常に理論的な結果をサポートする事になるので,実際の金融データを使った実証的な検証も行った.この手順は非常に重要で,理論的な分析がもたらすある種のモデル・スペシフィケーション・バイアスを除去することができた幅の広い誤差分布においても従来の分析法が維持できるか否かを検討したが,明確な結果は得ることができなかった.代表的な系列に限定してもデータ購入の費用が高額であった.データについてはこれからも利用していく.
著者
赤澤 正人 竹島 正 立森 久照 宇田 英典 野口 正行 澁谷 いづみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.41-51, 2014 (Released:2014-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
2

目的 保健所における「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」(以下,運営要領)の運用実態を把握し,運営要領の改訂に向けた基礎資料とすることを目的とした。方法 全国の保健所495か所を対象に,平成24年に郵送による質問紙調査を実施した。保健所を県型,中核市型,指定都市型の 3 群に分類し,独自に作成した項目の単純集計,または平均値をもとに分析した。結果 回収数は308か所(62.2%)であった。保健所の型別の回収数は,県型239か所(63.9%),中核市型48か所(67.6%),指定都市型21か所(42.0%)であった。  精神保健福祉法と障害者自立支援法の担当課が別であったのは,県型99か所(41.4%),中核市型32か所(66.7%),指定都市型 8 か所(38.1%)であった。担当業務の概ね 4 分の 3 以上が精神保健福祉業務である職員数は,県型においてより少ない傾向がみられた。組織育成のための助言指導は,精神障害者家族会に対する割合が最も高く,県型205か所(85.7%),中核市型42か所(87.6%),指定都市型14か所(66.7%)であった。精神保健のグループワークは,中核市型において半数以上の27か所(56.3%)で実施されていたが,県型では75か所(31.4%),指定都市型で 8 か所(38.1%)であった。県型保健所における市町村への協力および連携の内容では,精神保健福祉相談•訪問指導(83.5%)が最も高く,次いで精神保健福祉の課題や業務の方向性の検討(44.6%),事例検討会(42.0%)であった。また,主たる領域•対象では,対応困難事例(84.8%)が最も高く,次いで社会復帰•地域移行(59.5%),自殺対策(44.2%)であった。結論 障害者自立支援法,自殺対策基本法の成立など,近年の法制度の整備とともに,保健所の精神保健福祉業務の実施体制と業務内容に変化が起こっている可能性が示唆された。運営要領改訂に当たっては,この点を考慮する必要があると考えられた。
著者
友田 春夫 滝川 修 森本 浩司 藤田 有希美 岩本 智超 多田 博己 小熊 俊明 臼井 和胤 椎名 豊 吉岡 公一郎 布施川 雄一 田川 隆介 井出 満 鈴木 豊
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement1, pp.139-145, 1994-01-31 (Released:2013-05-24)
参考文献数
20

不安定狭心症,非貫壁性心筋梗塞を主とする,acute coronary syndromes例における虚血心筋の評価を,123I-MIBG,201TlClSPECT法にて試みた.123I-MIBG 111 MBq(3mCi)静脈内投与90分後より心筋SPECT像を撮像後,引き続き201TICIを投与15分後より心筋灌流SPECT像を撮像した.冠動脈造影は1週間内に施行した.非貫壁性心筋梗塞症例7例の内,201TlClによる心筋灌流低下一欠損部位を特定できない3症例においても,123I-MIBG心筋像では全例責任冠動脈領域の欠損像を描出し得た.不安定狭心症例にて,6例中3例においては,血清酵素の逸脱所見を認めず,かつ201TlClによる心筋灌流正常所見であっても,123I-MIBG心筋像では,責任冠動脈領域の明確な欠損像を描出し得た.以上のように,123I-MIBG心筋像により,他の方法で捉えられない,過去数週以上の虚血発症部位が描出されることが示された.
著者
仲栄真 礁 浪崎 直子 佐藤 崇範 高橋 志帆 森 愛理 高橋 麻美 石川 恵 田村 裕 棚谷 灯子 内藤 明
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌 (ISSN:13451421)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-86, 2012 (Released:2014-09-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1

日本サンゴ礁学会若手の会・環境教育ワーキンググループでは,主に日本サンゴ礁学会会員を対象として,サンゴ礁分野における教育活動の現状と課題を明らかにするためのアンケート調査を実施した。537 名の調査対象者に対し,アンケートの回収率は 15.1%で,回答者の 69.1%が何らかの教育活動への参加経験があり,また 98.8%がこうした教育活動に関心があると回答した。また教育活動が重要であると考える理由としては,「保全活動の一環として教育活動を重要視している」とする回答が 29.2%と最も多かった。活動実施の際の課題や必要な支援に関する主な意見としては,時間的負担,予算不足,人材不足が挙げられた。加えて,若手研究者が教育活動に参加することへの正の効果についても考察し,若手学会員の視点から今後の教育活動における連携や実施の促進に向けた活動案も提案する。
著者
森實 彩乃
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.223-229, 2014-06-01

近年,安価な労働力として学生を雇うアルバイトとは一線を画し,学生と職員が協働して図書館を運営する学生協働という取り組みが注目され,多くの大学図書館で実施されている。筆者も大学在学中に学生協働を経験した一人だ。その時に得た経験から大学図書館員という仕事に興味を持ち,母校の大学図書館に就職して今年で3年目になる。本稿では,学生時代の実体験を振り返りながら,学生協働の意義と課題について考察するとともに,図書館員になるための最近の勉強法や,図書館員として実際に働いてみて感じたこと,図書館員の将来について思うことを述べる。
著者
森 敏 藤原 徹
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

酵母の細胞膜に存在する3価鉄還元酵素の核遺伝子FRE1を含むplasmid(pC6L)ら制限酵素でORFにあたる配列を切り出し,2種類のT-DNAのコンストラクト,PYH6(pBI121由来)とPYH7(pUCΩE12GUS由来)に組み込み,タバコ(Nicotiana tabacum L.var SR1)に感染させた.カナマイシン耐性カルスを選抜し,植物体を再生させT2植物種子を採取し,カナマイシン耐性の7個体を得た.FRE1に特異的なプライマーでPCRを行ない,根からのRNAに対してノーザンハイブリダイゼーションを行なうと,0.9kbの転写物が確認された.この転写物は予想されるmRNAの長さよりも短かかったが,一応実験を続行した.これらの遺伝子導入植物の根の細胞膜が導入遺伝子の恒常的な発現によって,鉄が十分にある条件下でも3価鉄還元酵素活性を有しているかどうかを,根圏近傍のBPDS-Fe^<2+>の発色法を用いて検定した.ざんねんながら,発色は有意ではなかった.そこで鉄欠乏条件下での本酵素活性の持続性を水耕法によって検定したところ,2株が鉄欠乏耐性を示した.一方,本実験では,完全長のmRNAが得られていない.その原因を追究したところ,酵母ではポリAシグナルとは読まれない配列が,タバコでは読まれているために転写が途中で終了していることが判明した.現在,FRE1中のこの様な可能性のある5カ所のコドン領域をサイトスペシフィックミュータジュネシスにより改変した遺伝子を作成して,遺伝導入タバコを作成している.
著者
森川 翔太 積際 徹 横川 隆一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.80, no.816, pp.DR0234-DR0234, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
23

The objective of this study is to develop the wearable haptic device having widely operating range and highly efficient dynamic characteristics of the end-effector located on the tip of the haptic device. The conventional haptic device displays pseudo translational force to the operator's hand. However, there is a problem that the dynamic characteristics of the end-effector of these devices are restricted to the response of motion of the actuator. To improve the dynamic characteristics of the end-effector, the variable structure control which is able to choose either connection or disconnection between the actuator and the end-effector is developed. The proposed system controls (opens or closes) the hinge mechanism, so that the actuator and the end-effector can be connected or disconnected depending on the opened or closed status of the hinge mechanism. Accordingly, we develop the control system including the coordinate transformation of the displaying force using the angle sensor by taking into account large range of motion in the end-effector. To confirm the effectiveness of the proposed control method, experiments of force display for human operators were carried out. The experimental results show that the proposed system is able to improve the dynamic characteristics of the end-effector and to amplify the operating range of the hand motion in the force non-displayed condition.
著者
森田(分藤) 桂子 TORRES Cleotilde A. CHANYASANHA Charnchudhit LINN MAY LA 五十嵐 章
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.101-114, 1986-06-30

日本脳炎とデング出血熱患者血清のIgG-ELISA抗体反応を微量間接ELISA法により日本脳炎ウイルスとデングウイルス1型抗原を用いて測定した。日本の日本脳炎患者とタイ国の脳炎初感染患者は日本脳炎抗原に対して特異的反応を示したが,デング出血熱患者は初感染の場合でも日本脳炎とデング1型抗原の両方に対して交差反応性を示した.Antibody responses in sera from Japanese encephalitis (JE) and dengue hemorrhagic fever (DHF) cases were measured by the indirect micro ELISA using JE and dengue type 1 (D1) antigens. The responses of JE cases in Japan and primary encephalitis cases in Thailand were rather monospecific to JE antigen, in contrast to DHF cases whose antibody responses were cross-reactive to JE and D1 antigens even in the primary infection.
著者
和田 義人 茂木 幹義 小田 力 森 章夫 鈴木 博 林 薫 宮城 一郎
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.187-199, 1976-02-28

奄美大島において1972-1975年に蚊の調査を行なった.成虫は畜舎にかけたライトトラップ及び野外でのドライアイストラップにより,幼虫はその発生場所において,1年を通じて採集を行なった.その結果31種の蚊が得られた.上記の方法による採集の記録と,野外で採集した幼虫の飼育の記録とから,各々の種の,特に冬季における,生態について記載した.また,奄美大島での日本脳炎ウイルスの越冬について,伝搬蚊コガタアカイエカの生態の面から考察を加え,ウイルスの越冬が可能なのは,冬の気温が高く,蚊-豚の感染サイクルが持続する場合においてのみであると結論した.Mosquitoes were investigated on Amami-Oshima Island in 1972-1975. Adults were collected by light traps at animal shelters and by dry ice traps in the field, and larvae at their breeding sites in the whole year. In total, 31 species of mosquitoes were found. From the mosquito catches by the above methods together with the rearing records of some larvae collected in the field, the biology of each mosquito particularly in the winter time was reported. Also, the possibility of the overwintering of Japanese encephalitis virus on Amami-Oshima was discussed on the basis of the biology of the vector mosquito, Culex tritaeniorhynchus. It was considered that the successful overwintering of the virus is attained only by the succession of the pig-mosquito cycle maintained by the continuous feeding activity of the vector mosquitoes in warm winter.